天使禁猟区という漫画の小話。
サンダルフォン→ライラという超マイナー・・自覚はしてます(^^;
OKな方はどぞ!暗いよ!
====
誰もが僕の姿を同情と蔑み、好奇の視線で見た。
巨大な肉塊に数多の瞳、胴体手足は無く人の形すら為していない。
天使というより悪魔という方が相応しいと誰もが囁く。
こんな醜い姿が僕だって…?
信じられないし信じたくない。
神たる父は僕こそが天上を統べる至高の存在だと、そう言ったではないか。
巨大な水槽に浸かりながら答えが出る筈のない問答を永遠と繰り返す。
それは醒めることの無い悪夢に似ていた。
「あら、起きていたの?」
柔らかな優しい女の人の声がしてゆっくり瞼を持ち上げると人工羊水を通して浮かぶのは青みがかった黒髪に雪のような白い肌、赤い唇、薄い水色の瞳の大好きな彼女。
“私は完璧な肉体とお力を持った御子を創り出してみせる”
彼女は僕を蘇らせる研究チームの一人。
誰もが嫌悪の目で見る僕を君だけは優しく微笑みかけてくれた。
誰よりも厳しい戒律を自身に課し研究に余念のない君は時々こうして僕の所にふらりと寄ってくれる。
そして美しい声で子守唄を歌うのだ。
“神の御前で歌えるのは男性だけよ。だから私はこの子の為だけに歌うことにしたの”
嬉しかった。
彼女と僕だけの秘密。
僕の為だけの子守唄。
彼女の唄を聞くと悪夢を見ずに眠れる。
君が好き。好きだよ。
だから君を傷つけるすべてのものから君を守ってあげる。
“お前が本当に全能の力を持つのなら…私を助けて。世界を綺麗にするために。だから一番汚いものも消さなくちゃ。…だから私も消さなくちゃね”
最後に彼女がこの部屋を訪れた時に言った言葉。
美しかった声は掠れ、白い肌にいくつもの痣、乱れた黒髪、理知的だった瞳には狂気の色が見える。
乱れた服、下肢をつたう緋色。
いいよ、大好きな君の願いなら叶えてあげる。
…だってそう仕向けたのは僕なんだから。
君が自分の心を乱すあの男達に揺れ動いていたのは知っている。
そんなの駄目、だめだよ。君が本当に大切なのは僕だけでしょう?
本当は消えて欲しいと思っていたでしょう?
僕には君しかいないんだ。
君を妬む同僚にちょっと悪夢を見せただけで思い通りに動いてくれた。
君はあの男を刺して僕の元に来た。
僕だけを頼って。
君の歌が聞けなくなってしまったことはとても残念だったけど…君は僕のものになった。
そのまま気を失った君は警備兵に拘束された。
たとえ合意がなくとも禁を犯した女はリリスの烙印を捺され下層へと落とされる運命。
天界裁判を終えて、あの男達の翼が切り落とされた後、僕はようやく君に会いに行った。
もちろん他人の体を借りたので君は僕が分からなかったみたいだけど。
美しかった黒髪はすっかり白く変わり左の頬には「魔王の妻」の刻印、絶望を宿した虚ろな瞳に仮の姿の僕が映る。
“君の存在を消しに来たよ。君に望みの力をあげる。新たに生まれ変わればいい。一緒に世界を綺麗にしよう?”
僕が用意した名前と与えた力を使って彼女はめきめきと頭角を表した。
白い天使の異名をもつ冷酷で残忍な独裁者へと。
一点の曇りもない白い世界。
完璧な天使のみが織り成す美しい至高天。
彼女は自分の理想に取り付かれたようだった。
でも僕は知ってる。
独裁者の仮面がほんの少しだけ外れる瞬間。
悪夢に脅える幼子が眠りに落ちるまで、以前のような子守唄は聞かれないけども優しく髪を梳く温かい手。
それは僕の双子の兄…メタトロンに対して注がれていた。
どうして?どうして僕じゃないの?
僕に体が無いから?
だから僕を忘れてしまうの?
君を助けたのは僕なのに、僕の力を恐れた君は僕を揺り篭に封印した。
酷いよ。
こんなにも君が好きなのに。
体さえ、体さえあれば…。
ロシエル…あの狂天使が現れてから保身に走る彼女の隙をついて僕は復活した。
ねぇメタトロン。
君はジブリールが好きなんでしょ?
君にはジブリールをあげる。
だから僕には彼女を頂戴?
あの白い鳥を。
僕らは双子の兄弟だもの、仲良く二人で分けようね…。
もうすぐ君の元へ行くよ。
待ってて、僕を産んでくれる美しい人。
僕は僕なりに君を愛しているんだよ、ライラ。
====
マイナーもマイナー、どマイナーですね←
昔から天禁の中ではセヴィーが好きでして。(色んな意味で酷いキャラですけど)
サンダルフォンはめちゃくちゃ歪んでますが彼女に母性と好意を感じてたんじゃないかなーと思うわけです。
裏切られた って想いもあったでしょうね・・。
無理矢理、事に応じたのは報復の意味合いも兼ねてたのかな。。
沙羅の時は悪夢を見せて抵抗されなかったわけですし。
無邪気な子供の残酷さも感じますけどね。
あぁ全く需要がなさそうな感じ(笑
サンダルフォン→ライラという超マイナー・・自覚はしてます(^^;
OKな方はどぞ!暗いよ!
