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「天狗の中国四方山話」

”中国の今”~中国に関する耳寄りな話~

No.1591 ★★ 中国、レアアース輸出規制緩和の可能性 一部の半導体関連企業

2025年05月30日 | 日記
<ブログ引っ越しのお知らせ>

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ロイター編集
2025年5月29日

 

中国がレアアース(希土類)の輸出規制に関し、中国と欧州の半導体企業およびそのサプライチェーン(供給網)に関連する企業に対して緩和する可能性があると、中国国営紙チャイナ・デイリーが28日、関係者の情報として報じた。写真は江西省南城県のレアアース鉱山で働く作業員。2012年3月撮影(2025年 ロイター)

[28日 ロイター] - 中国がレアアース(希土類)の輸出規制に関し、中国と欧州の半導体企業およびそのサプライチェーン(供給網)に関連する企業に対して緩和する可能性があると、中国国営紙チャイナ・デイリーが28日、関係者の情報として報じた。

中国商務省が27日に中国と欧州の半導体企業との会合を主催し、レアアースの規制に絡む申請手続きについて説明したという。

中国は4月、7種類のレアアースと関連製品を輸出管理リストに加え、輸出業者に対し、海外顧客の国籍に関わらず輸出許可の申請を義務付けた。

半導体や自動車、防衛産業で使われるレアアース磁石の輸出業者に対しては、既に一部で許可が付与されている。ただ、許可手続きが複雑なため数カ月間かかることもあり、税関では混乱も起きている。

在中国欧州連合(EU)商工会議所のイェンス・エスケルンド会頭は「重要な原材料の不足によって、多くの欧州の生産ラインが間もなく停止してしまう」と早急な対応の必要性を訴えた上で「会合は、欧州の商工会議所会員企業が、安定供給を確保するため、承認手続き加速が緊急に必要なことを伝える機会となった」とコメントした。

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No.1590 ★★ エヌビディア、中国向け次期AI半導体は「Hopperにあらず」とCEO表明、Blackwell投入へ 米規制下の中国戦略に重大な岐路、国産化の流れは一層加速も

2025年05月30日 | 日記
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JBpress  (小久保 重信:LLPパートナー)
2025年.5月29日



台北で開催された見本市で記者の質問に答えるエヌビディアのジェンスン・フアンCEO(5月21日、写真:ロイター/アフロ)

 半導体大手の米エヌビディア(NVIDIA)の中国向けAI半導体戦略が、重大な岐路に立たされている。

 同社のジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)は2025年5月17日、中国市場向けに性能を調整して提供した「H20」チップの後継となる次期製品について、「Hopper(ホッパー)アーキテクチャーをベースにしたものではない」とする意向を初めて明らかにした(英ロイター通信)。

  この発言に続き、ロイター通信は5月24日、エヌビディアが中国市場向けに、H20よりも大幅に安価な新しいAIチップセットを投入し、早ければ6月にも量産を開始する計画だと報じた。

 H20は、2022年に導入されたHopperアーキテクチャーに基づくチップ。
 これに対し、中国向け新チップは最新世代の「Blackwell(ブラックウェル)」アーキテクチャーを採用し、価格は6500~8000ドル(約90万~120万円)程度になる見込み。

 これは、H20の価格帯である1万~1万2000ドル(約150万~170万円)を大きく下回る。

フアンCEO「これ以上の修正は不可能」、次世代中国向けは新設計Blackwellへ

 5月17日、台湾の民視新聞網(Formosa TV News network)がライブストリームを報じた。

 その中でフアンCEOは、中国市場向け次期チップに関する質問に対し、「それはHopperではない。Hopperをこれ以上修正(modify)することは不可能だからだ」と明言した。

 この発言は、エヌビディアがこれまで取ってきた戦略からの大きな転換を示唆する。

 同社は近年、米政府の規制に対応するため、Hopperシリーズの性能を抑制してきた経緯があるからだ。

  H20は高性能な「H100」をベースに、米国の輸出規制に抵触しないよう性能を落とした中国市場向けの製品だ。

 しかし、このH20に対しても米政府が規制を課したことで、エヌビディアの対応はより困難になっていた。

 フアンCEOの発言は、Hopperアーキテクチャー枠内での性能調整では、もはや中国市場のニーズと米規制の双方を満たすことが限界に達したという認識を示すものとなった。

  そして、5月24日のロイター報道によって、次期中国向け製品の具体的な姿が見えてきた。

 それはBlackwellアーキテクチャーを採用した新しいGPU(画像処理半導体)だ。

 サーバークラスの「RTX Pro 6000D」をベースとし、従来のGDDR7メモリーを使用。先端パッケージング技術であるCoWoS(コワース)は用いないという。

 この仕様により、コストを抑え、米国の輸出規制をクリアすることを目指している。

 中国GF証券はこの中国向け新GPUの名称が「6000D」または「B40」になる可能性が高いと予測している。

H20修正版計画はここでストップ、Blackwellベースの新チップが本命か

 フアンCEOがHopperシリーズではない次期製品の可能性に言及する前の5月9日、ロイター通信は、エヌビディアがH20の性能をダウングレードしたチップを今後2カ月以内に中国市場に投入する計画だと報じていた。

