懲りずにまたやりました。
じょーかーじょーなイメソン!
和訳を眉毛っぽい口調にしたのが楽しかったv
雨 と 自由 ってキーワードさえあれば自然とあの二人に変わる脳みそです。
個人的には
UNDO 眉毛視点。
リライト アル視点。
星の見えない夜 アル視点。
Midnight down アル視点。
05410-(ん) 眉毛視点。
蒼の世界 アル視点かなー。
でもお好きに妄想してくださいv
じょーかーじょーなイメソン!
和訳を眉毛っぽい口調にしたのが楽しかったv
雨 と 自由 ってキーワードさえあれば自然とあの二人に変わる脳みそです。
個人的には
UNDO 眉毛視点。
リライト アル視点。
星の見えない夜 アル視点。
Midnight down アル視点。
05410-(ん) 眉毛視点。
蒼の世界 アル視点かなー。
でもお好きに妄想してくださいv
落書きですがMAD(と果たしていえるのか疑問だが)作ってます。
前に書いたやつにつけたしたりして。
そしたら・・天体観測の動画ニコに上がってましたね!!
うぁ~二番煎じになってしまった・・!
やっぱり同じこと考える人はいるんですねー。
歌詞がアルだもんね!!←
どうしようかな・・まぁニコに上げるなんて低クオリティすぎて恐れ多いけど・・。
そんなこと言いつつうpしてたら笑ってやって下さい。
イヴァアルイメソン作ったらジョーカーも作りたくなる罠。
でも絶対かぶってそうだしな!
ジョーカーイメソンは多すぎて把握しきれないw
前に書いたやつにつけたしたりして。
そしたら・・天体観測の動画ニコに上がってましたね!!
うぁ~二番煎じになってしまった・・!
やっぱり同じこと考える人はいるんですねー。
歌詞がアルだもんね!!←
どうしようかな・・まぁニコに上げるなんて低クオリティすぎて恐れ多いけど・・。
そんなこと言いつつうpしてたら笑ってやって下さい。
イヴァアルイメソン作ったらジョーカーも作りたくなる罠。
でも絶対かぶってそうだしな!
ジョーカーイメソンは多すぎて把握しきれないw
米日?
1854年3月31日(旧暦の3月3日)日米和親条約が締結した日。
ちょい黒メリカ。
====
長かった冬は終わりを告げ薄桃の花が散る3月3日。とうとう2百年以上にわたる鎖国が解かれた。久方ぶりにつけた裃を脱ぎ捨て、紋付けに着替えるとようやく肩が軽くなる。調印を終えたとはいえこれから更に交渉は続けられるだろう。いつになったら帰ってくれるのだろうか。鬱々とした気分を隠しきれない。溜息を吐いても胸の中の鉛は少しも軽くならなかった。これから一波乱起こる。それは予感では無く確信めいたものとして日本の心に影を落とした。
「おーい!誰かいないのかーい!」
底抜けに明るい声が玄関の方から聞こえる。声の主は容易に想像がついた。先程強引なまでに日本を開国させた国。大刀と脇差を腰に差し足音も無く彼の元へ趣く。初めての時は戸惑いを隠せなかったが今となってはすでに日常と化していた。
「アメリカさん・・」
日本の姿を認めるとにっこりと笑った。アメリカは正装から少し軽めのスーツに着替えている。
「一人で外を出歩くのは危険ですよ。私の家では・・あなた方に良い感情を持っていませんから」
何度注意したか分からないがすでに口癖のようになってしまった。日本としては彼がここまで一人で来るという神経が分からない。もしどこかの浪人が彼に斬りつけでもすればたちまち戦争となる。そうなれば我が国はひとたまりも無いだろう。その危うさを分かっているのかいないのか。出会ってから一年、ここに滞在して一月になるが未だに日本はアメリカという国が分からなかった。明るくて人懐っこいかと思えば、軍事力を盾に強引に開国を迫る。彼の中には人格が2つあるのではないだろうか。
「花があまりに綺麗だったからさ。一緒に散歩に行かないかい?」
きらきら光る青い目が印象的だった。ここで断って一人で行かれても困る。溜息を悟られないようにしながら草履を履いた。少し行くと桜並木がある。そこまでで充分だろう。
並んで歩くと彼の体格の良さが嫌でも目につく。これまで何度かアメリカ人に会ったが皆背が高くがっしりとした者ばかりだった。いや・・我が国の民が小さいのかもしれない。鮮やかな髪も瞳も初めて触れる。世界は広い。アメリカが来て一番実感していることだった。
「怒っているのかい?」
「・・・・」
黙りこくった日本を不思議に思ったのか、内容の割には深刻さが欠片も感じられない口調だった。そのことが日本を苛立たせる。
「そりゃ、ちょっと強引だったかなぁとは思っているよ。でも・・」
すっとアメリカが日本の手を取る。白い手の甲に唇を寄せて微笑んだ。
「こんな細腕で何が出来るの?」
背中を這いずり回る悪寒と血が頭に上る感覚。アメリカの手を払いのけて大刀に手を掛ける。抜刀しなかったのは最後の理性。
「私を侮辱するなら許しませんよ」
確かに国力は比べ物にならないだろう。だが好き勝手蹂躙されて黙っているほどお人好しでもない。殺気を込めて睨み付けても微笑を絶やさないアメリカ。滑るように鯉口を切る。
「サムライだね」
アメリカは満足そうに頷いた。
「私を・・からかったのですか」
「答えはNOだよ。それだけの気概があれば大丈夫」
「・・・?」
「俺が君と和親条約を結んだことはすぐに世界に広まるよ。そしたら他の国々も君と関わりを持ちたがる。そうだな・・きっとイギリスかロシアあたりが近々来ると思うよ」
「なんですって・・?」
「日本君。君は世界を知らない。清・・アヘン戦争に敗れた中国の話は知っているだろ?」
鎖国中も交易を続けていた数少ない国の一つ中国。アヘン戦争に敗れた彼は列強の半植民地と化してしまった。探るように真っ青に晴れた空と同じ色をした瞳を覗き込む。澄んでいるのに底が見えない。日本は改めてとんでもない国と条約を結んでしまったのではないかと思った。
「私が同じ轍を踏むと?」
「だから、今みたいに跳ね除ければ良いんだぞ」
にっこり笑う顔は無邪気そのもの。心配してくれた、とは思わない。口には出さないが日本を自由に出来るのは自分だけだと思っている、そんな傲慢な空気が鼻についた。
いつの間にか手の平が汗ばんでいる。余裕を見せ付けるアメリカに唇を噛んだ。ここまで違うものなのか。
「あなたは油断ならない国だ」
伏し目がちに笑ったその姿がいつまでも日本の脳裏から離れなかった。
====
大河見てぶわぁあああっと来てしまった開国ネタです。
サムライな日本萌える!羽織袴と帯刀した日本萌える!
