昨日迄とはうって変わり、今日は土筆の坊やがひょっこり顔をのぞかしそうなポカポカ陽気です。厳しい修行をされている練行衆の方達へ、仏さまからの贈り物に違いありません。
連行衆十一人は日常生活から離れ、複雑な作法や制約の中で精進潔斎されます。その間紙衣の紙をしぼったり、供花の椿(のりこぼし)の造花を作ったり、差懸(さしかけ)という特殊な履物を整えたり、声明の練習等をされます。時々、各界の著,有名人がこの別火に参加していますが、彼等の後談には必ず「余りの厳しさに驚き、我が身の三毒を思い知った。その後、考え方、生き方が変わった」と語っています。
今日までが『試別火(ころべっか)』といい明日からは『総別火(そうべっか)』といいます。一段と厳しい行です。起居寝食をともにし、湯茶は制限され、私語は許されず、土を踏むことも出来ないそうです。別火の終わる二月二十八日の午後三時過ぎまで続きます。
そして…いよいよ本行となります。三月一日午前2時。ごく僅かな仮眠ののち、凍りつくような寒さの中二月堂に登り、練行衆は二週間に及ぶお勤めが始まります。散華行道や五体投地そして走りの行法等いずれにしても激しい所作をともなう非常に動的な行法です。まだご覧になっておられない方は、是非一度ご覧下さい。
例えば『走りの行法』(3/5~7.3/12~14)「南無最上」と唱え礼拝行道しながらどんどん速度が速くなり、裸足で裾をたくしあげ猛スピードでいっせいに狂ったように走り出し、五体板に体を打ちつける。鐘の音や足音が轟きわたって気迫せまるものがあります。とにかく凄い!夜中十一時位から行われますので是非是非。
「この二枚も同じく行の模様です。春を待つ日本人の心です。素敵でしょう。東大寺さんで売っております。八枚セットで2500えん。
そうそう、この東大寺さんのさん付け、奈良の人達はお寺や神社、仏像すべて「…さん」と親しみを込めて呼びます。これも素敵な『寧楽奈良人ことば』のひとつです。
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