 5月24日の最新報道によれば、同社は結局この計画を断念した。

  これにより、H20の単純な修正版ではなく、Blackwellアーキテクチャーに基づく全く新しい設計が、中国市場向け戦略の本命であることが濃厚となった。

 早ければ6月にも量産開始というスケジュールは、同社がこの状況に迅速に対処しようとしている姿勢の表れだ。

 情報筋によると、エヌビディアはこれとは別に、もう一つの中国向けチップを開発中で、こちらは9月にも生産開始するという。

背景:複雑化した米政府の対中規制、最新の規制要件も明らかに

 一連の動きの背景には、米政府による対中輸出規制の複雑な経緯がある。
 エヌビディアは、バイデン前政権下で導入された輸出規制に対処するためにH100に代わる「H800」を開発した。だがこれは2023年10月に禁輸対象になった。

 そこでH20を開発したものの、2025年4月、このH20に対しても輸出ライセンスの取得を義務化。これにより事実上、中国市場でのH20の販売が困難になった。

 その結果、エヌビディアは45億ドル(約6500億円)の在庫を評価損として計上せざるを得なくなった。フアンCEOは150億ドル(約2兆1800億円)の売上機会を失ったと説明した。

  最新の輸出規制では、GPUのメモリー帯域幅にも新たな制限が課された。これはAIワークロードに不可欠なデータ転送速度の指標だ。

 米証券大手ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの推定では、新規制はメモリー帯域幅を1.7~1.8テラバイト毎秒(TB/s)に制限している。

 H20が4TB/sの能力を持っていたことと比較すると大幅な性能低下となる。
 GF証券は、新しいBlackwellベースのGPUがGDDR7メモリー技術で約1.7TB/sを達成し、規制の範囲内に収まると予測する。

  バイデン前政権末期の1月に発表された「AI拡散に関する枠組み(U.S. Framework for Artificial Intelligence Diffusion)」は、大半の国へのAIチップ輸出を制限することを目的としていた。

 トランプ大統領は、この規則を撤廃する意向を示した。

 フアンCEOも、「これまでのAI輸出規制は誤っている」とし、米国の技術力を世界で最大限に活用することに焦点を当てるべき、との考えを示している。
 その一方で、中国に対する規制は依然、維持・強化されており、対中規制の全体像は依然として流動的だ。

中国市場の重要性とNVIDIAのジレンマ、シェア急落

 フアンCEOは一貫して「中国市場はエヌビディアの成長に不可欠」と公言してきた。

 実際に、米当局がH20に対する新たな輸出ライセンス要件を発表した直後の4月下旬にも北京を訪問し、中国当局者らと会談している。

 エヌビディアの2025会計年度(2025年1月期)における中国市場の売上高は171億ドル(約2兆5000億円)に達し、総売上高の13%を占めた。

  ただ、相次ぐ規制強化により、同社中国事業の収益比率は低下傾向にある。2025会計年度の中国市場の売上高比率13%は、前年の17%、2年前の21%から減少している。

 フアンCEOが台北で記者団に語ったところによると、現在のエヌビディアの中国市場シェアは、米国の輸出規制が影響を及ぼし始めた2022年以前の95%から、50%にまで落ち込んだ。

 主な競合相手は、「昇騰(Ascend)910B」チップを製造する中国・華為技術(ファーウェイ)だ。

 フアンCEOは、「米国の輸出規制が続けば、より多くの中国顧客がファーウェイのチップを購入することになる」と警戒感をあらわにした。

  今回の安価なBlackwellチップの投入計画は、シェアが縮小しつつも依然として巨大な市場を手放すわけにはいかない、というフアンCEOの強い意志と、従来アーキテクチャーでの対応の限界というジレンマの表れと言えるだろう。

中国AI開発、試練と国産化の道 NVIDIAは次世代戦略が焦点に

 米政府による一連の措置は、中国企業のAI開発にさらなる制約を課すことになる。

 高性能AI半導体へのアクセスが一段と困難になることで、開発ペースの鈍化は避けられないとの見方が強い。

 その一方で、ファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)などが開発する中国国産半導体へのシフトが一層加速する可能性がある。

  エヌビディアにとって、Blackwellベースの新チップ投入は、中国市場での成長鈍化を補い、かつ米規制にも対応できる製品ラインアップの構築に向けた具体的な一歩となる。

