吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

生きるということ/嵯峨信之

2009-02-09 13:14:07 | 嵯峨信之
すべてが一回かぎりのものだ
遠くの野づら 空を掠める一羽の鳥 横切つた水路

さらにもう一度と思っても
再び同じことはくりかえさない

日は照っている
山なみも青くゆるやかにつづいている
小道を
バッタが跳ねた
木から葉が一枚舞い落ちる

ぼくは素直に生きようと思う
空気の教え 水の諭し 光の導きによって
木の葉 草の葉のそよぎとともに生きよう

ああ 人間は自己の影を越えて先きへ進むことはできない
日々 欣びは遠く 憂いは近い

でも
ぼくはたしかにいま生命の近くにいる


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2 Comments

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「自己の影を越えて」 (優衣)
2009-02-28 11:59:41

「ぼくは素直に生きようと思う
空気の教え 水の諭し 光の導きによって
木の葉 草の葉のそよぎとともに生きよう」



いつもながら素敵ですね。
私は、上記の部分が特に好きです。

同じ時間の速さの中に生きている私たちなのに

「時間」の感覚は、日により、またその時どきの「心音」により、私自身の中でも随分と違って捉えられます。

優しい時間を過ごしたいと思うし、関わってくださる人たちにも、どうかそのような時間をと、願いながら書きました。

いつも本当にありがとうございます。




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憂い。 (マリウス)
2009-09-29 00:38:43
レス遅くなりました。

ああ 人間は自己の影を越えて先きへ進むことはできない
日々 欣びは遠く 憂いは近い

最近憂いが近い毎日です(¨;)
優衣さんのレスを読みながら優しい時間を過ごしたいと改めて思ったりしました。それは自分の気持ちの持ち方にもよるんですけれども。
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