「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.454 ★ 習近平がまた愚策…警察と税務署を合体させ「企業資産強奪機関」  設立!

2024年07月05日 | 日記

現代ビジネス (林 愛華)

2024年7月4日

30年前の未納の税金を徴収!?

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この30年あまりの改革開放政策によって、中国は貧しい発展途上国から一躍、世界で2番目の経済大国に這い上がった。しかし、習近平政権の施政で、わずか10年余りのうちに中国経済は失速しかかっている。政府の財源は中央も地方も不足し、どこも四苦八苦だ。

 6月13日、中国の食品メーカー「維維食品飲料」が発表した公告が、中国の企業家たちを震え上がらせた。 同社の公告によると、子会社である「湖北枝江酒業」に対して、税務当局が8500万元(約18・9億円)の税金を収めるよう命じた。理由は、その子会社が1994年1月1日から2009年10月31日までの間、申告漏れをしたからだという。 中国の法律では、税金の追徴は遡って3年(日本は5年)まで可能で、それ以前は時効だ。しかし今回は、なんと30年も遡ったのだ。ほかにも、17年も遡って追徴を求めた例があった。

 この問題は、中国のSNSで大きな議論になった。税務当局が不足分の税収を埋めようと、30年も遡って未納の税金を徴収し始めたのだから、議論を呼ぶのは当然だ。 騒ぎがあまりに大きくなったせいだろう。国家税務総局が、わざわざコメントを出した。

 「税務署は全国で集中的な税務検査をしているわけではない。また遡って20年、あるいは30年の税金を追徴する計画もない。だがすでに出した追徴案件については、法律に従って実行したもので撤回しない」 これに対して、「国は遡って納税を精査はしないというが、地方の税務署はすでに行っている」と、人々の不満は収まらなかった。

警察と税務署が合同で脱税を取り締まる

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本連載で前に取り上げたように、今年の1月から4月までで、全国31地域のうち、財政黒字だったのは上海市だけだ。他の30地域はすべて財政赤字だった。このことが一因となって、地方の税務署が過剰徴収に走ったものと思われる。

 改革開放政策を始めて以降、各地方自治体は外資系企業や中国企業に投資を誘い、税金面で様々な優遇措置を与えた。それが財政難のいまになって、地方自治体は過去の優遇しすぎた政策による「失った税収」を取り戻そうとしているとの見方もある。

 中国税務当局の異常な行為は、それだけに止まらなかった。最近になって、中国各地で「警税合成作戦中心」(警察・税務署合同作戦センター)なる組織が、相次いで設立された。中国名ディアにも、スタッフが入口に看板を掲げる写真付きで報じられた。

 この組織が行うのは、脱税の取り締まりだ。だがなぜ警察を加えるのか? 多くの起業家は唖然とするばかりだった。そのため、「早く移民しないと、逃げきれなくなる」という論調が、SNSをにぎわせている。 中国を代表する国際紙『環球時報』の胡錫進元編集長でさえ、否定的なコメントを出した。

 「このような看板を掲げるのは、人々の認識を誤った方向へ導くことになる。(中略)作戦は軍事用語で、相手は敵であるのだ。『警税合成作戦』と言うと、誰を敵とみようとしているのかと不安をかきたてるだろう」

国内外での莫大な支出に対し、税収は…

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中国国内でのあまりの騒ぎに、6月21日から、「警税合成作戦中心」に関する記事が多数、削除された。代わりに人々の気持ちを慰める解説記事が登場し、火消しに躍起だ。 新華社によれば、2021年5月18日に、『全国警税合成作戦示範基地』、つまりモデル基地が初めて江西省に設立された。

その後、全国に広がり、『南方都市報』によれば、いまや全国20以上の地域で設立されている。 この「作戦センター」設立の目的は、「警察と税務当局の協力によって、税金にかかわる違法行為を取り締まり、納税者の利益を守るためである」と、官製メディアは美化して報じている。中央テレビも「このセンターは企業を強くして、大きくする保障だ」と宣伝している。

 5月24日、官製メディアの『第一財経』は、「今年1月から4月まで、地方の財政収入の増加の動力が不足している」と報道した。これこそが3期目の習近平政権の実情だ。うまく対処しないと、政権の安定は保てない。 対外的に習政権は先進国を敵対視する「戦狼(せんろう)外交」(狼のように戦う外交)を行い、世界で孤立を招き、ロシア、北朝鮮、そしてアフリカなどの国々しか味方がなくなった。

しかし、これら要支援の国々と良好な関係を維持するには、莫大な資金が必要だ。 面子を重んじる習氏が豪快に金をばら撒き、それらの国々との関係を維持し続けた。一方、中国は国内政策でも、宇宙から国防、教育、福祉など様々な分野で予算が必要だ。内外での莫大な財政支出を維持しつづけるため、十分な税収の確保が不可欠だ。しかし、経済成長率の低下によって、中国の税収はますます細っていくだろう。

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