ご本家の開国漫画でアメリカが「日本君」って言っているのに禿萌える!←
幕末話はまた書きたいな~。
この頃の2人を想像するとたまらん・・。
1854年3月31日(旧暦の3月3日)日米和親条約が締結した日。
ちょい黒メリカ。
====
長かった冬は終わりを告げ薄桃の花が散る3月3日。とうとう2百年以上にわたる鎖国が解かれた。久方ぶりにつけた裃を脱ぎ捨て、紋付けに着替えるとようやく肩が軽くなる。調印を終えたとはいえこれから更に交渉は続けられるだろう。いつになったら帰ってくれるのだろうか。鬱々とした気分を隠しきれない。溜息を吐いても胸の中の鉛は少しも軽くならなかった。これから一波乱起こる。それは予感では無く確信めいたものとして日本の心に影を落とした。
「おーい!誰かいないのかーい!」
底抜けに明るい声が玄関の方から聞こえる。声の主は容易に想像がついた。先程強引なまでに日本を開国させた国。大刀と脇差を腰に差し足音も無く彼の元へ趣く。初めての時は戸惑いを隠せなかったが今となってはすでに日常と化していた。
「アメリカさん・・」
日本の姿を認めるとにっこりと笑った。アメリカは正装から少し軽めのスーツに着替えている。
「一人で外を出歩くのは危険ですよ。私の家では・・あなた方に良い感情を持っていませんから」
何度注意したか分からないがすでに口癖のようになってしまった。日本としては彼がここまで一人で来るという神経が分からない。もしどこかの浪人が彼に斬りつけでもすればたちまち戦争となる。そうなれば我が国はひとたまりも無いだろう。その危うさを分かっているのかいないのか。出会ってから一年、ここに滞在して一月になるが未だに日本はアメリカという国が分からなかった。明るくて人懐っこいかと思えば、軍事力を盾に強引に開国を迫る。彼の中には人格が2つあるのではないだろうか。
「花があまりに綺麗だったからさ。一緒に散歩に行かないかい?」
きらきら光る青い目が印象的だった。ここで断って一人で行かれても困る。溜息を悟られないようにしながら草履を履いた。少し行くと桜並木がある。そこまでで充分だろう。
並んで歩くと彼の体格の良さが嫌でも目につく。これまで何度かアメリカ人に会ったが皆背が高くがっしりとした者ばかりだった。いや・・我が国の民が小さいのかもしれない。鮮やかな髪も瞳も初めて触れる。世界は広い。アメリカが来て一番実感していることだった。
「怒っているのかい?」
「・・・・」
黙りこくった日本を不思議に思ったのか、内容の割には深刻さが欠片も感じられない口調だった。そのことが日本を苛立たせる。
「そりゃ、ちょっと強引だったかなぁとは思っているよ。でも・・」
すっとアメリカが日本の手を取る。白い手の甲に唇を寄せて微笑んだ。
「こんな細腕で何が出来るの?」
背中を這いずり回る悪寒と血が頭に上る感覚。アメリカの手を払いのけて大刀に手を掛ける。抜刀しなかったのは最後の理性。
「私を侮辱するなら許しませんよ」
確かに国力は比べ物にならないだろう。だが好き勝手蹂躙されて黙っているほどお人好しでもない。殺気を込めて睨み付けても微笑を絶やさないアメリカ。滑るように鯉口を切る。
「サムライだね」
アメリカは満足そうに頷いた。
「私を・・からかったのですか」
「答えはNOだよ。それだけの気概があれば大丈夫」
「・・・?」
「俺が君と和親条約を結んだことはすぐに世界に広まるよ。そしたら他の国々も君と関わりを持ちたがる。そうだな・・きっとイギリスかロシアあたりが近々来ると思うよ」
「なんですって・・?」
「日本君。君は世界を知らない。清・・アヘン戦争に敗れた中国の話は知っているだろ?」
鎖国中も交易を続けていた数少ない国の一つ中国。アヘン戦争に敗れた彼は列強の半植民地と化してしまった。探るように真っ青に晴れた空と同じ色をした瞳を覗き込む。澄んでいるのに底が見えない。日本は改めてとんでもない国と条約を結んでしまったのではないかと思った。
「私が同じ轍を踏むと?」
「だから、今みたいに跳ね除ければ良いんだぞ」
にっこり笑う顔は無邪気そのもの。心配してくれた、とは思わない。口には出さないが日本を自由に出来るのは自分だけだと思っている、そんな傲慢な空気が鼻についた。
いつの間にか手の平が汗ばんでいる。余裕を見せ付けるアメリカに唇を噛んだ。ここまで違うものなのか。
「あなたは油断ならない国だ」
伏し目がちに笑ったその姿がいつまでも日本の脳裏から離れなかった。
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大河見てぶわぁあああっと来てしまった開国ネタです。
サムライな日本萌える!羽織袴と帯刀した日本萌える!
