goo blog サービス終了のお知らせ 

春夏秋冬。

その時々で思いついた妄想文をつらつらと。
二次創作中心。カテゴリのはじめにからどうぞ。

チョコレート大作戦!

2009年02月14日 23時46分42秒 | 復活妄想文。
犬髑、骸髑、綱骸風味 かも?

====

「犬」
クロームは小さな声で呼びかけたと思うとスッと黄色いリボンが巻かれた箱を差し出す。
犬はポカンと舌をだらしなく出したままだ。
「なんら?」
「チョコ。千種も」
彼女は必要最低限しか喋らない。
自分に差し出されたのは緑色のリボンの箱。
・・・めんどい。
仕方なく小さな箱を受け取る。
「何?なんなのら!?」
犬は訳が分からないといった顔で俺を仰ぎ見る。
クロームは説明する気が無さそうだ。
説明するのも面倒だが犬がこれ以上煩くなるのも気分が悪い。
「今日はバレンタインデーだよ」
「ばれんたいん?」
舌っ足らずに聞き返す。
「そう。日本のお菓子業界の企みが成功した日」
顔に疑問符が浮いている。
「ますますわかんねーのら!」
イライラしたように言う。
もう・・なんでこんな面倒なこと・・。
ちらりとクロームに目線で説明するよう促した。
俺達はそもそも行事とは無縁の世界で生きてきたんだ。
「・・日本じゃ相手に感謝や好意を伝える時にチョコレートをあげるの」
真っ直ぐな瞳で告げる。
「好意・・?」
クロームが頷く。
犬の顔がみるみる朱に染まる。
「顔赤いよ、犬」
「うるせぇ!」
ああ、本当にめんどいな・・。

****

今日は土曜日。
折角のバレンタインだっていうのに学校は休みだ。
京子ちゃんにも会えない・・。
家に居ても落ち着かないのでぶらりと外へ出て並盛商店街を目指す。
もしかしたら・・なんて淡い期待を抱きつつ。
商店街は活気づいていた。
チョコレートが当日のせいか10%オフになっていて沢山の行列が見える。
「凄い人だなぁ」
「うん」
独り言に返事が返ってきた。
ギョッとして声の聞こえた方向を見やると特徴的なシルエット。
こんな頭の人間は二人しか知らない。
「くっ、クローム!?」
「久し振り、ボス」
彼女はにこりともせずオレンジ色のリボンの箱を差し出した。
「えっ・・これ」
コクリと頷く。
顔に熱が昇るのが分かった。
うわぁああ女の子にチョコ貰っちゃった!!
いつもは母さんがくれるくらいで一度も同年代の子に貰ったことなんてない。
まぁ今年はちょっと期待してたけど。
義理だと分かっていても嬉しい。
「あっ、ありがとう」
「うん」
胸の鼓動が治まってくるとクロームのいつもの無表情さに翳りのようなものが交じっている気がした。
「・・どうかしたの?」
大きな瞳が揺らめいて困ったように歪む。
「骸様にも・・」
言葉は其処で途切れたが何となく察しはついた。
骸にもチョコレートを渡したいが方法が分からずに困っているのだろう。
力になって上げたいけど・・。
「ボス、お願い。私の代わりに骸様に渡して欲しいの」
「ええっ!!」
大きな藍色のリボンが結ばれた箱を胸に押し付けられる。
俺が貰ったチョコより大きい・・なんて思ってる場合じゃ無いよ!!
こういうのは本人が渡さなきゃ・・!
「今骸様に変わるから」
クロームがまるで電話を替わるような気安さで呟く。
制止する間も無く大きな瞳を瞑った。
次に瞳を開いた時には彼女の可憐な空気は消え失せて、悪寒が背筋を這い上る。
妖気、とでもいうのだろうか。
姿形は変わらないのに雰囲気が全く違う。
妖しく瞳が煌めいた。
「・・何か用ですか?」
目が泳ぐ。
今だ慣れない彼独特の空気。
「ええっと・・」
「早くして下さい。僕も暇じゃ無いんです」
前髪をかき上げる仕草も様になってる。
じゃなくて!やばい、イライラしてるよぉおお!
「あのっ、これっ!」
クロームが置いていった箱を渡す。
明らかに本命な感じの高級感溢れるチョコだ。
うらやまし・・いやいや比べるのが間違っているよな。
「・・・」
骸はびっくりしたように目をぱちくりさせている。
あ、そんな表情も出来るんじゃないか。


