Jewellery Column-15/
『ジュエリーの歴史を学ぼう』(7)
昨日ある方から
至極真っ当なメールを戴いた。
この方とは
業界の集まりで何度かお会いしているが、
挨拶程度で
殆ど会話を取り交わした記憶がない。
私のブログを読まれて
(どのブログかは不明)
余程可哀想に思ったのだろうか。
彼曰く
「・・・貴ブログをいつも興味を持って
拝読させて頂いています。
その中で特に
ジュエリーの歴史に関するブログは
面白いし自分は好きなので、
いろいろ文献を漁り
資料や本などに目を通しています。
しかしこの業界で
ビジネスに拘っている人が歴史を学んで、
単に知識として
吸収するというだけなら、
彼らにとってのプライオリティは
かなり低いのでしょうか。
従って
如何にして商品開発のヒントや
ビジネスに繋がるか、
という点を
セミナーのポイントにしていかないと、
参加者は増えないし、
興味を持ってはくれないのでは
ないでしょうか。
自分のようなジュエリー大好き、
歴史大好きなどという者は、
ハッキリ云って
この業界では少数派です。
もっとも
直ぐに役立つといった即効性を求める人は、
そもそもレベルが低いですから、
最初は興味を持っても
長続きはしないと思いますが・・・・」
といった概要であった。
このような意見を率直に云ってくれる人が
この業界にいらっしゃる、
というのはまったくもって
嬉しい限りではある。
この方のおっしゃる通り、
私はいつもそのことで悩み、
もがいている。
そもそもジュエリーの歴史は
現代人の歴史と同じくらい長い。
そして
現代のジュエリーは
そういった長い歴史の上に立って作られ、
いま、
私たちとって生活の糧となっている、
といっても過言ではないのに、
私たちは「いま」しか見ようとしない。
また、
ジュエリーそのものは
ヨーロッパが源流であるにも拘らず、
そのヨーロッパと
ヨーロッパの歴史を理解しようとする人は
ほんの一握り。
自分の作りたいように作り、
それを買ってくれる人がいれば、
ジュエリーの何たるかも
考えずに売ってお終い(ちょっと極端過ぎるか)。
こんなことを続けていたら、
いままさに
激変している世界のジュエリー市場・業界から
ドンドン取り残されて
しまうのではないだろうか。
いまでも日本は
アメリカに次いで
消費の面からも流通の点からも
レベルは上だ、などと
大きな勘違いをしているから、
例えば真珠のように、
日本が主舞台であったのに、
いつの間にか香港に移ってしまっているのを
知る由もない。
しかもそれを
他人事のような気分でいることが
実は問題ではあるのだ。
一方消費者や個客は
1980年代の長いバブルと
それに続くデフレを経験して
現在に至っているから、
モノを安く買うことを知り尽くしているし、
ジュエリーや宝石よりも
もっと楽しくて面白い「モノ」や「コト」に
関心がいってしまっている
というのが現実だろう。
勿論、
ジュエリーの歴史を学べば、
全て解決する筈もないが、
良識ある業界人なら
もう少し、
ジュエリーの歴史について理解を持つ必要がある、
ということを
識るのではないだろうか。