温泉旅行に行っている間、
彼から始まるLINEは、一切来なかった。
私が、嬉しがって、何度か旅の報告をしても、
最低限の返事しか返してこなかった。
夜、母親と、娘2人が寝静まった後も、スマホを持って、じっと待っていた。
寂しくて仕方なかった。
ふと目を覚ましたのは、夜中の3時。
スマホを見るのが怖かった。
きっと何も無いと思いながらも、もしかして?って期待する。
バカな私。
5時。
早朝のいつも会話する時間にも、
彼はやってこなかった。
夜、「会いたい」と書いた文字は、
いつまでも既読にならずに朝を迎え、
戸惑いを覚えながら、私は、ようやくそれを削除した。
2日目は、LINEを送るのをやめた。
彼が、スマホを見ないようにしているのか、
日曜日なので、家族と過ごしているのか、
理由はわからないけど、
もしかしたら、旅行をちゃんと楽しむようにって、言われてるのかもしれない。
そんな風に、考えてみたりした。
だから、LINEも、来ることもなければ、送ることもなかった。
私が、ようやく彼のラインを開いたのは、もう既に、家に帰って、夫の晩ごはんを作り終えた後だった。
そしたら、ちゃんと返事が来た。
お帰りなさい。って。
いつも通りの彼に会えた気がして、心からほっと出来た瞬間だった。
私が旅行中、彼がどう思って、LINEを控えていたのかは、敢えて聞かない。
いつも通り、仕事だったことしか、知らないけど、それでいい。
でも、多分、彼は、私に、
スマホばかり触らずに、しっかり楽しんで欲しいと願った。
そして、私は、途中でそれに気が付いた。
私の理想でしかないけれど、
そんな素敵なシナリオで、良いんじゃないかと思う。