国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

赤い帽子の駅長さん 

2007-03-10 01:05:47 | 創作童話
車輪をきしませて列車は止まりました。
みれば、昔みた蒸気機関車そっくりです、後ろには小さなマッチ箱のような客車が4両つながっていました。

さあ、このお話に続きは、夜にでも。

今日の夜といいながら、3週間もあいてしまいました。
申し訳ございません。

よろしければ続きをお読みください。

小さなマッチ箱のような客車の2両目から赤いほっぺの可愛い女の子が出てきました。
女の子は、「車掌」と書いた赤い腕章を左腕に巻いていました。

 「いらっしゃいませ、ご乗車ありがとうございます。」
 「乗車券はお持ちですか?」

車掌の女の子は、少し舌足らずな言い方で尋ねるのでした。

 ご主人と、京子さんはにっこり微笑んで、「この手紙がそうかしら?」
といって、車掌さんに見せるのでした。

 車掌さんは、微笑んで。

 「ありがとうございまちゅ、旅を楽しんでくださいネ。」

そう告げると、スーっと消えてゆきました。

 ふと我に返ると、列車は動き出しており、外は漆黒の闇でした。
 天井から吊るされた唯一の照明は裸電球一つ、しかし電球のワット数が小さいのか、車内を十分に照らし出すことはできません。
 お互いの顔が見えるか見えないかといった程度の明るさです。

「あなたみて、町があんなに小さくなってる。」

気がつけば、汽車は空に昇っていました、私たち夢を見ているのかしら、汽車が空を飛ぶなんて・・・・

 そんな時でした、どこからともなく先ほどの車掌の女の子が現れて、「まもなく列車は、天の川を渡ります、ほらまもなく進行方向左手に見えてきますよ。

そういって、にっこりと微笑むのでした。

 「あなた、見て素敵よ。」

 まるで、星の砂をばら撒いたようにも見える星の川は延々と向こうまで続いていました。

 「きれいでちゅね。」
車掌さんが、少し舌足らずに呟きました。

京子さんは、その女の子がとても愛らしく思えたのです。

やがて列車は、再び天の川を離れてスピードを上げて行きました。
列車は、ますますスピードを上げていき、石炭袋といわれる闇の中に吸い込まれていきました。

もう何も見えません、可愛い女の車掌さんの姿も、ご主人も見えません。

助けて―・・・・・

ふと目がさめると、京子さんはいつものアパートの一室で眠っていました。
横では、ご主人が高いびきをかきながら眠っていました。

あれは夢だったのかしら。

でも、京子さんは知っていました。
あれが決して夢ではなかったこと、そしてあの可愛い車掌さんは

私の子供なのだと。・・・

ボーン・ボーン・ボーン・・・・・時計は丁度午前0時をさしたところでした。
幻想第四次の銀河鉄道は、今日もあなたの枕もとに来ているかもしれませんよ。

fin.
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赤い帽子の駅長さん

2007-02-16 09:11:44 | 創作童話


「ゆうびんで~す。」

今日もゆうびん屋さんの声が聞こえてきます。

「いつもご苦労様」

京子さんの明るい声が響きます。

ゆうびん屋さんは少しはにかみながら、「ありがとうございます。」

京子さんは、今年結婚したばかりの25才の若奥さんです。
そして、ゆうびん屋さんは、今年中学校を卒業して、働き始めたばかり。

赤いほっぺに、幼さが残るとてもかわいい男の子です。

お父さんが病気で亡くなったので、お母さんを助けるために働いているとのことでした。。

かわいいゆうびん屋さんが届けてくれたのは、淡い緑色の封筒に入った1通の招待状でした。

招待状には

・・・・招待状・・・・

このたび、私どもではお父さんお母さんに感謝してささやかなパーティを開くことになりました。つきましては、2月14日午前0時に里山駅にお越しください。
なお、必ず、お父さんとお母さんのお二人で駅に来てください。

お願いします。

さち子

とても不思議な招待状です。

さち子、なんていう名前は聞いたことがありません。

まして、二人には未だ子供はいないのです。
親戚にも、そんな子供はいないのですから謎は深まるばかりです。

子供にはまだ恵まれていませんでしたから、きっと誰かのいたずらだろうと思ったのです。

おやおや、ゆうびん屋さんが間違えて配達したのかしら。でも、住所も名前も間違えていないわよね。

京子さんは、不思議に思いましたが単なるいたずらとも思えなかったのです。
里山駅は、京子さんの住む町の小さな駅です。

「2月14日といえば明日だけど・・・・」

不思議な手紙がどうしても気になる京子さんは、思い切ってご主人の聡(さとし)さんに夕食時に話してみたのです。

最初は、どうせいたずらに決まっているとととりあってくれなかった聡さんですが、京子さんが熱心に話すので、それなら本当か否かは判らないけれど、行ってみようかという事になりました。

