テレビのツボ

テレビ番組の中の面白試聴ポイント(ツボ)を探し出し、それらを面白おかしく紹介するブログですε=┏(; ̄▽ ̄)┛

「愛の嵐」~直江兼続!?

2011-07-07 08:10:49 | 大河ドラマ
今週は利休が切腹させられたのに続き、鶴松まで早逝してしまう。
今週のツボは、愛する者に次々と先立たれ、狂気に陥っていく秀吉と、チラッとだけ登場した一昨年の主人公!?


「ちょっとやり過ぎでは?」秀次が、利休に切腹を命じた秀吉に諫言している。秀吉はもちろん意に介さない。
「利休を堺からこちらの屋敷へ移らせました。万一に備え、上杉勢ら三千の兵に屋敷を囲ませました」駆け付けた三成の言上にも「うるさい…うるさい、うるさい!」逆ギレする秀吉。自分で命じておいてこの駄々っ子ぶり。既にまともな判断力を失い始めている。
そこへ、お約束通り江も登場! これまたいつものように秀吉に文句を言い始める。
「何ゆえ利休様を切腹に?」
秀吉に代わって三成が、大徳寺の山門に自分の像を建てさせたとか、茶器に高値を付けて売り付けたとかの、どうでもいいような罪状を説明する。
「気は確かか!? それしきのことで、あれほどの方を切腹だなどと!」江は猛抗議するも、秀吉は無言で渡り廊下を去ってゆく。

「叔父上が利休様を許さないのは、利休様が離れてゆくからじゃ。利休様が作り上げるもの全てが好きで好きで堪らないから、離れるくらいなら、いっそ殺してしまいたいと思うたのよ」秀次が江に向かい、叔父秀吉の複雑な心情を代弁する。
う~ん、何だか石川さゆりの『天城越え』の世界だ
「利休様が叔父上に詫びれば許してもらえるだろうが、誇り高いお方だから命乞いなどなさるまい」秀次はそう付け加えるが、江は何としても利休に会いたいと訴える。
「何でも思い通りになると思うな!」秀次がキレる。

しかし、利休を巡る秀次の一連の指摘は、ことごとく的を射ている。典型的なバカ殿キャラなのに、利休のことのみに関していえば、まるで名君。他の面でも、これくらい聡明さを発揮してくれればなあ

と、秀勝がフラリとやってくる。
秀勝が一計を案じる。炭商人に身をやつして大八車を牽いてゆき、利休に会おうという作戦だ。
変装した秀勝と江が、利休屋敷の門前に到着する。
当然、警護の兵に呼び止められる。そこに現れたのが直江兼続らしき人物! 一昨年の大河ですっかり有名になった「愛」の字の兜の前立てだけが大映しになる。
なぜ「らしき」かというと、誰も名を呼ばず、顔すら映らないから。一昨年の主役だからエキストラに演じさせるわけにはいかず、数秒のシーンのみの出演で本編のストーリーとは何の絡みもないから、有名俳優を配するのもモッタイナイ。てなわけで、こんな思わせ振りな形での出演になったんだろうな~と思う
で、直江兼続らしき人物、簡単な検分をしただけで、二人の頬かむりも取らせず、門を通してしまう(明らかに秀吉の意を汲んでのことだろうことは、利休切腹後の秀吉の台詞で分かる)。

ともあれ、無事に屋敷に潜入できた二人は利休との対面を果たす。
秀勝の言った通り、利休は命乞いを拒否する。
「人には死に時ちゅうもんがあります」そう言って江に最期の茶を振る舞う。「これは利休が決めた、利休の道なんどす」
利休は江に自らの遺志を託す。「天下を泰平に、皆が笑って暮らせる世にして下さい」

天正十九年(1591)二月二十八日、朝から豪雨で、雹まで降り混じる大荒れの日に、利休は切腹して果てる。
利休切腹の報を受けた江は、秀吉のいる部屋へ向かう。
「利休が…死んでしもうた~!」秀吉が、大嫌いな筈の黒茶碗を持って号泣している。
「殺したのは、あなたではありませぬか!」江が責めると「そなた、利休に会いに行ったのであろうがぁ~! なぜ止めてくれなかったのじゃ~!」
身勝手極まる理屈だが、秀吉のあまりの嘆きぶりに、江はそれ以上なにも言えず静かに部屋を退出してゆく。

その直後、今度は鶴松がわずか3歳で亡くなる。「なぜ皆、ワシから離れてゆくのじゃ~!」またも号泣する秀吉。
淀も、我が子を亡くした悲しみで食事が喉を通らなくなる。心配して近江から駆け付けた初が励ましても「私も鶴松のところへ行きたい」と嘆くばかり。
おねも淀を励ましに訪れる。
「また秀吉の子を産んではくれぬか? 今はまだ考えられんだろうが、それが皆を救う道なのじゃ。秀吉も、この私も…何よりそなたをな」おねの優しい言葉に、淀は泣き崩れる。

秀吉は跡取りを亡くしたショックで、狂ったようになってしまう。
「このようなもの、邪魔じゃあ~!」短刀で自分の髷の髻を切り落としてしまう。「鶴松は、まだ髷も結えんうちに死んでしもうたのじゃな…」落武者のようなざんばら髪で呟く秀吉。
狂気を帯びた目で、三成に問いただす。
「お主言うたのう。弟秀長が死んだのも、鶴松が病気になったのも、利休の無礼な振る舞いが原因だと…。ならば、利休を殺したゆえ、鶴松は死んだのか? 言うてみよ…」答えに窮した三成は、朝鮮国王からの返書がまだ来ないことを持ち出してしまう。
「かような時に…」秀次が眉をひそめ呟く。まさにその通り。冷静さを完全に失ってる時に国政上の問題なんか持ち出しても、マトモな判断ができるわけない。
案の定、秀吉は怒りに任せ、朝鮮への侵攻を宣言。軍船を造れ、戦の準備を始めよと喚き散らす。地球儀をクルクル回し「手始めに拠点となる城を九州に造れ」と三成に命じる。鶴松を亡くした悲しみを、新たな戦で紛らわせようとしている、そんな風にしか見えない秀吉だった。

一方、江戸城では「なんと愚かな戦を…」と、家康が呆れ返っている。
「行くとしても九州までじゃな」家康の言葉に本多正信が疑問を呈する。「関白殿下が納得しましょうか?」
「関白には恩を売ってある。こういう時のために父祖伝来の三河を明け渡し、遠く江戸の地まで下ってきたのだからな…」さすが家康。策士やな~
「殿下はお子を亡くしてから、おかしくなられたのう」この言葉に秀忠が茶々を入れる。「子を亡くすっていういうのは、そんなに悲しいもんなんですかねぇ?」
「我が子を亡くすということは、この世で一番の悲しみです」正信の言葉に、秀忠は皮肉で返す。「へえ~、父上は兄信康を切腹させたくらいだから、悲しくなんてないんだと思ってました」
「バカなことを…」呟く家康に、秀忠が噛み付く。「バカ? ならなぜ、私や兄秀康を人質に出されたのですか? あっ、それから朝鮮のことですけど、そんなに愚かなら関わらなければよいではありませんか」言いたいこと言って、さっさと席を蹴っていってしまう。

