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春夏秋冬。

その時々で思いついた妄想文をつらつらと。
二次創作中心。カテゴリのはじめにからどうぞ。

敗北宣言

2015年12月19日 22時54分54秒 | 七つの大罪妄想文。
メリエリ、バンエレ前提のバンメリです。むしろバン→メリ?


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“いいぜ 殺せよ”

そう言って笑った団ちょにどうしようもなく泣きたくなった。
王都での戦いが終わってから団ちょは王女サマにベッタリだ。王女サマはまだ目を覚まさない。団ちょは変わらず振る舞っているが、見ていてこっちが苦しくなる。譲れないものがあると団ちょは言った。俺にとってのエレインが団ちょにとっては王女サマなんだろうかとぼんやり思う。
リオネスの紋章が入った白い扉から団ちょが出てくる。金の髪が目にかかって表情を窺い知ることが出来ない。
「団ちょ♪」
「バンか」
上げた顔はらしくなく疲れた表情をしていたがそれも一瞬だった。トンファーをくるりと回して肩にかけると苦笑いをする。
「終わったら決着をつけようと言ったのは団ちょだぜ♪」
「ああ、分かってる」
場所を変えようと団ちょは言って背を向けた。その背は小さい筈なのに大きい。唯一背を預けて安心できる相手だった。
街外れの森に着くと団ちょは振り向いて真っ直ぐ翡翠の瞳で俺を見た。揺らぎのない美しい瞳だと思う。これは浮気になるか、エレイン?
「どうした、バン」
一向にかかってこない俺をいつもの口調で呼ぶ。団ちょとの喧嘩はいつも胸が踊って熱くて楽しい。こんな重い気持ちになるのは始めてだ。
「バン?」
首を傾げた金髪に愛しい妖精の姿が重なって、もうだめだな と思った。
「エレイン…」
師匠が言ってた言葉が頭の中でリフレインする。エレインを亡くしてから抜け殻になってた自分を救い上げてくれたのは団ちょだ。エレインを生き返らせたい。だが団ちょを殺すことなんて出来ない。分かっていたから考える時間を自分に与えなかった。こうして時間が空いてしまったのは大きなミスだ。トンファーががらがらと音をたてて地面に転がる。
「おーい、バンさん?」
両手を伸ばし小さくて暖かい体を抱き締める。団ちょは殺気を消した自分の行為を抵抗せず受け入れた。そうして、いつも通りの声で名前を呼ぶから苦しくて堪らない。どくん、と心臓の鼓動を感じて生きてることを実感する。エレインは抱き締めても暖かみも心臓の音もしない。腐ることのない妖精の死体はまるで人形だった。笑う声も笑顔もない。取り戻したい気持ちに変わりはないのに。
「……」
とんとん、と優しく団ちょが背中を叩く。まるで赤ん坊をあやすように。物心つく頃から一人だった。母親なんて記憶にない。太陽を知らない孤独とエレインという存在を知って、亡くしてからの孤独は後者のほうが耐え難かった。死んで会えるなら死んでもいいと願うくらいに。
…きっと似ている。俺と団ちょは。
団ちょも大きな何かを抱えて、それでも笑っている。何故笑えるのか自分には分からないが、メリオダスという男を形作っている器。
…それにどうしようもなく惹かれるのだ自分は。
(惚れた方の負け…ってか…♪)
柔らかい金の髪を指に絡める。団ちょは何も言わずされるがままになっている。矛盾した気持ちが渦巻いて頭の中がぐちゃぐちゃだ。
…もう側にはいられない。
何年ぶりか分からない頬を伝う温かみは、まだ自分が枯れてはいないことを嫌でも教えた。


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