ケアトリハ

介護とリハビリの仕事をしている方、目指している方、介護やリハビリってどんな世界なの、という方に読んでいただきたいです。

本を読むことは健康のもと

2020年02月28日 | 健康管理
「読書が頭や体に良い」というのは、もはや疑うことではありません。
理学療法士として健康寿命の延伸のために、時々地域のご高齢の皆さんへお話させていただく際、新聞や読書をなさっているかお尋ねすると、現在のご高齢の皆さんのほとんどが毎日たくさんの本を読まれていることに驚きます。 
恥ずかしながら、私は高校生の頃まで本を読むのが苦手でした。 正直なところ、今でも読むのは苦手かもしれません(^-^; けれど、読むこと自体の楽しさを覚えましたので、ここ何年も図書館へ通ったり、本屋で本を買ったりと、読書の習慣を維持しています。 もちろん、理学療法士として専門の論文なども読むようにしています。

読書が健康によい、という内容はテレビでも放送されていました。
2018年11月に、NHKで「AIひろし」が導き出した提言「運動よりも食事よりも、読書が健康に大切」という内容を、放送していました。 その内容はホームページでこちらからご覧になれます。

ただ、この「AIひろし」のもととなったNHK職員が2019年に、逮捕されてしまったそうですね。 ですからAIひろしの話題はこの辺にしておいて…、他の研究などにも「健康に対する読書の利点」がないか調べてみました。

2016年にアメリカのイェール大学のバビッシ博士が発表した調査では、50歳以上の方3,635人を対象として、読書する群と読書しない群に分けて生存率を報告しました。



その結果、読書する群は、読書しない群よりも約2年間長生きできたそうです。 また、週3.5時間以上本を読む人は、そこまで本を読まない人に比べて、12年後の死亡率が23%低いということも分かりました。
正直なところ、「約2年間長生きできた」とか「12年後の死亡率が23%低い」と言われても、ピンときませんね(^-^; ただ、こういった調査も、良い点を教訓といいますか、糧としてご自分の生活に反映させていければいいでしょうね。

国内での調査報告では、2013年に小長谷先生が行った調査がありました。
愛知県にすむ65歳以上の住民アンケートで回収できた2,972人を調査対象として、社会活動や友人・家族との付き合いなどの社会ネットワークなどと、認知機能との関連性を調べた結果、本を読んだり趣味がある、という項目において、認知機能が低下した群よりも、認知機能が正常であった群の方の実施率が高かったそうです。 つまり、楽しみを見出して、興味を持続させることが、認知機能を保持する役割がある、とのことでした。

「本(文章)を読む」と「趣味を持つ」とは、まさにブログを読んだり書いたりしている皆さんに当てはまりますね^-^

私も、皆さんに楽しんで読んでいただけるようなブログを書き続け、楽しんでいただく努力を継続すると同時に、私自身も認知機能を保持していきたいと思います^-^

オムツ交換、早ければいいの?

2020年02月28日 | 介護
介護の現場で時々、こんな声が聞こえることがあります。
「私、10人くらいなら30分あればオムツ交換なんて、終わらせられるわよ」と、同僚や後輩の介護職員に対して利用者さんのオムツ交換を素早く終わらせられることを自慢している職員さんがいます。

この職員さんは、「早く終わらせられる私は、介護のプロなのよ!」と同僚や後輩から尊敬の目で見てもらいたい、という医療従事者症候群(この場合は、介護従事者症候群ですね)になってるのかも知れないですね。

利用者さんや患者さんのオムツを全介助で交換する場合、関節の動きが制限されてしまっている拘縮(こうしゅく)や、大柄な体格の方の場合は体の向きを変えることも難しく、個々でかかってしまう時間が変わってきます。 ですから、介護の仕事の力量を時間で判断すること自体がおかしな話です。

「10人を30分で終わらせられる」とおっしゃるその介護職員さんは、お一人3分程度でどうやってオムツ交換をしているのでしょうね?

