水野和夫・萱野稔人『超マクロ展望 世界経済の真実』(集英社新書、2010.12。写真)を読む。
経済学者水野和夫と哲学者萱野稔人の対談です。
水野和夫については、テレビ番組の感想として、このブログで取りあげたことがあります。
第3843号 2010.08.12
【概要】
本書の概要をいくつかの節のタイトルであげてみます。
・1974年の地殻変動―実物経済から金融経済への方向転換
・国民国家が国際秩序の基本的単位ではなくなるとき
・16世紀のグローバル化と現代のグローバル化との相同性
・低成長時代の制度設計
【書評から】
この本をネットで検索すると、多数の優れた書評ブログ記事に遭遇します。それだけ本書は読書人というか思索家の関心を引いているといえます。私が概要を紹介するよりは、これらの書評を読む方が議論の焦点が浮き彫りになりますね。
書評の多くは、この本の歴史的考察を評価しています。
一部では、議論が多少荒っぽいと評する向きがあります。
また、分析の後の具体的な提案が少ないとの評も見受けられます。
以下に、私が選んだ6つのブログ書評を日付順にあげます。
EU労働法政策雑記帳(濱口桂一郎) 2010.11.16
アゴラ(池田信夫) 2010.11.27
知的漫遊紀行 2010.11.27
里山のフクロウ 2010.11.28
Bookmania2005 2010.11.29
ブック・ナビ(雄) 2010.12.09
【社会保障・社会福祉からの視点】
本書には、社会保障・社会福祉の視点については触れられていない。
一か所だけ、社会保障と財政に関する部分があります。p.212
(水野)国債の新規発行額44兆円
中央政府の歳出は92兆円
このうち国債費と地方交付税交付金は38兆円
→税収は37兆円なので、社会保障や行政サービスの対価には1銭も払っていない。
*(ブログ管理者)これは、統計的な事実の確認です。
(萱野)「社会保障費の削減は非常に困難。多くの人は、財政的なリソースがどこかにあるだろうとか、経済のパイはいずれ拡大していくだろうと漠然と思いこんでいますから。結局、成長モデルから抜け出せていないんです。」
*(ブログ管理者)社会保障の分野で、この問題を早くから指摘し、「定常社会」を提唱してきたのは広井良典(千葉大学)である。
本書でこのように書いているわけで、上記の書評もこれ以上に踏み込んで社会保障・社会福祉の問題に言及していない。闇は深い。
経済学者水野和夫と哲学者萱野稔人の対談です。
水野和夫については、テレビ番組の感想として、このブログで取りあげたことがあります。
第3843号 2010.08.12
【概要】
本書の概要をいくつかの節のタイトルであげてみます。
・1974年の地殻変動―実物経済から金融経済への方向転換
・国民国家が国際秩序の基本的単位ではなくなるとき
・16世紀のグローバル化と現代のグローバル化との相同性
・低成長時代の制度設計
【書評から】
この本をネットで検索すると、多数の優れた書評ブログ記事に遭遇します。それだけ本書は読書人というか思索家の関心を引いているといえます。私が概要を紹介するよりは、これらの書評を読む方が議論の焦点が浮き彫りになりますね。
書評の多くは、この本の歴史的考察を評価しています。
一部では、議論が多少荒っぽいと評する向きがあります。
また、分析の後の具体的な提案が少ないとの評も見受けられます。
以下に、私が選んだ6つのブログ書評を日付順にあげます。
EU労働法政策雑記帳(濱口桂一郎) 2010.11.16
アゴラ(池田信夫) 2010.11.27
知的漫遊紀行 2010.11.27
里山のフクロウ 2010.11.28
Bookmania2005 2010.11.29
ブック・ナビ(雄) 2010.12.09
【社会保障・社会福祉からの視点】
本書には、社会保障・社会福祉の視点については触れられていない。
一か所だけ、社会保障と財政に関する部分があります。p.212
(水野)国債の新規発行額44兆円
中央政府の歳出は92兆円
このうち国債費と地方交付税交付金は38兆円
→税収は37兆円なので、社会保障や行政サービスの対価には1銭も払っていない。
*(ブログ管理者)これは、統計的な事実の確認です。
(萱野)「社会保障費の削減は非常に困難。多くの人は、財政的なリソースがどこかにあるだろうとか、経済のパイはいずれ拡大していくだろうと漠然と思いこんでいますから。結局、成長モデルから抜け出せていないんです。」
*(ブログ管理者)社会保障の分野で、この問題を早くから指摘し、「定常社会」を提唱してきたのは広井良典(千葉大学)である。
本書でこのように書いているわけで、上記の書評もこれ以上に踏み込んで社会保障・社会福祉の問題に言及していない。闇は深い。