2012年にフジテレビで放送され、大好評を博したドラマ『最後から二番目の恋』。当時僕もこのドラマを観ており、今でも自分が大好きなドラマベスト10に入るくらい好きなドラマだ。その2年後の2014年に第2期・続編として『続・最後から二番目の恋』が放送され、こちらも人気ドラマとなった。


そして第3期目となる『続・続 最後から二番目の恋』がいよいよ4月14日から放送開始となる!これは何とも嬉しいニュースだった。実際の時間の流れに合わせる形で、前作からちょうど11年の歳月が流れた鎌倉という設定で、オリジナルキャストが完全復活するというから素晴らしい。月9で楽しみに思えるドラマは本当に久しぶりではないだろうか。



そして、新シーズンが開始となるタイミングに合わせて、なんとフジテレビで現在第1期の『最後から二番目の恋』が先週から再放送されており、4月頭には続けて第2期の『続・最後から二番目の恋』も再放送となる。これは最高にタイムリー且つ嬉しい再放送企画で、毎日録画しながら観賞している(出来れば、『最後から二番目の恋2012年秋』のドラマ特番もぜひ再放送して欲しいものであるが・・)。第1期、第2期は共に当時リアルタイムで見た時も相当面白くてハマったが、久しぶりに再放送を観てもやっぱり面白いし、改めて最高のドラマであることを痛感した。そこで、第3期を目前に、現在再放送中の第1期を振り返っておきたい。


『最後から二番目の恋』は本当に見どころ満載なドラマだ。まずは舞台となる鎌倉。当時このドラマによって、鎌倉人気が一気に盛り上がったとも言える。僕もいぶし銀で落ち着いた鎌倉の雰囲気が好きで、きなこと散歩で良く訪れていた。鎌倉は美しい海に面しており、江の島も近く、有名な仏閣も多い為、魅力的な古都として人気の高い観光地としてもお馴染みだ。しかし、華やかな表通りだけではなく、このドラマによってひっそりとした山間の景色や裏の路地、古民家など独特な鎌倉の日常にもスポットがあたり、より鎌倉の人気に拍車がかかった。鎌倉への移住者も更に増えたと言われる。




ドラマのキャストが何とも個性的で最高であったが、まずはなんと言っても主演の小泉今日子。テレビ局の敏腕プロデューサーながら、色々と思い悩みながら人生を変えたいと鎌倉の古民家引っ越す45歳(このドラマ当時の設定)の独身女性、千明を見事に演じている。小泉今日子は昔から大好きで、歌手としての小泉今日子もいいのだが、やっぱり役者としての小泉今日子は演技が素晴らしく、昔から彼女が出ているドラマはだいたいチェックしている。つい最近もNHKの『団地のふたり』が素晴らしく、小林聡美との共演が最高であったことが記憶に新しいが、また第3期にも帰ってくるというのは最高に嬉しいニュースだった。本当に小泉今日子はいい歳の取り方をしていると思う。決して年齢に抗うことなく、自然体で演技しているところが最大の魅力だが、これが長く女優を続けられている秘訣なのかもしれない。




小泉今日子以外のキャストも豪華で個性豊かであったことが、ドラマをより魅力的なものにしていた。役所(鎌倉市観光推進課)で課長として働く50歳(このドラマ当時)の真面目な中年男、長倉和平を演じている。妻を交通事故で亡くし、シングルファザーとして娘を育てながら兄妹3人の父親代わりとなって面倒を見ている役どころだ。真面目ながらどこかコミカルでユーモラスな一面もあり、小泉今日子との息のあった会話劇がとにかく面白いのだ。この2人の独特な掛け合いで、けんかや小競り合いを繰り返しながらもお互いにどこか惹かれていく展開に思わず爆笑しながらも、どこか胸が熱くなってしまうし、自分も55歳になった今改めて観ると、何だか考えさせられるものがある。


長倉和平(中井貴一)の妹役、典子を演じる飯島直子も最高だ。彼女独特なセクシーさも少し残しながら、旦那との関係などにも悩みながら兄の家に転がり込む45歳(当時)の中年女性をコミカルに演じている。


