一年くらい前に書いたもの。
もう完結しない気がするので未完だけど上げちゃいます。(←貧乏性
それでも良いって方はお進み下さい(^^
気持ちネウヤコ。
====
学校は弥子にとってネウロの目が届かない、ある意味生活の中のオアシスだった。授業開始前の教室のざわめきは夕べのドラマの話、今日の授業や宿題、新しい噂など生徒達の活気ある声から形成される。弥子はジャムパンをかじりながら親友の叶絵のいつもの恋人談義に耳を傾けていた。また恋人と別れたらしいが、傷ついた様子など微塵も無く新たな出会いについて模索している。よくやるなぁ・・と苦笑を浮かべるとマスカラやアイラインで強調された目をじろり。
「そういうヤコはどうなの?良い人いないの~?」
「うーん・・」
探偵役を引き受けてから様々なタイプの人間に出会い学ぶことは多かった。しかし恋愛と言われるとそんな艶っぽい話など欠片も浮かんでこない現場。ましてや弥子には叶絵ほど恋愛に対し強い興味が無かった。
「多分今は花龍のあんかけ焼きそばに恋してるかな」
「あんた・・それじゃ一生彼氏出来ないよ」
ガックリと脱力したように肩を落とす。でもまぁヤコらしいと諦め半分の視線を向けた。
「そう言えば今日から教育実習生が来るんだってさ」
「へぇ・・季節外れだね」
「男かな?女かな?良い男だと良いなぁ・・」
うっとりと両手を頬に添えて妄想の世界へ旅立つ親友。弥子はそんな叶絵の整えられた爪に目をやりながらメロンパンの袋を開けた。
「今日の学食は何かなぁ・・」
始業開始のチャイムとほぼ同時に中年の担任が教室のドアを開ける。ざわめいていた教室は急に静かになり日直が張りの無い声で号令を掛けた。
「え~諸君らも聞いていると思うが今日から教育実習生が来る」
生徒達の関心が一気に教卓へと向けられる。弥子は大した興味も無く担任の薄くなった頭を眺めた。
「入りなさい」
担任が声を掛けるとすらりとした長身がドアをくぐる。再びざわめきが強くなる教室。見慣れた金緑の髪が出てきた時、弥子は雷が己の体に落ちてきたのではないかと思った。
「ネウロ!」
気がついた時にはもう遅い。立ち上がって大声を発した自分に好奇の視線が突き刺さる。水を打ったように静まり返った教室に淡々とした担任の声が響いた。
「何だ、桂木の知り合いか?まぁとにかく座りなさい」
恥ずかしさで身の置き場も無い。縮こまるように椅子に座って担任の横に立つ男に恨みを込めた視線を送る。
「脳噛ネウロです。担当は数学。短い間ですが宜しくお願いします」
にこにこと助手顔でありがちな挨拶を述べるネウロ。いつもと違う黒いスーツを身に纏い少し長めの髪を束ねて銀縁の眼鏡を掛けている。
(私の学園天国がぁああああ・・・・)
頭を抱えた弥子の苦悩を誰一人知らず生徒達は新しい先生の秀麗さにほぅと溜息を吐いた。
ネウロはホームルームで簡単な挨拶を述べた後教室を出て行った。予想通り休み時間に入ると他の生徒達の質問攻めにあう。知り合い?どういう関係?名前で呼ぶなんて親しげ。どこの大学?モデルさん?恋人は?他多数。頭が痛くなってきた。とりあえず親戚だと説明し授業の合間の攻撃をかわした。
そして昼休み。質問攻めにあう前に弥子は教室を抜け出し、購買でパンとおにぎりを腕一杯購入すると屋上へ上がった。冷たい風が吹きつけるどんよりとした曇り空のせいか他の生徒の姿は見受けられない。
「くっそ~ネウロめ・・。今日のB定はマグロの竜田揚げだったのにーーー!!!」
