小包みの紐の結び目をほぐしながら
思ってみる
ーー結ぶときより、ほぐすとき
すこしの辛抱が要るようだと
人と人との愛欲の
日々に連らねる熱い結び目も
冷めてからあと、ほぐさねばならないとき
多くのつらい時を費やすように
紐であれ、愛欲であれ、結ぶときは
「結ぶ」とも気付かぬのではないか
ほぐすときになって、はじめて
結んだことに気付くのではないか
だから、別れる二人は、それぞれに
記憶の中の、入りくんだ縺れに手を当て
結び目のどれもが思いのほか固いのを
涙もなしに、なつかしむのではないか
互いのきづなを
あとで絶つことになろうなどとは
万に一つも考えていなかった日の幸福の結び目
ーーその確かな証拠を見つけでもしたように
小包みの結び目って
どうしてこうも固いんだろう、などと
呟きながらほぐした日もあったのを
寒々と、思い出したりして