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まほまほろば

まほろばのように日々の思いを書き綴った日記

本の整理

2018-11-12 20:51:40 | 本(漫画、小説)
近いうちに引っ越しをすることが決まったため、今月に入ってからは毎日のように引っ越し準備をしています。

まず手を付けたのが本の整理です。

今ある本を全て持っていくつもりはなく、ある程度は絞る予定です。

そのための基準がいくつかあります。

その中で一番重要なのが、再読したいと思うかどうかです。

この基準に照らしたとき、真っ先に捨てようと思ったのがビジネス書、自己啓発書です。

整理していると案外これらのジャンルは出てくるのですが、内容が薄くて、内面矯正世界にのめりこんでいるものばかりであるため、再読する気はありません。


また、奥行きも感じられないものも捨てることにしました。

読みやすくて、読んだときは楽しかった、感動したと思えるものも多いですが、しばらくすると記憶から抜け落ちてしまうのです。

正直時間と金の無駄だったと思います。

やはり、ショーペンハウアーの言うように良書を読むべきであると深く思います。良書とはつまり、私にとっては思考を刺激するものです。

読む本は厳選し、流行り物は基本読まず、後で捨てたくないような物にしなければなりません。

整理しながら深く反省しました。



今年の読書録

2017-12-25 20:09:21 | 本(漫画、小説)
今年も残り1週間をきりましたので、今年1年で読んだ本を振り返ってみようと思います。

今年は以前書きましたが、小説と哲学・思想書を並行して読んでいきました。
そして、基本的には芋づる方式でして、「読んだ本の作者が影響を受けた作者・作品」、または「読んだ本の作者の影響を受けた作者・作品」を読んでいくというものでした。

また、今年は読書をするにあたって新しい読み方を試してみました。

それは同じ本を少なくとも2回は読むということです。

なんだ、そんなのやっているよと思われるかもしれませんが、ただ2回読むのではなく、工夫して2回読んでみました。

1回目はまずはざっと読みます。
このときに心がけていたのは、読みながら「疑問に思った箇所」、「印象に残った箇所」などのページの端を折っていくということです。
本の内容によっては、折りすぎてわけがわからなくなることもありましたが、それは本を読んでいくことで折る箇所の調整をしていきました。

2回目は精読です。
1回目で折った箇所を中心に丁寧に読んでいきます。そして、印象に残ったセリフや言葉などを本の初めの数ページにある空白の部分に書いていきます。
この書きだすという作業が結構重要でして、1回目に読んだときに点だった部分が互いにつながり、線となります。つまり、部分ではなく全体から俯瞰するように理解できるようになるわけです。
特にこれは哲学書のような難解な作品に有効でした。1回目はさっぱりわからなかったものが、2回目のおかげで少なくとも何がわからないのかがわかるようになるといったように、なんとなくわかるようにもなりました。ただ、それでも理解できない部分はやっぱりありましたので、それはさらに3回、4回と精読をする必要があると思います。

正直言って、この読み方は非常に時間を費やします。
しかし、このやり方は記憶に残りやすいです。自分の血となり肉となる感覚がつかめたように思います。
来年はこのやり方をさらに改良してもっと自分の中に残滓としてでも残るような読み方をしていこうかと思っています。


さて、読んだ本を列挙してみます。まずは小説・エッセイです。


1.「仮面の告白」: 三島由紀夫
2.「カラマーゾフの兄弟1~5」(光文社): ドストエフスキー
3.「嘔吐」: サルトル
4.「群盗」: シラー
5.「カフカ短編集」: カフカ
6.「シーシュポスの神話」: カミュ
7.「マルテの手記」:リルケ
8.「ゾラ短編集」:ゾラ
9.「ゲーテとの対話 上」:エッカーマン
10.「1984年」:オーウェル
11.「すばらしい新世界」:ハクスリー
12.「カフカ寓話集」:カフカ
13.「転落・追放と王国」:カミュ
14.「悪徳の栄え 上下」:サド
15.「おくのほそ道」:松尾芭蕉
16.「伊勢物語」:未詳
17.「今昔物語集」:未詳
18.「羅生門・鼻」:芥川龍之介
19.「鼻・外套・査察官」:ゴーゴリ
20.「シュールレアリスムとは何か」:巌谷國士
21.「シュールレアリスム宣言・溶ける魚」:ブルトン
22.「ユートピア」:トマス・モア
23.「神を見た犬」(岩波):ブッツァーティ
24.「神を見た犬」(光文社):ブッツァーティ
25.「バラとハナムグリ」:モラヴィア
26.「鏡の前のチェス盤」:ボンテンペッリ
27.「羊飼いの指輪」:ロダーリ
28.「猫とともに去りぬ」:ロダーリ
29.「無関心な人々 上下」:モラヴィア
30.「明暗」: 夏目漱石