また、ガンの再発リスクを抱える中で、天使のように人を幸せにしたいと、特定の人を愛せなくなっている生き方を貫く、イケメンの弟、真平を演じるのが坂口憲二。彼のフェミニストながらワイルドなルックスも当時人気となった。暫くドラマ主演から遠ざかっていた坂口憲二であったが、久々に第3期にも出演するのは嬉しい。



そして真平の双子の妹で、何とも変わり者で引きこもり系キャラの万理子を演じる内田有紀も面白い。それまで活発で明るい健康的な美女の役柄が多かった中、このドラマでの内田有紀は何ともユニークな内気キャラ設定で、また新たな彼女の一面を引き出したと言える。


和平の一人娘、えりなを演じるのが当時実年齢で9歳(ドラマの中の設定は11歳)であった白本彩奈。放送当時も可愛い子だな、と思っていたが、今や22歳となって、その美しさをキープしながらすっかり大人の女性になった。最近ではCM、ドラマ、バラエティーに登場することも多くなったが、今回の新シーズンでどんな姿を見せてくれるのかが今から楽しみである。



また和平とお見合いをする予定だった大橋秀子を演じる美保純と、観光推進課の職員で和平の部下でもある娘の大橋知美を演じる佐津川愛美がなかなかいい味を出している。佐津川愛美は現在36歳。数多くの映画やドラマに出演している名バイプレイヤーとしても人気だが、このドラマに出ていた頃は23歳くらいだったと思われる。おじさんに好意を抱くキュートな女子をユニークに演じていたのがとても印象的であったが、彼女もまた新シリーズに登場する予定なので、その後どうなっているか楽しみである。



千明の独身仲間を演じる森口博子と渡辺真起子とは、毎回レストランやバーに集まって女子会を展開しているが、彼女たちの掛け合いがまた悲哀があってなかなか面白い。恋はどんどんしたいものの、年齢を重ねる中で体も心も無理が効かなくなっており、また家庭環境を持つような状況からはすっかり遠ざかってしまった独身アラフォー女性たちを演じているが、これも当時から現代社会における事象として時代を上手く反映しており、視聴者の共感を呼んだのだろう。11年経った第3期もみんな独身なのだろうか・・。


ドラマは基本、小泉今日子演じる千明と、長倉家のメンバー、和平が勤める観光推進課のメンバー、千明の勤めるテレビ局のメンバーなどを中心に進行し、他はゲスト的に登場するキャストもいるが、中でもインパクトがあったのは、ギャル風な若手脚本家を演じた益若つばさであった。

登場人物は比較的限定的で、場所も鎌倉周辺という限られたエリアで展開される為、ある意味とても安心感のあるドラマだ。どこか心の安らぎを覚える空気感がドラマ全体を支配しており、そんな中での日常をユーモラスに描いている。


最後に忘れてはならないのが、この巧みで見事なストーリーを作り上げている脚本家の岡田恵和の存在。今回の新シリーズでも続投となる。これまでNHK朝ドラの『ちゅらさん』、『おひさま』、『ひよっこ』を始め、『ビーチボーイズ』、『南くんの恋人』、『イグアナの娘』、『泣くな、はらちゃん』など数多くのヒットドラマの脚本を担当。最近では『日曜の夜ぐらいは・・・』、昨年の『南くんが恋人!?』などが記憶に新しいが、毎回ほのぼのとした中にも絶妙な緩急で視聴者を飽きさせない、巧みな脚本術が光る脚本家なので、毎回外れが無いという脚本の安定感がとにかく素晴らしい。

主題歌はこれまでを継承し、浜崎あゆみが続投。第1期『how beautiful you are』、第2期『Hello new me』に続き、今回の新シリーズは『mimosa』が主題歌となる。

4月からの第3期には、三浦友和と石田ひかりも登場するというから、これもまたどのような絡みになるのか楽しみである。まずは第1期、第2期の再放送を満喫した上で、万全の体制で4月14日からの第3期を思いっきり楽しみたい。