ご本家の開国漫画でアメリカが「日本君」って言っているのに禿萌える!←
幕末話はまた書きたいな~。
この頃の2人を想像するとたまらん・・。
一年くらい前に書いたもの。
もう完結しない気がするので未完だけど上げちゃいます。(←貧乏性
それでも良いって方はお進み下さい(^^
気持ちネウヤコ。
====
学校は弥子にとってネウロの目が届かない、ある意味生活の中のオアシスだった。授業開始前の教室のざわめきは夕べのドラマの話、今日の授業や宿題、新しい噂など生徒達の活気ある声から形成される。弥子はジャムパンをかじりながら親友の叶絵のいつもの恋人談義に耳を傾けていた。また恋人と別れたらしいが、傷ついた様子など微塵も無く新たな出会いについて模索している。よくやるなぁ・・と苦笑を浮かべるとマスカラやアイラインで強調された目をじろり。
「そういうヤコはどうなの?良い人いないの~?」
「うーん・・」
探偵役を引き受けてから様々なタイプの人間に出会い学ぶことは多かった。しかし恋愛と言われるとそんな艶っぽい話など欠片も浮かんでこない現場。ましてや弥子には叶絵ほど恋愛に対し強い興味が無かった。
「多分今は花龍のあんかけ焼きそばに恋してるかな」
「あんた・・それじゃ一生彼氏出来ないよ」
ガックリと脱力したように肩を落とす。でもまぁヤコらしいと諦め半分の視線を向けた。
「そう言えば今日から教育実習生が来るんだってさ」
「へぇ・・季節外れだね」
「男かな?女かな?良い男だと良いなぁ・・」
うっとりと両手を頬に添えて妄想の世界へ旅立つ親友。弥子はそんな叶絵の整えられた爪に目をやりながらメロンパンの袋を開けた。
「今日の学食は何かなぁ・・」
始業開始のチャイムとほぼ同時に中年の担任が教室のドアを開ける。ざわめいていた教室は急に静かになり日直が張りの無い声で号令を掛けた。
「え~諸君らも聞いていると思うが今日から教育実習生が来る」
生徒達の関心が一気に教卓へと向けられる。弥子は大した興味も無く担任の薄くなった頭を眺めた。
「入りなさい」
担任が声を掛けるとすらりとした長身がドアをくぐる。再びざわめきが強くなる教室。見慣れた金緑の髪が出てきた時、弥子は雷が己の体に落ちてきたのではないかと思った。
「ネウロ!」
気がついた時にはもう遅い。立ち上がって大声を発した自分に好奇の視線が突き刺さる。水を打ったように静まり返った教室に淡々とした担任の声が響いた。
「何だ、桂木の知り合いか?まぁとにかく座りなさい」
恥ずかしさで身の置き場も無い。縮こまるように椅子に座って担任の横に立つ男に恨みを込めた視線を送る。
「脳噛ネウロです。担当は数学。短い間ですが宜しくお願いします」
にこにこと助手顔でありがちな挨拶を述べるネウロ。いつもと違う黒いスーツを身に纏い少し長めの髪を束ねて銀縁の眼鏡を掛けている。
(私の学園天国がぁああああ・・・・)
頭を抱えた弥子の苦悩を誰一人知らず生徒達は新しい先生の秀麗さにほぅと溜息を吐いた。
ネウロはホームルームで簡単な挨拶を述べた後教室を出て行った。予想通り休み時間に入ると他の生徒達の質問攻めにあう。知り合い?どういう関係?名前で呼ぶなんて親しげ。どこの大学?モデルさん?恋人は?他多数。頭が痛くなってきた。とりあえず親戚だと説明し授業の合間の攻撃をかわした。
そして昼休み。質問攻めにあう前に弥子は教室を抜け出し、購買でパンとおにぎりを腕一杯購入すると屋上へ上がった。冷たい風が吹きつけるどんよりとした曇り空のせいか他の生徒の姿は見受けられない。
「くっそ~ネウロめ・・。今日のB定はマグロの竜田揚げだったのにーーー!!!」
テレビの未成年の主張のように誰も居ないグラウンドに向かって大声で叫ぶ。幾分スッキリとした表情で手摺に背を向けると、そこには今しがた非難した相手が腕を組んで立っていた。ばさばさと腕の中の昼食達が落ちる。
「奇遇ですね。桂木さん」
一見柔らかな微笑を浮かべているが、その瞳の奥には獰猛な光が宿っている。慇懃無礼な口調がかえって怖い。ネウロが屋上の入り口を一瞥すると音も無く扉が閉まった。ガラリと雰囲気が毒気を帯びたものに変わるが弥子にとってはいつものこと。
「どういうこと!?何しに来たの!?」
「謎があるからに決まっておろう」
そんなことも分からないのかと露骨に見下した顔。他の生徒が見たら、その変わりように度肝を抜くに違いない。
「だからって・・!実習生として潜り込まなくても」
「ふむ。貴様の学園生活も見てみたかったものでな」
「やめてよ!私の楽園が・・・!」
言った後で後悔した。しまった、こいつは嫌がらせが大好きだった。
くいっと眼鏡を上げて喜色に満ちた瞳を弥子に注ぐ。
「安心しろ。我が輩とてそう目立つ真似はしない」
もう十分目立っている・・喉元まで出掛かった言葉を何とか飲み下した。
「謎って?学校で何かが起こるの?」
「近々な」
嬉しそうなネウロとは反対に弥子の顔は暗くなる。友人や教師が事件に巻き込まれるのだろうか。
「ヤコ。謎は生まれるべくして生まれるのだ。以前教えた筈だが?」
「こういう時は察し良いんだから」
思わず唇を尖らせる。
「では我が輩は戻るぞ。楽しみにしていろ」
====
ここまでです。
半端ですみませ・・!