「朝鮮に兵を進めるとはまことですか?」
昼ごはんをガツガツ食べる秀吉の傍らで江が抗議している。
「鶴松が亡くなったばかりなのに…」の言葉にだけは「鶴松の話はするな!」と反論するが、それ以外は何を言われても、無視してただひたすら飯を掻き込む。

夜半、揺らめく灯明の下で、習字の練習みたいに「関白」とか「秀次」とか「秀勝」などと書き散らした半紙を畳の上にばら蒔き、思い詰めたような表情で思案する秀吉。ざんばら髪とも相まって、なんとも不気味かつシュールだ。こんなホラー映画みたいなシーンは必要なんか?
で、秀吉が決定したのは、甥の秀次に関白の座を譲ること。天正十九年(1591)十二月、秀次が朝廷から正式な関白宣下を受け、秀吉は関白の父を意味する太閤と称するようになる。

年が開けたある日、江が秀吉に呼びつけられる。そこで言い渡されたのは「もう一度、嫁にいけ!」
相手はなんと秀勝。二人をツーショットにして「あとは当人同士で話し合え」秀吉はそう言い残して立ち去る。
「あなたはこんな縁組みを納得してるんですか?」江の疑問に「私の方から叔父に頼んだんですよ」と秀勝。
「兄の秀次を見張るよう命じられたので、交換条件としてあなたとの結婚を望んだんです。私の妻になってくれませんか?」秀勝のプロポーズに照れ臭くなった江は逃げるように去っていく。
姉、淀へ相談に行くと「好きならば一緒になれば良いではないか」とのアドバイスを受ける。鶴松を亡くして以来、仏間に籠りっきりの淀は、なんとしても江には幸せになってもらいたいのだ。

そして正式に祝言を挙げ、秀勝と江は夫婦になる。
「利休様の言われた、天下泰平になって皆が幸せに暮らせるようにとの言葉、ワシも共に背負ってゆく覚悟じゃ」
「私は嫁ぐのは2度目です。申し訳ありません」頭を下げる江に「やっぱり、あなたを選んだのは間違いではなかった。これから面白い暮らしになりそうです」微笑みつつ江を寝床に横たえる秀勝。
「秀勝さま…」すっかりラブラブモードの江。初夜を迎えても、もう1回目の結婚の時みたいに、頭がポポポポ~ン状態にはならない。史実でも江はこの時、すでに19歳になってるわけだし、ま、当たり前か


幸せいっぱいでスタートした新婚生活だけど、来週には早くも秀勝は討ち死にしてしまう。子供は産まれるけど夫は戦死してしまうという、過酷な運命に翻弄される江…。
史実の江の年齢と上野樹里の年齢が、やっと同じくらいになってきた。そろそろ演技にリアルさが出てくるかな?

「利休切腹」~散り際の美学

2011-07-01 08:46:41 | 大河ドラマ
アバンタイトル通り、今週で利休は切腹させられるのかと思いきや、単なる前振りだった。前振りではあったが、茶の湯の理想のみを追い求める利休の美学は充分に描かれていた。利休亡きあと、秀吉が暴走してゆく様を連想させるような伏線もあった。
今週のツボは言うまでもなく利休なんで、レビューは利休と、それを取り巻く人間模様を中心に進めていきたい(江はオマケ…。ま、江はオマケくらいがちょうどいい)


小田原攻めの論功行賞の席上、秀吉の甥、秀次は大幅な石高加増を受け、百万石の大大名に。ライバル家康も北条の旧領、関東の地に240万石もの大領を与えられる。が、引き替えに先祖伝来の三河など、200万石を召し上げられてしまう。まあ、体のいい左遷人事だ。

茶室で利休から茶を振る舞われた家康は、「三河は開墾し尽くした。関東ならまだまだ開墾の余地があるから楽しみ」と強がってみせる。
「殿下はあなた様を恐れて、京・大坂から遠く離れた不毛の地に追いやられたんですなあ」利休は思ったままを家康に言う。
「本拠は江戸に…」との家康の言葉に「あの荒地の…?」利休はいささか驚いた様子。
この当時の江戸といえば、葦が生い茂る湿地帯。僅かに寒村があるだけの、まさしく辺境の地だった。今日のような巨大都市が築かれようとは、この頃は誰も予想すらしなかっただろう。
「それにしても、この前の『茶頭辞めます宣言』には驚きました。あれは本心なんですか?」家康が率直な疑問を利休にぶつける。
「私は人に媚びて茶を立てたことは一遍もありません。たとえ信長公でも…」すっかり達観している利休。
茶を差し出しながら「これが家康様に立てる最後の茶です」
家康はギョッとするが「もうすぐ京へ帰りますさかい…」利休の言葉に胸を撫で下ろす。けれど言外に(この世で最期…)の意は含ませている。静かだけど深みのある演技は、石坂利休の真骨頂だな。

利休と秀吉との間に漂う不穏な空気に危機感を感じた江は、秀勝に相談すべく廊下へ飛び出す。…と、偶然にも当人にぶつかる。
「利休様と秀吉様との間には、以前のような漫才みたいな雰囲気はまるでなくなってしまいました」二人の現状を打ち明け、秀吉の甥である秀勝に仲介を求める。
「伯父上にとって、利休様は単なる茶頭を超えた存在。お二人の関係が易々と壊れるようなことはないでしょう」秀勝は楽観的だが、江の不安は消えない。「胸騒ぎがしてなりません…」
「女の勘は当たりますからね…。で、私とあなたの関係はどうなりそうですか?女の勘で…。近づけそうですか?」と、秀勝が江に唐突な質問。話を急に恋愛モードに切り替えるなんて、チャラい秀勝だなあ

秀勝が去ったあと、一人廊下に佇む江。別棟の二階で年齢不詳の秀忠が大あくびをして起き上がる。二人のやり取りを一部始終、上から見ていたのだ。
「お二人がそんな関係になっていたとは…」意味深に呟く秀忠の言葉に「い、いえ…」と、どぎまぎする江。「私が言っているのは殿下と秀吉様のことですよ。誰のことと勘違いしてるんですか?」皮肉っぽい笑いを浮かべて江をからかう。とても11歳とは思えない小生意気な台詞だ
「あなたには関わりないでしょう!」プンプンする江。秀忠は「私はもうすぐ江戸に帰ります。今度こそ二度と会うことはないでしょう」捨て台詞を残して立ち上がる。
「私も、もう二度と会いたくないですよ!」売り言葉に買い言葉、江も怒って立ち去るが「江戸」という言葉で、徳川家が国替えされた事実を知る。

2ヶ月後、京へ戻った秀吉は、妻と母の前で地図を拡げ「日の本はぜ~んぶ、豊臣家のものになったんじゃあ~」得意満面の自慢大会。
「京は良いのう~」と言いながら、しきりに鶴松のいる部屋の方向を気にする秀吉。おねは「気になるなら早く顔を見てきなされ」と、呆れ顔で促す。これ幸いと駆け出す秀吉。淀の部屋に入るなり、ヨチヨチ歩きの鶴松を抱き上げ、デレデレの親バカぶりを発揮する。
そこへ乗り込んできた江。徳川家の所領を取り上げたことを責め立てる。
「お茶々に余計な心配をかけるでない!」障子の裏側に江を引っ張っていき、たしなめる秀吉。
徳川家の話もそこそこに「利休様とはどうなってるんですか?」一番気になることを問いただす江に「利休…?」秀吉はそう答えたきり不機嫌な顔になり、無言で立ち去っていった。