一般的にオムツ交換を行う場合、まず利用者さんに挨拶してオムツを換えることをお断りして、布団を丁寧にめくり下の衣類を丁寧に下げ、回収するオムツを開き、陰部をほどよい温水で丁寧に洗ったり専用のシートで拭いたりして陰部を清潔にし、丁寧に体位交換をして新しいオムツに交換し、オムツの太もも部分から漏れないようにオムツのギャザーをしっかり張り、下の衣類を上げて肌着の背中側もきちんと伸ばしてズボンなどにおさめ、布団を丁寧にかけ直して交換が終わったことをお伝えして、挨拶して退室する…という行程には、時間ではかることができませんが少なくとも3分ではできないと思います。



それを3分で済まそうとすれば、あれこれを省けばできるのと思います。 例えば、挨拶も声掛けもせずに布団をバッとめくったり、乱暴に体の向きを変えてオムツを交換したり、不衛生で不十分な洗浄であるとのちにかぶれたり感染症を起こす可能性も考えずに適当に陰部を洗っていれば、お一人3分でできるかも知れませんですね。

もちろん、早いことがダメで遅いことがよいといってる訳ではありません。 大切なのは、個々に応じて対応できているか、そのためには時に時間もかかってしまう、ということだと思います。

早いことだけ要求する先輩や同僚にいじめられている方は、どうぞこのブログ記事をお伝えしてあげてください^-^ 「ご利用者様第一主義」「患者様第一主義」とうたっている施設はたくさんあります。 こういう姿勢こそ、第一主義のあらわれだと思います^-^

元気な骨を維持しましょう

2020年02月27日 | 健康管理
前回に引き続き、骨折とその予防についてのお話です。

骨は、成長と破壊を繰り返して、常に新しい状態を保とうとしています。 この状態は、ご高齢の方であっても同じです。
骨の成長には「骨芽細胞」という、これから骨に生まれ変わる赤ちゃん細胞が、徐々に増えて骨を丈夫にしていきます。
一方、「破骨細胞」という細胞は、骨の古くなった部分を破壊して、骨芽細胞の受け入れる場所を作ります。
これら骨芽細胞と破骨細胞の働きは、ちょうどよいバランスを保ちながら、常に骨を新しい状態にしてくれています。

人は立ったり歩いたり、活動する際、常に体重を支えています。 歩く時に地面に足を着くと、その衝撃を足の骨が支えます。 この「衝撃を受ける」という刺激が、骨芽細胞の働きを活性化することになります。 運動が体に良い、歩くことは健康の源である、というのは、こういった体の働きから言われていることですね。

そのため、高齢になり体を動かす機会が減ることで、骨芽細胞の働きが破骨細胞の働きに追い付かなくなり、骨粗鬆症が進行していくことになります。 驚くべきは、現役でバリバリと活躍している自転車選手も、地面に足を着いて運動する、という活動が少ないので、骨粗鬆症になっている人がいた、という事実もあるほどです。



そこで、骨に衝撃を与えることが骨粗鬆症を予防することになるのか、ということを確認するために、アメリカのパメラ・ヒントン博士が調査しました。 骨粗鬆症予備群の男性38名(20~50歳)に対して、週に3回、30分間、ジャンプ運動と筋トレを行い、骨に刺激を与えるという介入を1年間実施しました。
その結果、ほとんどの方の骨量が上昇した、というものでした。 一昨年(2018年)、NHKスペシャルでその様子を紹介していました。 自転車選手の骨粗鬆所に関しても、ここからご覧いただけます。 学生さんや理学療法士さんで原著が読みたい方は、ここからどうぞ。

もちろん、足の関節に痛みや障がいのある方は、これを続けることで別の問題が生じる可能性がありますので、そのまま実施なさらないでくださいね。 ただし、痛みがある方であっても、痛みのない範囲でのウォーキングなど、できることがあると思います。 強い衝撃でなくても、ご自分の足で歩く、エレベーターで移動していた習慣を、1階分だけでも階段に変えるなど、無理のない範囲で骨に衝撃を与えてあげるとよいと思います。

健康維持・改善のために、皆さんにできることをコツコツ(骨骨)続けていきましょうね^-^

転んでも骨折しないためには?