この後ネウロが弥子に超難題を他の生徒の前で当てたりとか色々妄想はしてたんですが、いかんせんオチがつかず・・(え?いつものこと?
お付き合い頂きありがとうございました!
もう完結しない気がするので未完だけど上げちゃいます。(←貧乏性
それでも良いって方はお進み下さい(^^
気持ちネウヤコ。
====
学校は弥子にとってネウロの目が届かない、ある意味生活の中のオアシスだった。授業開始前の教室のざわめきは夕べのドラマの話、今日の授業や宿題、新しい噂など生徒達の活気ある声から形成される。弥子はジャムパンをかじりながら親友の叶絵のいつもの恋人談義に耳を傾けていた。また恋人と別れたらしいが、傷ついた様子など微塵も無く新たな出会いについて模索している。よくやるなぁ・・と苦笑を浮かべるとマスカラやアイラインで強調された目をじろり。
「そういうヤコはどうなの?良い人いないの~?」
「うーん・・」
探偵役を引き受けてから様々なタイプの人間に出会い学ぶことは多かった。しかし恋愛と言われるとそんな艶っぽい話など欠片も浮かんでこない現場。ましてや弥子には叶絵ほど恋愛に対し強い興味が無かった。
「多分今は花龍のあんかけ焼きそばに恋してるかな」
「あんた・・それじゃ一生彼氏出来ないよ」
ガックリと脱力したように肩を落とす。でもまぁヤコらしいと諦め半分の視線を向けた。
「そう言えば今日から教育実習生が来るんだってさ」
「へぇ・・季節外れだね」
「男かな?女かな?良い男だと良いなぁ・・」
うっとりと両手を頬に添えて妄想の世界へ旅立つ親友。弥子はそんな叶絵の整えられた爪に目をやりながらメロンパンの袋を開けた。
「今日の学食は何かなぁ・・」
始業開始のチャイムとほぼ同時に中年の担任が教室のドアを開ける。ざわめいていた教室は急に静かになり日直が張りの無い声で号令を掛けた。
「え~諸君らも聞いていると思うが今日から教育実習生が来る」
生徒達の関心が一気に教卓へと向けられる。弥子は大した興味も無く担任の薄くなった頭を眺めた。
「入りなさい」
担任が声を掛けるとすらりとした長身がドアをくぐる。再びざわめきが強くなる教室。見慣れた金緑の髪が出てきた時、弥子は雷が己の体に落ちてきたのではないかと思った。
「ネウロ!」
気がついた時にはもう遅い。立ち上がって大声を発した自分に好奇の視線が突き刺さる。水を打ったように静まり返った教室に淡々とした担任の声が響いた。
「何だ、桂木の知り合いか?まぁとにかく座りなさい」
恥ずかしさで身の置き場も無い。縮こまるように椅子に座って担任の横に立つ男に恨みを込めた視線を送る。
「脳噛ネウロです。担当は数学。短い間ですが宜しくお願いします」
にこにこと助手顔でありがちな挨拶を述べるネウロ。いつもと違う黒いスーツを身に纏い少し長めの髪を束ねて銀縁の眼鏡を掛けている。
(私の学園天国がぁああああ・・・・)
頭を抱えた弥子の苦悩を誰一人知らず生徒達は新しい先生の秀麗さにほぅと溜息を吐いた。
ネウロはホームルームで簡単な挨拶を述べた後教室を出て行った。予想通り休み時間に入ると他の生徒達の質問攻めにあう。知り合い?どういう関係?名前で呼ぶなんて親しげ。どこの大学?モデルさん?恋人は?他多数。頭が痛くなってきた。とりあえず親戚だと説明し授業の合間の攻撃をかわした。
そして昼休み。質問攻めにあう前に弥子は教室を抜け出し、購買でパンとおにぎりを腕一杯購入すると屋上へ上がった。冷たい風が吹きつけるどんよりとした曇り空のせいか他の生徒の姿は見受けられない。
「くっそ~ネウロめ・・。今日のB定はマグロの竜田揚げだったのにーーー!!!」
テレビの未成年の主張のように誰も居ないグラウンドに向かって大声で叫ぶ。幾分スッキリとした表情で手摺に背を向けると、そこには今しがた非難した相手が腕を組んで立っていた。ばさばさと腕の中の昼食達が落ちる。
「奇遇ですね。桂木さん」
一見柔らかな微笑を浮かべているが、その瞳の奥には獰猛な光が宿っている。慇懃無礼な口調がかえって怖い。ネウロが屋上の入り口を一瞥すると音も無く扉が閉まった。ガラリと雰囲気が毒気を帯びたものに変わるが弥子にとってはいつものこと。
「どういうこと!?何しに来たの!?」
「謎があるからに決まっておろう」
そんなことも分からないのかと露骨に見下した顔。他の生徒が見たら、その変わりように度肝を抜くに違いない。
「だからって・・!実習生として潜り込まなくても」
「ふむ。貴様の学園生活も見てみたかったものでな」
「やめてよ!私の楽園が・・・!」
言った後で後悔した。しまった、こいつは嫌がらせが大好きだった。
くいっと眼鏡を上げて喜色に満ちた瞳を弥子に注ぐ。
「安心しろ。我が輩とてそう目立つ真似はしない」
もう十分目立っている・・喉元まで出掛かった言葉を何とか飲み下した。
「謎って?学校で何かが起こるの?」
「近々な」
嬉しそうなネウロとは反対に弥子の顔は暗くなる。友人や教師が事件に巻き込まれるのだろうか。
「ヤコ。謎は生まれるべくして生まれるのだ。以前教えた筈だが?」
「こういう時は察し良いんだから」
思わず唇を尖らせる。
「では我が輩は戻るぞ。楽しみにしていろ」
====
ここまでです。
半端ですみませ・・!
