あっぱれ日本車 / されど日本車

世界に誇る日本のクルマの素晴らしさを感じて欲しーな

アクセラHV という浅はかなコンセプトは本当にプリウスを超えるのか?

2014-03-13 | マツダ
 マツダにHV技術を提供したのはトヨタですが、それを駆使して商品力を飛躍的に高めたアクセラのパッケージングの前にトヨタ車のシェアが奪われてしまう事態が現実になりそうです。日本の標準車は今や完全にBセグと軽自動車になっていますが、その中で「ちょっと余分」を取り入れたCセグのシェアを自慢の「THS」の誇る強烈な燃費で上手く掬い上げてきたプリウスですが、いよいよその売れ行きはやや雲行きが怪しくなってきています。

  まだまだ3代目(現行)プリウスの売り上げが十分なので、4代目の発表を意図的に後ろ倒しにしているようですが、トヨタが本気になったときにその「封印」が解き放たれることになりそうです。当初はこの「トヨタ・スイッチ」を押すのはゴルフやAクラスなどの輸入車だと思われていましたが、輸入車HBはどうやら予想の範囲内の反響に留まった限定的なもののようです。VWは「プリウスからの乗り換えを多く獲得!」と得意のステルスマーケティングを展開していますが、トヨタにとっては痛くも痒くもないまだまだ余裕の状況です。2013年の年明けからプレミアムCセグで盛大に「空騒ぎ」をしたカーメディアはいったい何だったのでしょうか・・・。

  その一方でトヨタのハイブリッドのラインナップ拡張で、プリウスの存在意義も薄れるかと思われました。しかしプリウスのユニットを移植しているのはトヨタ陣営ではレクサスCTのみであり、カローラやアクアとは差別化された上級HVモデル(THS)に加えて、極限までの燃費向上を目指しての軽量化の為にやや高コストな特殊鋼鈑を使うなど実際に価値のあるクルマ造りがされています。つまりプリウスはお得なクルマなのは間違いないです。トヨタが全ラインナップをハイブリッド化したとしても、やはりHVユニット以外にもアドバンテージがあるハイブリッド専用車・プリウスの価値は簡単には色褪せないようです。

  さて挑戦者のマツダは「運転して楽しいHVを作る」と宣言して、実際にプリウスとは乗り味の違うアクセラHVになりました。この言葉の裏には「ミニバンやハイブリッドカーではドライブは楽しめないし、そもそもプリウスは楽しくない」という暗にトヨタ車を揶揄する「前提」が組み込まれています。しかしそれはあくまでマツダの言い分であって、トヨタがミニバンやプリウスを総力を挙げて「完成度」の高い乗り物へと完成させたポリシーの気高さは、マツダのような「ヤンチャ」メーカーの掲げる理想などとは全く次元が違うのですけど。

  マツダは一部のクルマ好きの為に「快楽」をもたらすクルマを作っています。一方でトヨタは・・・。今日を生きて行く為にクルマを使う全ての人々に対して、いかに「罪悪感」を感じることなくクルマに乗ってもらうかを、世界最高のレベルで考え尽くしたメーカーだと思うのです。つまりクルマそのものが持つ「化石燃料を燃やしてCO2を排出する」という罪悪感から開放させることが、ユーザーにとっては最高の喜びだというわけです。世界一のトヨタとプリウスの世界的な成功は現実に起こっています。つまりグローバルでは結局のところトヨタ>マツダの構図は揺るがないものがあります。

  マツダの掲げる理想はもちろんクルマ好きをワクワクさせる「魔力」を持っています。しかしどうやらトヨタからせっかく供与を受けたHVはマツダファンの求めるものではなかったようで、想定外の売れ行きの悪さにマツダも戸惑っているようです。トヨタが15年に渡る年月を掛けて実現した「プリウス」の成功は、トヨタの技術とマーケティングの両輪がしっかりと噛み合って、それでも長い年月と巨額の先行投資を必要として実現しました。どこかのスバルの店長が言っていましたが、最近のマツダには「技術(エンジニアリング)」の裏付けがないという穏やかではない批判が浴びせられます。トヨタとプリウスの壮大な歩みを、技術供与という借り物の装備と僅かな月日だけで超えて行こうと考えたマツダの目論見はやはり「技術(エンジニアリング)」への想像力の欠如がもたらした「失態」なのかもしれません。

コメントを投稿