CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

通信4-3 適応基金、アフリカでようやく前進!

2006年11月17日 | COP/MOP2通信
 今年の5月に開催されたSB24では、運用主体の議論で止まってしまっていた適応基金の議論がようやくまとまり、COP/MOP決定案が採択されました。決定案では、適応基金の原則、運営方針、運営組織の構成員などについて合意しました。また、今後の会議でどのように議論を進めていくかということについても決められました。まず次回のCOP/MOPでは、今回合意できなかった、

 (a)適格性基準(どのような対策に資金を拠出するか)
 (b)優先事項(どのような対策に優先的に拠出していくか)
 (c)CDMからのクレジット収入の資金化
 (d)基金の制度設計

について合意するように求められています。さらに、2007年2月23日までに適応基金の運営に関心のある組織に今回の決定をどのように運用するかについての意見提出を求め、SB26 でその内容を検討すること、SBI議長に事務局の支援を得て、SB27 の前に(a)~(d)について意見交換し、今後の進展の可能性について相談する機会を設けるように要請しています。

 今回の決定において、適応基金が
 ①COP/MOPの権限とガイダンスのもとに運用されること
 ②気候変動の悪影響に対応するための計画、事業の全費用を拠出すること
 ③運営組織の意思決定は途上国が過半数を占める一国一票制度に決まったこと
は、途上国にとって非常に大きな前進です。

 環境NGOネットワークのCANとしては、今回で運用主体以外について合意できるように働きかけてきましたが、実際に運営段階に入るまでの道のりの3分の1は前進したと評価しています。この決定を守り、2008年までに基金が始動するように議論を前に進めていく必要があります。

 GEFはこの決定の後、このCOPにおいて運用主体を決定するように強く働きかけをしていますが、この決定は運用主体を決めずに議論された上で進んだものであり、運用主体の議論を現時点で再度行えば、GEFに任せたい先進国とそうはしたくない途上国の間で決裂しかねません。また、議定書9条の見直しにおいて、前向きな動きを見せている後発開発途上国および島嶼国までも先進諸国への不信感をあおることになり、交渉全体を後ろ向きにさせる危険性があります。現在CANは、GEFに対して、議論を再開させないように働きかけています。

最新の画像もっと見る