1995年に連載が始まった漫画『頭文字D』が根強い人気を誇っている。ドリフトが速いのか、という問題はとりあえず置いといて、ともかく十七年間も連載が続けられていることは本当にすごいことだと思う。僕は『頭文字D』はそれほど熱心に読んだことはないのだが、同じしげの秀一氏の作品である『バリバリ伝説』はよく読んでいた。主人公の巨摩郡の誕生日はたしか3月9日だったと記憶しているのだが、実は僕も同じ3月9日生まれ。このため、僕は同級生達に「3月9日生まれは速いんだよ!」と意味不明な自慢をよくしていた。
主人公が乗るAE86レビン/トレノの人気が再点火したのはこの『頭文字D』がきっかけだった。僕も一時期86トレノに乗っていた時期があったが、正直言ってそこまで名車か?と思うような人気ぶりが現在も続いている。トヨタの新しいスポーツカーはこの人気ぶりにあやかって『86』という名前になった。こう言ってはなんだが、あまりカッコよくない名前である。トヨタもえげつないことをするなぁ、という感じだ。
86の4A-GEエンジンにターボを載せるチューニングが流行したのもこの漫画の影響だろう。僕がクルマの仕事をしていた頃は「AE92レビン/トレノの4A-GZEエンジンを探しているんですけど」などと言ってくる客が時々現れた。92の4A-GZEエンジンはスーパーチャージャー付きのために86の4A-GEよりも腰下が強化されている。このためにターボ化を考える86乗りが4A-GZEのエンジンを欲しがるのである。当時は僕も鼻っ柱が強かったから、「ないよ、そんなもん」と横柄な態度を取っていた。忙しかったから相手にしている暇が無かったということもあるのだが、今思うと無礼極まりない。深く謝罪したいと思う。
『頭文字D』にはこれ以外にも様々なクルマが登場してくる。例えばGT-RやRX-7、ランエボ、インプレッサ、MR2、シルビア、シビックなどがそうだが、これらのクルマはどれもこれもみな86より新しいものばかりである。しかしよく考えると、この86と同時代にはまだまだ他にも面白いクルマがたくさんあったと思う。しげの秀一氏は何かしらの意図があってそれらのクルマを登場させないのかもしれないが、86好きのごく普通の方はもう少し他のクルマにも視点を向けたほうがいいのではないだろうか。僕にはあのぼったくりのような中古車価格の86を買うことなど考えられないことである。
例えば同じトヨタならTA63型のコロナ、カリーナ、セリカはどうだろう。エンジンは3T-GTEと呼ばれる1.8リッターのツインカムターボで、2T-Gと同じくツインカムの2バルブでツインプラグが特徴のエンジンだった。このエンジンはこの時代のトヨタツインカムの例に洩れずヤマハがチューンしたもので、しかもトヨタのモータースポーツを支えてきたエンジンでもある。正確には3T-GTEのボアアップ版である4T-GTというエンジンなのだが、この4T-GTエンジンを搭載したTA64セリカはサファリラリーで優勝するなど当時のWRCで活躍しているし、グループCカーにも搭載されて耐久レースでも活躍している。
モータースポーツでの活躍を思うと、市販車用の3T-GTEエンジンははっきり言って物足りない性能のエンジンである。ツインカムターボというわりにはそれほどパワーがあるわけでもないし、刺激的でもない。しかし剛性感のあるその回転フィールはやはり並のエンジンではないことを思い知らされ、なんだか「いじって乗ってね!」と言われているような気分になってくる。僕はこの3T-GTEエンジンが今でも大好きである。
僕が選ぶならTA63後期型のカリーナセダンだ。デカいターボチャージャーにして車高を落とし、ロールゲージを入れてボディ剛性をアップさせる。外観は一切いじらない。一見ボロいセダンと見せかけて、実は猛烈に速い、という仕様にするのである。こんなクルマでコテコテにいじったシルビアあたりをぶっちぎったらさぞかし痛快だろう。ちなみにこの63にはAA63という4A-GEエンジン搭載のグレードも存在していたが、こいつはやめたほうがいい。86より大きく重いボディのためにまったく走らない。86以外でどうしても4A-GEエンジンのクルマが欲しいという人にはAW11のMR2がいいのではないだろうか。カッコ悪いけど・・・
同じセダンでA175A型ランサーターボ、という手もある。このランサーはシンプルなデザインで今見ても十分かっこいい。たしか外国人デザイナーによるデザインだったと思う。エンジンはG62Bと呼ばれる1.8リッターのSOHCターボで、後期型には巨大なインタークーラーがバンパー内部に鎮座している。選ぶなら後期型だろう。インタークーラーが付いているし、デカいフロントバンパーやダックテールのリアスポイラーもなかなか決まっている。このランサーもカリーナセダンのようないじりかたがいいと思う。今の人はランサーと言えばランエボだろうが、僕はこのランタボのほうがいい。ランタボでランエボをぶち抜いたら、これまた痛快だろう。
この他にもKP61型スターレットはどうか。さすがに古いが、足回り部品は86の部品がけっこう流用できたような記憶がある。エンジン、ミッションもいっそのこと86用の4A-GEとT50に載せ替えてしまえばいい。86よりもボディが小ぶりなぶん、より楽しめるだろう。
