CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

COP14・CMP4を振り返って 2

2009年01月09日 | COP14・CMP4
◆オバマ政権をどう見るか

 バラク・オバマ次期アメリカ大統領に対する期待は、非常に大きなものがあります。

 オバマ氏は、11月5日のシカゴでの勝利演説で、我々は2つの戦争に直面しているとし、1つは危機に瀕する地球(環境問題)、1つは今世紀最大の金融危機だとしました。また、11月18日には、カリフォルニア州のシュワルツネッガー知事主催の気候変動に関する会議にビデオメッセージを寄せ、「温室効果ガス排出量を2020年までに1990年レベルに引き下げ、2050年までにさらに80%削減するために、連邦で排出量取引(キャップ・アンド・トレード)制度を開始し、年次目標を定める」と述べ、さらに、「太陽光発電・風力発電・次世代のバイオ燃料といった、将来のクリーンエネルギーに向けた民間の取り組みを促進するために、毎年150億ドルを投資する」との方針を明らかにしました。そして、「アメリカは再度、交渉に精力的に参加し、気候変動に関する国際協力の新しい時代をリードする」とし、「今後数ヵ月間」のうちに新らたな気候政策を打ち出すことを約束しました。

 オバマ政権は、地球温暖化問題について、これまでのブッシュ政権とまったく異なる国際交渉へのスタンスや政策をとることが期待され、2013年以降の削減目標と制度枠組みの交渉にとって明るい材料であることは明らかです。しかし、それでも2020年目標は90年比0%という、IPCCが求める2020年に90年比25~40%削減の水準からはほど遠いことは認識しておく必要があります。COP14に参加したケリー上院議員(前回の民主党の大統領候補)は、ケリー議員自身は2020年により高い目標が必要だと考えており、米国内でもそうした意見は強いと言っており、オバマ政権がより高い中期目標や政策を掲げることができるようにするためにも、オバマ政権の政策待ちではなく、国際交渉を先に進めることが必要だと思います。

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