吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

六月/茨木のり子

2015-06-02 18:04:38 | 茨木のり子
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終わりには一杯の黒ビール
鍬を立てかけ 籠をおき
男も女も大きなジョッキをかたむける


どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる


どこかに美しい人と人の力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる


最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ローレライ)
2016-04-01 13:28:33
小さな町がありました
小さな家がありました
小さな少女が小さな猫と
花とメダカと招き猫
それで幸せでありました
そのうち少女は旅に出て
大きな幸せ見つけます
いろんな人と友達に
なるのが彼女の定めです
返信する
Unknown (春嵐)
2016-04-15 15:25:48
空を見上げる季節です
貴方を見上げる季節です
雨の間は傘をさしかけ、貴方と歩く季節です。
雨の間は傘を受け取り、貴方が俯く季節です。
もうその季節は終わり
私と貴方の季節は終わり
やがて
笑い声がする
返信する

post a comment