ケアトリハ

介護とリハビリの仕事をしている方、目指している方、介護やリハビリってどんな世界なの、という方に読んでいただきたいです。

本来の介護老人保健施設の役割

2020年02月18日 | 高齢者施設
病院は退院できるのですが、引き続き介護が必要な状態になりますと、介護老人保健施設という、病院と自宅の中間にあたる施設で、もうしばらくの間、リハビリを受けて生活動作のさらなる回復を目指して入所することがあります。

自宅に帰って、身の回りの動作を安全に行うためには、ベッドからの起き上がりや立ち上がり、時には車椅子などへの乗り移り動作(これを「移乗動作」といいます)を自立して行えるようになる必要があります。

そのため、介護老人保健施設ではリハビリも行いますが、生活の中にも運動の機会を組み込むために、介護士さん達とも協力して、積極的に利用者さんの動作の自立を目指します。

と、これが本来の介護老人保健施設の役割なのですが、実際にはそんな対応をしていない施設もあります。
利用者さんの動作能力のうち、どうしても足りない部分(例えば筋力など)を介助することで自立に近づけるのが本来のところ、「動作を待っていたら間に合わないから」という理由で介護士さんが全部手伝ってしまう、いわゆる「全介助」をしてしまう職員さんもいます。
その職員さんの気持ちも分かります。 「18:00の夕食の時間までに全員食堂にお連れしないと、食事介助が間に合わないし…、休憩に入る職員さんが入れないと俺が怒られるし…、俺だって休憩に入りたいし…」なんて気持ちで、全介助で進めた方があれこれと早く済みますからね。



でもそうすると、本来の介護老人保健施設の役割とは程遠くなってしまいます。


正直、私も20年くらい前、介護士として働いていた時は、こんな風に弱音を吐いていました。
でも、理学療法士になって、やっぱり介護老人保健施設で働く以上、その役割を果たさなくちゃいけないと思うようになりました。

そこで介護老人保健施設で勤務する介護士さん達に提案です。
どうしてもマンパワーの足りないことが、ついつい過介助になってしまいます。 そこで、早番や遅番、夜勤と入れ替わるような「デイタイム(10:00~16:00頃)」以外の時間は職員が少ないため、多少なりとも介助が多くなってしまっても目をつぶり、職員が多くいるデイタイムは、利用者さんの個々に合わせた、適切な介助量で対応する、というのはいかがでしょうか? もちろん、この動きを取るためには、全職員の理解と協力がないとできませんですが、これならばご利用者さんの身体活動の機会を、今まで以上に作ることができますよね。

少しでも入所されているご利用者さんの運動の機会を、過介助によって妨げないよう、できることから始めていくと、本来の施設の役割が担えるようになると思います。