翌日、聡さんははや前に帰ってきてくれました。
夕食を終えて時計を見ると、そろそろ午後8時でした、駅までは家から歩いて10分ほどなので急いで出ることもありませんでした。

やがて、ニュースが午後の11時半を告げる頃、二人はそろそろ出かけようかといって駅に向かうのでした。

外は、一面の銀世界、ほのかに月明かりが雪を照らしてとても幻想的な風景を映し出していました。

二人が里山駅に行くと、こんな遅い時間にも関わらず、駅長さんが忙しそうに仕事をしていました。

駅長さんは、二人の姿を見かけると。

こんな時間に、何かご用ですか?
あいにく最終列車は出てしまいましたが。

京子さんは、こんな手紙がきたのですがと、駅長さんに見せたところ。

「そうでしたか、大変失礼しました」
「まもなく汽車が来ますので。お二人は2両目の車両に乗ってください。」

二人には何のことかさっぱりわかりません?

 時計の針が午前0時をさす頃、汽笛がなって小さな光が見えました。

「こんな時間に臨時列車でも走っているのかしら。」
京子さんは呟きます。

「キキー、ギ、ギ、キー・・・」

車輪をきしませて列車は止まりました。
みれば、昔みた蒸気機関車そっくりです、後ろには小さなマッチ箱のような客車が4両つながっていました。

さあ、このお話に続きは、夜にでも。

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赤い帽子の駅長さん

2007-02-09 11:36:55 | 創作童話
赤い帽子の駅長さん 第2話

プロローグ

こんにちは、またまた赤い帽子の駅長さんシリーズです。

今日はどんなお話が飛び出すのでしょうか・・・

 「こんにちは、駅長さんいる?」

駅の外で、かわいい女の子の声が聞こえます。女の子の名前は、咲子(さきこ)みんなからは、さっちゃんと呼ばれていました。

さっちゃんには、お父さんがいませんでした。
さっちゃんのお父さんは、5年ほど前に交通事故で亡くなったのです。

当時、さっちゃんは、3歳、4つ上のお姉さんとの二人兄弟でした。

さっちゃんは、お母さんや、お姉さんに。

「パパは何時になったら帰ってくるの。」

「パパは、私にかわいい人形を買ってくれると言ったわ。」

お母さんは、去っちゃんが不憫でなりませんでした。
やがて、お父さんは医師の懸命の治療に関わらず、意識も戻らないまま7日目に息を引き取ったのです。

 お葬式のときはもっと大変でした、何も知らないさっちゃんは、

「お父さんの写真が飾ってあるけど、今日はお父さんが帰ってくるから?」
「お父さんが帰ってくるから、こんなに盛大に飾り付けしてるんでしょう。」

おかあさん、そして準備に集まってくれた親戚、近所の人々は涙を押さえることが出来ませんでした。

「何も知らないみっちゃんは、
「お母さんどうしたの?」
「おめめに、ごみが入ったの、だから泣いているの?」

その言葉は、母親にさらに深い悲しみを与えるのでした。本当のことを言ってやればもっとこの子は傷つくかもしれない。
 お母さんは、悩みましたが本当のことを言うのでした。

 おかあさんは、さっちゃんに優しく話し掛けるました。

  「さっちゃん、お母さんのお話をよく聞いてね。」
 「お父さんは、天国という遠いところに旅だったのよ。だから、お家には帰れないの。」

さっちゃんは、「てんごく?」と聞き返しました。
 
「私も天国に行くの、お父さんに会いに行くの。」
さっちゃんは、泣きながらお母さんに言うのでした、そして泣きつかれたさっちゃんは、そのまま眠ってしまいました。

 お母さんは、ポツリと言いました。
  「私だって、あの人に会いたい。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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赤い帽子の駅長さん

2007-02-05 16:12:34 | 創作童話


こんにちは、赤い帽子の駅長さんシリーズ復活です。笑

ただいま夜の8時、街中ではまだまだ人通りも多い時間帯でしょうが、駅長さんが勤める小さな駅では人影もまばらです。

先ほど、小さな女の子がお母さんに連れられて家に向かっていきました。
手には小さな赤い手袋。

きっとお母さんの手作りなのでしょう、でも少し様子が変ですね。
お尻のあたりに何かふさふさと黄金色の髪のようなものが見えます。

どうも先ほどの親子は狐のようです。

駅長さんは、慌てて先ほど回収した切符を見てみますと・・・あらあらどうしたことでしょう。

切符と思ったのは、木の葉で作った偽物でした。

駅長さんは、しくじったなぁと言う顔をしながらも既に後の祭り、きつねの親子は既に森の中に消えていました、。

「仕方がないなぁ」呟きながらも、今日の売上を計算するのでした。

えーっと、現金が、千円、2千円・・・・8千円と。
後、小銭が締めて、1780円。
合計で、9780円か、

さて、ここからつり銭の5000円を引くと、おやおや今日の売上は4780円かこりゃまたよく売れたものだ。
 おやおや駅長さんこんなこと言っていますが、本当にこの駅では売上が少ないのです。
これじゃ駅長さんのお給料も出ませんよと言われそうなのですが、駅長さんはとても嬉しそう。