この後ネウロが弥子に超難題を他の生徒の前で当てたりとか色々妄想はしてたんですが、いかんせんオチがつかず・・(え?いつものこと?
お付き合い頂きありがとうございました!
愛が溢れて作ってしまった。(kimoi
イヴァアルイメソン集~。
クリックでニコニコ動画に飛びます。
初めてでおまけに機械弱い子なので四苦八苦してました(^^;
スガシカオが多いのは・・仕方ないんです。
彼の曲は全部ろべーに聞こえるんです。
私的ジョーカーイメソンもあるんだけどすでに先駆者様達がたくさんいますからねー。
歌詞も入れたかったけど・・難解で・・orz
いつも見てるだけでろくにコメントすらしたこと無いからな・・(遠い目
しかし楽しかった!
良い経験でした!
イヴァアルイメソン集~。
クリックでニコニコ動画に飛びます。
初めてでおまけに機械弱い子なので四苦八苦してました(^^;
スガシカオが多いのは・・仕方ないんです。
彼の曲は全部ろべーに聞こえるんです。
私的ジョーカーイメソンもあるんだけどすでに先駆者様達がたくさんいますからねー。
歌詞も入れたかったけど・・難解で・・orz
いつも見てるだけでろくにコメントすらしたこと無いからな・・(遠い目
しかし楽しかった!
良い経験でした!
「目が覚めたかい?」
気がつくと俺は暖炉の前のソファに寝かされていた。びしょ濡れだった服はハンガーにかけて部屋の隅に追いやられ、今は大き目のパジャマを着せられている。アメリカは白いマグカップにコーヒーとミルクを注いで俺に手渡す。口をつけるとジンと体に染み込むようだった。甘くて暖かい飲み物にようやく心臓は落ち着きを取り戻す。
「体調・・良くないんだろ、君」
びくりと体が跳ねる。確かに微熱は続いていたが戦争時には良くあることで気にも止めていなかった。ようやく今回の渡米目的を思い出し溜息をつく。大事な会談をすっぽかしてしまった。・・ってあれ?
「そういえばお前、どうしてここに居るんだ?」
「・・その言葉、そっくり君に返すよ。そんなに俺に逢いたくなかったのかい」
図星なので俺は押し黙る。
「俺は今休暇中。会談には上司だけが参加する予定だったんだ」
「何だよそれ!俺がどれだけっ・・!!」
慌てて口を押さえたがもう遅い。あれだけ悩んで逢いたくなくてここまで来て結局こうして逢って喋っている。馬鹿みたいだ。滑稽極まりない。
「ようやく声が出るようになったね」
アメリカがにっこり笑う。笑顔を見たのは久しぶりだった。また胸がドキドキして涙が溢れそうになる。こうして顔を合わせていることを昨日の俺が知ったら卒倒しているかもしれない。まだ夢じゃないかという思いが拭えなかった。
「この家・・・」
「そうだよ。君と俺がほんの少しだけ暮らした家。ここまで直すのは大変だったんだぞ。戦争で酷い有様だったからね」
「どうして・・」
そこまでしてこの家を残した?
飲み込んだ言葉をアメリカは正確に察したようで泣き笑いのような表情を作る。
「君こそ・・どうして一から話さないと分かってくれないんだい?そんなの聞かなくたって分かるだろ」
脳裏に黒髪の友人の言葉が蘇った。そう・・きっと同じ事を言っていた気がする。アメリカもこの家を、俺と過ごした時間を大切に思っていてくれていた?
