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カープ君の部屋

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【第ハ十一条・第ハ十二条】

2022-08-06 12:20:52 | 日本国憲法改正草案を読む
【第ハ十一条】
【現行】
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

【自民党改正案】
(法令審査権と最高裁判所)
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する最終的な上訴審裁判所である。

【変更点】
「終審」→「最終的な上訴審」



【第ハ十二条】
【現行】
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
② 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

【自民党改正案】
(裁判の公開)
第八十二条 裁判の口頭弁論及び公判手続並びに判決は、公開の法廷で行う。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、口頭弁論及び公判手続は、公開しないで行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪又は第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の口頭弁論及び公判手続は、常に公開しなければならない。

【変更点】
「対審及び」→「口頭弁論及び公判手続き並びに」
「公開法廷でこれを行ふ」→「公開の法廷で行う」

「対審」→「口頭弁論及び公判手続き」
「但し」→「ただし」
「この」の削除
「なつてゐる」→「なっている」
「対審」→「口頭弁論及び公判手続き」
「これを」の削除

【解説】
対審(たいしん)とは、対立する当事者が法廷に出頭し、裁判官の面前で、それぞれの主張を述べる訴訟・裁判の手続である。

口頭弁論(こうとうべんろん)は、日本における民事訴訟手続において、双方の当事者または訴訟代理人が、公開の法廷において、裁判官の面前で、争点に関して互いに意見や主張を述べて攻撃防御の主張を行う訴訟行為をいう。

公判(こうはん)とは、刑事訴訟において、裁判所、検察官、被告人(弁護人)が訴訟行為を行うために法廷で行われる手続をいう。

【第七十九条・第ハ十条】

2022-08-04 12:14:13 | 日本国憲法改正草案を読む
【第七十九条】
【現行】
第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
② 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
③ 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
④ 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
⑤ 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
⑥ 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

【自民党改正案】
(最高裁判所の裁判官)
第七十九条 最高裁判所は、その長である裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官で構成し、最高裁判所の長である裁判官以外の裁判官は、内閣が任命する。
2 最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。
3 前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。 〔削除〕
4 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
5 最高裁判所の裁判官は、全て定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額できない。

【変更点】
「これを」の削除
「その長たる」→「最高裁判所の長である」
「これを」の削除

国民審査の時期の具体的な明記がなくなる。

「罷免とすべきとされた」の基準がなくなる。

第4項の削除(第2項に包含か?)

「すべて」→「全て」
「分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き」の追加
「これを」の削除

【解説】
最初に「最高裁判所は」と主題が明示されているので、屋に屋を重ねている。

「法律の定めるところにより」
時の政権が法律を変えることで、国民審査の時期や罷免の条件を自由に変更できる。
現行のように具体的に国民審査の時期や罷免の条件が明示されていると、時期や罷免の条件を変えるためには、憲法改正が必要になる。

「罷免とすべきとされた」
罷免となる基準の明記が必要
(投票数の過半数とか)



【第ハ十条】
【現行】
第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
② 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

【自民党改正案】
(下級裁判所の裁判官)
第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その裁判官は、法律の定める任期を限って任命され、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達した時には、退官する。
2 前条第五項の規定は、下級裁判所の裁判官の報酬について準用する。

【変更点】
「よつて」→「よって」
「これを」の削除
「任期を十年とし」→「法律の定める任期を限って任命され」
「但し」→「ただし」
「時には」→「時には、」
第2項の変更

【解説】
「法律の定める任期」
法律を制定・改正するのは国会。司法権を司る裁判所の裁判官の任免を法律で規定するのは、立法権の司法権への侵害を招く可能性を持つ。三権分立を崩壊する可能性がある。

(第七十九条)
5 最高裁判所の裁判官は、全て定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額できない。





【第七十七条・第七十ハ条】

2022-08-03 12:18:11 | 日本国憲法改正草案を読む
【第七十七条】
【現行】
第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
② 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
③ 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

【自民党改正案】
(最高裁判所の規則制定権)
第七十七条 最高裁判所は、裁判に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

【変更点】
「訴訟」→「裁判」
「弁護士その他の裁判に関わる者」の追加
「従は」→「従わ」

【解説】
「弁護士その他の裁判に関わる者」の「その他」は「裁判」にかかる

裁判に関わるすべての者が、最高裁判所の定めた規則に従う必要があり、それを憲法が保証する。しかしその規則が憲法の他の条文に抵触した場合矛盾が生じる。そこで法律で規定することで、その法律に違憲性が生じた場合改正することで対応できる。
権力をもつ検察官を制御する条文