きっと、根っから陽気に出来てるのでしょうね。きつねの親子のことなどすっかり忘れていました。

さて、次の日
駅に、駅長さんを訪ねて美しい婦人がやってきました。

「あのー。駅長さんにあお会いしたいのですが?」

  「はい、駅長は私ですが。」

駅長さん、急な美人の来客に面食らいながらも少し嬉しそうです。
さて、なんの用事なんでしょう?

 「昨日、汽車に親子で乗せていただいたのですが、・・・・・。」

 駅長さんは、昨日のきつねがやって来たことを知りましたが、

「オヤオヤどうされたのですか? 切符はきちんといただきましたよ。」

「え?でも私は・・・」

「何を言ってるのですか。私はきちんと切符をいただきましたよ。」

実は、切符はやはり偽物だったのですが駅長さんは、それを知ってて知らない振りをしたのでした。

きつねのお母さんは、少しきまり悪そうに。
実は昨日、息子がどうしても汽車に乗りたいと言ったので、木の葉で切符を作って乗ったのです。
 切符は1日経つと元の木の葉に戻ってしまいます。

 「切符の代金は、私が働いてお返ししますので・・・・。」

母きつねは、駅長さんに頼み込むのでした。

 駅長さんは、にっこり微笑んで、「いえ、もう切符の代金はいただきましたよ。」

目をきょとんとさせる、母きつねをよそに、駅長さんは次の列車が来るからといって駅の中に入ってしまいました。

事情を察した、母きつねは、深深と頭を下げて帰って行くのでした。

翌日、駅長さんの勤める小さな駅には、たくさんの木の実などが積み上げられていました。
そう、親子のきつねが駅長さんへのお返しとして、山から集めてきたものだったのです。

駅長さんは、今度母きつねが来たときには、赤い手袋に似合う帽子をプレゼントしようと思ったのでした。

そう、だってまだまだ冬は寒いのですから。

fin.
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路面電車は夢を乗せて・・・・

2006-05-27 10:34:45 | 創作童話

今日は、
朝から、シトシト・・・もう3日も雨が続いています。
みっちゃんは、足の骨を折ってしまって病院に入院中の小学校6年生、お友達から借りた本もみんな読み終えてしまって少し退屈。

 「雨やまないかしら。お医者様は少しくらいなら外出しても良いよって仰ってくれたのに。」 
 みっちゃんは、少し不服そうな顔で独り言。

 看護師さんが、「みっちゃん、リハビリの時間ですよ。」
 みっちゃんは、少し面倒くさそうな顔をしながらも、車椅子に乗り移りました。
 看護士さんは、色々話かけてくれるけれど上の空・・・・みっちゃんは、お天気ばかりが気になっている様子でした。
 お天気ばかりは、みっちゃんが気にしても晴れるわけはないのにね。

 みっちゃんは、リハビリはあまり好きではありませんでした、どちらかと言えば、本を読んだりして空想するのが好きで、体を動かすのはあまり得意な方ではありませんでした。
 理学療法士の猫路さんがみっちゃんに声をかけます。

「おはよう、みっちゃん、少し機嫌が悪いのかな?」

 

参考 RACDA 

猫路さんは、岡山出身の45歳、理学療法士になる前は郵便局に勤めていたといっていました。猫路さんは夢路さんみんなから呼ばれるくらい、夢が多い人で、口の悪い患者さんからは『妄想癖の夢路さん』と言われていたくらいです。

 猫路さんは、みっちゃんに話かけました。

 今日はみっちゃんに、面白いお話を聞かせてあげるね。

猫路さんは、みっちゃんに岡山には路面電車が走っていること、最近は新しい路面電車ができて走っていることなどを聞かせてあげました。
 でも、電車に興味なんてないみっちゃんには、上の空。


 「おやおや、上の空だね、みっちゃん。でもね、その電車からお手紙が出せるんだよ、全国に・・・」 (注:MOMOの車内に設置されていたPOSTは現在撤去されています。)
 みっちゃんの目が輝きました、正確にはいいままで上の空で聞いていたみっちゃんが、急に興味を持ったのです。
 夢路さん。思わずみっちゃんが、患者さんが何時も言ってるあだ名でいってしまいました。
 でも、猫路さんは嫌な顔一つせずに、ニコニコ笑いかけています。
 「どうしたんだい、急に・・・」
 