宿願の天下統一を果たした秀吉は、海外へと目を向け始める。11月、ようやく朝鮮使節団との会見が実現する。
会見の場に、鶴松を抱き抱えて現れる秀吉。長幼の序を軽んずる秀吉の態度に、朝鮮使節団は不快さを露にする。
「ワシは日輪の子じゃ。日輪はこの世をあまねく照らしておる。ゆえに天竺(インド)、南蛮(ヨーロッパ)に至る全てが、いずれはワシの物となろう。手始めに明国を平定する。朝鮮はワシに服属し、明国攻めの際には先鋒として馳せ参じよ! その旨、よくよく朝鮮国王に伝えよ!」
秀吉の言葉を通訳を通じて聞いた使節団の面々は、みるみる表情が険しくなる。

その最中、鶴松がお漏らしをしてしまい、秀吉は大騒ぎ。どさくさに紛れ、『チャングムの誓い』に出てきそうな装束の使節団一行は憤然として席を蹴り、退室していった。
そりゃ無理もない。こんな傲慢不遜な誇大妄想狂の話なんか、まともに聞く国なんかある訳ないもんなあ

「あやつらは無礼極まりない!」別室で秀吉は、自分の非礼を棚に上げ、怒りをぶちまける。
官兵衛や秀次は、公式会見の場に幼い子供を連れ出した秀吉の非常識さに苦言を呈するが「鶴松は関白の子じゃ!」と、とりつく島もない。
江も秀吉に抗議する。
「ご自分のことを日輪の子と仰いましたね? 伯父上も己れを神たる者と仰せでした」

「ワシの考えは親方様に似てるということじゃ!」

「でも伯父上は天下泰平のために己れの身を捧げる覚悟でした。己れの欲のために好き放題する秀吉様とは違います!」

「うるさいっ!」
秀吉は、もちろん江の抗議にも耳を貸さない。

傍らで茶を立てる利休が、独り言のような感じで呟く。
「神たる者なあ…本能寺でああいうことが起きたのも、そのせいかも知れん。ということは…日輪の子たる関白殿下も、同じ道を辿るかも知れまへんなあ…」覚悟が出来ている利休にはもはや怖いものなし。秀吉に面と向かい、言いたいことをズバズバ言う。
「殿下の茶頭、いつ辞めさせてもらえますやろか?」利休の問いかけにも「まだそのようなことを…」秀吉は苦々しげに呟き、やはり取り合わない。

…と、竹筒で出来た簡素な一輪差しが秀吉の目に留まる。質素とか地道な物が嫌いな秀吉は「何じゃこんな物~!」と叫びつつ、襖に投げ付ける。縦にひびが入り、畳の上に転がる一輪差し。
「失礼いたします」襖を開け、一礼して入ってきた人物が、転がる一輪差しを見て仰天する。「こ、これは~!?」
その人物は古田織部。信長の頃から戦を知る古強者であり、利休の愛弟子でもある。
「私が茶頭を辞めたら、あとは織部どのをお引き立て下さい」利休の申し出にも何も答えない秀吉だった。

天正十九年(1591)が明けて間もなく、鶴松が病の床に就く。秀吉や淀、江らは枕元でおろおろするばかり。
秀吉は三成に命じる。「都中の神社仏閣で加持祈祷させるのじゃ!」
そこへ急使。なんと、秀吉の弟、秀長までもが危篤状態との報が届く。
秀吉は雷雨の中、大急ぎで秀長の居城、大和郡山城へと赴く。
秀長の枕元では官兵衛が必死になって呼び掛けている。
「今、秀長様が亡くなられたら、豊臣家は…いや、殿下はどうなりまするか!」
官兵衛の危惧は的を射ている。実際、秀長亡きあとの豊臣家には不幸なことしか起こらなかった。秀長の死と共に豊臣家の家運は一挙に傾いていったのだ

そこへ秀吉が飛び込んできた。
「秀長! しっかりするのじゃ!」手を握り励ます秀吉。
「…兄者には苦労もさせられたが、並みの人間では到底過ごせぬ面白い一生も過ごせた…」途切れ途切れに思い出を語る秀長。
「甘いことしか言わん者より、耳に痛いことを言うてくれる者を信じるんじゃぞ…」利休の言葉を重んじるようにと、秀吉を暗に諭す。
「鶴松の病はワシが抱えていく…」そう言い残し秀長は事切れた。

秀長の言葉の通り、間もなく鶴松の病はすっかり快復した。
「利休のことを、三成が秀吉様にあれこれ言っていることは知っておる」淀は江に打ち明けた。
驚く江に「私は秀吉様の妻ぞ」落ち着き払った態度の淀。揺れ動く乙女心を演じた宮沢りえの演技も良かったが、母親役を演じる姿も堂に入っている。
淀は、江にきっぱりと言う。「三成に何か言われて動く殿下ではない。これは誰にも分からぬお二人の間だけのこと。殿下と利休様だけのな…」

夜半、三成が秀吉のもとへまた讒言に訪れる。
まず持ち出したのは、歴史上も有名な、大徳寺山門に利休が自らの木像を安置したこと。「殿下に、自分の足下を通れと言っておるのです!」懸命に訴えるが秀吉の反応は鈍い。
鶴松の病気や秀長が亡くなったのも、そのせいかも知れないと、とんでもない言いがかりを付ける三成。その上、茶器を目利きして高い値段を付けるのもけしからんと、これまた無茶苦茶な言いがかり。利休のやること為すこと、全てが気に入らないなんて、三成はここまで嫉妬深い小物だったのか?

淀が看破したように、三成が何を言おうが秀吉は動かなかった。秀長の遺言通り、利休を重んじるか、否か…そのことで秀吉の心は揺れていた。
利休との関係に決着を付けるため、秀吉は利休の茶室へ向かう。

「そなた、まだワシの茶頭を辞めたいか?」

「早々に…」

「どうしても、ワシの元を去るか?」

「ここで見聞きしたことは誰にも話しません」

「そのようなことではない!」怒鳴り散らす秀吉に、利休は穏やかに微笑み返す。「そうでしたなあ」

「ワシにとって、そなたは格別な人間じゃ。ワシには分からぬことを分かる。ワシからすれば、仰ぎ見るしかない人間じゃ。だから、ワシの側におってはくれぬか? ワシのそば近くで、言いたいことを言ってはくれぬか!」秀吉は天下人のプライドをかなぐり捨て、利休に頭を下げて必死に頼み込む。

「私が殿下の茶頭になったんは、あなた様が面白いお方やったからや。けど、今はちぃ~とも面白いことあらしまへん。子が出来て可愛いいて、朝鮮のお人まで呼びつけて…その上、日輪の子やなんて…片腹痛うて堪りまへんわ!」言われた通り、好き放題のことを言い放つ利休。
「そなた…」唖然とする秀吉に「言いたいことを言えと仰せでは?」と、利休は畳み掛ける。

そして遂に利休は決定的な言葉を口にする。
「私にとって大事なんは、好きか、好きでないか。私は、私が好きな人のためにだけ、茶を立てたいんですわ。私は、あなた様のために茶を立てるんが、嫌になりましたんや…」ここで利休は、秀吉が大嫌いな黒茶碗で茶を差し出す。
完全な決別宣言。ショックを受けた秀吉は絶句し涙ぐむ。
秀吉はおもむろに立ち上がり、利休に顔を寄せ、非情な命令を下す。
「ならば、望み通りにしてやろう。そなたに切腹を申し付ける。切腹じゃ…」
非情な申し渡しにも顔色一つ変えず、微妙な笑顔を返す利休。


終盤の利休と秀吉のやり取りは緊迫感に溢れていた。深い絆があるゆえ互いに反発せずにはいられない、矛盾した心情を見事に演じた石坂と岸谷。ベテラン俳優同士の真摯なぶつかり合いはやっぱり見応えある。甘口ドラマの中で数少ない、苦味ばしったコクのあるやり取りが来週で見納めとは残念な限り。泰然自若、明鏡止水、散り際の美学、それらの言葉がふさわしい利休の姿だった。いよいよ来週は利休の切腹シーンか…。で、アバンタイトルは「愛の嵐」…いよいよタイトルまで、フジテレビの昼ドラみたいになってきたな!