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誰もが僕の姿を同情と蔑み、好奇の視線で見た。
巨大な肉塊に数多の瞳、胴体手足は無く人の形すら為していない。
天使というより悪魔という方が相応しいと誰もが囁く。
こんな醜い姿が僕だって…?
信じられないし信じたくない。
神たる父は僕こそが天上を統べる至高の存在だと、そう言ったではないか。
巨大な水槽に浸かりながら答えが出る筈のない問答を永遠と繰り返す。
それは醒めることの無い悪夢に似ていた。
「あら、起きていたの?」
柔らかな優しい女の人の声がしてゆっくり瞼を持ち上げると人工羊水を通して浮かぶのは青みがかった黒髪に雪のような白い肌、赤い唇、薄い水色の瞳の大好きな彼女。
“私は完璧な肉体とお力を持った御子を創り出してみせる”
彼女は僕を蘇らせる研究チームの一人。
誰もが嫌悪の目で見る僕を君だけは優しく微笑みかけてくれた。
誰よりも厳しい戒律を自身に課し研究に余念のない君は時々こうして僕の所にふらりと寄ってくれる。
そして美しい声で子守唄を歌うのだ。
“神の御前で歌えるのは男性だけよ。だから私はこの子の為だけに歌うことにしたの”
嬉しかった。
彼女と僕だけの秘密。
僕の為だけの子守唄。
彼女の唄を聞くと悪夢を見ずに眠れる。
君が好き。好きだよ。
だから君を傷つけるすべてのものから君を守ってあげる。
“お前が本当に全能の力を持つのなら…私を助けて。世界を綺麗にするために。だから一番汚いものも消さなくちゃ。…だから私も消さなくちゃね”
最後に彼女がこの部屋を訪れた時に言った言葉。
美しかった声は掠れ、白い肌にいくつもの痣、乱れた黒髪、理知的だった瞳には狂気の色が見える。
乱れた服、下肢をつたう緋色。
いいよ、大好きな君の願いなら叶えてあげる。
…だってそう仕向けたのは僕なんだから。
君が自分の心を乱すあの男達に揺れ動いていたのは知っている。
そんなの駄目、だめだよ。君が本当に大切なのは僕だけでしょう?
本当は消えて欲しいと思っていたでしょう?
僕には君しかいないんだ。
君を妬む同僚にちょっと悪夢を見せただけで思い通りに動いてくれた。
君はあの男を刺して僕の元に来た。
僕だけを頼って。
君の歌が聞けなくなってしまったことはとても残念だったけど…君は僕のものになった。
そのまま気を失った君は警備兵に拘束された。
たとえ合意がなくとも禁を犯した女はリリスの烙印を捺され下層へと落とされる運命。
天界裁判を終えて、あの男達の翼が切り落とされた後、僕はようやく君に会いに行った。
もちろん他人の体を借りたので君は僕が分からなかったみたいだけど。
美しかった黒髪はすっかり白く変わり左の頬には「魔王の妻」の刻印、絶望を宿した虚ろな瞳に仮の姿の僕が映る。
“君の存在を消しに来たよ。君に望みの力をあげる。新たに生まれ変わればいい。一緒に世界を綺麗にしよう?”
僕が用意した名前と与えた力を使って彼女はめきめきと頭角を表した。
白い天使の異名をもつ冷酷で残忍な独裁者へと。
一点の曇りもない白い世界。
完璧な天使のみが織り成す美しい至高天。
彼女は自分の理想に取り付かれたようだった。
でも僕は知ってる。
独裁者の仮面がほんの少しだけ外れる瞬間。
悪夢に脅える幼子が眠りに落ちるまで、以前のような子守唄は聞かれないけども優しく髪を梳く温かい手。
それは僕の双子の兄…メタトロンに対して注がれていた。
どうして?どうして僕じゃないの?
僕に体が無いから?
だから僕を忘れてしまうの?
君を助けたのは僕なのに、僕の力を恐れた君は僕を揺り篭に封印した。
酷いよ。
こんなにも君が好きなのに。
体さえ、体さえあれば…。
ロシエル…あの狂天使が現れてから保身に走る彼女の隙をついて僕は復活した。
ねぇメタトロン。
君はジブリールが好きなんでしょ?
君にはジブリールをあげる。
だから僕には彼女を頂戴?
あの白い鳥を。
僕らは双子の兄弟だもの、仲良く二人で分けようね…。
もうすぐ君の元へ行くよ。
待ってて、僕を産んでくれる美しい人。
僕は僕なりに君を愛しているんだよ、ライラ。
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マイナーもマイナー、どマイナーですね←
昔から天禁の中ではセヴィーが好きでして。(色んな意味で酷いキャラですけど)
サンダルフォンはめちゃくちゃ歪んでますが彼女に母性と好意を感じてたんじゃないかなーと思うわけです。
裏切られた って想いもあったでしょうね・・。
無理矢理、事に応じたのは報復の意味合いも兼ねてたのかな。。
沙羅の時は悪夢を見せて抵抗されなかったわけですし。
無邪気な子供の残酷さも感じますけどね。
あぁ全く需要がなさそうな感じ(笑
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