 「ううん、なんでもないの、面白いなぁと思って。」
 「それにこの電車のユニークな所は、遮光カーテンの代わりに簾が使ってあるんだ。」
 「すだれ?」
 みっちゃんは、思わず聞き返します。だって、簾なんてダサイものとしか考えていなかったからです。
 猫路さんは、これが写真だよと、見せてくれました。青色と銀色を上手く使ったとてもお洒落な路面電車でした。
 猫路さんは、この電車が今度この地域にも走るんだよ・・・。

 猫路さん、少し妄想が入ってきて夢モード・・・おいおい大丈夫かしら。
 猫路さんは、この電車をみんなの力で買うのさと言っています。
猫路さんは、夢路さんになってその熱い思いをみっちゃんに話かけています。
みっちゃんは、もう上の空では聞いていられません、むしろみっちゃんの方が妄想モードになっているみたいです。笑
 それでは、猫路さん改め、夢路さんのお話をみんなで聞いてみましょうね。
 
 駅前にはお洒落なカフェがあって、みんなそこで思い思いの時間を過ごして、電車の来るのを待っているのさ。
 電車はすべて、床の低い電車だからみっちゃんの場合は大丈夫だけど、足の不自由な方も車椅子で一人で自在に乗り降りできるんだ、駅と電車が同じ高さになるんだよ。
 電車も、最高速度は80kmも出るので、とっても快適なんだよ。
 そんなことを情熱を込めて語る夢路さんに、遠くからチーフの声が聞こえます。

夢路さん、手がお留守よ・・・・、給料からその分引いておくからね。
来月の給料マイナス1万円なのでよろしく。
 院長が、さりげなく声をかけていきました。

ハット我に返る猫路さん
 このあと、院長にそれだけは勘弁してくださいと言ったのかどうか・・・・?
 みっちゃんは、電気治療のため、別の理学療法士さんに案内されてリハビリを続けるのでした。
 ところで、みっちゃんは妄想モードはどうなったかって?
 それはみなさまの想像にお任せしますね。笑
 

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赤い帽子のえきちょうさん 再び

2006-03-26 00:51:30 | 創作童話
なんか飛び飛びになってしまっていますが・・・・大汗
毎日投稿しなければと思いながらも更新も十分出来ない自分に苛立っております。

久々に、新構想で出発です。みなさん、概ね1週間に1階の割合で新作を発表したいと思いますので宜しくです。(^o^)丿

今回は、駅長さんがまだ若かった頃のお話です。
駅長さんは、元々鉄道員になるつもりは無かったそうです。
本当は駅長さんは、小学校の先生になりたかったのですが、家が土星貧乏(輪をかけた貧乏)だったのと、伯父さんが鉄道に勤務していたので、その紹介で鉄道に入ったそうです。

駅長さんは、中学校を卒業すると伯父さんに連れられて、とある駅に連れて行きました。
「駅長、今日からここで世話になる、おいらの甥っ子で博貴ってんだ、よろしく頼む。」
 おじさんは、ややぶっきらぼうに言うと、そのまま仕事に行くからといって出て行ってしまいました。そう、伯父さんは鉄道の仕事でも保線関係の仕事をしていたのです。
 困ったのは、駅長さんいえいえ、ここでは博貴君(後の赤い帽子の駅長さん)が困ってしまって、もじもじしています。

 駅長さんはというと、でっぷりした体を揺すりながら何か書き物をしているようでした。
 「駅長さん」、そっと声をかけてみましたが返事がありません。仕方が無いのでしばし立っていると、
「何ゆえこんなところに立っているのか?さっさと制服に着替えてこい」・・・・
 駅長こと、貴君は、途方にくれてしまいました。
「何をぐずぐずしている、奥の部屋に制服を用意してある、適当に選んで着るように、着たら早速掃除だ」
 矢つぎばやに、指示が出てきます。貴君にしてみれば不安も何も感じる暇もありません。
 
 大変なところに就職したものだ・・・・orz
 貴君は、そっと呟くのでした。

 何とか、自分の体に合う服を見つけ駅長の前に行くといきなり雷が・・・
 「遅い。何をしているのか。」「早速、駅の掃除をしろ、それが終われば買出しに行って来い」これまた機関銃のごとく指令が飛んできます。
 なんとか、先輩駅員を見つけてほうきの場所を聞くのですが、意地悪なのか、要領を得ないのか中々教えてくれません。
 困った貴君は、それでも何とかほうきを見つけ出して、駅の掃除をするのでした。
 ほうきで掃いて、水をまいて・・・・沢山のお客さんがこの駅にやってきます、そして旅立っていくのです。
 貴君は、いつかはこのような駅の駅長になってみたいものだと、心に思い描くのですが、そんな機会がすぐ現れるはずも無く、むしろもっと大変な事態が舞い込んできたのです。