結構幅広いジャンルを読むことができたと思います。
海外文学に偏ってはいますが、途中日本の平安時代の文学も読めましたし、後半はマジックリアリズムなどの作品を集中して読んでいき、最後は実存主義の作品に戻りました。
一番衝撃的だったのが、マルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」でして、人間の欲望を暴走させた世界ってこんな状態なんだと思うくらいぶっ飛んだ内容でした。それ故、他の作品も読んでみたいと思いました。
また、「今昔物語集」を読めたのは収穫だったと思います。比喩表現を多彩に使わずに、下手に気取っておらず、野性的な荒々しさを持つ作品群で、読んでいて新しい発見があり、引き付けられるものが多かったです。


次は哲学・思想書です。

1.「群集心理」:ギュスターブ・ル・ボン
2.「人間不平等起源論」: ルソー
3.「寛容論」: ヴォルテール
4.「自由論」: ミル
5.「帝国主義論」:レーニン
6.「政治の約束」:ハンナ・アレント
7.「ソクラテスの弁明」: プラトン
8.「実存主義とは何か」: サルトル
9.「メノン」: プラトン
10.「空気の研究」:山本七平
11.「服従の心理」:ミルグラム
12.「饗宴」:プラトン
13.「存在と時間」:ハイデガー
14.「実践理性批判 1」: カント
15.「フランス革命の省察」:エドマンド・バーグ
16.「人間の条件」:アレント
17.「大衆の反逆」:オルテガ
18.「道徳形而上学の基礎づけ」: カント
19.「全体主義の起源 3」:アレント
20.「経済学・哲学草稿」:マルクス
21.「学問の方法」:ヴィーコ
22.「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」:マックス・ウェーバー
23.「道徳の系譜学」: ニーチェ
24.「賃労働と資本/賃金・価格・利潤」:マルクス
25.「資本論 1~3」: マルクス
26.「茶の本」:岡倉天心
27.「文化防衛論」:三島由紀夫
28.「法の精神」:モンテスキュー
29.「私の個人主義」:夏目漱石
30.「さらば、資本主義」:佐伯啓思
31.「反・幸福論」:佐伯啓思
32.「西田幾多郎」:佐伯啓思
33.「学問のすすめ」:福澤諭吉
34.「武士道」:新渡戸稲造
35.「論語」:孔子
36.「大学・中庸」:不明
37.「老子」:不明


今年読んでみたいと思っていたものの大半は読むことができました。
こうして振り返ってみると、「ニヒリズム」、「資本主義」、「自由」、「道徳」などのキーワードをテーマとした作品が多かったなと思います。
個人的にはマルクスの「資本論」を読むことができたのが収穫でした。
名前は有名ですが、敷居が高くて読んだことがないという人が多いと言われています。実際読んでみると滅茶苦茶難しかったです。
しかし、これは150年以上前に書かれた作品なのかと思うくらい現代の日本社会に通じるテーマ(ブラック企業、働き方改革、格差社会)が書かれていて、驚きました。
これらのテーマについては自分なりに思うところがあるのでまた、そのうちまとまったら書こうと思います(別に私は格差賛成・反対とかそういった・一次元の内容を書くつもりはありません。もっと根本的な内容についてです)。


来年は小説については、今昔物語集の全集に挑戦してみる予定です。また、現代日本文学の礎を築いた日本の明治の文豪ももっと読んでみたいと思います。
また、哲学書については、「民主主義」、「権力」、「人権」といった当たり前のように聞くことが多いテーマを深く掘り下げるような作品を読んでみたいと思います。併せて「コミュニタリニズム」や「リバタリアニズム」といった現代社会に大きく関わっている思想についても探求しようと思います。


2月の読書録(哲学書・思想書)

2017-04-13 18:24:04 | 本(漫画、小説)
だいぶ遅くなりましたが、2月に読んだ哲学書・思想書の簡単な感想をまとめていこうと思います。


(1)「帝国主義論」:レーニン
 1月にルソーの「人間不平等起源論」を読んだときに資本主義の欺瞞について興味を持ったために読んでみました。レーニンというと左というイメージが強いですが、実際に読んでみるとちゃんと統計データを元に資本主義の欠点を述べているので意外とまともな本でした。帝国主義とは資本主義の行き過ぎた形態であり、資本主義が自由から離れて独占の状態に移行してしまっている状態を示します。グローバリズムの名のもとに植民地支配へと結びついた流れは、現代社会でも経済的な面で同じようなことが起こっているような気がしてなりません。
 断っておきますが、私は別に資本主義を否定しているわけではありません。むしろ恩恵を日々受けているので感謝しています。ただ、欠点もあるということを知っておくべきだと思うのです。その欠点について100年以上も前に気づいた人たちがいたということが驚きでした。



