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アコードHVとスカイラインHV(未発売)~ハイブリッド新時代 その3

2013-10-25 | 全メーカー
  
(その1) (その2) の続きです。

アトキンソンサイクルエンジンをジェネレーター(発電機)にして、高い熱効率で発電し、EVモードを駆動の中核に据えてというホンダの「模範的」なハイブリッドシステムは、新たなるサイクルの始まりと言ってもよい「事件」として、自動者の歴史に刻まれるでしょう。しかしこのシステムが今後どれだけ普及するかというと全く不透明です。トヨタのカムリ型ハイブリッドもクラウンやレクサスISに続き、レクサスGSにも搭載されることになりましたが、一般にその性能の長短など認識されてはいません。

  ホンダもトヨタも高級車・上級モデルに載せる為のハイブリッドユニットを、「確信犯」的に燃費性能に特化したものとして仕上げました。ハイブリッドも通常のガソリンエンジンと同じで、乗り心地・走行性能と燃費性能がトレードオフの関係になっているのですが、カムリとアコードのハイブリッドは意図的に「燃費」へ振っています。トヨタやホンダの考えでは、セダンは「趣味のクルマ」などではなく「社会インフラ」に位置づけられているわけです。

  一方では、セダンは「趣味のクルマ」とするメーカーもたくさんあります。その代表格がBMWと日産ではないかと思います。この両者はハイブリッドの設定を比較的高級なモデルのみに限定しています。廉価車種はガソリンターボで、上級車種はハイブリッドとディーゼルを積極的にチョイスする方針が伺えます。BMWのハイブリッドはかつてGMが開発した「マイルド・ハイブリッド」と呼ばれる簡易型で、燃費向上への効果が薄くてGMではすでに全面的に撤廃されています。当初からBMWはこの技術の本質を見抜いていたようで、燃費を多少改善しつつ「電気式ターボ」としてしか実効性がないことを承知のうえ、ハイブリッドの「アリバエ」作りのために今もラインナップされたままになっています。535iとアクティブハイブリッド5のカタログ燃費の格差は笑ってしまうほどわずかで「コンマ」の次元です。

  日産は周知の通り当初からEV開発に軸足を置いていて、高性能モーターの開発に力を入れていました。その副産物と言えるのが、フーガ・ハイブリッドで、3.5Lの日産自慢のヘビーなエンジンに高性能モーターを組み合わせ、スポーツカー並みのシステム出力とともに、FRハイブリッド市販モデルの最速記録を叩き出したフーガは、同じく高出力に振ったハイブリッドシステムと搭載しているレクサスGS450hにとって脅威の存在となりました。

  このフーガの登場により高級車向けハイブリッドが欧州車にも次々に採用されるようになり、ハイブリッド技術の裾野は確実に広がりました。新たなる付加価値を求めていた超高級車市場にとって、最良のオプションの一つとして市民権を得るようになりました。フーガのシステムが「ハイブリッド=プリウス」という先入観を見事に打ち壊したわけです。    (次回に続く)


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