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「天狗の中国四方山話」

”中国の今”~中国に関する耳寄りな話~

No.1596 ★★ ハリウッドどうした!?日本をはじめとするアジア諸国の台頭で、変わる「映画の勢力図」を業界誌記者が解説

2025年05月31日 | 日記
東洋経済オンライン (和田 隆 : 映画ジャーナリスト、プロデューサー
2025年5月30日


仮想現実(VR)に観客を没入させる映画への需要の高まりが市場を推進すると予想されています(写真:Yellowdesign/PIXTA)

実は今、世界の映画市場でハリウッドが陰りを見せる一方、日本映画は興行収入で過去最高を記録し、国内外で存在感を増しています。

なぜ今、日本映画はこれほどまでに好調なのか? その背景には、国際情勢や業界構造、そして日本独自のヒットの仕組みが複雑に絡んでいます。

本稿では和田隆著『映画ビジネス』より、映画において「邦高洋低」の時代が続く理由を、業界紙の記者として映画業界の表と裏を取材をしてきた著者が読み解きます。

世界の映画市場の現状

2024年4月に発行されたアメリカのSkyQuest社の市場調査レポートによると、世界の映画・エンタテインメントの市場規模は、2022年の約974億7000万ドル(約15兆2000億円)から上昇し、2031年までには1822億3000万ドル(約28兆4000億円)に達すると予測しています。

これは仮想現実(VR)に観客を没入させる映画への需要の高まりが市場を推進すると予想しているためであり、音楽や映像が利用できるストリーミング・プラットフォームのその他の特典として、コンテンツのクオリティがさらに向上していくことも、市場の成長の要因の1つとしています。

さらに、ユーザーはオーディオやビデオコンテンツのプレイリストを簡単に作成することができるので、ミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばまでに生まれた人々)に訴求することができれば、市場の拡大につながるとしています。

中国、韓国、インドなどの国々でモバイルやネットの利用が増加していることも市場拡大に貢献しており、アジア諸国の急速な成長と需要の増加が期待されます。ネットやテレビなど複数のチャンネルで視聴者が利用できることによって、新しい才能の普及も促進されてきました。

アメリカは長い間、世界のコンテンツ市場に君臨してきましたが、ヨーロッパ諸国では、アメリカの巨大なコンテンツ産業から自国の産業と文化を守るために、製作や人材育成に補助金を交付するなど支援を続けています。

アジアでも、日本のコンテンツの流入を制限しながら、自国の文化を守ることを目的に、人材育成や投資などで国が積極的な支援活動をしている国もありますが、お隣の韓国では、コンテンツ産業を国家戦略として振興していて、日本とアジア諸国間のコンテンツ貿易は活発化しています。

中国の映画市場は拡大

日本の映画市場は、2000年以降ほぼ年間興収2000億円前後で推移していますが、中国の映画市場は拡大を続け、アメリカに次いでそれまで世界第2位だった日本を2012年に抜きました。

2014年には約5700億円、2015年には8000億円を突破し、コロナ禍の2020年に遂にアメリカ映画市場を抜いて世界第1位に躍り出て、2021年も第1位をキープしました。

コロナ禍が収束していくと2022年はアメリカが第1位に返り咲き、日本も興収2131億円で第3位を守っていますが、4位のインドとは僅差。アメリカは2009年から2019年まで11年連続で興収100億ドルを突破していましたが、2023年は約89億ドルに留まりました。

ちなみに、コロナ禍前の統計になりますが、2017年の映画の年間製作本数はインドが1986本で1位、中国が874本で2位、アメリカが660本で3位、そして日本が594本で4位でした。

中国と同じ人口10億人を超えるインドが、製作本数では“映画大国”となっています。

なお、インド映画といえば2022年10月に日本公開された『RRR』が大ヒットし、インド映画ブームを再び巻き起こしましたが、インド映画がすべて“ボリウッド映画”ではないことは皆さんご存じでしたでしょうか。インド映画は、制作拠点と使用されている言語によって異なるのです。