「いやだぁ~逆チョコ~?」
「良いわねぇ若いって」


いつの間にか周囲には人だかり。
他人の恋愛に興味津々のおばさんたち。
クロームの容姿は目立つし・・俺も大きな声を出していた。
・・・・・って、逆チョコだって!?
意図せず顔に血が上る。
「いやっ・・その・・!」
骸に視線を戻すと彼も真っ赤な顔をしていて。
・・あれ?クロームじゃないよね?
思わず分からなくなる。
こんな顔クロームも骸も見たこと無いよ?
そのまま踵を返して逆方向に走り去った。
引き止めようとした手が中に浮く。
えっ、やばい、これは、ちょっと・・!!
「クロームのチョコなのに~~~!!」
今だ、ドキドキが治まらず。




====


チョコと言えば骸様!
髑髏はボスからチョコを渡させること事態が骸へのプレゼントという確信犯だった・・のかもしれない?(笑

花盛りの攻防。

2009年02月07日 00時55分27秒 | 復活妄想文。
(君のその大空のようにすべてを見透かす瞳が僕は大嫌いだったんですよ)



ボンゴレが死んだ。
始めはとても信じられずまともに取り合わなかったが千種の珍しく切羽詰まった声音に鼓動が早くなる。
情報は雲雀のパソコンを介して得たもの。
あの男が誤った情報を掴まされるとは思わない。
ましてや一応はボンゴレの守護者。
ボンゴレの情報は熟知しているだろう。

「日本へ・・行きますか?」
「何故?行く必要など無いでしょう」

動揺を押し隠す為にあえて冷えた声を出す。
千種は聡い子だ。
遺体を確認するまでは僕が受け入れられないことを理解している。
だが今は不用意に動くわけにはいかなかった。
少しでもミルフィオーレに感づかれれば全ての計画が水泡に帰す。

「そんなことよりミルフィオーレに乗り込む為の手配をお願いしますよ。その為にこの体を手に入れたのですから」

グイド・グレコという名の器はクロームに比べたら若干の違和感があるが、それでも実体化の出来る体だ。
ただの憑依では白蘭には太刀打ち出来ないだろう。

「分かりました」

千種はほんの一瞬だけ不安げな表情をちらつかせたがすぐにいつものポーカーフェイスに戻る。
僕はゆっくりと口角を持ち上げた。

「いよいよですね」


ミルフィオーレへは呆気ないほど簡単に潜入できた。
その直後、十年前から沢田綱吉がやってきたという情報が入る。
十年前といったら・・まだ出会って間もない頃だ。
いつも弱々しい瞳をして人の顔色を窺っていた。
いつからあの瞳に脆弱な光が灯ることが無くなったのだろう?
時間を経るにつれて、まるで純度の高い炎のように透明度が増し揺らぐことの無くなった瞳。
幼い頃に見たマフィア共とはまた違う。
純粋で信頼に満ちた目は僕にとって居心地の悪いものでしかなかった。
ボンゴレに応えられるような自分では無いと分かっていたから。
しかしもう二度とあの瞳の前に立つことは無い。
今だ実感が湧かなかった。
ボンゴレが射殺されたなんて。


「ねーねーレオ君」
「・・何でしょう、白蘭様」

高層ビルの一室。
白蘭の執務室とでも言えるその部屋は常にむせ返るような花の香りが充満している。
外側の壁は一面のガラス張りで清々しいほどに真っ青な色をしていた。
家具は全て白で統一され、生活感などまるで感じられない。
虚無という言葉が部屋の主人と同様に似合う。
白蘭は時々こうして自分を招き入れ戯れのように声を掛けることがあった。

「人間って意外と儚いよね。鉛玉一発で散る。まるで花のように」

全身白ずくめの男は薄ら笑いを浮かべて、花瓶から一本の白いダリアの花を抜き取る。
愛でるように花びら一つ一つを弄ぶとグシャリと握り潰した。
花の香りが一層強くなる。
示唆している事が分からないほど鈍くは無かったが、表面上は疑問を呈した顔を作った。
直接的では無いにせよこの男がボンゴレを殺した。
ひらひらと床に落ちる花びらを見て、ふつふつと怒り・憎しみといったどす黒い感情が沸き上がる。
同時に戸惑いと焦燥。
ボンゴレが死のうが生きようが自分には関係ない筈だった。
だからこの感情の説明がつかない。
そして何故今更 と。
自分で自分が理解出来ないなど不愉快極まりない。

「でも散る直前が一番美しいんだよね」

紫の視線がまるで蛇のように絡みつく。
微笑の中で目だけが冷たく光る。
ああ、マフィアの目 だ。

「・・さぁ・・自分には良く分かりませんが・・」
「ふぅん?」

肌が粟立つ感触に耐える。
殺気が噴き出さないよう神経を集中させた。
この感情はきっと自分の標的をこの男に横取りされたから。
それ以外に理由など無い。
・・・・あるはずがなかった。