「人質秀忠」~これが10歳!?

2011-06-24 08:37:20 | 大河ドラマ
やっと録画を観た…で、遅ればせながらのレビュー。
先週から登場した、向井理演じる徳川秀忠(竹千代)。向井の起用は視聴率対策だろうということは先週にも書いたが、不自然なのは年齢設定だけではない。風貌もしっくりこない。実際の秀忠はもっと無骨な顔立ちだ。大河で演じた俳優でいえば西田敏行がかなり近い雰囲気かな? この時代、徳川家の嫡男といえど風貌には戦国乱世の荒々しい気風が色濃く漂っていた。天下泰平が確立し、時代が下っていくに従って徳川将軍の風貌はどんどん華奢になり、貴族化していっている。それは肖像画のみならず、徳川歴代将軍の亡骸の発掘調査でもはっきり証明されている。
向井の風貌は、例えば14代将軍の徳川家茂役なんかだったらピッタリだと思う。秀忠役はどう見ても違和感ある。別に秀忠とそっくりである必要はないけど、もうちょっとリアリティを醸し出してほしいなあ~。それに前田健の弟役って…。こんな似てない兄弟っていうのも不自然。前田の方がよっぽど秀忠には似てる。まあ、史実だとかリアリティだとか言い出すと空しくなるばかりだが、もうちょっと何とかならんかなあ~とは思う。


天正十八年(1890)一月、家康のもとへ嫁いでいた旭が、京・聚楽第で臨終の床にあった。
枕元に親族一同が集まり懸命に励ますも、病状は重く快復の見込みはなかった。「姉上…あんちゃん、頼むわ」旭は言い遺し息を引き取った。

廊下で悲嘆に暮れる江の前に、見舞いに訪れていた竹千代が現れる。
見舞いに来て下さって、旭様もさぞお喜びに…と言う江の言葉を遮り「見舞いはついでです。父に命じられて、豊臣家の人質になるために来たのです」竹千代は素っ気なく答える。

翌日、秀吉は竹千代の元服の儀を自ら執り行い、大政所が剃刀を入れて髪を整えた。竹千代は秀吉の名から一字を授かり、その日から秀忠と名乗るようになった。

「旭様が亡くなった翌日に元服とは…。猿は何を考えておるのじゃ」江が侍女ヨシにぼやきつつ廊下を歩いていると、また竹千代…改め秀忠と出くわした。
「身内が亡くなった次の日に元服の儀を執り行なったのは、父に恩を売るためでしょう。如何にも関白様らしいやり口です」そう皮肉っぽく言う秀忠に、江は思わず「秀吉様はそこまで汚ない人ではありません」と、さっきの愚痴とは矛盾することを言ってしまう。
「今度は庇うのですか? さっきはボロクソに言ってたクセに」すかさず突っ込む秀忠。
言ってることはモットモなんだが、この時まだ秀忠は弱冠10歳じゃよ~。ツッコミの鋭さといい、皮肉混じりの落ち着いた口調といい、とても10歳とは思えん! 上野も確かに年齢不詳の役を演じてたけど、もっと天然ボケ全開の演技を披露していた。向井はそんな気配まるでナシ。大人の演技に徹している。演技だけ見るとリアルだけど、史実に照らすとリアルではなくなる。う~ん、どっちを取っても無理が生じるな。

「あ、そうそう…私、信雄様のご息女と縁組みが決まりました」と、これまたついでといった口調で付け加える秀忠。「相手は5歳とか…」あまりの幼さに驚きを隠せない江。
まあ、向井の実年齢で婚約者が5歳だったりしたら完全にロリコンだが、史実を基に考えれば秀忠とは5歳差しかない。これも史実と役者の実年齢にギャップがあり過ぎて不自然だ

「ウチの父も北条と戦うため、嫁がせた娘を離縁させた。その上、私を人質に出してまで豊臣に忠誠を誓おうとしている。どっちもどっちです」投げやりな口調の秀忠に、江が反論する。「徳川様はそのようなお方ではありません」
そこで唐突にBGMが止まる。静寂の中、真顔になった秀忠が振り返りざま江に問う。「なぜ分かるのですか?」

すぐ、おどけた表情に戻って「まっ、私にはどうでもいいことです。人質としての用もなくなったので帰ります。もう二度と会うこともないでしょう」捨て台詞を残して駿府へ帰っていった。
この辺りの演技はうまいが、うまければうまいほど10歳には見えなくなる。やはり史実なんか忘れて観るに限るなあ

駿府へ戻った秀忠は家康と対面するが、相変わらず皮肉や冷笑のオンパレード。
「京の都で面白いおなごに会いました。名前は確か…江とか」思わぬ報告に家康は喜ぶが、秀忠はわざ父親の神経を逆撫でするようなことを言う。「父上をたいそう買いかぶっておいででした。旅の埃を落としてまいります。では…」

秀忠が席を辞したあと、家康がため息混じりに傍らの本多正信に呟く。「子供の頃は明るく素直だったのに、すっかりひねくれてしまったのう」って…秀忠は10歳なんだし、まだまだ充分に子供なんじゃないの~?てなツッコミを入れたくなった。

北条攻めを前に秀吉、黒田官兵衛、石田三成らが利休の茶室に集う。
「そなたも小田原に着いて参れ」利休は秀吉の命令をにべもなく断る「もう歳なんで、長旅は疲れますわあ~」
利休の無礼な態度に三成がキレる。「信長公に同じことを言われても、そう返答されるのか?」お~~い、利休は信長相手にも言いたいことをズバズバ言っとったじゃないかぁ~! それを三成は知らんのか?