(2)「政治の約束」:アレント
 ミルの自由論を読んで、もう少し自由について掘り下げてみたいと思って読んだのがこの本でした。アレントの中でもマイナーな本でして、死後に残っていた遺稿を編纂して書き上げられた作品です。とは言っても、難解な哲学者アレントの本だけあって、独特の定義付けされた言葉群は読みこなすのに時間がかかりました。
 アレントがいう政治というのは、いわゆる法を定めて秩序を形成する政治とは意味が異なっていまして、一言で言えば自由な活動を意味しています。さらに政治は人間の複数性に基づいており、人間と人間の間に発生するものである(つまり対話を重視している)として、全体主義や内省的な生活を批判しました。実際、別の著書である「全体主義の起源」や「人間の条件」の中でも似たようなことが書かれていまして、ユダヤ人であるアレントがナチスによる迫害を受けた経験なども背景としてあったのかと思われます。
 また、印象的だったのが現代社会は世界(価値観)が喪失した砂漠であるという例えです。心理学や自己分析などは自分の内面にこもることでこの砂漠に順応する手段であり、生きる希望を奪い去ってしまう。なぜおかしい砂漠で生活できるように順応しようとするのか、なぜ砂漠をおかしいと思わないのか、そして砂漠を変えようとしないのか。最近本屋で自己分析書や心理学の本が店頭で山積みになっている世相をまさに痛烈に批判している部分であります。



(3)「ソクラテスの弁明」:プラトン
 アレントの「政治の約束」の中で書かれていた、ソクラテスとプラトンの対比に興味を持ったので読んでみました。ソクラテスは対話、そして意見を重視していましたが、よく思わない人たちから疑いをかけられ、その重視していた意見によって死刑となってしまいました。弟子であったプラトンはそれをひどく悲しみ、対話は重要であるが、雑多な意見ではなく一つの真理が重要であると思い立ち、イデアという思想に至ったそうです。
 この本の内容は、そのソクラテスがあらぬ疑いをかけられた後の裁判の様子が描かれていまして、原告と被告(ソクラテス)の激しい問答は読んでいて生き生きしていました。ソクラテスは現在生きていたら相当に理屈っぽくて面倒くさい人間なのでしょうが、無知の知、そして哲学とは知を愛するということなど哲学の原点となった人間でもあるため読む価値はあるかと思います。対話で話が進んでいくので哲学書のわりには読みやすいですし、その中にプラトンの思想が盛り込まれているので純粋に読み物として面白かったです。



(4)「実存主義とは何か」:サルトル
 「嘔吐」を読んだことでサルトルの思想をもう少し掘り下げてみたいと思って読んでみました。「実存主義とはヒューマニズムである」、「実存は本質に先立つ」、「人間は自由の刑に処せられている」など有名なフレーズの意味が述べられており、実存について参考になりました。サルトルが影響を受けていたハイデガーの実存との違いも書かれていまして、サルトルのそれは人間の主体性に重きを置いているということや人間は自由そのものであり、孤独の世界の中で自らを選び取っていく必要があるということが特徴的だと思いました。

2月の読書録(小説)

2017-03-26 18:12:48 | 本(漫画、小説)
すっかり遅くなりましたが、2月に読んだ本を簡単にまとめていこうと思います。

先月も書きましたが、今年は小説と哲学書(思想書)の2種類を並行して読んでいるのでそれぞれについて書いていきます。


○小説

(1)カラマーゾフの兄弟4:ドストエフスキー
 
 1月に引き続き、光文社古典新訳文庫で読みました。ちょうど第四部に該当しまして、ここは次兄イワンとスメルジャコフの対決や長兄ドミートリーの裁判などがあったりとクライマックスでありながら読み応えがある内容でした。印象に残った部分を以下に挙げます。