【第七十ハ条】
【現行】
第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

【自民党改正案】
(裁判官の身分保障)
第七十八条 裁判官は、次条第三項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除いては、第六十四条第一項の規定による裁判によらなければ罷免されない。行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。

【変更点】
現行の「公の弾劾」を、条文を使い具体的に明記
最高裁判所の裁判官の国民審査による罷免
弾劾裁判所による罷免を明記

条文の構造変更
「裁判官の懲戒処分は」→「裁判官の懲戒処分を」

(第七十九条)
2 最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。
3 前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。

(第六十四条)
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

【第七十五条・第七十六条】

2022-08-02 12:16:31 | 日本国憲法改正草案を読む
【第七十五条】
【現行】
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

【自民党改正案】
(国務大臣の不訴追特権)
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、公訴を提起されない。ただし、国務大臣でなくなった後に、公訴を提起することを妨げない。

【変更点】
「訴追されない」→「公訴を提起されない」
「但し、…」→「ただし、…」

【解説】
訴追…
検察官が刑事事件について公訴を提起し、それを遂行すること。

公訴…
刑事事件について、検察官が裁判所に起訴状を提出して裁判を求めること。

起訴…
刑事訴訟で、検察官が裁判所に公訴を提起すること。

現行では、但し書き以降で、訴追されない期間時効が停止することが明記されている。
改正案では、公訴されない期間の時効の停止について?



【第七十六条】
【現行】
第六章 司法
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
② 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
③ すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

【自民党改正案】
第六章 司法
(裁判所と司法権)
第七十六条 全て司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、最終的な上訴審として裁判を行うことができない。
3 全て裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

【変更点】
「すべて」→「全て」
「これを」の削除
「終審」→「最終的な上訴審」
「行ふ」→「行う」
「すべて」→「全て」
「従ひ」→「従い」

【解説】
終審…
審級制度における最終の審級。現在の三審制度のもとでは,第3審がこれに該当する。
それ以上は上訴できない、最終の裁判所の審理。

前審…
裁判所が行なう審理の前に行政機関などが行なう審理。前段階の審理

上訴審…
各審級間の合理的職務分担を図るため,第一審・控訴審(第二審)を事実と法律の両面から事件を審理する事実審とし,上告審(第三審)を法律面に限って審理を行う法律審としている(控訴審と上告審をあわせて上訴審という)。

現在は、行政機関から前審を受け、不服ならば、裁判所に提訴できる。「終審として裁判を行ふことができない」のことである。

行政機関が、何かから控訴・上告を受ける可能性はない。「上訴審」という言葉は?

【第七十三条・第七十四条】

2022-07-31 12:48:18 | 日本国憲法改正草案を読む
【第七十三条】
【現行】
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること

【自民党改正案】
(内閣の職務)
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。ただし、事前に、やむを得ない場合は事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従い、国の公務員に関する事務をつかさどること。
五 予算案及び法律案を作成して国会に提出すること。
六 法律の規定に基づき、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

【変更点】
「外」→「ほか」
「左の事務」→「次に掲げる事務」
「行ふ」→「行う」
「但し」→「ただし」
「時宜によつては」→「やむを得ない場合は」
「従ひ」→「従い」
「官吏」→「国の公務員」
「掌理する」→「つかさどる」
「予算」→「予算案及び法律案」
「この憲法及び法律の規定を実施するために」→「法律の規定に基づき」
「但し」→「ただし」
「罰則」→「義務を課し、又は権利を制限する規定」

【解説】
法律案の提出方法は、内閣発議と議員発議がある。
内閣発議は、内閣で法律案を作成し国会に提出する。
(内閣法 第五条)
内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。

議員発議は、
(国会法 第五十六条)
議員が議案を発議するには、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成を要する。但し、予算を伴う法律案を発議するには、衆議院においては議員五十人以上、参議院においては議員二十人以上の賛成を要する。

また、各議員が所属する政党の機関承認を得ることが必要で、承認のない発議は受け付けないようにとの議会事務局へのお達しがある。
超党派の発議は極めて困難

内閣発議の法律案の、内閣法から憲法への格上げ

(内閣法 第十一条)
政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。

政令の、内閣法から憲法への格上げ



【第七十四条】
【現行】
第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

【自民党改正案】
(法律及び政令への署名)
第七十四条 法律及び政令には、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

【変更点】
「すべて」→「全て」