利休は秀吉に、黒い茶碗で茶を振る舞う。秀吉が黒い茶碗嫌ってることを分かった上でだ!
「ワシがこの茶碗が嫌いなことを分かっておらんのか?」怒った秀吉は茶を畳にぶちまけて茶室を出ていってしまう。もう、かつてのような漫才みたいな雰囲気はまるでない。
「お世継ぎが産まれてから関白殿下は気が短くなった。利休様の御為、どうか殿下には逆らわないで下さい」官兵衛が頭を下げたので、利休もしぶしぶ小田原への同行を承諾する。

3月、秀吉は二十万以上の大軍を催して小田原攻めを開始するが、これも例によって鈴木保奈美のナレーションと、過去の大河シーンの使い回しのみ。あっ、それと小田原城のCGも加わってはいるけど、これもほんの数秒だけ。いつものことだけどね。
それにしても、せっかく清水紘治のような味のあるベテラン俳優を北条氏政役で起用しておきながら、出番が少な過ぎる。もったいないなあ~。

それから暫くして、秀吉から淀のもとへ、小田原に来るようにとの書状が届く。戦がトラウマになってる淀は戦場になど行きたくはないのだが、秀吉からの命とあらば従わないわけにはいかない。
7月、淀ら一行は小田原に到着する。もちろん江も一緒に。
そこで江は秀勝と再会を果たす。二人は並んで、利休の振る舞う茶を飲む。そこへフラリと入ってきたのが秀忠。
「秀忠様は茶がお好きで、ようお見えです」利休が秀忠のことをそう紹介すると「へぇぇ~、元服したばかりの子供に茶の味が分かるのですか?」江が嫌味ったらしく訊く。
「跳ねっ返りのおなごに茶の味が分かるとも思えませぬ」と、売り言葉に買い言葉の秀忠。
「年上の相手に向かって出過ぎた口を訊くのは…!」いつもの勝気さを剥き出しに食って掛かった江だったが、ここで隣の秀勝の視線を意識した江は一気にトーンダウン。「おやめなされ…」
江の羞じらいに気付いた秀忠がからかう。「ははぁ~ん、お二人は許嫁だったんですね~
「違います!」言下に否定する江。
ところが秀勝は満更でもない様子。「私はそれでもいいと思ってるんですよ」
この反応を見て秀忠が更に江を冷やかす。「なるほど…江殿は秀勝様を…」ここまで言ったところで江が秀忠を突き飛ばす。
「なんですか! いきなり!」

「口数の多い男は嫌いです!」

「口数の多いおなごが言うことですか!」

「おなごは口数が多いものです!」

江と秀忠の痴話喧嘩を見かねた利休が注意を促す。「静かにしなはれ!」
江が、次の夫と、その次の夫との間でこんな幼稚なケンカをしたわけないんだがなあ

陣中では、三成が秀吉に「利休に不穏な動きあり」と讒言している。
そこへやって来た秀次は吐き捨てるように言う。「お主、利休を妬ましく思うて言うておるのじゃろう!」
この指摘は正しい。どう見ても、三成は個人的な妬みから誹謗中傷してるようにしか思えない。それくらい三成には小物感が滲み出てる。秀次もたまにはいいこと言うねえ。

「ええ加減にせんかぁ!」秀吉が二人のやり取りを制したところで、伝令からの一報が届く。
「例の城が完成しました!」そう、史実でも有名な、いわゆる『一夜城』が遂に出来上がったのだ。
やっとのことでまともな史実が出てきたと思ったら、これがまた短い。小田原城に面した側の木がドーンと切り倒され、忽然と城が現れたのを見た氏政が「何じゃこれは~?」と、往年の松田優作の殉職シーンのような台詞を発しただけ。あとはガックリ膝を落とした氏政の姿に重ねるように、ナレーションで「遂に小田原城は落城したのです」って、これこそ「何じゃこれは~!」
戦のシーンはもとより、伊達政宗が手打ちにされるのを覚悟で、白装束姿で遅参したシーン、更には諺にもなった「小田原評定」のシーンすら全くない! 肝心の史実はナイナイ尽くし。創作の恋愛シーンは盛り沢山。これぞ『江』だ!

戦勝に酔いしれ、どんちゃん騒ぎに興じる秀吉軍の将兵たち。が、戦が嫌いな江は素直に喜べない。そんな江の手を引っ張り、秀吉は利休の茶室へ向かう。
と、そこに居たのは家康! タイミング悪すぎ。三成の讒言が裏付けられたも同然。
しかし、秀吉は素知らぬ振りで茶室に入ると、利休に茶を所望する。利休が秀吉に出したのは、なんとあの黒茶碗!
「こやつ~」秀吉は利休を睨み付ける。明らかにケンカを売っておきながら「これをお嫌いなのを忘れてました」なんてわざとらしいこと言いながら茶碗を下げる利休。ここで秀吉の怒りを更に煽る一言。「黒は古き心…赤は雑な心や」秀吉が、赤が好きなのを知っててこの言葉!

「おのれ~、茶頭の分際で…」秀吉の怒りをかわすように利休はさらっと言う。「その茶頭ですけどな、もう辞めさせてもらいますわ。堺へ帰って静かに余生を過ごそうと思てます」
だが、秀吉はこの申し出を認めない。「そなたは死ぬまで、ワシのために茶を立てるのじゃあ~」利休を飼い殺しにしようという魂胆だ。
利休は淡々とした態度で、恐るべきことを口にする。「ほな、もう死にますかな? いや…殺してもらいますかな?」

ヒェ~! 利休はもう、秀吉に殺されることさえ覚悟している!
来週はいよいよ「利休切腹」。淡々としながらも重厚な演技を見せている利休が、来週には退場してしまうとは惜しい!
本格派ほど早く退場していくのはこのドラマの宿命だな…。

「父母の肖像」~親バカ秀吉

2011-06-16 03:31:52 | 大河ドラマ
今週は秀吉の親バカっぷりが炸裂している。と同時に、狂気に満ちた権力亡者の一面も露にしている。まあ、権力の濫用も我が子への偏愛ゆえだから、表裏一体ではあるんだけど…。いずれにせよ、視野狭窄に陥って大局を見誤る晩年の秀吉の愚かしさが、そこかしこに現れ始めてるっていう意味では注目に値する。それ以外にはあまり大きな展開はない。


天正十七年(1589)正月、京・聚楽第にて身内だけでのささやかな宴を催した秀吉は、愛する茶々が身籠ったことが嬉しくて堪らない様子ではしゃぎまくる。おねの心情を慮った三成が咳払いをし、浮かれ過ぎの秀吉に注意を促す。
が、おねは落ち着いたもので「私は茶々殿が丈夫なややを産んでくれることを念じております」と、すっかり達観した表情を見せている。
「さすがは、おねじゃあ~。茶々を豊臣の母とまで言うてくれたそうじゃからなあ、ワハハハッ!」と、秀吉はおねをまるでウルトラの母のように持ち上げる。相変わらず女心には疎い秀吉だ

久々に里帰りした妹の旭は、「兄のややが産まれるまで京都にとどまる」と言う。家康に、ゆっくりしてこいと言われたそうな。「家康様は優しくて…」と、照れ臭そうにノロケる旭。おやおや、家康は心変わりしたのかな? 新婚初夜はあんなに素っ気なかったのに~

茶々の部屋へ赴いた秀吉は、京と大坂の間にある淀の地に競馬場…ではなく新たに城を造ると宣言する。茶々の産所にするためだという。「お得意のキンキラキンで派手な城だけはやめて下さいね!」と、江からはしっかりと釘を刺される。
更に、産まれてくる我が子のためといって、祝いの品々を披露するんだけど、これが甲冑や太刀など、揃いも揃って男の子用のものばかり。「産まれてくるのは男の子じゃからのう」秀吉は勝手に決めつけている。

