『海外社会保障研究』の最新号が届く。
AUTUMN2007、No.160
国立社会保障・人口問題研究所発行の季刊誌。
バックナンバーをみると、
・先進諸国の年金改革の視点(2007-3月、第158号)のようにテーマで特集するか
・ドイツ社会保障の進路ー政権交代は何をもたらすかー2006-6月、第155号)
のように、特定の国や地域を特集する
など、最新の海外事情を専門家の分担により紹介している。
投稿も受けているが、大部分は編集委員会からの依頼原稿である。
わが国における社会保障・社会福祉の国際比較に関する最も権威ある理論誌
といってよい。
本号では、
表題のテーマ設置のもとに、いわゆる少子化の現状と政策の対応を概観している。
最初に、特集の趣旨、出生率に関する国際的動向の分析があり、
以下、ドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、アメリカ、韓国の6カ国について、
政策の動向と日本へのヒントなどが続く。
A4版で2段組、1ページ2000字で、特集部分は129ページに及ぶ大部なものなので
印象に残った箇所をいくつか紹介する。
・冒頭の「特集の趣旨」では、日本の少子化は、
固定的性別役割分業と男女共同参画型価値観のせめぎあい と把握する(p3)。
・TFR total fertility rate 合計特殊出生率は、
2以上の国を「緩少子化国」といい、OECD 30か国中 5カ国
1.5未満の国を「超少子化国」といい、13カ国 ある。日本、ドイツ、韓国がこのグループだ。
・イギリスでは、日本のような「少子化問題」はほとんど取り上げられていない。
(p97)し、民族ごとに差異が大きい。アメリカの影響で、workfareのプログラムが重視される。
・スウェーデンから見た日本の課題は、法律や社会保障制度における差別の撤廃である(p84)。
・フランス編では、詳しい給付の説明のあと、その国の家族文化を反映した政策がとられるので、
あくまでその国のニーズを把握すべきだとする(p70)。
・アメリカの政策を検討した結論は、政策と出生率とは、必ずしも同じレベルでリンクしていないとし、
「政策と個人の出生行動の関係は、それほど単純ではない」(p110)とする。
・ドイツでは、2005年11月、ライエン家族大臣の登場(p22)で積極的な論議が行われだした。
・韓国では、保育において公的サービスに先んじて民間市場が形成されたので、
政府は育児支援における後発走者であるという(p129)。
膨大な統計と政策の説明をブログ1回で紹介は出来ないが、ここにあげたような各国の担当者の
分析を総合化する作業は本特集でも行われていない。ただし、日本における少子化の政策論議が
ヒステリックな側面をもつことを暗示しているように思われた。
AUTUMN2007、No.160
国立社会保障・人口問題研究所発行の季刊誌。
バックナンバーをみると、
・先進諸国の年金改革の視点(2007-3月、第158号)のようにテーマで特集するか
・ドイツ社会保障の進路ー政権交代は何をもたらすかー2006-6月、第155号)
のように、特定の国や地域を特集する
など、最新の海外事情を専門家の分担により紹介している。
投稿も受けているが、大部分は編集委員会からの依頼原稿である。
わが国における社会保障・社会福祉の国際比較に関する最も権威ある理論誌
といってよい。
本号では、
表題のテーマ設置のもとに、いわゆる少子化の現状と政策の対応を概観している。
最初に、特集の趣旨、出生率に関する国際的動向の分析があり、
以下、ドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、アメリカ、韓国の6カ国について、
政策の動向と日本へのヒントなどが続く。
A4版で2段組、1ページ2000字で、特集部分は129ページに及ぶ大部なものなので
印象に残った箇所をいくつか紹介する。
・冒頭の「特集の趣旨」では、日本の少子化は、
固定的性別役割分業と男女共同参画型価値観のせめぎあい と把握する(p3)。
・TFR total fertility rate 合計特殊出生率は、
2以上の国を「緩少子化国」といい、OECD 30か国中 5カ国
1.5未満の国を「超少子化国」といい、13カ国 ある。日本、ドイツ、韓国がこのグループだ。
・イギリスでは、日本のような「少子化問題」はほとんど取り上げられていない。
(p97)し、民族ごとに差異が大きい。アメリカの影響で、workfareのプログラムが重視される。
・スウェーデンから見た日本の課題は、法律や社会保障制度における差別の撤廃である(p84)。
・フランス編では、詳しい給付の説明のあと、その国の家族文化を反映した政策がとられるので、
あくまでその国のニーズを把握すべきだとする(p70)。
・アメリカの政策を検討した結論は、政策と出生率とは、必ずしも同じレベルでリンクしていないとし、
「政策と個人の出生行動の関係は、それほど単純ではない」(p110)とする。
・ドイツでは、2005年11月、ライエン家族大臣の登場(p22)で積極的な論議が行われだした。
・韓国では、保育において公的サービスに先んじて民間市場が形成されたので、
政府は育児支援における後発走者であるという(p129)。
膨大な統計と政策の説明をブログ1回で紹介は出来ないが、ここにあげたような各国の担当者の
分析を総合化する作業は本特集でも行われていない。ただし、日本における少子化の政策論議が
ヒステリックな側面をもつことを暗示しているように思われた。