この話の続きは、また次回にでも。
 
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さようなら日本国有鉄道

2006-03-11 00:25:22 | 創作童話
賢治は、一人駅に立っていた。
テレビでは、国鉄最終日を何かのイベントのごとく祭り上げている。
それも1局。2局ではない、殆どの局がわれ先にと放映している、東京では、東京及び上野駅から6旅客鉄道向けに臨時列車が次々旅立ち、謝恩切符を持った人々が全国を飛び回っていた頃だ。
賢治は何時もは、カメラが趣味で。カメラの機材もプロ顔負けの機材を揃えていた。
ただし、実力の方が伴っていたか否かは判らないが・・・

今日は賢治はカメラを持ってこなかった。というよりも「心のフィルムに記録したい」
そんなきざな気持ちが彼をそうさせたのだと自分に言い聞かせていた。
実際、前日までカメラ。そしてフィルム購入して準備万端だったというのに。
彼は、急にカメラを持たずに駅のホームにたたずむ事にした、何ゆえと聞かれても答えは出ないかもしれない。ただ、朝から執拗に流される国鉄最終日のニュースなどが彼には耐え切れなかったのかもしれない。

駅では、何故か時刻表が調整中となっていることを除けば列車は何時もと変わらぬように到着し、そして出発していく。
 特急電車も、普通電車も昨日と変わらない今日が有った、しかし、今日は特別だ。
 明日から日本には国有鉄道がなくなってしまう。国が経営する鉄道が消えてしまう・・・そんな不思議な感覚に寧悩まされながら賢治は駅のホームに佇んでいた。

後1時間、駅には国鉄の列車としては最終の列車が到着する、・・・・
そう思うと今まで押さえていた感情が一気に膨れ上がってきた、俺も明日から一人か。

そう、賢治は3月31日付で30年以上勤務した国鉄を退職することになったのだ。
思い起こせば昭和28年、庫内手として機関区に採用されて以来ずっと検査畑で頑張ってきた。機関士のような華やかな生活は望むべくは無かったけれど、幸い妻と子供に恵まれ貧しいながらも楽しい家族であった。
 2人の娘のうち、一人は既に嫁ぎ、下の娘も先日結婚したばかり。
 賢治は、そんなことを考えながら、国鉄最後の列車が来るのを一人待っているのであった。もちろん心のシャッターを何枚も何枚も切りながら。

 やがて、国鉄最後の列車が駅にやってきた、賢治は目頭から熱いものが溢れるのを抑えることが出来なかった、それほど彼の心のシャッターは熱い心で満たされていたからであろう。
 「近いうちに、妻を連れて旅にでも出ようかな、新たな2人の旅立ちを祝って。」
 心の中で呟く賢治がいたのだった。

この物語はフィクションです。
 
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お父さんのバリカン

2006-01-29 00:05:45 | 創作童話
よっちゃんは、2歳の男の子
家の裏には、線路が沢山ある操車場
毎日多くの機関車や貨車が集まってきます。
ピー。ポポポー。

警笛の音があちこちから聞こえてきます。
よっちゃんは、毎日飽きもせずに機関車や客車を塀の隙間から覗くのが日課になっていました。

お父さんが、お昼休みに帰ってきて、今日は夕方お前にプレゼントがあるからといって仕事に戻っていきました。
 よっちゃんのお父さんは、国鉄に勤めているのです、日頃プレゼントなどとは無縁のよっちゃんだけに、お父さんのプレゼントが気になって仕方ありません。
 時計と睨めっこしながら・・・・あと3時間、2時間、1時間・・・約束の時間になりました。
 お父さんとの待ち合わせ場所は、よっちゃんがいつも隙間から覗く場所から少し離れたところでした。
 よっちゃんが、走っていくとお父さんはすでに待っていて、ニコニコしながらよっちゃんの来るのを待っていました。
 お父さんは、よっちゃんに大きな箱をくれました。

「何、これ?」
思わずよっちゃんは、お父さんに叫びました。
「バリカンさ。」
よっちゃんは、ちょっとがっかりです。
でも、お父さんがプレゼントしてくれたことが余程嬉しかったみたいでした。

空はもう夕暮れ、赤や青の絵の具をぶちまけたような空、そして、線路際で紫色の光を灯すランプだけが印象に残る。
 そんな一日でした。
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一番星見ーつけた。