『RRR』は、ハイデラバードでテルグ語を使用して制作されたので、“トリウッド映画”。1998年に公開されて、日本で最初のインド映画ブームを巻き起こした『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)は、チェンナイでタミル語を使用して制作されたので、“コリウッド映画”。

そして、インドで歴代興収1位(当時)の大ヒットを記録したコメディドラマ『きっと、うまくいく』(2009)がムンバイでヒンディー語を使用して制作されたので、“ボリウッド映画”となります。

インドの公用語はヒンディー語ですが、方言を含めると約600もの言語が話されているとのことですので、異なる地域で制作されたインド映画を見比べてみてください。

洋画メジャーによる邦画製作

映画業界でもローカライゼーション戦略という言葉をよく聞きますが、何をすることか皆さんご存じでしょうか。

ローカライズとは、海外進出する際に商品やマーケティング方法を現地の文化や地域性に対応させて行うことです。

映画において、ローカライズというと、洋画メジャーの日本法人が、映画配給や製作において言語やポスター、予告編、パッケージデザイン、表記などを日本の文化や規制に合わせたものにし、経営においては現地の人々を雇用し、商習慣に倣ってビジネスを運営していくことです。

洋画であれば、映像・音声・言語の3要素で構成され、言語を鑑賞される国や地域の言葉に翻訳し、ビデオフォーマットをその地域の仕様に正しく変換することです。

以前であれば、ポスターデザインも予告編も本国で制作されたものを日本語に翻訳するだけでしたが、ローカライズが進むと、作品やスタジオによりますが、日本独自のポスターデザインや予告編制作が活発になりました。

翻訳しただけでは違和感を覚えたり、作品の内容や見どころが伝わりにくかったりしたのですが、日本人に合わせて制作することで、興行成績が伸びる例が出てきたからです。

わかりやすい例でいうと、ファミリー映画であれば、字幕ではなく、映画本編中の標識や建物名などの英語表記を日本語またはカタカナに差し替えるようになりました。

子どもと見るファミリー向け映画であれば、吹替版での鑑賞が主流ですが、聴覚だけでなく、視覚でもよりわかりやすくしているローカライズに皆さん気づかれているでしょうか。

それから2000年に入って、ワーナー ブラザース ジャパンなどの洋画メジャーの日本法人(支社)が、日本映画を製作出資するようになりました。

代表的な1本は、ワーナーの『デスノート』(2006)です。日本のテレビ局や制作会社とパートナーズを組んで、日本の人気漫画を実写映画化し、ワーナーの配給網で日本公開。藤原竜也主演『デスノート』、続く『デスノート the Last name』が大ヒット。松山ケンイチ主演のスピンオフ作品『L change the WorLd』も続きました。

人気漫画を実写映画化

ワーナーはこの成功体験から邦画への製作出資を続け、同じく人気漫画を実写映画化し、2012年に公開した佐藤健主演『るろうに剣心』も大ヒットを記録。北野武監督『アウトレイジ ビヨンド』(2012)、アニメの『劇場版銀魂』『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』などもヒットしました。

さらに『はたらく細胞』(2024)ではワーナーが製作・配給した邦画の興収歴代1位を達成しています。


『映画ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

興収10億円以上をあげる邦画への製作出資と配給を続け、松竹、東宝、東映とは異なるラインで、若い観客層を掘り起こすとともに、才能ある監督や若手キャストを起用して日本映画の底上げを図っています。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメントも2015年に『新宿スワン』がスマッシュヒット。

東宝と共同配給した『キングダム』が大ヒットを記録するとシリーズ化され、2022年公開の『キングダム2 遥かなる大地へ』、2023年公開の『キングダム 運命の炎』とヒットを続け、2024年公開の『キングダム 大将軍の帰還』はシリーズ最高の成績をあげました。4本で興収245.2億円を記録する大ヒットシリーズとなっています。