テレビの未成年の主張のように誰も居ないグラウンドに向かって大声で叫ぶ。幾分スッキリとした表情で手摺に背を向けると、そこには今しがた非難した相手が腕を組んで立っていた。ばさばさと腕の中の昼食達が落ちる。
「奇遇ですね。桂木さん」
一見柔らかな微笑を浮かべているが、その瞳の奥には獰猛な光が宿っている。慇懃無礼な口調がかえって怖い。ネウロが屋上の入り口を一瞥すると音も無く扉が閉まった。ガラリと雰囲気が毒気を帯びたものに変わるが弥子にとってはいつものこと。
「どういうこと!?何しに来たの!?」
「謎があるからに決まっておろう」
そんなことも分からないのかと露骨に見下した顔。他の生徒が見たら、その変わりように度肝を抜くに違いない。
「だからって・・!実習生として潜り込まなくても」
「ふむ。貴様の学園生活も見てみたかったものでな」
「やめてよ!私の楽園が・・・!」
言った後で後悔した。しまった、こいつは嫌がらせが大好きだった。
くいっと眼鏡を上げて喜色に満ちた瞳を弥子に注ぐ。
「安心しろ。我が輩とてそう目立つ真似はしない」
もう十分目立っている・・喉元まで出掛かった言葉を何とか飲み下した。
「謎って?学校で何かが起こるの?」
「近々な」
嬉しそうなネウロとは反対に弥子の顔は暗くなる。友人や教師が事件に巻き込まれるのだろうか。
「ヤコ。謎は生まれるべくして生まれるのだ。以前教えた筈だが?」
「こういう時は察し良いんだから」
思わず唇を尖らせる。
「では我が輩は戻るぞ。楽しみにしていろ」
====
ここまでです。
半端ですみませ・・!
この後ネウロが弥子に超難題を他の生徒の前で当てたりとか色々妄想はしてたんですが、いかんせんオチがつかず・・(え?いつものこと?
お付き合い頂きありがとうございました!
もう完結しない気がするので未完だけど上げちゃいます。(←貧乏性
それでも良いって方はお進み下さい(^^
気持ちネウヤコ。
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学校は弥子にとってネウロの目が届かない、ある意味生活の中のオアシスだった。授業開始前の教室のざわめきは夕べのドラマの話、今日の授業や宿題、新しい噂など生徒達の活気ある声から形成される。弥子はジャムパンをかじりながら親友の叶絵のいつもの恋人談義に耳を傾けていた。また恋人と別れたらしいが、傷ついた様子など微塵も無く新たな出会いについて模索している。よくやるなぁ・・と苦笑を浮かべるとマスカラやアイラインで強調された目をじろり。
「そういうヤコはどうなの?良い人いないの~?」
「うーん・・」
探偵役を引き受けてから様々なタイプの人間に出会い学ぶことは多かった。しかし恋愛と言われるとそんな艶っぽい話など欠片も浮かんでこない現場。ましてや弥子には叶絵ほど恋愛に対し強い興味が無かった。
「多分今は花龍のあんかけ焼きそばに恋してるかな」
「あんた・・それじゃ一生彼氏出来ないよ」
ガックリと脱力したように肩を落とす。でもまぁヤコらしいと諦め半分の視線を向けた。
「そう言えば今日から教育実習生が来るんだってさ」
「へぇ・・季節外れだね」
「男かな?女かな?良い男だと良いなぁ・・」
うっとりと両手を頬に添えて妄想の世界へ旅立つ親友。弥子はそんな叶絵の整えられた爪に目をやりながらメロンパンの袋を開けた。
「今日の学食は何かなぁ・・」
始業開始のチャイムとほぼ同時に中年の担任が教室のドアを開ける。ざわめいていた教室は急に静かになり日直が張りの無い声で号令を掛けた。
「え~諸君らも聞いていると思うが今日から教育実習生が来る」