心の天秤が少しずつ反対側へ傾き始める。
「今度は俺が質問する番だぞ。・・・俺は、イギリスにとって 何?」
真摯な眼差しが俺の目を捉えて放さない。少しの表情の変化も見逃さないといった気迫が籠もった視線。
おとうと、とはもう呼べない。だとしたら・・俺達を繋ぐ糸の名前は何と呼べばいいのだろう。黙ってしまった俺にアメリカは少し焦れているようだった。
「もう!思ったことを喋ればいいんだよ!全く君は「特別」」
重なり合った声にぽかんとアメリカが口を開ける。途端に幼さが増したように感じた。
「・・・え?」
「お前は俺の特別だよ」
それしか合う言葉が無い。顔が急激に熱くなって胸までかかっていたブランケットを顔まで引き上げる。
「ずるいんだ・・俺は。お前の良き兄でありたかった筈なのに・・。兄にも父親にも友人にも恋人にもなりたい。お前のすべてになりたいんだ」
いつからそう思うようになったのだろう。昔は確かに守るべき存在だと思っていた。だがあの独立戦争から何かが変わった。アメリカがフランスに援助を求めたと聞いた時、激しい嫉妬と怒りに駆られて目の前が真っ黒になった。弟だから、では片付かない感情に自分自身戸惑って、きつく蓋をして感情を押し込めた筈なのに。
「傲慢だね」
アメリカが黙っていたのはほんの数分だったが俺には永遠に近いくらいの時間に感じた。恐ろしくて顔を上げることが出来ない。
「でも、イギリスらしい」
気配でアメリカが笑ったのが分かる。堪えていた涙が堰を切ったように溢れだした。やっと許されたような、そんな勘違いをしてしまいそうになる。アメリカが床に座ってソファに凭れた。金色の頭を甘えるように摺り寄せる。
「天下の大英帝国は欲しいものはすべて手に入れるんだろ?やってみなよ。まぁ前三つは無理だと思うけどね!」
カラカラ笑う明るい声に反論したくても涙が邪魔をして声が出ない。洩れるのは嗚咽ばかり。長い指先がそっと雫を払う。
外はまだ銀糸の雨が降り続いている。この雨が止めば、きっと懐かしい太陽が見れる。そんな気がした。
====
やっと完結です。(多分←
イギリスを泣き虫にしてごめんなさい・・。
気がつくと俺は暖炉の前のソファに寝かされていた。びしょ濡れだった服はハンガーにかけて部屋の隅に追いやられ、今は大き目のパジャマを着せられている。アメリカは白いマグカップにコーヒーとミルクを注いで俺に手渡す。口をつけるとジンと体に染み込むようだった。甘くて暖かい飲み物にようやく心臓は落ち着きを取り戻す。
「体調・・良くないんだろ、君」
びくりと体が跳ねる。確かに微熱は続いていたが戦争時には良くあることで気にも止めていなかった。ようやく今回の渡米目的を思い出し溜息をつく。大事な会談をすっぽかしてしまった。・・ってあれ?
「そういえばお前、どうしてここに居るんだ?」
「・・その言葉、そっくり君に返すよ。そんなに俺に逢いたくなかったのかい」
図星なので俺は押し黙る。
「俺は今休暇中。会談には上司だけが参加する予定だったんだ」
「何だよそれ!俺がどれだけっ・・!!」
慌てて口を押さえたがもう遅い。あれだけ悩んで逢いたくなくてここまで来て結局こうして逢って喋っている。馬鹿みたいだ。滑稽極まりない。
「ようやく声が出るようになったね」
アメリカがにっこり笑う。笑顔を見たのは久しぶりだった。また胸がドキドキして涙が溢れそうになる。こうして顔を合わせていることを昨日の俺が知ったら卒倒しているかもしれない。まだ夢じゃないかという思いが拭えなかった。
「この家・・・」
「そうだよ。君と俺がほんの少しだけ暮らした家。ここまで直すのは大変だったんだぞ。戦争で酷い有様だったからね」
「どうして・・」
そこまでしてこの家を残した?
飲み込んだ言葉をアメリカは正確に察したようで泣き笑いのような表情を作る。
「君こそ・・どうして一から話さないと分かってくれないんだい?そんなの聞かなくたって分かるだろ」
脳裏に黒髪の友人の言葉が蘇った。そう・・きっと同じ事を言っていた気がする。アメリカもこの家を、俺と過ごした時間を大切に思っていてくれていた?
心の天秤が少しずつ反対側へ傾き始める。
「今度は俺が質問する番だぞ。・・・俺は、イギリスにとって 何?」
真摯な眼差しが俺の目を捉えて放さない。少しの表情の変化も見逃さないといった気迫が籠もった視線。
おとうと、とはもう呼べない。だとしたら・・俺達を繋ぐ糸の名前は何と呼べばいいのだろう。黙ってしまった俺にアメリカは少し焦れているようだった。
「もう!思ったことを喋ればいいんだよ!全く君は「特別」」
重なり合った声にぽかんとアメリカが口を開ける。途端に幼さが増したように感じた。
「・・・え?」
「お前は俺の特別だよ」
それしか合う言葉が無い。顔が急激に熱くなって胸までかかっていたブランケットを顔まで引き上げる。
「ずるいんだ・・俺は。お前の良き兄でありたかった筈なのに・・。兄にも父親にも友人にも恋人にもなりたい。お前のすべてになりたいんだ」
いつからそう思うようになったのだろう。昔は確かに守るべき存在だと思っていた。だがあの独立戦争から何かが変わった。アメリカがフランスに援助を求めたと聞いた時、激しい嫉妬と怒りに駆られて目の前が真っ黒になった。弟だから、では片付かない感情に自分自身戸惑って、きつく蓋をして感情を押し込めた筈なのに。