と、ここまでなら単なる親バカだと笑って済ませられる。けど、ここから先が恐ろしい。一月ほどのち、『茶々のお腹にいるのは秀吉の子ではない』との落首が聚楽第の表門に貼り出されると秀吉は激怒。「これを貼り付けた者を捕らえて打ち首にせよ!」と三成に命じる。
必死の探索にも関わらず、落首を残した者は見つからない。苛立った秀吉は、警戒を怠ったとして門番17人を処刑。それだけでは収まらず、罪人を匿ったという名目で二つの町を焼き払い、更に60人余りをも処刑してしまった。
残忍な処刑シーンと、秀吉が茶々の腹に顔を寄せ、ニヤニヤしながらでんでん太鼓を鳴らすシーンとが交互に映し出される。この演出はうまい! 秀吉の狂気がより強調できている。

さて、この落首の文言にあった『側室が10人もいて今まで一人も子が出来なかったのに、茶々だけに子が出来たのはおかしい』というのは現代人にとっても素朴な疑問ではある。
今も、鶴松や秀頼は秀吉の実子ではないという説は根強い。実際、秀頼は小柄な秀吉とは似ても似つかない偉丈夫だったというし、残されている成人後の肖像画を見ても秀吉とは全く似ていない。母方の血をより濃く受け継いだ可能性はあるが、これでは疑われても仕方ない。保存状態のいい秀吉と鶴松・秀頼の遺髪でも残っていれば、彼らの間に親子関係があるかどうかDNA鑑定で特定もできるんだろうけど、そんなものはない以上、真相は確かめようがない。歴史に残る永遠のミステリーってところかな…。

秀吉の非道な振舞いに江は憤る。夜半、廊下で秀吉と対峙した江は、民の殺戮を激しくなじる。
「罪のない者や、お寺に逃げ込んだ者まで強引に捕らえるとは!」

「逃げたということは、罪を認めたのと同じじゃ」

「そのようなことをすればバチが当たります! 産まれてくる子に、どのような災いがあるか…」

「こやつ、縁起でもないことを…ならばそなたは平気かぁ! 茶々の腹の子が馬鹿にされたのじゃぞぉ!!」
悪鬼のような形相で叫ぶ秀吉に、江は冷然と言い放つ。「産まれてくる子に何かあったら秀吉様のせいですからねっ!」秀吉を睨み付けると、くるっと踵を返し去って行った。

なんと怖いもの知らずの江! こんなことを江以外の者が面と向かって言ったりしたら、その場で手打ちにされてしまいかねない。冷や冷やするシーンではあるけど、江の捨て台詞は予想の範囲内。鶴松が早逝してしまうことの伏線になっているという、実に分かりやすいものだ。何というか、相変わらず安直な脚本だなあ

「二度とこのようなことはせぬと殿下に誓わせた」怒りが収まらない江に対し、茶々がそう言ってなだめる。
そんな茶々を見て「姉上は変わられましたね…」と江。「それは…母になるからであろう」と、すっかり落ち着き払った態度の茶々。宮沢りえは実際に子供を産んでいるからリアルな雰囲気が漂っている。
「必ずや立派な男の子を産んでみせる」そう言い切る茶々に江が疑問を呈する。「なぜ男の子なのですか?」
「なぜでもじゃ」茶々は静かに、しかし決然として断言する。秀吉が親の敵じゃと言って憎んでいた心はどこへやら。今や堂々たる「豊臣の母」っぷりだ

3月、完成した淀城へ茶々が引っ越すと、江も一緒に付いて行く。淀城を訪ねた秀吉が「そちはワシに腹を立てていたのではないのかあ? なぜ付いてきた?」そう問うと「それはそれ、これはこれです! 甥か姪が産まれるのですから」江が答えると突然、秀吉が江に頭を下げた。「ならば…よろしゅう頼む!」なんじゃ、秀吉のこの平身低頭ぶりは!?
戸惑う江に、三成が事の次第を説明する。「関白殿下はこの城をお茶々様に与えると決意されたのです」女ながら城持ちの主になると言う。「殿下は、お茶々様を北政所様に次ぐご正室とお認めになったのです」これ以後、茶々は淀殿と呼ばれ崇められることとになる。

5月27日、いよいよ迎えた出産の日。秀吉と江は二人して、落ち着かない様子で産室の周りをウロウロしてる。産室では、天井から吊るした布を握りしめながら、茶々が必死で力んでいる。
「まだ産まれんのかあ~! 男の子じゃ、男の子が産まれるよう祈っておるぞぉ~。ええい、男の子でも女の子でもどっちでもいい! とにかく無事に元気な子が産まれてくれれば~!」秀吉はでんでん太鼓を鳴らしながら、江と一緒になって懸命に無事な出産を祈る。
産湯を抱えた侍女が産室へ駆け込んでいくと「私も行く!」と江も入っていこうとする。すると秀吉は江の手を握り「ワシを一人にしないでくれぇぇ!」
「それでも関白ですか! 太政大臣ですか!」天下人とは思えないあまりの情けなさに江は呆れ、叱咤するが「今は子の誕生を待つ一人の父ぞ…」と秀吉。
確かにこういう状況じゃあ、天下人だろうと何だろうと関係ないわな

二人がドタバタしていると、産室から元気な産声が響く。「やった、やった~!」二人は手を取り合って感涙にむせぶ。「ワシの子がこの世に産まれたのじゃあ…」侍女が扉を開け「若君にござります!」そう告げると「男の子じゃあ! でかしたぞ茶々~! 皆も喜べぇ~!」秀吉は跳び回って喜びを爆発させる。

産まれて間もない我が子を抱き上げた秀吉はデレデレ状態。「この子は【捨】と名付けた。捨て子はよう育つというからのう」
江が触ろうとすると「寄るでない…ガサツなのが移る」と、秀吉の的を射た指摘 「叔母などではなくて、優しくて美しい母御に似るのじゃぞう~」子の親になった秀吉と姉の姿を、江は微笑みながら見つめる。

それから3ヶ月後、豊臣家の跡継ぎだと天下に知らしめるため、捨は大坂城へと移された。同時に名前も捨から鶴松へと改名された。
そこへ次女の初が、鶴松の誕生祝いにやって来る。夫の高次も伴っていたので何故?と問う江に、高次は「戦の相談をするためです。いよいよ関東の北条攻めが始まるのです」

所変わって小田原城。秀吉からの書状を受け取った北条氏政が怒っている。ありもしない罪を並べ立て、天罰を被るのは当然だと書かれていたからだ。
氏政の嫡男、氏直は「返り討ちにしてやれば」と進言する。武田信玄や上杉謙信さえ退けたほどの城の堅牢さを知らないのだとせせら笑う。氏政も「百姓上がりの猿に、わが北条の強さを思い知らせてやる!」と憤り、書状を破り捨てる。
う~ん、秀吉の桁外れの動員力を知らないのは北条の方なんだが…。井の中の蛙みたいな哀れさが漂ってるなあ でも、氏政役の清水紘治は老練な戦国武将らしい、いい味出してる。

聚楽第では、関白の正装に身を包んだ秀吉が、諸大名や親族に対し、北条攻めを決意した理由をあれこれ述べている。まあ理由なんて北条を征服するための口実に過ぎないから、どうでもいい。秀次が「ぜひ私を先鋒に!」と申し出るが、秀吉は「先鋒は徳川殿と決めておる」と、敢えなく却下する。秀次の無能さは小牧・長久手の戦で証明されているから当然の判断だ