 ・人間って時によると罪を好きになる瞬間があるもんなんです。
 ・無限の神がなければ、どんな善行もありえないし、そうなったら善行なんてまったく必要なくなる。
 ・苦しみこそが人だからですよ。苦しみのない人生にどんな満足があるのか。
 ・人間がひとり残らず神を否定すれば、今までの世界観や過去の道徳はすべて崩壊し、何もかも新しいものが訪れてくる。神が
  なければ全てが許される。
 ・人間の魂の営みは合理主義的かつ科学的な思考では捉えきれない。

 無神論、ニヒリズムなど当時の混乱状態にあったロシア社会やそこに住む人々の内面に潜む精神的な心をうまく表しているなと思いました。


(2)カラマーゾフの兄弟5:ドストエフスキー
 
 エピローグ、そして豊富な解説。この解説を読むだけでカラマーゾフの兄弟について、さらにはドストエフスキーという人物・作品群についてがわかるようになります。印象に残ったのは、この物語が三層構造(象徴層・自伝層・物語層)をなしており、三兄弟(アレクセイ・イワン、ドミートリー)がそれぞれ対応しているということやイワンにはスメルジャコフだけでなくリーザという影も持っていたということです。また、物語のダイアグラムが載っていたため、それぞれの人物がある時間のときに何をしていたのかがわかりやすくて助かりました。
 このカラマーゾフの兄弟は久しぶりに再読しましたが、読むたびに新しい発見があるのでまさに良書ですね。読み終えるのに1ヶ月近くかかりましたが、読書している時間はドストエフスキーマジックといいますか、セリフの応酬に引き込まれっぱなしであっという間に過ぎてしまいました。



(3)嘔吐:サルトル
 カラマーゾフの兄弟を読み終えてから、さて次は何を読もうかと考えました。影響を与えた作家に遡るのもいいなと思いつつ、影響を受けた作家にシフトしていくのも面白そうだと思って色々と調べていったところとあるサイトにサルトルがあるのを見つけました。サルトルの作品は今まで読んだことがありませんでした。サルトルは哲学者という印象が強かったのですが、小説も結構書いていまして、その中でも一番有名な作品を読もうということでこの作品を選んでみました。
 物が存在することに違和感・嘔吐感を感じてしまう主人公。存在することの偶然性に気づき、さらに物だけでなく人も同様に存在であるということがわかってしまったことで我々人間がこの世界に生きていることは偶然で、何の理由もなく、余計なものであるという結論に達する。不条理な世界で主人公がクライマックスに選んだ生き方は小説を書くということでした。ただ、それでも自分の存在は過去において受け入れられるが現在の自分が余計なものであることには変わりはない。

 サルトルの哲学も盛り込まれている小説であるだけに非常に難解な小説でした。2回読みましたが、正直理解できたかというと曖昧です。ただ、この小説を読んだことで「不条理」、「存在」というキーワードに興味を持ちました。


(4)群盗:シラー
 次はカラマーゾフの兄弟に影響を与えた作品を読もうということで、この作品を選びました。戯曲でして、内容は、王族の主人公が野心的な弟に騙されて城を追放された後、盗賊団を結成し悪の限りを尽くしたのですが、騙されていたことに気づかされて弟に復讐をするという悲劇です。
 ドストエフスキーはこの演劇を10歳くらいの時に親に連れられて見たらしいですが、そのときの印象が鮮明に残っており、実際カラマーゾフの兄弟でも引用されていました。
「人間とは偽りと偽善の仮面をかぶったわにの一族だ。唇には接吻を、しかも胸には短刀を」
また、セリフの中で「何が一番重い罪だ?一つは父殺し、もう一つは兄弟殺し。」があり、カラマーゾフの兄弟のテーマの一つでもある父殺しにも関係してきています。
 久しぶりに戯曲を読みましたが、やっぱり戯曲は実際に劇場で観るのが一番だと実感しました。

1月の読書録

2017-02-04 22:53:05 | 本(漫画、小説)
2月に入り、寒さもピークに達して徐々に暖かさが恋しくなる季節となってきました。

さて、1月に読んだ本を簡単にまとめてみようと思います。


今年の抱負でも書きましたが、今年は現代社会の闇を探るをテーマに芋づる式で古典を読んでいくとしました。

改めて古典を読んでいて思いましたが、古典は奥行きがあり、広がりの可能性を秘めた書物だけあって読んでいて面白いです。

ジャンルとしては、小説と哲学書(思想系含む)を平行して読んでいきました。なぜならばこの二つのジャンルは干渉しあわないことに気がついたからです。

例えば2つの小説を同時に読んだりすると、物語が錯綜して何がなんだかわからなくなって混乱するのですが、小説と哲学書だとベクトルが違うせいかそういったことがほとんどおきませんでした。もちろん、観念的な小説だと哲学的なことも含んでいるため鑑賞する可能性もありますが、そこは気をつけていけばどうにかなるレベルです。