「傲慢だね」
アメリカが黙っていたのはほんの数分だったが俺には永遠に近いくらいの時間に感じた。恐ろしくて顔を上げることが出来ない。
「でも、イギリスらしい」
気配でアメリカが笑ったのが分かる。堪えていた涙が堰を切ったように溢れだした。やっと許されたような、そんな勘違いをしてしまいそうになる。アメリカが床に座ってソファに凭れた。金色の頭を甘えるように摺り寄せる。
「天下の大英帝国は欲しいものはすべて手に入れるんだろ?やってみなよ。まぁ前三つは無理だと思うけどね!」
カラカラ笑う明るい声に反論したくても涙が邪魔をして声が出ない。洩れるのは嗚咽ばかり。長い指先がそっと雫を払う。
外はまだ銀糸の雨が降り続いている。この雨が止めば、きっと懐かしい太陽が見れる。そんな気がした。
====
やっと完結です。(多分←
イギリスを泣き虫にしてごめんなさい・・。
WW1中。
====
あめあがり【雨上がり】雨が上がった直後。
また今日も雨だった。そこまで雨が多いという印象の国でも無いのに俺が来る時はいつも雨になる。ああ頭が痛い。お前が俺を嫌っているのはもう分かったから。
空と同様、気持ちもどんよりと沈みこんだ。フランスの馬鹿はもうワシントンに着いたのだろうか。今回渡米したのはアメリカに大戦への参戦を呼び掛ける為。アメリカの工業力はすでに世界の首位に立ち、軍事力は無視できない程強力になった。俺の地位を脅かす程に。反面、味方となれば心強いと頭では理解している。だからこうしてプライドを捨てて、わざわざ海を越えて“お願い”に来たのだ。
「行きたくねーな・・」
本音がぽろりと零れた。約束をすっぽかせば上司に叱られるでは済まない。大変なことになるのは分かっているが・・どうしてもアメリカに逢いたくなかった。どんな顔をすればいいのか分からない。昔はどんな風に喋っていたっけ・・。もう思い出せなかった。
気がつくと俺の脚は幸せと苦い記憶が混在したボストンの街に向かっていた。こちらも灰色の空から細い雨がけぶるように降っている。傘を持たない俺のコートはすっかりこげ茶色に変色して、髪の先からは雫が滴る。すっかり様相の変わった街並みを不思議な気分で練り歩いた。戦争の痕跡は消えて高い建物が空を見にくくしている。かすかな当時の面影を記憶と照合しながら歩を進めると、しばらくして見知った場所が所々目につくようになった。セピア色をしていた記憶が鮮やかな色彩を伴い風景と共に蘇る。広大だった草原は今では公園と化し、市民の憩いの場になっているようだった。丘の上のハナミズキ・・あれを越えればあの家が見えてくるはずだ。すっかり葉の落ちてしまった木を横目で見て、幸せだった記憶に想いを馳せる。琥珀の髪、空色の瞳、久しく見ていない笑顔。あの家に行かなくなって、もう一世紀以上経つ。そこには無いか、荒れ果てた幽霊屋敷になっているか。無くても構わない、そう思いながら丘を越えて、俺は目を疑った。漆喰の壁と風に揺れるブランコ。あの子がひょっこり顔を出しそうな・・あの日のままの屋敷がそこにあった。
「ははっ・・俺、夢を見てるのか?」
近づいても消えることは無い。幻なんかじゃなかった。鞄の底から古びた鍵を取り出し、慎重に鍵穴に差し込む。錆びの為か少し抵抗があったが動かすたびにスムーズになり、がちゃんと音がしてロックは外れた。震える手で取っ手を掴み扉を開ける。部屋の中もきちんと定期的に掃除がされているようで俺はますます分からなくなった。いったい誰が?自問自答するが答えに結びつくのは一人しかいない。そんなの有り得ない筈なのに。
リビングに足を入れるとパチパチとはぜる暖炉が目に付く。濡れそぼった体にはとても優しく感じた。引き寄せられるように中に入るとソファの上に先客がいたことに気付く。
絶対に逢いたくなかった(逢いたくてたまらなかった)ただ一人の。
「アメリカ」
独立戦争の頃よりも、幾分背が伸びただろうか。眼鏡をかけたまま眠る顔は大人びて見えた。鼓動が激しさを増す。頭の中が真っ白で何も考えられない。無意識に手が白い頬へ伸びる。懐かしい。なんて懐かしい体温、匂い。
「ん・・」
長い睫が震えてゆっくりと空色が姿を現す。よく晴れた夏の日の空を彷彿とさせる瞳。ここ最近曇り空ばかりで青空など見ていなかったからか、アメリカの目を直視するのは久々だからか、酷く鮮明に焼きついた。
「いぎりす?」
寝惚け眼のアメリカが俺の手をとって、ようやく自分が仕出かしたことに気付いた。駄目だ。早くここから逃げなくては。まだ無理 だ。
「待って!!」
走り去ろうとした俺の手をアメリカが強く掴む。
「もう・・逃がさないんだぞ」
そのまま腕を引かれて強く抱きしめられた。もう何が何だか分からない。アメリカは俺を憎んでいる筈だ。やっぱりこれは夢なのか?
「君って人は・・俺の顔を見るなり逃げ出す。顔が見たくないならこのまま聞いてて。もう君に振り回されるのはうんざりなんだ。いい加減ケリをつけたい」
ああやっぱり。これ以上の別れなんて無いと思っていたのに。国交断絶?次はいったい何なんだろう。体の震えが止まらないのを感じとったのかアメリカが大袈裟に溜息を吐いた。
「また勘違いしてる。俺がこの家で忘れないでって言った事覚えていないのかい?」
・・・?
