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第五章 分割・民営体制の矛盾の表面化と国労運動
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第三節 賃金・労働条件・安全確保をめぐる取り組み
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一 1990年代国民春闘再構築の方向
長引く平成不況下の春闘
93春闘 バブル経済破綻による不況は長引き、資本の側はこれを機に「企業体質の改善」いわば労働力削減のリストラをすすめ、失業率が上昇をはじめた。春先に卒業予定者の採用内定取り消し企業が現れたことが、社会問題になった。連合は前年を1%下回る7% の賃上げ要求で93春闘にのぞみ、国民春闘共闘委や全労協などは前年と同じ3万5000円賃上げ要求で闘った。春闘のヤマ場は前年同様全体として早まり、3月下旬にJCなど主要金属産業に前年を下回る同答が示された。賃上げ妥結決結果は平均1万1077円( 3.89% ) となり、賃上げ率が3% 台に落ちたのは87春闘以来6年ぶりのことであった。
国労は、
①3万5000円賃上げ獲得、
②人間らしく働くことのできる労働条件の改善、
③不当労働行為根絶、地労委命令の履行などを要求し、JR各社の動向を見つつ私鉄絵連の闘いと並行し3月25日に全1日のストライキを設定して93春闘に取り組んだ。
私鉄絵連は3月25日の回答( 賃上げ4.74%) でストを中止したが、国労は全国統一の入時間時限ストを決行した。スト参加者は3400人を越えた。JR各社の回答は、減益と世間相場を理由に前年より○.6%?1.15%低くなり、本州3社と貨物以外の全国各社が同率( 4.51% ) 、貨物会社と三島会社が格差のある回答で、JR全社の平均で1万3579円( 4.37% ) となった。国労の新賃金交渉は、4月1日までに妥結した。
7月25日からの第58回定期全国大会で国労は、93春闘を振り返って「JR各社間の賃金格差是正解消にむけた取り組み方について検討を深めねばならない」とするとともに、「『労使共同宣言』を結んでいる組合が多数を占めている状況を変え、変貌した春闘を再構築していくことが必要である」と反省した。
94春闘 景気回復のきざしすらうかがえぬなかで、自民党をとりまく東京佐川急便事件・金丸不正蓄財事件・ゼネコン汚職など政治腐敗問題が続出し、自民党内羽出・小沢グループの造反もあって宮沢内閣不信任案が可決され、1993年7月の総選挙は自民党の大幅な過半数割れと社会党の惨敗をもたらした。その結果、社会党、公明党、自民党を出た羽田・小沢グループの新生堂、日本新党、新党さきがけ、民社党、社民連の7党と参議院の民主改革連合の一会派を加えた連立内閣( 細川首相) が発足し、自民党は1955年結党いらいはじめて野党になった。
94春闘にのぞむ日経連をはじめとする経営側は「賃上げゼロ」の姿勢であったが、連合は前年より低い5~6%賃上げ要求を中心に産別自決を強調し、全労連は3万5000円以上の賃上げ、全労協3万5000円以上・10%以上の賃上げ要求をかかげた。
国労は、JR労使紛争の全面解決を求めるとともに12万5000円の賃上げを要求し、全国統一闘争として3月24~25日にストライキを配置した。鉄鋼大手1.56%、私鉄大手3.94% 、NTT3.36% などの回答が出されるなかで国労は、3.24~25統一ストには全国で乗務員を含む6860人がストライキに突入した。貨物会社は、ストライキを背景にした団交には応じないという態度であった。3月25日に本州三社の回答が示され、その後は28日から31日にかけて三島、貨物、その他にそれぞれ回答が出された。内容は、この年もまた本州三社の3.77%から北海道および貨物の2.98%という格差回答で、全国加重平均3.63% ( 1万1634円) であった。
この年7月29日から開いた第59回定期全国大会で国労は、94春闘をふりかえりながら総括し、①国民春闘再構築へと高揚させることができなかった、②三島および貨物会社の収入滅・「赤字決算」宣伝による低額抑え込み. 格差攻撃に対する反撃が不十分だった、と反省するとともに、①ストライキを通じた職場の団結づくりが前進し、組織拡大を勝ち取ることができたが、まだまだ点であり線から面への大量復帰への条件づくりが日常不断に求められている、②要求提出から交渉そして回答指定日と戦術配置・妥結等々単一体としての組織性の発揮が求められ、将来、JR各社との統一交渉を目指して工夫した取り組みをすすめることも大切である、などと課題を提起した。
続く
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