軍議のあと家康は、利休の立てた茶で一服する。「客は私一人だけだから、もっと狭い茶室でもよかったのに…」そう言う家康に利休は「いえいえ、狭い茶室は客が3人以上の時のみ使います。狭さが極まれば、逆に果てしない広さを感じるようになるんです」…なんとも哲学的。茶の湯の精神の奥深さも果てしないな。
更に「最近、私は黒い茶碗に惹かれるようになりました。関白殿下と趣味は合わないでしょうけど…。そのうち私のことが鬱陶しくなるんと違いますかな? 近いがゆえに最も遠い…」と、文字通り遠い目をして呟く。言葉は意味深だが、秀吉の逆鱗に触れ、切腹を命ぜられることの伏線としては分かりやす過ぎ

夜半、江がおねの部屋の前を通ると、中から秀次の声。思わず立ち聞きする江。伯父上は近頃、鶴松ばっかり可愛がってる。自分はないがしろにされてる!って愚痴ってる。
障子に映った人影に気付いたおねが呼び止める。中へ招き入れられた江は、酔っ払った秀次に悪態をつかれるが、気の強い江も負けずと言い返す。
「二人ともやめよ!」おねにたしなめられる秀次と江。それだけのシーン。これもオマケみたいなシーンだ

翌日、大坂城の広間で秀吉が鶴松を抱っこしながら家臣にお披露目。「北条が下れば、その先の奥州も全て豊臣のもの。国中がワシのものになるのじゃ。すなわち、そなたのものになるのじゃぞう~」鶴松に猫なで声で話しかける秀吉。「親バカもここに極まれりじゃ」初が呆れ返る。
「お願いがあります」唐突に茶々…改め淀が秀吉に話しかける。「懐妊中に、何でも願いを聞いてやると殿下は仰せになりましたよね?」
「そうじゃったなあ。で、願いとは何じゃ?」
「今年は亡き母の七回忌、父、浅井長政の十七回忌に当たります。つきましては追善供養をしたいと思います」
「お待ち下さい!」三成が淀の申し出に異を唱える。「豊臣家にとってお二人はいわば仇敵。かような例は古来ありませぬ」
「だから男の子を産むことに拘っていたのか…」秀吉が呟く。跡取りを産んで秀吉に貸しを作り、要求が通りやすいようにしたい、そんな想いを淀が抱いていたことに気付かされたのだ。
「そなたが父母のことで、そこまで思い詰めていたとは知らなんだ。そなたがやりたいことを止めるわけがあるまい。存分に供養して差し上げよ」秀吉は淀の願いを快諾した。

その供養のために描かれたのが有名な肖像画だ。冒頭のお市の方はともかく、下の浅井長政は時任三郎と全然似てないではないか



「仇敵の供養を許すとは武家のしきたりに反すること。それを許して下さったことで、私も殿下を許せたような気がする。秀吉様とようやく夫婦になれたようなに思うのじゃ…」しみじみ語る淀の言葉が江の心に染み入る。「姉上にも姉様にも大切な人が出来た。何やら寂しいのう…」大切な人が自分にも現れることを心待ちする江。

そこで場面は急展開。家康の居城・駿府城で的に矢を射かける若武者の姿。
顔がアップになると、そこいたのは何と向井理! でもこの時、竹千代(のちの秀忠)はまだ10歳の筈なんだが…。一刻も早くイケメン俳優を投入して視聴率アップを図りたいという営業サイドの思惑が見え見えだ~
かくして、年齢設定が滅茶苦茶なキャストがまたまた登場と相成った。で、今週のツボは極悪&親バカの秀吉と、どう見ても10歳には見えない向井理ってことにしておこう

「豊臣の妻」~おねの女心

2011-06-06 21:20:10 | 大河ドラマ
今週は、前回の狂おしく燃え上がった恋物語から一転、穏やかなストーリー展開だった。江は一人でプンプンしていたけど、それ以外のキャストは総じて抑制的な演技を披露していた。
見応えがあったのは予想通り、大竹しのぶ演じる「おね」。江以上にプンプンしてもよさそうなものだが、そこはやはり大人。終始、冷静に振る舞っていた。と言っても、ただ淡々と演じていたのではない。抑えても滲み出てくる切ない女心を、表情で、台詞の余韻で、見事に演じ切っていた。感情を露にせず、それでいて苦しい胸の内を垣間見せることが出来るなんて、さすが名女優だ。ということで、今週のツボはベテランらしい風格が漂う大竹の名演技に決定!


冒頭、いつものような解説はなく、いきなり本編から始まった。
「何と! 帝を、でございますか!?」
「そうじゃ…来る四月、帝とその御一行をここ聚楽第にお迎えいたす」
天正十六年(1588年)正月、秀吉は三成に仰天プランを打ち明ける。
「帝の行幸となれば、ざっと150年ぶり…」
「さすが三成、よう知っておるではないか」
聚楽第を豪華絢爛にしつらえたのは、帝を迎えるためだと秀吉。道筋では音曲を奏でさせ、その中を壮々たるメンバーが練り歩く。京の町衆は腰を抜かすであろう、とも付け加える。

所変わって茶々の部屋。茶々の傍らに寄り添う江が侍女のサキに問う。
「ぎょうこう? 何じゃそれは」
「帝が内裏からお出ましになり、いずこかへとお成りあそばすことにございます」って、またまたこんな基礎的なことを台詞で説明してる。
このところ殿下は大変な勢い…と言うヨシに「何かいいことがあったのかのう…」と江。
「さあ…」とぼけつつも、何とな~く事情を察している侍女たちは茶々をチラッと見やる。
「それよりも、早く姉上の縁談を進めねば」と急かす江。
(これ以上隠してはおけない…)茶々は意を決し、侍女たちを下がらせると真相を江に話し始めた。
…と、ここでOPに突入。OP明け、大ショックを受けた江が茶々を問い詰める。
「姉上が猿と…。猿は父母と義父の敵ではありませぬか!」
「許せ…江」
「姉上は猿の側室になられたのですか?」
「側室ではない!」茶々は否定するも「側室です!!」江は叫び、部屋を飛び出していった。

一方、おねも秀吉から、茶々とデキてしまった旨の告白を受けていた。
「許してくれ~、おね!」平謝りする秀吉に「そうなったのなら仕方ないではありませぬか。あれほど、お茶々様にご執心だったのですから…」内心の動揺を必死に抑えたおねの言葉を、秀吉は真に受けてしまう。「さすがはおねじゃ! そなたなら分かってくれると思うておった~!」無邪気に喜ぶと、おねを抱き締め「聚楽第のイベントは成功させてみせるぞぉ~! ハッハッハ~!」意気揚々と部屋を出て行った。
人たらしのくせに、とことん女心には疎いなあ

迎えた四月半ば。聚楽第にて行幸を迎える日。聚楽第の全景CGが映し出されたあと、上洛した諸大名に「関白への忠誠を誓わせる誓紙」を差し出し血判を押させるシーンが40秒ほど流れただけ。台詞だけでスルーするよりはマシだけど、あまりに短かすぎ。いつものように、戦や歴史的イベントはおまけ扱いだ