和田 隆(わだたかし)
映画ジャーナリスト、プロデューサー。1974年東京生まれ。1997年に文化通信社に入社し、映画業界紙の記者として17年間、取材を重ね、記事を執筆。邦画と洋画、メジャーとインディーズなどの社長や役員、製作プロデューサー、宣伝・営業部、さらに業界団体などに取材し、映画業界の表と裏を見てきた。現在は映画の情報サイト「映画.com」の記者のひとりとして、ニュースや映画評論などを発信するとともに、映画のプロデュースも手掛ける。プロデュース作品に『死んだ目をした少年』『ポエトリーエンジェル』『踊ってミタ』などがある。田辺・弁慶映画祭の特別審査員、京都映画企画市の審査員も務める。

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No.1595 ★★ 「台湾侵攻のリハーサル」化した中国の演習、有事に備え米海兵隊は“切り札”配備、現実味増す「アジア版NATO」創設

2025年05月31日 | 日記
JBpress (国際ジャーナリスト・木村正人)
2025年5月30日


北京市内に張り出された、中国軍が台湾周辺で実施した軍事演習について報じる中国紙=4月2日(写真:共同通信社)

台湾海峡の中間線は完全に無視

[ロンドン発]5月27日から28日にかけ、台湾国防部は中国人民解放軍による台湾周辺での軍事活動の急増を報告した。航空機の92回出撃と複数の海軍艦艇が確認され、航空機出撃のうち74回が台湾海峡の中間線を越えて防空識別圏(ADIZ)に侵入した。

 人民解放軍空・海軍合同演習の一環とみられる。台湾国防部のX(旧ツイッター)によると、27日午前零時~同6時に台湾周辺で航空機の34回出撃、海軍の艦艇9隻、公船1隻を確認した。航空機は34回とも中間線を越えて台湾の北部、南西部、南東部のADIZに入った。

 午前8時15分以降にも、戦闘爆撃機J-16、第3世代の早期警戒管制機KJ-500を含む航空機の27回出撃を確認。そのうち18回が中間線を越えて台湾の北部、中部、東部、南西部のADIZに侵入。軍事衝突を防ぐ非公式な境界線として機能していた中間線は完全に無視されている。

 28日午前零時~同6時前に航空機の31回出撃、海軍の艦艇9隻、公船1隻を確認。航空機出撃の22回が中間線を越えて台湾の北部、中部、南西部、東部のADIZに入った。台湾周辺における人民解放軍の活動は過去5年間で激しさを一気に増している。

最小限の準備時間で台湾周辺での作戦を実施できる

「台湾同胞に告げる書」40周年の2019年1月、中国の習近平国家主席は「平和統一のための最大の誠意と努力を尽くすが、あらゆる必要な措置をとるという選択肢を放棄するものではない。外部勢力の干渉や台湾独立を求める分裂勢力とその活動には特にそうである」と宣言した。

 それまでの中国は対外的に「平和統一」を強調してきたが、習氏は統一を「中国の歴史的任務」であり「中国の偉大な復興」に不可欠と位置付け、「武力行使を放棄するとは約束しない」と軍事力行使の可能性に言及した。

 翌20年に人民解放軍の航空機が台湾のADIZに入った回数は月10回未満だったが、今年にはその回数は月245回以上に急増している。人民解放軍の航空活動の活発化は台湾に圧力をかけ、軍事的即応性を示すための広範な戦略の一環である。

 人民解放軍はJ-20など第5世代戦闘機の開発、空中給油活動の拡大、太平洋につながる宮古海峡やバシー海峡といった戦略的水路における海軍のプレゼンスを強化するなど迅速な展開能力を強化してきた。これにより最小限の準備時間で台湾周辺での作戦を実施できるようになった。

英紙「中国当局が台湾への奇襲攻撃能力を向上させる」

 習氏が27年までに台湾侵攻の準備を整えるよう命じたと米軍が評価する中、英紙フィナンシャル・タイムズ(5月26日付)は「中国当局が台湾への奇襲攻撃能力を向上させる。軍備増強により北京は平時から戦時作戦への迅速な移行が可能」と報じている。



 米台当局者や専門家の話として「中国は航空作戦の迅速化、新型砲兵システム、水陸両用・空襲部隊により台湾への奇襲攻撃能力を強化した。台湾侵攻に関与する中国の空軍・ミサイル部隊は平時からいつでも作戦行動に移行できるレベルまで強化された」とFT紙は伝えている。