2006-01-28 00:06:59 | 創作童話
これは、どちらかといえば思い出話に近いかもしれません。

今日の主人公は、3歳の女の子、麗ちゃんのお話です。

れいちゃんは、今日も男の子たちと一緒に遊んでいました、れいちゃんの家の近くには女の子が居なかったので自然と男の子たちと一緒に遊ぶようになったのです。

お母さんも、同じくらいの年頃の女に子がいないので、家で遊ばせるより良いだろうと言うことでいつも遊ばせていました。

今日も一日、遊びつかれて帰ってきたれいちゃん、元気よく扉を開けたのですが、何時もなら「お帰り」という、お母さんの声が聞こえてきません。

「おかあさん、おかあさん、・・・・」

れいちゃんは、少し不安になってきました。
空は暗くなるし、お父さんも帰ってきません、れいちゃんは今にも泣き出しそうです。

今にも大粒の涙がほろりと、頬を濡らそうとしたそのとき、
低くてそれでいて力強い声で「麗子」と叫ぶ声が聞こえました。

れいちゃんは、思わず声のほうを見ました。するとそこには買い物袋を提げたお母さんと、少し照れくさそうに歩くお父さんの姿がありました。
聞けば、物資部にお母さんが買い物に行ったとき偶然にもお父さんが買い物に来ていたので一緒に帰ってきたんだと言っていました。

れいちゃんは、大喜び。早速二人の間に入ろうと駆け寄っていきました。
空を見上げると、一番星がきらり。

れいちゃんは、お父さんとお母さんに向かって叫びました。
「一番星見つけたよ。」

もう40年以上も前のお話でした。
なお、登場人物その他すべて私の創作でございます。m(__)m

補足
 ここで出てくる「物資部」というのは国鉄職員専用のスーパーマーケットのようなもので、現在のように量販店がないころには重宝したものです。
 特に国鉄職員は、他の地方公務員や一般会社の社員と比べても給料が相対的に低く抑えられていたため、安く物が買える物資部は大変ありがたい存在でした。
 ただし、扱っているものは一般雑貨だけで生鮮食料品などは一般の八百屋などで買わなくてはいけませんでした。
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赤い帽子の駅長さん

2005-09-15 09:16:51 | 創作童話
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赤い帽子の駅長さん 久々に

2005-09-14 11:54:55 | 創作童話
久々に登場ですが・・・・今回はさわりだけです、夜にでも投稿させていただきます。

今日は駅長さんは、朝からニコニコしています。
何ででしょうね、みっちゃんは、駅長さんに聞いてみました。

「おはよう、駅長さん。」
 「おそようさん、みっちゃん。もうお昼前だよ。」(笑)

「駅長さん、ひどいなぁ。私も朝から色々と有ったんですから。」
 「ごめんごめん、軽い冗談だよ。」

駅長さんが、なぜわくわくしているかですって?それは駅長さんの古い友人が30年ぶりに遊びに来るらしいのです。だから今から待ち遠しくて、待ち遠しくて。

 でも、お友達の乗った列車がやって来るのは夕方4時以降、それまでどうして時間を使いましょう?
 駅長さんに思い出話を語っていただきましょうか、みっちゃんも目を輝かせていますから。
 さて、それでは駅長さんの今回のお話は・・・時間が来たのでまた夜にでも。
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赤い帽子の駅長さん(メルヘン列車)

2005-05-10 22:17:29 | 創作童話
赤い帽子の駅長さん

前回のお話では、お昼寝をしてしまった駅長さん、今日は朝から大忙しです。
ばたばた、ドカドカ、がしゃーん・・・おやおや、何かに足を引っ掛けたみたいですよ。
おやおや、駅長さん台所にある小麦粉を頭からかぶったみたい、頭から足の先まで真っ白です。

小さな駅ですので、駅長さんと言えども駅に泊まることがあります。
本来ならば、若い駅員さんが泊まるのですが今日は用事があると言うことで帰ってしまったのです。

朝の小麦粉の失敗は何処へやら、きちんと着替えた駅長さんかっこいいです、でもズボンの裾に白い粉が・・・

時計は夜の12時を回りました、本来であれば駅はもう寝静まっている時間なのですが今日は特別な列車がやって来るのです、駅長さんは、その列車を待っていたのでした。

やがて遠くで、「カンカンカンカン」、踏切が鳴り始めました。
犬が気配を感じてか「ワンワン」

駅長さん、時計を見ると急にソワソワしだしました。
でも、列車の音は聞こえません、犬はしきりに天を見上げて吠えています。

空を見上げると小さな星が見えました、それが徐々に大きくなってくるのです、実は星と思えたのは機関車だったのです。
 それも、ブロックで出来た玩具の機関車、今日は赤色と青色の色違いの機関車でした、後ろにはコンテナ風のカプセルがついているようです。
 ブロックで出来た機関車は、静かに線路の降り立ちやがて駅長さんの前を静かに通り過ぎて停止しました。
 この列車、実は駅長さんにしか見えないのです。
 駅長さんは、機関士に話し掛けました。
 「おつかれさま、何時も大変だね。」
 「そんなことは無いですよ、駅長さん、私たちはとても大切な命を運んでいるのですから、無事届けるのが私たちの仕事ですからね。」
 「そうだね、本当だよね。」駅長は呟くのでした。

コンテナ風のカプセルが大事そうに降ろされて駅のホームに置かれました。
このカプセルは一体何なのでしょう?

