サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

第24回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展

2021年02月21日 | 今日の肖像

24回岡本太郎現代芸術賞展の授賞式に行ってきました。
じつは今回、出品してて。11年ぶりの出品です。

11年前の作品『プロ野球画報』は、
東北楽天ゴールデンイーグルスの2009年の戦いを銅版画で描き綴ったものでした。
今は亡き野村克也監督から書き記していただいた
“人生とは自分探しの長い旅”という言葉によって締めくくられた作品です。

で翌年、僕は東京ヤクルトスワローズの門を叩き、活動を継続、
銅版画からシルクスクリーンを経て、ペン画に色鉛筆で着色するスタイルに到って6年目の2015年、
セ・リーグ優勝!

真中監督の胴上げを描くことで、スワローズでの活動を終えます。
その辺りのことは拙著『プロ野球画報2015 東京ヤクルトスワローズ全試合(雷鳥社)』
に詳しいので、そちらを是非。

その後、一年間、千葉ロッテマリーンズに逗留し、
2017年からはJリーグに舞台を移し、今はJ2・FC町田ゼルビアの試合を描いています。

さて、それと並行した活動が『に・褒められたくて』という版画シリーズ。
会いたい著名人に会いに行って写真を撮らせていただき、それを素材に版画を制作、
版画が仕上がると2枚刷って再び会いに行き、1枚を贈呈、
気に入っていただけたら、もう1枚にコメントを寄せていただくことで完結させるというコラボ作品。
これは拙著『に・褒められたくて 版画家・ながさわたかひろの挑戦(編集室屋上)』に詳しく。

そして2019年、大学時代に挫折したペインティングに向き合うべく、意を決して筆を持ち、
『に・褒められたくて』のペインティング版『愛の肖像画』シリーズを始めました。
その矢先に沸いたコロナ騒動、そして出された昨年4月の緊急事態宣言により、
人に会いに行くということが出来なくなりました。
アポなし、飛び込みで会いに行くことが多いので、自粛せざるを得ません。
Jリーグは無観客の試合が続き、練習場の見学も許されず、どちらの活動も八方塞がり。

ならば自粛生活の間、自主練して次に備えよう。そうだ、
普通に絵の具を使って絵を描けるようにならなきゃだ!
そんな思いで始めたのが、一日一枚の肖像画です。
毎日、その日のトピックから選んだ人をお一人、描いています。
今、ちょうど300枚(300人)を超えたところ。
それが現在、川崎市岡本太郎美術館に並んでいます。

会期終了の前日に365人=1年の記録になる予定です。

僕は大学時代、一種のノイローゼのような状態に陥り、
筆を持つこと、絵の具を扱うことが出来なくなりました。
キャンバスを前にすると胸が苦しくなり、手が震えだす。
混色すると、何をどう混ぜてもドス黒くなります。
もうダメだと思いました。
でも、大学を辞める勇気はなく、
逃げる様に向かったのが学内の一番奥にある工房でした。油絵学科、版画コース。
筆をニードル(針)に持ち替え、銅板を引っ掻くことで成立する銅版画に救われた思いでした。
しかし!
それからず〜っと、20年以上を経た今でも、逃げたというシコリを抱えています。
いい加減、この躓きを克服しなきゃ…

緊急事態宣言が出されたとき、今やろう、と思いました。
どうせ巣ごもるんだから、誰にも会いに行けないんだから、
独り、自分が抱えている問題に向き合おう。

それから毎日、誰かを、筆で描いています。
有名無名関係なく、その日その日で気になる人を。

1枚目は現役時代(南海ホークス)の野村克也・選手です。
で、偶然にも、今回の展示に充てがわれた場所が11年前のそれと同じ場所でした。
なんか、ちょっといい風が吹いてるように思うでしょ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

で、授賞式のこと。
TARO賞って、授賞式まで結果が発表されないんですよね。
で、授賞式で作家全員が集められて、特別賞(3等)、敏子賞(2等)、
最後にTARO賞(グランプリ)の順で読み上げられていくんですけど、
やっぱり、ちょっと期待しちゃいますよね〜 そこにいるんだから。

ただ、授賞式の前に会場を見て回って、図抜けてるっていうか、
個人的にコレは!って思う作品が2点あって。
じゃあ自分に見込める賞があるとすれば、特別賞だなって思うわけです。

で、最初に「今年の特別賞は5人です」ってアナウンスがあって。
3人まで読み上げられたときに、これ、五十音順だって分かりました。
で、4人目が「ウジンバラ」さん。
ピッタリ。
次、5人目は「…」と、ドキドキしてたら「ユウテイ」さんって。
ガクッと椅子からずり落ちました。
誰も気付いてないと思うけど、恥ずかしかった〜

で、敏子賞はモリソン小林さん(↓黄色い帽子の人)これは予想通り。

一見すると植物、よく見ると鉄製っていう驚きがある作品。

 

「さぁ最後です、TARO賞は〜」って、でも、この人だろうって思った人がスルーされて、
大西芽布さんです!」って。
「大西さんは高校3年生、史上最年少の受賞者です!」って。

与えられた壁面にビッシリの油絵。壁面の前にイーゼルを立てて、そこにも油絵。しかも両側っていう。。

授賞式の後は展示会場に移動して、マスコミ向けの取材。
と言われても、平入選ではすることないんで、大西さんが受けてる取材を記者に混じって聞いてました。
「この中には、中学3年のときに描いた絵もあります」とか、
「これから東京芸大の受験です」とか。。

凄いな〜


あと、僕が個人的にこれは!と思ったもう一つの作品ってのは、
山崎良太さんの『挑む戦闘服』です。
記念に写真を撮らせていただきました。

ホント、イイです。

 

僕の作品。
タイトルは『ウィズコロナの肖像』としました。
緊急事態宣言から始めて、今も続けている連作です。(自分のを撮影するの、忘れてました…)

現在、約300枚が並んでいます。会期中も増えていきます。
毎日筆を持って、絵の具を混色して描いてきて、今、長い苦しみからようやく解放されつつあります。
とりあえず手は震えないし、画面が黒くもありません。
コロナ禍が収束するまで続けるつもりです。
願掛けみたいなもので、やりきれたら普通に絵を描けるようになるって信じてる。
ぜひ、見に行ってみてください。

 

お土産として、昨シーズン終了後に制作して選手に渡した「2020年ゼルビアポスター」
のTARO賞バージョンを積み上げてあります。

記念に持ち返ってくださいね〜

 


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