 人民解放軍の作戦行動には(1)台湾侵攻に出撃する港付近での水陸両用部隊の継続的な訓練(2)台湾への空挺降下を行う陸軍航空部隊の常時待機(3)台湾のあらゆる場所を攻撃可能な新型ロケットシステム――が含まれるようになったという。

 米軍のサミュエル・パパロ・インド太平洋軍司令官は今年2月「中国は危険な道を歩んでいる」と台湾周辺における軍事活動のエスカレートに強い懸念を表明。軍事演習の規模と頻度が台湾への実際の攻撃準備を隠蔽する見せかけとして機能しかねない水準に達していると警告した。

米司令官「台湾を中国本土に強制的に統一するリハーサル」

「台湾周辺で行われている攻撃的な行動は彼らが言うところの演習ではなくリハーサルだ。これは台湾を中国本土に強制的に統一するためのリハーサルだ。北京の軍備増強、グレーゾーン作戦、台湾に対する軍事的威圧は日に日に懸念を強めている」(パパロ司令官)

 人民解放軍の複雑化するマルチドメイン作戦は明確な意図と能力の向上を示している。パパロ司令官は中国、ロシア、北朝鮮を「台頭する独裁国家の枢軸」と呼び、爆撃機による共同哨戒から衛星攻撃能力や潜水艦といった先端技術の共有に至るまで広い範囲で連携していると指摘した。

 中国はステルス爆撃機JH-XX、台湾上陸作戦に使える巨大バージ船、100機のカミカゼドローンを一斉発進できる無人新型高高度ドローン空母「九天」の開発を驚異的なスピードとスケールで進めるが、米軍も手をこまぬいているわけではない。

(参考記事)
・人民解放軍、台湾上陸を想定しての演習か、「超巨大はしけ3連結」の異様な光景が目撃される(2025.4.4)
 ・100機もの自爆型ドローン一斉発進も可能、中国のドローン空母「九天」が初飛行へ、台湾有事あれば間違いなく脅威に(2025.5.22)
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(5月25日付)は「米国は新型ミサイルシステムNMESIS(ネメシス)で人民解放軍海軍の思惑を覆す。中国が太平洋の広大な海域を支配する中、米国は反撃の手段を模索しており、ネメシスが重要な役割を担う」と報じている。



フィリピン最北バタネス州のバタン島バスコに展開された米軍の最新鋭の対艦ミサイル発射装置「NMESIS(ネメシス)」(写真:フィリピン軍提供・共同)

比バタン島に配備されたネメシスと「太平洋防衛協定」構想

 C-130輸送機でネメシスはフィリピンのバタン島に配備された。ネメシスは米海兵隊が開発。対艦ミサイルを無人車両に搭載した画期的な地対艦ミサイルシステムだ。無人化することで小型されたNMESISは空輸性が高く、機動的に分散配備して自軍のリスクを低減することができる。今や世界最大となった中国の海軍力を抑止する「切り札」だ。射程は約180キロメートル。



今年4月、フィリピン北部ラロ・カガヤン国際空港で対艦ミサイル発射システム「ネメシス」をC-130輸送に積み込む米軍兵士(写真:AP/アフロ)

 これにより米海兵隊は、移動する艦船を追尾して命中させる精密ミサイルを陸地から発射できる。バタン島のような島嶼からも発射可能で、外洋よりも発射装置を隠すことがはるかに容易になる。中国にとって予測不能な状況を作り出すことで抑止効果を生み出すのが狙いだ。

米軍が最新型の対韓ミサイルシステムを配備したバタン島があるフィリピン・バタネス州の位置。台湾島南端までは200キロほど(共同通信社)

 イーライ・ラトナー元米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は米外交雑誌「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿(5月27日付)で「太平洋防衛協定の必要性。米国は中国に対抗するために新たなアジア同盟を必要としている」とアジア版NATOの創設を提言している。

 中国の軍事的台頭と地域への威圧に対抗するため、米国はオーストラリア、日本、フィリピンとの間で太平洋防衛協定を結ぶべきだとラトナー氏は指摘する。現在の二国間同盟体制は十分ではなく、正式な相互防衛義務と司令部機能を持つ協定が必要という。