 「こんばんは」コツコツ、「こんばんは」、コツコツ
駅の外で誰かがとを叩いています。

 「おはいり」
 駅長さんが行って、ドアを開けてやるとコウノトリが三羽、実は、このカプセルには赤ちゃんが乗っていたのです。
 駅長さんは、一人づつ、大事な大事な宝物を抱えるようにして降ろしてコウノトリに渡してやりました。
 赤ちゃんには、よくみると小さな羽根が生えています、これは天使の羽根なんです、でも人間の世界に降りてきたらこの羽はやがて消えてしまいます。
 駅長さんは赤ちゃんが寒くないように服を着せてあげました、また鳥が運びやすいようにコウノトリは一羽づつ、あかちゃんを乗せると、そっと飛びだっていきました。
 そう、赤ちゃんを待っているお母さんの元へ。
・・・・・しばらくして、駅長さんはそっと、今日運ばれて言った赤ちゃんの家を訪ねてみました、窓の外から覗いてみると、お母さんは赤ちゃんにおっぱいをあげていました。 赤ちゃんは、時々おっぱいを吸うのを止めてお母さんにニッコリと微笑を返しています。
 お母さんはとても幸せそうでした、それを見た駅長さんも。思わずニッコリ。

子供は天の授かり物、大切にしなくては。
そう独り言を呟く駅長さんでした、でも駅長さん、明日は始発電車の出発までに起きられるのですか?
 駅長さんのことですから、始発電車が来る頃は、未だ寝ているかもしれませんよ。

最近ご子息がお生まれになったKさんにささげます。

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銀河鉄道に乗って(赤い帽子の駅長さん、番外編)

2005-04-29 00:59:18 | 創作童話
今回の福知山線脱線事故は106人という多数の死者と400人以上の負傷者を出すという最悪の事故となってしまいました、お亡くなりになられたご遺族の方に心よりお悔やみ申し上げます。

私なりに追悼の意味をこめて少し書いてみました。

こんたくんは、小学2年生の男の子、とても明るくて元気な子だったのですが、最近ちょっと寂しそうです。それは、こんたくんのお母さんが電車の事故で亡くなってしまったからです。

「お母さんに、会いたいよ。」
こんたくんは、夜になると何時もお父さんにそういって困らせていました、お母さんが亡くなったということが今も信じられないのです。
 あれほど元気だったおかあさん、今日はバーゲンがあるから・・・それがあんなことになるなんて。

今日もこんたくんは、布団の中で泣いていました。
実は、今日学校では母の日のお話をしていたからです、そしたら余計にお母さんのことを思い出してしまって。
 こんたくんは、やがて泣きつかれたのかそのまま眠ってしまいました。
 お父さんは、そっとこんたくんを布団に運んであげました。

その日、こんたくんは不思議な夢を見たのです。
こんたくんは、見たこともない立派な駅の前に立っていました、しばらくするとそこに昔走っていたと言われる蒸気機関車が引張る列車がやって来ました。
 列車は、こんたくんの前に止まりました、こんたくんはスーっと誘われるように斜内に吸い込まれていきました。
 車内は、薄暗くてすぐにはわかりませんでしたが、多くの人が乗っていました。
 薄汚いぼろをまとった男の人や、派手な化粧の女の人、こんたくんは少し恐ろしくなって次の車両に走っていきました。
 バタン。ドアを開けるとそこは誰もいません、そして真中付近まで歩いてきた時そこにはお母さんが乗っていました。
 こんたくんは思わず叫んでしまいました、「おかあさん」
おかあさんは、少しびっくりしたような顔をしてそしてしばらくするとにっこり微笑んでくれました。
 「あら、どうしたの学校は行ったの?」
優しいお母さんの声でした、こんたくんは思わずお母さんに抱きついていました。
「おかあさん、やっと会えたね、僕と一緒に次にこの汽車が止まったところで降りて反対の列車で帰ろう。」
こんたくんは、話しました。でも、お母さんは少し寂しそうな目をして言いました。
 「こんた、それは出来ないのよ。この汽車は真の幸いを探すための汽車なの。」
こんたくんは、何を言ってるのか判りません、
「それなら、僕お母さんとどこまでも一緒に・・・・」
 そんな時、ドアが開き車掌がやって来ました、何時の間に現れたのか一つ先の座席に座るいたちのような顔をしたおじさんがあたふたとしています。そういえばこんたくんは、この汽車に乗るときに切符を買わなかったことに気が付きました。
「どうしよう、切符買っていないし、車掌さん怖そうだし・・・・」
おかあさんは、車掌に切符を見せました、車掌は切符に印を入れて丁寧に返しました。
 「次、あなたも」
車掌はこんたくんに切符を出すように言いました、でも買った記憶がないのですからどうしようもありません。仕方なく胸ポケットに手を入れてみると、紙切れが出てきました。そんなもの胸ポケットに入れたはずは有りません、どこからか出てきたのでしょうか。
 単なる紙きれではありません、何かの切符のようです。こんたくんは恐る恐る車掌に見せました。
 その紙片を見た車掌は、いきなりきちんと背筋を伸ばしその紙切れに食い入るように見つめていました。
 「おお、これは・・・・」
車掌は、急に丁寧な言葉で「ご乗車まことにありがとうございます。正12時にはあなた様をお送りできることでしょう。」
 意味不明な言葉を残し車掌は消えていきました、そう消えると言う表現がぴったりでした。