FRのクルマだけでも少し考えただけでこれだけ出てくる。さらにFF車や4WDのクルマまで候補に入れると、例えばFFならばEP71以降のスターレットやAE92以降のレビン/トレノ、カローラFX、4WDならブルーバードSSS-RやパルサーGTi-Rなどなど、考えだしたらそれこそキリがない。ぼったくりのような価格の86に高いお金を払うより、こういったクルマを買って浮いたお金でいじるほうがよっぽど楽しいのではないかと思うのだが。
主人公が乗るAE86レビン/トレノの人気が再点火したのはこの『頭文字D』がきっかけだった。僕も一時期86トレノに乗っていた時期があったが、正直言ってそこまで名車か?と思うような人気ぶりが現在も続いている。トヨタの新しいスポーツカーはこの人気ぶりにあやかって『86』という名前になった。こう言ってはなんだが、あまりカッコよくない名前である。トヨタもえげつないことをするなぁ、という感じだ。
86の4A-GEエンジンにターボを載せるチューニングが流行したのもこの漫画の影響だろう。僕がクルマの仕事をしていた頃は「AE92レビン/トレノの4A-GZEエンジンを探しているんですけど」などと言ってくる客が時々現れた。92の4A-GZEエンジンはスーパーチャージャー付きのために86の4A-GEよりも腰下が強化されている。このためにターボ化を考える86乗りが4A-GZEのエンジンを欲しがるのである。当時は僕も鼻っ柱が強かったから、「ないよ、そんなもん」と横柄な態度を取っていた。忙しかったから相手にしている暇が無かったということもあるのだが、今思うと無礼極まりない。深く謝罪したいと思う。
『頭文字D』にはこれ以外にも様々なクルマが登場してくる。例えばGT-RやRX-7、ランエボ、インプレッサ、MR2、シルビア、シビックなどがそうだが、これらのクルマはどれもこれもみな86より新しいものばかりである。しかしよく考えると、この86と同時代にはまだまだ他にも面白いクルマがたくさんあったと思う。しげの秀一氏は何かしらの意図があってそれらのクルマを登場させないのかもしれないが、86好きのごく普通の方はもう少し他のクルマにも視点を向けたほうがいいのではないだろうか。僕にはあのぼったくりのような中古車価格の86を買うことなど考えられないことである。
例えば同じトヨタならTA63型のコロナ、カリーナ、セリカはどうだろう。エンジンは3T-GTEと呼ばれる1.8リッターのツインカムターボで、2T-Gと同じくツインカムの2バルブでツインプラグが特徴のエンジンだった。このエンジンはこの時代のトヨタツインカムの例に洩れずヤマハがチューンしたもので、しかもトヨタのモータースポーツを支えてきたエンジンでもある。正確には3T-GTEのボアアップ版である4T-GTというエンジンなのだが、この4T-GTエンジンを搭載したTA64セリカはサファリラリーで優勝するなど当時のWRCで活躍しているし、グループCカーにも搭載されて耐久レースでも活躍している。
モータースポーツでの活躍を思うと、市販車用の3T-GTEエンジンははっきり言って物足りない性能のエンジンである。ツインカムターボというわりにはそれほどパワーがあるわけでもないし、刺激的でもない。しかし剛性感のあるその回転フィールはやはり並のエンジンではないことを思い知らされ、なんだか「いじって乗ってね!」と言われているような気分になってくる。僕はこの3T-GTEエンジンが今でも大好きである。
僕が選ぶならTA63後期型のカリーナセダンだ。デカいターボチャージャーにして車高を落とし、ロールゲージを入れてボディ剛性をアップさせる。外観は一切いじらない。一見ボロいセダンと見せかけて、実は猛烈に速い、という仕様にするのである。こんなクルマでコテコテにいじったシルビアあたりをぶっちぎったらさぞかし痛快だろう。ちなみにこの63にはAA63という4A-GEエンジン搭載のグレードも存在していたが、こいつはやめたほうがいい。86より大きく重いボディのためにまったく走らない。86以外でどうしても4A-GEエンジンのクルマが欲しいという人にはAW11のMR2がいいのではないだろうか。カッコ悪いけど・・・
同じセダンでA175A型ランサーターボ、という手もある。このランサーはシンプルなデザインで今見ても十分かっこいい。たしか外国人デザイナーによるデザインだったと思う。エンジンはG62Bと呼ばれる1.8リッターのSOHCターボで、後期型には巨大なインタークーラーがバンパー内部に鎮座している。選ぶなら後期型だろう。インタークーラーが付いているし、デカいフロントバンパーやダックテールのリアスポイラーもなかなか決まっている。このランサーもカリーナセダンのようないじりかたがいいと思う。今の人はランサーと言えばランエボだろうが、僕はこのランタボのほうがいい。ランタボでランエボをぶち抜いたら、これまた痛快だろう。
この他にもKP61型スターレットはどうか。さすがに古いが、足回り部品は86の部品がけっこう流用できたような記憶がある。エンジン、ミッションもいっそのこと86用の4A-GEとT50に載せ替えてしまえばいい。86よりもボディが小ぶりなぶん、より楽しめるだろう。
FRのクルマだけでも少し考えただけでこれだけ出てくる。さらにFF車や4WDのクルマまで候補に入れると、例えばFFならばEP71以降のスターレットやAE92以降のレビン/トレノ、カローラFX、4WDならブルーバードSSS-RやパルサーGTi-Rなどなど、考えだしたらそれこそキリがない。ぼったくりのような価格の86に高いお金を払うより、こういったクルマを買って浮いたお金でいじるほうがよっぽど楽しいのではないかと思うのだが。