夕刻、家康を茶室へ招いた秀吉は、そこでも茶々を射止めたことを自慢しまくる。
「猿の一念、岩をも通す…ですかな。ワハハッ!」
「しかし…心配なのはお江様ですな」そう釘を刺す利休に「水を差すでない。江など関わりない」秀吉は強がるが「そうでっしゃろか? 姫様にとって殿下は敵…。下手をすれば…」言いつつ茶菓子にブスッと竹串を突き立てる。殿下もこんな風に刺されまっせ~という比喩だ
家康も同調するが、秀吉は意に介さない風を装い、茶菓子をパクっと食べてしまう。

侍女のウメから、秀吉が大坂城に帰ってきているとの報せを受けた江は、秀吉のもとへ怒鳴り込む。
「この泥棒猿めがっ! よくも姉上を手込めにしおったな!」
「何も無理強いしたわけではない。茶々も自ら…」秀吉が茶々を呼び捨てにしたことで江は更にヒートアップ。殴り掛からんばかりの勢いで歩み寄り、叫ぶ。
「茶々などと呼ぶなっ! 穢らわしい!!」
騒ぎを聞きつけ、茶々が飛んでくる。
「申し訳ございませぬ」秀吉に頭を下げ「話を聞いてくれぬか?」江にも釈明しようとするが、二人の仲睦まじい様子を目の当たりにした江は申し出を無視。無言で立ち去っていった。

「許さぬ! 姉上も猿も、断じて許さぬ! ワ~~ン!!」
自室へ引き上げた江は侍女の前で号泣する。
その日から江は茶々と口も訊かなくなった。食事も別々に摂るようになった。
龍子のもとへ相談に行くが、全く嫉妬している様子も見せない上、「やっぱり女は男ねぇ。好いた好かれた男あってこその女だわ~」という呑気な答えに江は呆れる。

江が廊下で所在なげに庭を眺めていると、「お江殿、ご無沙汰しておりまする!」と快活な声。秀吉から謹慎処分を受けていた秀勝が戻ってきたのだ。
「秀吉殿の怒りが解けたのですか?」
「いえ…伯父は私を許したいようですが、断ってきました。許されねばならぬことなどしてませんから。江殿もそうでしょ?」
秀勝は、茶々と秀吉がデキてることも耳にしていた。「伯父と姉君のことを許したい…でも許せない」
「許せるわけないでしょ! あなただって、あなたを許そうとしている秀吉殿を許してないんでしょ!!」
「そうですね…でも私の心は安らかです。あなたの心も安らかになるよう祈ってます」言い残し去っていった。

それから季節は巡り、秋を迎えた頃、次女の初が里帰りしてくる。久々の再会に抱きついて喜ぶ江。茶々から文が届いたので来たのだと言う。
「江が口も訊いてくれぬと、姉上が嘆いておられたぞ。仕方あるまい…男と女は何があってもおかしくないんだし…まぁ、そなたには分からんだろうが…」
一見、大人の対応をしてるように見えるけど、初の場合、結婚生活が幸せいっぱいだから、何を聞いても怒る気にもなれないって感じだな

茶々の部屋を江と共に訪れた初は、無理やり江に頭を下げさせ詫びを入れさせる。
その席上で、茶々は懐妊した事実を告げる。
「秀吉様とのこと、父上と母上が許さぬなら、命を奪ってくれと願った。そしたら、お腹に子が宿った。それを知って許された思いがしたのじゃ…」
案の定、茶々の言葉に江は反発する。
「そんなわけありません。猿のややなど、母上は許しておられませぬ…」更なるショックを受けた江は静かに席を立ち、出ていった。

聚楽第で「茶々懐妊」の書状を受け取った秀吉は、おねの前で感涙にむせぶ。
「ワシにやっと子が出来たぁ…これほど嬉しいことはないぃ!」
そばで見守るおねの、何とも言えず寂しげな表情。こういう静かな演技にこそ、役者の力量って表れるもんだ。

「江…なぜ認めてあげぬ」
初は、江の強情さにほとほと手を焼く。
「母上が嫌い抜いておられた猿の子など認めません!」
「己れの姉に子が授かったことを喜べぬとは…そなたは人ではない! 鬼じゃ! 夜叉じゃ!!」
姉妹で大喧嘩になってしまう。
そこへ侍女がやって来て、おねが江に会いたがってる旨を伝える。

「これも役に立たなかった…」
(茶々に手を出すな)としたためられた二通の書状を差し出し、おねは江に詫びた。
「ややが出来たのは、豊臣家のためにはメデタイことだと思うておる。実は…私もそなたと同じく、茶々殿に会うのを避けておった。元気な子を産んでくれと言わねばならぬのに…」
プライベートなおねの面を押し殺してでも、オフィシャルな北政所の責任を果たさざるを得ない苦渋が、言葉の端々から滲み出る。
「今まで側室たちに寛大でいられたのは、誰にも子が出来なかったから…そう気づいたのじゃ。己れの小ささをまざまざと見せつけられた思いじゃ…」
茶々を許せない気持ちが誰よりもよく分かるおねは、江に切々と語り掛けた。
「業とは不思議なものじゃ。産まれてくる赤子が、恨みや憎しみを全て拭い去ってくれるようではないか…」
おねは(そろそろ茶々殿を許してあげてはどうじゃ?)と暗に訴え掛ける。

おねも自らの女心を心の奥底に沈め、茶々との会見の席を設ける。そこで茶々に対し、温かい激励の言葉を贈る。
「そこにおる子は、茶々殿の子であると同時に豊臣の子じゃ。それと…茶々殿は側室ではありません。秀吉の妻です。豊臣の家を守るのが私。豊臣の子を産み育てるのが茶々殿。役目が異なる妻とお心得下さい。これからも、よろしゅう頼みまする」
おねは茶々に対し、深々と頭を下げた。

「政所様はまことに大きなお方じゃ…」
茶々が初に、しみじみと語る。て…ここは、茶々と秀吉が初めて想いを通わせ、固く抱き合った東屋ではないか! そのことを知ってか知らずか(どう考えても知らないだろうが…)、初が「猿には過ぎた女房ですねぇ」と返す。
確かに、おねは器が大きい。ロケンロールの暴走亭主を手の平の上で転がす樹木希林みたいだ

そこへおずおずと現れた江。
「姉上に子ができたということは…私の甥か姪ができたということは…嬉しゅうございます」
やっと江も茶々を許すことが出来た。茶々と江は和解し、互いに涙を流しながら抱き合った。まあ、これは予想通りの展開だな
初は、二人が和解したのを見届け「私も高次様の子を作るのじゃあ!」と、晴れ晴れした顔で近江へ帰っていった。
が、大団円で終わらないのがこのドラマ。
「わが娘が秀吉の妻になりましょうとは…。しかしそのことが、江と茶々を大きく引き裂いていくことになるのでございます」
豊臣家を待ち受ける悲惨な未来を暗示するような、鈴木保奈美のナレーションでエンディングを迎える…。


今回、おねと茶々との間で、もっとバチバチした火花が飛び散るのかと思っていたが、それは外れた やはり、おねの器は並大抵ではない。同時に、大竹しのぶの女優として力量も並大抵ではない。当然ながら、上野樹里はまだ、そのレベルには及ばない。同じ天然女優として、大竹の境地にまで演技力を磨くことが出来るかな? 楽しみにしつつ、見守っていくことにしよう~