生徒達の関心が一気に教卓へと向けられる。弥子は大した興味も無く担任の薄くなった頭を眺めた。
「入りなさい」
担任が声を掛けるとすらりとした長身がドアをくぐる。再びざわめきが強くなる教室。見慣れた金緑の髪が出てきた時、弥子は雷が己の体に落ちてきたのではないかと思った。
「ネウロ!」
気がついた時にはもう遅い。立ち上がって大声を発した自分に好奇の視線が突き刺さる。水を打ったように静まり返った教室に淡々とした担任の声が響いた。
「何だ、桂木の知り合いか?まぁとにかく座りなさい」
恥ずかしさで身の置き場も無い。縮こまるように椅子に座って担任の横に立つ男に恨みを込めた視線を送る。
「脳噛ネウロです。担当は数学。短い間ですが宜しくお願いします」
にこにこと助手顔でありがちな挨拶を述べるネウロ。いつもと違う黒いスーツを身に纏い少し長めの髪を束ねて銀縁の眼鏡を掛けている。
(私の学園天国がぁああああ・・・・)
頭を抱えた弥子の苦悩を誰一人知らず生徒達は新しい先生の秀麗さにほぅと溜息を吐いた。
ネウロはホームルームで簡単な挨拶を述べた後教室を出て行った。予想通り休み時間に入ると他の生徒達の質問攻めにあう。知り合い?どういう関係?名前で呼ぶなんて親しげ。どこの大学?モデルさん?恋人は?他多数。頭が痛くなってきた。とりあえず親戚だと説明し授業の合間の攻撃をかわした。
そして昼休み。質問攻めにあう前に弥子は教室を抜け出し、購買でパンとおにぎりを腕一杯購入すると屋上へ上がった。冷たい風が吹きつけるどんよりとした曇り空のせいか他の生徒の姿は見受けられない。
「くっそ~ネウロめ・・。今日のB定はマグロの竜田揚げだったのにーーー!!!」
テレビの未成年の主張のように誰も居ないグラウンドに向かって大声で叫ぶ。幾分スッキリとした表情で手摺に背を向けると、そこには今しがた非難した相手が腕を組んで立っていた。ばさばさと腕の中の昼食達が落ちる。
「奇遇ですね。桂木さん」
一見柔らかな微笑を浮かべているが、その瞳の奥には獰猛な光が宿っている。慇懃無礼な口調がかえって怖い。ネウロが屋上の入り口を一瞥すると音も無く扉が閉まった。ガラリと雰囲気が毒気を帯びたものに変わるが弥子にとってはいつものこと。
「どういうこと!?何しに来たの!?」
「謎があるからに決まっておろう」
そんなことも分からないのかと露骨に見下した顔。他の生徒が見たら、その変わりように度肝を抜くに違いない。
「だからって・・!実習生として潜り込まなくても」
「ふむ。貴様の学園生活も見てみたかったものでな」
「やめてよ!私の楽園が・・・!」
言った後で後悔した。しまった、こいつは嫌がらせが大好きだった。
くいっと眼鏡を上げて喜色に満ちた瞳を弥子に注ぐ。
「安心しろ。我が輩とてそう目立つ真似はしない」
もう十分目立っている・・喉元まで出掛かった言葉を何とか飲み下した。
「謎って?学校で何かが起こるの?」
「近々な」
嬉しそうなネウロとは反対に弥子の顔は暗くなる。友人や教師が事件に巻き込まれるのだろうか。
「ヤコ。謎は生まれるべくして生まれるのだ。以前教えた筈だが?」
「こういう時は察し良いんだから」
思わず唇を尖らせる。
「では我が輩は戻るぞ。楽しみにしていろ」
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ここまでです。
半端ですみませ・・!
この後ネウロが弥子に超難題を他の生徒の前で当てたりとか色々妄想はしてたんですが、いかんせんオチがつかず・・(え?いつものこと?
お付き合い頂きありがとうございました!