 日本、フィリピン、オーストラリアはそれぞれ防衛戦略を見直し、米国との連携を強化してきたが、現行の枠組みでは中国に対する抑止力が不十分だ。このため現在の「スポーク型(米国中心の二国間体制)」から「同盟国同士の連携強化」への移行がすでに進み始めている。

木村正人(きむら まさと)
 在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。

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No.1594 ★★ 「中国は時間をかけて米国債を減らす」 桃井裕理氏ーPodcast 中国経済の真相

2025年05月31日 | 日記
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「天狗の中国四方山話」

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日本経済新聞
2025年5月30日



中国が保有する米国債の額が、今年3月末に英国を下回りました。英国が米国債の保有額で中国を抜いたのはおよそ25年ぶりです。これにより英国は日本に次ぐ2番目の米国債保有国に浮上し、中国は3位に後退しました。

トランプ米政権の高関税政策に対する報復措置として、中国が米国債を売っているのではないかとの臆測が絶えません。しかし、ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」に出演した日本経済新聞の前中国総局長で、いまは政策報道ユニット長の桃井裕理氏は「(中国による保有米国債の減額は)いまに始まった動きではない」との考えを強調しました。

中国は習近平(シー・ジンピン)氏が最高指導者に就いた2012年ごろから「いずれ米国とはたもとを分かつかもしれない」と考え、米国債の保有を意識的に減らし始めたというのが桃井氏の見方です。

米国債を一気に売れば資産としての価値が急落し、中国にとっても大きな痛手になります。それを避けるために、中国はゆっくりとしたペースで今後も米国債を減らし続けるに違いありません。桃井氏は「時間をかけて米国債の保有を減らす中国の戦略はこれからより強固になる」とみています。

桃井氏の解説は次のポッドキャストでお聴きいただけます。https://note.com/cnshinsou/n/n875a1a0aa611?sub_rt=share_pw
(編集委員 高橋哲史)

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No.1593 ★★ 中国への「日本産水産物」輸出再開で合意、福島や茨城など10都県は含まれず

2025年05月31日 | 日記
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読売新聞
2025年5月30日

 政府は30日午前、中国への日本産水産物の輸出再開に向けた手続きについて、中国側と合意したと発表した。対象は37道府県の水産物で、福島や茨城など10都県は含まれていない。輸出は業者の再登録作業などを経て、数か月程度で再開される見通しだ。


 
農林水産物や食品の輸出拡大に向けた関係閣僚会議で発言する林官房長官、右は小泉農相(30日午前、首相官邸で)=川口正峰撮影

 2023年8月に始まった東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を受け、中国政府は日本産水産物の輸入を全面的に禁止していた。林官房長官は閣議後の記者会見で、「我が国にとって重要な輸出品目である水産物の中国向け輸出が再開されることは、大きな節目だ」と歓迎した。

 ただ、処理水放出の前から中国が輸入を禁止してきた太平洋沿岸などの10都県の農林水産物は今回の措置の対象外で、林氏は「引き続き規制撤廃を中国側に求めていく」と強調した。

 輸出再開の手続きは、28日に北京で開かれた日中両政府の局長級協議で合意した。具体的には、処理水放出以前に輸出を認められていた日本の製造・加工施設の再登録作業を今後進めるとともに、初回の輸出再開時に安全性を確認するため、放射性物質「トリチウム」の検査証明書の提出などが新たに求められることになった。

 中国政府は処理水を「核汚染水」などと呼んで海洋放出に激しく反発したが、23年11月の日中首脳会談で、対話を通じた問題解決を目指す方針で一致。24年9月には、原発周辺の海水などのモニタリング(監視)を拡充した上で水産物輸入を再開することで両国が合意した。

 国際原子力機関(IAEA)の立ち会いの下で中国側が海水などの試料採取や分析を進め、安全性に問題がないことを繰り返し確認してきた。

 かつて中国に輸出していた食用水産品は、ホタテやナマコが主力だった。小泉農相は記者会見で、「ナマコなどは中華系市場の需要が高い。迅速かつ円滑な輸出の再開に向けて、官民一体となって取り組みたい」と語った。