「大好きだよ、イギリス」
アメリカのいつもより低い声が耳元に届く。囁きは脳の中に反響して目が回りそうになった。ああ、もう!恥ずかしいんだぞ!とアメリカが叫ぶ。俺の瞳からは意思と反してボロボロと涙が溢れた。
「嘘 だ 」
ようやく搾り出した声は掠れてアメリカの耳に届いたかどうかも怪しい。そのまま俺の思考はブラックアウトした。
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あめあがり【雨上がり】雨が上がった直後。
また今日も雨だった。そこまで雨が多いという印象の国でも無いのに俺が来る時はいつも雨になる。ああ頭が痛い。お前が俺を嫌っているのはもう分かったから。
空と同様、気持ちもどんよりと沈みこんだ。フランスの馬鹿はもうワシントンに着いたのだろうか。今回渡米したのはアメリカに大戦への参戦を呼び掛ける為。アメリカの工業力はすでに世界の首位に立ち、軍事力は無視できない程強力になった。俺の地位を脅かす程に。反面、味方となれば心強いと頭では理解している。だからこうしてプライドを捨てて、わざわざ海を越えて“お願い”に来たのだ。
「行きたくねーな・・」
本音がぽろりと零れた。約束をすっぽかせば上司に叱られるでは済まない。大変なことになるのは分かっているが・・どうしてもアメリカに逢いたくなかった。どんな顔をすればいいのか分からない。昔はどんな風に喋っていたっけ・・。もう思い出せなかった。
気がつくと俺の脚は幸せと苦い記憶が混在したボストンの街に向かっていた。こちらも灰色の空から細い雨がけぶるように降っている。傘を持たない俺のコートはすっかりこげ茶色に変色して、髪の先からは雫が滴る。すっかり様相の変わった街並みを不思議な気分で練り歩いた。戦争の痕跡は消えて高い建物が空を見にくくしている。かすかな当時の面影を記憶と照合しながら歩を進めると、しばらくして見知った場所が所々目につくようになった。セピア色をしていた記憶が鮮やかな色彩を伴い風景と共に蘇る。広大だった草原は今では公園と化し、市民の憩いの場になっているようだった。丘の上のハナミズキ・・あれを越えればあの家が見えてくるはずだ。すっかり葉の落ちてしまった木を横目で見て、幸せだった記憶に想いを馳せる。琥珀の髪、空色の瞳、久しく見ていない笑顔。あの家に行かなくなって、もう一世紀以上経つ。そこには無いか、荒れ果てた幽霊屋敷になっているか。無くても構わない、そう思いながら丘を越えて、俺は目を疑った。漆喰の壁と風に揺れるブランコ。あの子がひょっこり顔を出しそうな・・あの日のままの屋敷がそこにあった。
「ははっ・・俺、夢を見てるのか?」
近づいても消えることは無い。幻なんかじゃなかった。鞄の底から古びた鍵を取り出し、慎重に鍵穴に差し込む。錆びの為か少し抵抗があったが動かすたびにスムーズになり、がちゃんと音がしてロックは外れた。震える手で取っ手を掴み扉を開ける。部屋の中もきちんと定期的に掃除がされているようで俺はますます分からなくなった。いったい誰が?自問自答するが答えに結びつくのは一人しかいない。そんなの有り得ない筈なのに。
リビングに足を入れるとパチパチとはぜる暖炉が目に付く。濡れそぼった体にはとても優しく感じた。引き寄せられるように中に入るとソファの上に先客がいたことに気付く。
絶対に逢いたくなかった(逢いたくてたまらなかった)ただ一人の。
「アメリカ」
独立戦争の頃よりも、幾分背が伸びただろうか。眼鏡をかけたまま眠る顔は大人びて見えた。鼓動が激しさを増す。頭の中が真っ白で何も考えられない。無意識に手が白い頬へ伸びる。懐かしい。なんて懐かしい体温、匂い。
「ん・・」
長い睫が震えてゆっくりと空色が姿を現す。よく晴れた夏の日の空を彷彿とさせる瞳。ここ最近曇り空ばかりで青空など見ていなかったからか、アメリカの目を直視するのは久々だからか、酷く鮮明に焼きついた。
「いぎりす?」
寝惚け眼のアメリカが俺の手をとって、ようやく自分が仕出かしたことに気付いた。駄目だ。早くここから逃げなくては。まだ無理 だ。
「待って!!」
走り去ろうとした俺の手をアメリカが強く掴む。
「もう・・逃がさないんだぞ」
そのまま腕を引かれて強く抱きしめられた。もう何が何だか分からない。アメリカは俺を憎んでいる筈だ。やっぱりこれは夢なのか?
「君って人は・・俺の顔を見るなり逃げ出す。顔が見たくないならこのまま聞いてて。もう君に振り回されるのはうんざりなんだ。いい加減ケリをつけたい」
ああやっぱり。これ以上の別れなんて無いと思っていたのに。国交断絶?次はいったい何なんだろう。体の震えが止まらないのを感じとったのかアメリカが大袈裟に溜息を吐いた。
「また勘違いしてる。俺がこの家で忘れないでって言った事覚えていないのかい?」
・・・?
「大好きだよ、イギリス」
アメリカのいつもより低い声が耳元に届く。囁きは脳の中に反響して目が回りそうになった。ああ、もう!恥ずかしいんだぞ!とアメリカが叫ぶ。俺の瞳からは意思と反してボロボロと涙が溢れた。
「嘘 だ 」
ようやく搾り出した声は掠れてアメリカの耳に届いたかどうかも怪しい。そのまま俺の思考はブラックアウトした。