2020年02月26日 | リハビリ・医療
厚生労働省の「平成28年 国民生活基本調査」によると、「転倒・骨折」は、主な原因の第4位になります(厚労省の報告書類に飛びます)。



若い頃はおもいっきり転んでも手足を擦りむいた程度で済んでいたのですが、歳を重ねるとおもいっきり転ぶ…なんてことを想像するだけでも恐ろしいものですね。
高齢者に多い骨折は、足の付け根(大腿骨頸部骨折)、手首付近(橈骨遠位端骨折)、背骨(脊椎圧迫骨折)といわれています。 いずれも転倒がきつかけになるいずれも転倒がきつかけになることが多いです。

ところで、転倒しても必ず骨折する訳ではなく、高齢者であっても頻繁に転んでいるのに骨折されない方もいらっしゃいます。 転ぶのが上手な方もいらっしゃるのでしょうか^-^? 
私の祖母のスーザンは、大腿骨頸部骨折を受傷してから、ほとんど寝たきり状態になり、その後数年は自宅で介護していましたが、2016年に亡くなりました。 寝たきり状態になったきっかけが転倒による骨折でしたが、それ以前もよく転んでいました。 けれどその頃は、骨折することなく、下手をすると転んだことすら隠していたと思いますので、私達家族が分かっている回数以上に転倒していたかも知れません(^-^; 
そのスーザンが骨折を伴わずに転んでいた時、まるで転がるように静かに転んでいました。 そばで見ていて「うまい転び方だなぁ…」と思っていました。

お若い頃に柔道などの武道を行っていた高齢者は、きっと転ぶのが上手なのかなぁ…? と素朴な疑問を持っていました。
なので、先ほどインターネットで調べてみました。 転倒による骨折を予防するのに、「転ぶ練習」をすることがあるのか? あるとしたら、どんな風にやってるのか? 

ありました^-^
ブレンダ・グローウェンという女性の博士が2007年や2009年にかけて報告していました(学生さんや理学療法士さんなど、興味がありましたら論文をご覧ください)。

簡単にお伝えしますと、柔道などで行う受け身の練習を高齢者に行っていただき、その前後で、わざと転んだ際に太ももの横にある大腿骨大転子という部位(転倒の際、ここが床にぶつかり衝撃を受けます)にかかる衝撃度を調査しました。
受け身の練習を行った前に比べ、後の方が衝撃が減少していた、というのがグローウェン博士の報告でした。 まだ詳細なところまで読めておりませんが、面白そうなのでじっくり読んでみたいと思います。 苦手な英語の論文ですが…(^-^;

転倒・骨折は、予防さえできれば要介護状態を回避できると思われます。 ぜひぜひ、転ばない機能や能力を維持しましょう。 せめて、転んでも骨折しない、ただでは起きないような状態にもなっておきましょう^-^

「立ち上がりテスト」に引き続き、「2ステップテスト」をご紹介します

2020年02月24日 | リハビリ・医療
前回、「30cmや40cmの台から立ち上がれるか」というお話をお伝えしました。
これは、日本整形外科学会が提唱しています、「ロコモティブシンドローム」のパンフレットに掲載されているテストのひとつでした。
年代相応の移動能力を維持できていますか? というお体の状態を2つのテストで評価していただくものです。 その一つが「立ち上がりテスト」でした。

今回は、もう一つのテストである「2ステップテスト」をご紹介します。
このテストは、「気をつけ」の姿勢から、大股で2歩、前方へ移動します。 2歩目に出した足の位置で両足をそろえてバランスを保ち、気をつけの姿勢で終わります。
その際の、スタート位置のつま先から、2歩目で足をそろえた時のつま先の位置までの距離を測定します。
その距離をご自身の身長(cm)で割ります。 つまり「2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値」となります。



例えば、身長が150cmの方で、1歩が100cmで、2歩で200cmだとしますと、200cm÷150cm=1.33となります。 ロコモチャレンジの研究調査によると、70~79歳の方であれば、男性1.42以上、女性1.36以上あると、年代相応の歩幅を維持できている、と報告しています。

このテストをなさる場合は、介助者の方がいる環境で、滑りにくい床の上で、準備運動をしっかり行って実施していただく必要があります。 くれぐれもご無理のないように実施してみてください。

2ステップテストは、大きく1歩を踏み出す時に、両足それぞれに筋力やバランス能力がないと、大きな歩幅が得られません。 この機能や能力も、ぜひぜひ維持していただきたいものです。

私のブログをご覧になってくださる皆さんは、おそらくご自身の健康にも、たいへん関心の高い方だと思います。 私は理学療法士ですので、皆さんのような健康のために努力なさっている方達のために、少しでもお役に立てられるような情報をお送りしていきます^-^

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。