ケアトリハ

介護とリハビリの仕事をしている方、目指している方、介護やリハビリってどんな世界なの、という方に読んでいただきたいです。

●● ここではない どこかへ ●●

2017年10月30日 | 介護
介護の仕事をしている時、初めて認知症の方の対応をさせていただく経験をしました。
私達が想像もしない行動をとられたり、なぜそんな行動をとられるのか分かりませんでした。
もちろん今でも分からないことがたくさんあります。

でもある時、認知症で徘徊を繰り返すご利用者さんに対して「どこにいくのですか?」と尋ねた後で気が付いたことがありました。
「あぁ…、もしかしたら『ここ』が楽しくないから…、落ち着かないから…ここではないどこかに行きたいのかなぁ…?」と。

ご自宅にいても「家に帰る」と外へ出て行ってしまう方もいらっしゃいますが、それはもしかして、その方の「家」とは、子どもの頃に過ごされた田舎とか、思い出深い土地なのかもしれませんね。

自宅に帰れず、長い間施設で生活しなければならないご利用者さんがいらっしゃるのであれば、ぜひその施設をご自宅と同じくらいくつろいで過ごしていただける環境を、スタッフ皆さんで作っていけるといいですね。



●● 吸入器?美顔器? ●●

2017年10月26日 | リハビリ・医療
認知症のおじいさんの、とっても可愛らしいお話をひとつ。

その場のお話は可能ですが、難しいことはニコニコ笑いながらそれとなく話を終わらせるところや、昨日どころかさっきのことすらあっという間に忘れてしまうくらいの、すばらしい忘却力の持ち主のKさん。

リハビリが始まるため、5分くらい早めに訪室しお迎えに上がりました。

すると、呼吸器疾患があるため、居室でまだ吸入器を使用していらっしゃるところでした。
吸入器とは、薬のとかしてある水蒸気を、空気と一緒に薬を吸い込むための機械です。

よく見るとKさんは、水蒸気の出る部分を口ではなく、顔に散布するようにこまめに顔を保湿されていました!!

「Kさん…、これは口にあてて空気を静かにすったり吐いたりする機械ですよ」とお伝えすると、「あはは、そうか…」と理解してくださったのか否かは不明ですが、口に当て直してくださいました。

こんな感じです…^-^;




すっかり保湿できた可愛らしいお顔のスキンケアで、リハビリ前にすっきりできたようですよ^-^

●● 究極の指導者 ●●

2017年10月23日 | 介護
私が介護士をしていた頃、とっても仲良くしてもらっていたKさんという女性の利用者さんがいました。とてもユニークで冗談をおっしゃり笑い上戸な方で、時々下ネタもご披露なさる方でした^-^;
ある時、大学で介護を学んでいる実習生がやってきました。 髪の毛も茶色くて、誰が見ても「介護に興味はない」というのがドーンと伝わってくるような男の子でした。 やる気もなさそうでしたし、何よりも高齢者に興味がない、という印象でした。 とりあえず大学で介護を学んで手に職をつけておけ、と親に言われたまま過ごしてきたのかなぁ…という感じでしょうか^-^;?

対応に困っていましたが、ふっとKさんを思い出し、Kさんに彼を紹介しました。
   私「Kさん、彼は実習生の〇〇君です。 実は彼…、好きな子がいる
     そうなんですが、どうやって声をかけていいか分からないそうで
     す。 人生の先輩として相談に乗ってあげてもらえませんか?」
 実習生「(えっ!? 俺、そんなこと言ってないっすよ)」
 Kさん「いいよ、ほら、座んなさい」

こんな感じでKさんが相手をしてくれていました。
実習生の彼は、そんな相談もないのですが、とりあえず私の話に少し乗ってくれ、またKさんもいろいろと尋ねながらアドバイスをしてくれていました。
そんなアドバイスの一場面が今日のイラストです。


好きな子にどう接していいか、という相談にKさんは、「ブチュッといけば いいんだよ!」と恐ろしいアドバイスをしていました^-^;
彼は爆笑していましたが、そのあとは机に身を乗り出して、Kさんの話をあれこれ興味深そうに聞いていました^-^

いくら何でもブチュッといけばいいかどうかは別として、さすがはKさん、一気に彼のやる気スイッチを押してくださいました。 私達スタッフではそのスイッチを押せませんでした。

彼にとっても、よい実習になったのではないかなぁ…と思いました(思うことにしました^-^;)。

Kさんは、彼にとって究極の指導者だったように思います*^-^*