「おっと!そろそろ会議に行かなきゃ」

時計を見て素っ頓狂な声を出す。

「ごめんね。片づけといてくれる?」

自分が散らかした花びらを指して疑問系だが有無を言わせぬ命令。
微笑を作ったが上手く笑えただろうか。

「じゃね♪レオ君」
「白蘭様」
「ん?」

「花には棘や毒があるものもあります。どうかお気を付けて」

一瞬目を見張るがすぐに飄々とした顔に戻った。
面白そうに唇を歪める。

「覚えておくよ」

僕は頭を下げて仮の主を見送る。
限界はすぐ其処まで来ていた。



====


相変わらずタイトルに悩みます・・。

ほっとちょこれーと。

2008年08月31日 03時23分32秒 | 復活妄想文。
「もう!何で俺が買いに行かなくちゃいけないんだよ」

胸に溜まった鬱憤を家から出たところでようやく吐き出す。
学校から帰ったばかりだというのに、あの鬼の赤ん坊は明日の朝に飲むエスプレッソが切れたので買ってこいと命じたのだ。
当然文句を言うと頬を掠める鉛玉。
結局逆らえずこうして商店街までの道のりを歩く。
夕方ともなれば風はかなり冷たい。
Tシャツの上に羽織っていたパーカーのチャックをしめて、両手をポケットの中へ突っ込んだ。
リング争奪戦が終わったのはつい先日のこと。
体の節々がまだ痛んだが、こうやってプラプラ歩いていると非日常からようやく日常に戻ってきたことを実感する。
街全体から漂う夕餉の薫り。
家路を急ぐ子供達の声。
いつも見ている光景なのに何だか懐かしい。
小さな公園を横切ろうとするとキィと歪んだ金属が擦れるような音が聞こえた。
滑り台や砂場といったよく見る遊具の中に見慣れないシルエット。
先日の戦いで初めて顔を合わせた眼帯の小柄な女の子。
先程の金属音は彼女の乗っているブランコから発せられたもののようだ。
彼女は大きな瞳を真っ赤な夕焼け空に向けている。
相変わらず寒々しい格好。

「クローム」

名前を呼ぶと彼女はようやく振り向いた。

「ボス・・」
「何を見てたの?」
「空・・血のようだと思って」

彼女は自嘲するように呟く。

「俺は炎のようだと思ったけど」
「ボスらしいね」

仮面の様な無表情。
けれど決して感情が無いわけでは無い。
彼女は感情を表現する術に長けていないだけだと思う。
そういえば骸も表情が乏しい気がする。
いつも貼り付けたような皮肉げな笑顔。
それは無表情と同意ではないだろうか。
この2人はまるで鏡のよう。
正反対なのにそっくりだ。

「えっと・・霧戦の時はありがとう」

対戦後病院で再会した時には伝わらなかった言葉。

「私は何も・・。骸様が・・」
「うん。だから」
「え?」
「今のは骸に言ったの。あ、前も言ったっけ?まぁいいや。クロームにも伝えといて」
「・・・・」

彼女、いや彼の瞳が軽く見開かれる。
前髪をかき上げて溜息を吐く。

「ボンゴレの超直感、ですか」
「何となくだよ」

姿形は元より声までもクロームそのものだ。
彼の被っていた仮面も完璧だったと思う。
それなのにどうして分かったのかは自分でもよく分からない。

「・・出てきても大丈夫なの?」
「実体化していなければそこまで負担はかかりませんよ」

クロームの顔にあの皮肉っぽい笑みを浮かべる。
どうしてこんな所で一人で空なんか眺めているの。
喉元まで出かかった言葉を押し戻す。
多分それは彼が一番聞かれたく無いこと。
リボーンは同情するなと言ったけど、彼を冷たい牢獄へ追い込んだのは紛れもない自分なのだから。

「僕はあなたの敵ですよ。敵に礼を言うなんて本当にあなたは甘い人ですね」
「そればっかりだな、骸は」

あんまり同じことを繰り返されると心配されているように感じる。
それすら甘い考えなのかもしれないが。
ひらりとスカートを翻しブランコから離れる。
赤い空はすでになく、公園の街灯がオレンジの光を灯した。

「そろそろ帰らないと」
「あっ!ちょっと待って!」

公園内の自動販売機に駆け寄りホットチョコレートを購入。
そのまま彼の方に放り投げる。

「もう秋なんだから少しはクロームに暖かい格好させてあげなよ!」

彼が帰る場所はあの冷たい水の中。
こんなものはただの自己満足だけど。
彼が彼女の姿で缶に口をつける。

「どう?」
「甘いですけど・・嫌いではありません」

笑った顔はほんの少し・・いつもより棘が少ない気がした。




====


一発書きなので色々おかしいかも★
骸は憑依時は痛みを感じないので味覚なんかも分からないんでしょうか。
でも髑髏の場合は憑依とは微妙に違うっぽいので痛みなどの感覚もあるんじゃないかと勝手に思っていたり。