 フアンCEOの「Hopperではない」発言と、それに続くBlackwellチップの詳細報道は、同社が次世代戦略へと確実に移行しつつあることを示している。

  AI分野における技術覇権を巡る米中の対立は今後も続くとみられる。
 エヌビディアをはじめとする世界の半導体産業、さらにはハイテク産業全体の動向に引き続き大きな影響を与えることになる。

小久保 重信
同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、JBpress『IT最前線』や日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」で解説記事を執筆中。

連載にはダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19~20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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No.1589 ★★ 岡山市本店・中国銀行 行名に中国外交官が不満漏らす SNSで「便乗詐欺か」

2025年05月29日 | 日記
テレ朝news
2025年5月28日



 日本の地方銀行「中国銀行」の名前に対し、中国の外交官がSNSで批判を展開し、波紋を広げています。銀行側は困惑しています。

■中国人観光客「私は困りません」


中国 張和清外交官

「多くの中国人観光客が、日本の地方銀行を我が国の『中国銀行』と勘違いしているようです。知名度に便乗している詐欺と誰も思わないのでしょうか?」
 これは、パキスタンに駐在する中国の張和清外交官が自身のSNSに投稿した文章です。


岡山市に本店「中国銀行」

 岡山市に本店を置く日本の地方銀行「中国銀行」が、北京に本店を置く国有の「中国銀行」と同じ名前であることに不満を漏らしました。

 投稿には、日本の中国銀行が店に張り出した注意書きの写真が添付されていました。


日本「中国銀行」の注意書き

日本「中国銀行」の注意書き
 「当銀行は日本の銀行です。本社は日本の岡山にあります。当行と中華人民共和国の中国銀行、これらは2つの異なる銀行です」

 張り出したのは、神戸市の中華街・南京町近くにある神戸支店です。
 都内にある支店には、区別するためか「本店 岡山市」と書かれています。
 中国人観光客に話を聞きました。



中国人観光客は…
「(Q.名前の同じ銀行は困りますか?)私は困りません」
「ロゴマークがありますので、銀行を間違えることはないと思います。この中国の外交官については知りませんが、このような文章を発信することで、争いを引き起こそうとしているのかもしれません」

 日本の中国銀行は、1990年に「国」の文字を旧字体から新字体に改めた名前に変更しました。



「注意を呼び掛けています」

日本の中国銀行の担当者
 「間違えて来店した方にはリーフレットを配り、注意を呼び掛けています。なぜ今、こういった内容を投稿されたのか分かりませんが、知名度の利用や詐欺といった認識は一切ありません」

 今回の投稿について専門家は、最近まで中国で採用されていた好戦的な外交スタイル「戦狼外交」の影響が背景にあると分析します。


東京財団 政策研究所 柯隆主席研究員

東京財団 政策研究所 柯隆主席研究員
 「少し前まで『戦狼外交』が台頭していた時、中国国内のナショナリズムの台頭に忖度(そんたく)して、いろいろ問題発言する外交官が結構いたが、トランプ関税戦争が勃発して、中国とアメリカとの対立がまだ終わってないなかでこういう発言をしていて、日中関係に少しでもブレーキがかかることになると、北京(中国政府)にとっても迷惑だと思う」
(「グッド!モーニング」2025年5月28日放送分より)

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No.1588 ★★ 中国が“現産地偽装”なら日本も同罪 トランプ関税回避で生産拠点を移した隣国と日米貿易摩擦解消のため工場を移した我が国

2025年05月28日 | 日記
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MAG2NEWS (富坂 聰:ジャーナリスト、ノンフィクション作家)
2025年5月27日



トランプ関税を回避するため生産拠点を東南アジア等に移転した中国の対応を、「現産地偽装」なる言葉を使い報じる日本メディア。同じく国内メディアは、「東南アジア各国が中国に対して警戒を開始した」というトーンで伝えていますが、はたしてそれは真実なのでしょうか。

今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では著者の富坂聰さんが、これらの真偽を専門家目線で考察しています。

 ※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:米中関税戦争で中国が東南アジア諸国にも警戒されているって本当か

米中関税戦争で中国が東南アジア諸国にも警戒されているって本当か

中国の李強総理がインドネシアを公式訪問──。
このニュースが中国発で流れた日、日本で目立っていたのは以下の記事だ。
「中国の原産地偽装で東南アジア各国が対策、アメリカの『貿易赤字の一因』と主張…関税交渉を意識」(『読売新聞』5月23日)

見出しが与える印象は、トランプ関税回避のため中国に利用されている東南アジアの国々がその問題に気付いて中国を警戒し始めた、といったところか。

いまや日本人の90%が「中国嫌い」という事情も手伝い、「やっぱり中国は東南アジアでも嫌われているのか」と留飲を下げるたくなるニュースだ。
しかし、実態はどうか。

原産地偽装という言葉の使い方も気になるが、まずは中国と東南アジアの国々との関係を見てみたい。

今回の李強のインドネシア訪問は、プラボウォ・スビアント大統領の招待に応じて5月24日から26日にかけて行われる公式訪問であって、現地で歓待されるだろうことは容易に想像できる。