前置きが長くなりましたが、以下に列挙してみます。


○小説

1.「仮面の告白」:三島由紀夫

2.「カラマーゾフの兄弟1」:ドストエフスキー

3.「カラマーゾフの兄弟2」:ドストエフスキー

4.「カラマーゾフの兄弟3」:ドストエフスキー



○哲学書

1.「群衆心理」:ギュスターヴ

2.「人間不平等起源論」:ルソー

3.「寛容論」:ヴォルテール

4.「自由論」:ミル



読んだ冊数だけでいったら8冊になります。

私は読むのが遅いので一月にこれだけ読めたのは初めてではないかと思います。

なぜ読めたのかといいますと、単純に読書の優先順位を上げて読む時間を増やしたことにあります。

まずはテレビを見る時間を圧倒的に減らしました。もちろん、朝のニュースは仕事でも必要となるので見たりするのですが夜は全くといっていいほど見なくなりました。それによって毎日数時間が確保されたことで読書時間も増えました。


ただ、読んだ数は正直どうでもいいと思っていて、それよりも質、つまり思考の流れについて簡単に述べたいと思います。


まずは、小説から。

以前にも書いたのですが、「仮面の告白」は三島由紀夫の処女作でもあり、半自伝的作品でもあります。
あまり周りにはいいづらい性癖などを赤裸々に告白する内容なのですが、私が気になったのは冒頭に「カラマーゾフの兄弟」の美について語られている部分が引用されていたことでした。

それがきっかけで久しぶりに「カラマーゾフの兄弟」を読み直すのも悪くないなと思って次に選びました。

やはり長編だけあって、1月だけで全てを読みきることはできませんでしたが、重要な「大審問官」の部分についてはしっかりと読むことができ、新しい気づきが得られました。それについてはまた全部読み終えた後に書こうかと思っています。



次に哲学書についてです。

最初私が選んだのは「群衆心理」でした。

これは没個性について書かれた本です。つまり、個人が群衆(集団)に入るとどんなに優秀な人や個性的な人であっても平凡となってしまうということです。そのメカニズムというよりかはその事例に重きが置かれていまして、100年以上前に書かれたとは思えないほど現代にも通じる内容でした。


次に選んだのは「人間不平等起源論」でした。

読書会でこれが課題本となっていたということもあって読みました。
これは人間と動物はどう異なるのか、野生人と文明人はどう異なるのか、野生人から文明人へと移行する際になぜ不平等が生じたのかについて書かれた本です。不平等の起源は一言で言えば私有財産を持ったことであり、不平等の流れについても考察されており、資本主義にも通じているというところがなるほどなと思いました。
人間についてこれでもかと深く洞察するルソーの賢さには目を見張るばかりです。


次に選んだのは「寛容論」でした。

ルソーと同時代のヴォルテールという哲学者について、去年「カンディード」を読んだことをきっかけとして読むことにしました。
これは人間は寛容か不寛容かということについて多くの事例を元に書かれた本です。
不寛容であることがいきすぎるとどうなってしまうかということを述べられており、昨今のテロの背景にも通じる内容だったと思います。

次に選んだのは「自由論」でした。

寛容・不寛容ということは多様性を認めるか認めないかということにも関係しているのではないかと考えて、もう少し不寛容について掘り下げるために選びました。
これは個人に対して社会が権力をどこまで行使できるのかという社会的な自由について述べた本です。印象的だったのは、多様性を認めるのはなぜ重要なのか、自由はどこまでが許されるのか、変人になるのはなぜ望ましいのかについて論理的に論じているところです。また、大衆社会についても言及しており、多数派の害悪について参考になりました。


特に「人間不平等起源論」、「自由論」を読んでみて私が次なる興味を持ったのは「資本主義の欺瞞」と「民主主義の欺瞞」についてです。これは私が考える現代社会の闇のテーマとも関係してきていますので次はこれらを考える上で参考になりそうな本を読んでいこうかと思います。

前者についてはマルクスの「資本論」、レーニンの「帝国主義論」、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」などが参考になりそうです(注:私は別に左ではありません)。

また、後者についてはトクヴィルの「アメリカのデモクラシー」、プラトンの「国家」などが参考になりそうです。




読みたい本が広がっていくということは楽しいことです。純粋に読書というものが好きになります。

特に古典は多くの気づきが得られますし、読書会で議論(対話)をすることでより理解や興味が広がります。