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No.1592 ★★ マツダの中国合弁が「スケボー型シャシー」採用へ 電池大手のCATLと提携、外資系メーカーでは初

2025年05月31日 | 日記
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東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)
2025年5月29日 



長安マツダは外資系合弁メーカーとして初めてCATLのスケボー型シャシーを採用する。写真は両社の提携覚書の調印式(CATLのウェブサイトより)

日本のマツダと中国の長安汽車の合弁自動車メーカーである長安マツダは、中国の車載電池最大手のCATL(寧徳時代新能源科技)が開発した「スケートボード型シャシー」を次期新型車のプラットフォーム(車台)に採用する。

CATLが5月13日、同社のスケボー型シャシーをベースにした新型EV(電気自動車)の共同開発について、長安マツダと提携の覚書に調印したと発表した。
スケボー型シャシーとは、クルマの車体を上下に分割し、下側のシャシーを標準化して電池や駆動システムなどの機能を集約したものだ。EV用の車載電池は薄く平らな形に成形できるため、スケボー型シャシーとの相性がよいとされる。

電池とシャシーを一体設計

CATLはスケボー型シャシーを戦略的な新規事業に位置付け、数年前から開発と売り込みに注力してきた。スケボー型シャシーのメリットの1つは、車載電池とシャシーを一体的に設計することで、電池の積載効率を高めてEVの航続距離を伸ばせることだ。

電池をシャシーに直接組み込む手法は、自動車メーカーのEV開発における新たなトレンドになっており、アメリカのテスラや中国のBYD(比亜迪)などが実用化を進めている。

CATLによれば、スケボー型シャシーには他にもさまざまなメリットがある。自動車メーカーはプラットフォームの開発コストを大幅に節約できるうえ、スケボー型シャシーの上に(セダンやSUVなど)異なるボディを載せることで、さまざまなデザインのクルマを短期間で開発できるという。

だが今のところ、スケボー型シャシーの自動車メーカーへの売り込みはCATLの期待通りには進んでいない。財新記者の取材に応じたある自動車メーカーの技術責任者は、その理由を次のように説明した。

「自動車メーカーの社内では、プラットフォームはクルマの(基本性能を決定づける)『魂』であるという考え方が根強い。それゆえ、開発の主導権を他社に握られることを望まない」



マツダは中国企業のEV技術を積極的に導入している。写真は長安汽車のプラットフォームをベースに開発した「EZ-6」(右)と2025年8月に発売予定の「EZ-60」(長安マツダのウェブサイトより)

これまでにCATLのスケボー型シャシーの採用を表明した自動車メーカーは、いずれもCATLの資本提携先だ。例えば、その1社である長安汽車傘下の新興EVメーカー「阿維塔科技(アバター・テクノロジー)」に対して、CATLは約9%を出資している。

次期新型車の開発コスト圧縮

今回の長安マツダとの提携は、CATLにとってスケボー型シャシーに関する外資系合弁メーカーとの初の協業プロジェクトとなる。両社の間に資本関係がないことも、ひとつの進展と言えそうだ。

長安マツダがスケボー型シャシーの採用に踏み切った裏には、中国市場におけるマツダ車の販売低迷がある。長安マツダの2024年の販売台数は7万5600台にとどまり、前年比14.2%減少。2025年に入ってからも、1月から4月までの累計で2万4000台と前年同期比5%のマイナス成長が続く。

そんななか、マツダは中国市場の急速なEVシフトに対応するため、中国企業が持つ技術リソースを積極導入する戦略に転じた。例えば、長安マツダが2024年10月に発売した新型EV「EZ-6」は、合弁パートナーである長安汽車のプラットフォームをベースに開発された。

長安マツダにとって、業績不振による開発予算不足は大きな課題だ。そこでCATLのスケボー型シャシーを活用し、次期新型車の開発コストの大幅な圧縮を目指しているとみられる。

(財新記者:安麗敏)
 ※原文は5月13日に配信

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