また李強はインドネシアの後に今年ASEANの輪番議長国であるマレーシアを26日から28日にかけて訪問する。これもアンワル・イブラヒム首相の招待だが、その後、クアラルンプールで「ASEAN─中国 湾岸協力会議サミット」にも出席する予定だ。

今年は、習近平国家主席が4月にベトナム、マレーシア、カンボジアの3カ国を訪問したばかりだ。

2月にはタイのペートンターン・シナワット首相が訪中。ペートンタンが自らを「中国系の血を引く首相」と紹介して話題となった。

また昨年11月にはインドネシアのプラボウォが、大統領就任後初の外遊先に中国を選び訪れている。

中国と東南アジアの国々の関係という意味では、フィリピンとの摩擦が激化していることを除けば、むしろスキのない外交を展開していると見るべきだろう。

少なくともトランプ関税で慌てた東南アジア諸国が中国との距離をにわかに調整し始めたなどといった動きは見当たらない。

実際、読売新聞の記事とまったく同じ時期に中国国内では以下のニュースが流れている。

「中国・ASEAN10ヶ国、自由貿易協定3.0交渉を全面的に妥結」
わざわざ「中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA)」が3.0に入ったと打ち出しているのだから、関係が後退したという話ではない。中国との自由貿易協定をさらにアップグレードしようという話なのだ。

安価な労働力を求め工場を次々に移転してきた世界の企業

そして問題は、先に指摘した「原産地偽装」という表現だ。
中国の原産地偽装というニュースは韓国でも度々報じられるが、基本的にはラベルを張り替えるなど犯罪だ。数量的にも決して大きくない。よって二国間関係に影を落とすような話ではなく、ましてや、この見出しが匂わせるように通常の貿易と混同してよい話でもない。

中国企業がトランプ関税を回避するため東南アジアやメキシコに生産拠点を移転し、それが移転先国の対米輸出を高めたことはよく知られている。

ただ関税などに合わせて生産拠点を移動させることは、むしろ業界の常識だ。
例えば、かつての「北米自由貿易協定(NAFTA)」を「USMCA」に進化させた米国、メキシコ、カナダの3カ国の関係を利用し、日本は自動車産業を筆頭にサプライチェーンを構築してきた。その背景には「安い関税を求める」企業の動機があるが、工場の移転はカナダやメキシコにも利益をもたらした。

そもそも世界のメーカーは、安価な労働力を求めて工場を次々に新興国や発展途上国に移転してきた。

典型例は日本のメーカーが生産拠点を中国に移した動きだ。日本は基幹となる技術をともなう中間財を中国に輸出し、そこで組み立てられた製品を最終消費地へと向かわせてきた。

ここに貿易自由化の波が重なり、労働コストと関税を考慮して最も適した国を選び生産拠点を移してきたのだ。

その結果、かつては貿易摩擦を抱え、アメリカとの関係に苦しんだ日本は、その圧力から脱したのである。

日米貿易摩擦は米中貿易摩擦となり、いま、トランプ政権がベトナムなど東南アジアに警戒の目を向け始めているのも同じ文脈で理解できる。

そもそも「原産地偽装」という言葉は、こうした大きな流れとは区別して使われなければならない。貿易赤字問題でターゲットになるような物品の移動は、単純な工程で生産されるわけではない。

例えば、アップルの生産するiPhoneだ。iPhoneはアメリカの企業が設計し、中国やインドで生産されてアメリカへと向かうが、その途中では半導体を含めて膨大な部品と手が加わっていて、複雑だ。

もし原産地偽装が犯罪を指すのであれば、それは外交問題ではない。警察が粛々と対応すればよいだけの話だ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2025年5月25日号より。

富坂 聰(とみさか さとし)
日本のジャーナリスト、ノンフィクション作家。拓殖大学教授。国家基本問題研究所企画委員。

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No.1587 ★★ オルビス、中国事業から撤退へ 中国子会社「オルビス北京」を解散・清算へ

2025年05月28日 | 日記
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日本ネット経済新聞
2025年5月27日 

 

ポーラ・オルビスホールディングスは、連結子会社の「奥蜜思商貿(北京)(オルビス北京)」を解散・清算することを発表した。

オルビス北京は2008年に設立され、中国でオルビスブランドを展開してきたが、中国経済の停滞やEC市場の激化により、収益改善が困難と判断。リソースを他ブランドに集中するため、清算を決めた。

 清算により、約13億万円の特別損失が発生する見込みだが、法人税などの減少により約16億円の税効果が見込まれる。清算完了時期は未定で、通期業績予想の修正は行わない。

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