しばらくすると、お母さんが言いました。
 「こんた、お母さんはこの次の駅で降りなくてはならないのです。お別れの時が来ました。」
こんたくんは、お母さんとせっかく会えたのにと泣いて降りないでと頼みました。
 柔らかな音楽が流れる中列車は駅に到着、多くの人が降りていきました。
既にこんたくんのおかあさんはホームを歩いています。幸いを見つけるためでした。
こんたくんは、自分もお母さんと一緒にと思い駆け寄ろうとしましたが、車掌がどこからか現れてこんたくんを再び車内に押し戻してしまいました。
 おかあさんはもう見えなくなってしまいました。

こんたくんは、また独りぼっちになってしまいました。
リリリリリン、列車の発車を告げる音が聞こえてきました。
そこで、急に目が覚めました。目覚ましが朝を告げたのです。

目を覚ましてみれば、やhりそこには、お父さんとこんたくんの二人だけでした
ああ夢だったのか、でもこんたくんの胸ポケットに残った紙切れはありました。
でも、それは大変小さな文字でかつ漢字が沢山あったので、こんたくんには読めませんでした。

それから、数年。
こんたくんは、小学6年生になりました、お父さんは再婚し新しいお母さんがこんたくんの面倒を見てくれています。
 本当のお母さんと変わらない愛情でこんたくんを愛してくれました。
 そして、もう一つ嬉しいことがありました、それはこんたくんに妹が出来るのです。
その妹って誰だかわかりますか?
 実は、こんたくんの本当のお母さんが生まれ変わって、こんたくんの妹になるんです。
 こんたくんが夢の中で車掌に見せた紙切れは、実は天上の神様がおかあさんを帰してあげる、でもそれまではいい子でいなくてはいけないよとかかれたメモ書きだったのです。
 車掌は銀河鉄道の車掌ですから、この内容が読めたのです。だからとても改まって丁寧な態度でこんたくんに接してくれたんです。
 空想第四次の銀河鉄道は今回の事故で犠牲になった多くの人を乗せて、本当の幸いを捜しに出かけて行ってるかも知れませんよ。
 ほら空を見上げたら見えてきませんか、遠くにかすかに光赤いランプ、そして物悲しくも懐かしい汽笛の音が・・・・

すんません、リハビリのつもりで一気に書いてみました。
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赤い帽子の駅長さん

2005-04-20 09:36:09 | 創作童話
皆様はじめまして。
創作童話なるものは書いたこともないのですが、少し練習を兼ねて書いてみたいと思います。

気が向いた時だけの更新になりますが、しばしお付き合いください。

赤い帽子の駅長さん、
ここは小さな、小さな駅。
たった1両のディゼルカーが行ったり来たりするだけの小さな小さな駅。
ここから、物語は始ります。

黒猫こんきち。彼がこの小さな駅の駅長さんの名前です、彼は15歳の時に3つ先の大きな駅の駅員兼小間使いとして採用されました。
 セイが小さいうえに、ちょこまかちょこまかとすばしっこく動き回るものですから、ねずみ猫といわれて可愛がられていました。
 今日も、朝の列車が出て行きました、後はお昼過ぎまで列車はやってきません。
 そう、それぐらいこの駅は暇なんです。
 おやおや、近所の子供たちが駅長さんのお話を聞こうとやってきましたよ。

「駅長さん、何かお話してくださいな。」
 「おお、みっちゃんかい。背中に負ぶっている子は誰だい。」
「私の弟なの、よっちん、というの。」
 「おお気持ちよさそうに寝ているね、それじゃ今日はどんなお話をしようかな。」
みっちゃんは、近所の住む小学生、今は学校が休みなので、何時も駅長さんのお話を聞くのが楽しみで、今日も駅に遊びにきたのでした。
 「みっちゃん。駅長さんはなぜ赤い帽子なのかしってるかい?」
「ううん、知らないわ、でも赤に金色の線が二本入って立派な帽子よね。」
 「そうだね、赤い色は列車を出発させたりすること出来るということを示す役をあらわしているんだよ。それでね、金色の線が二本入っているということは、その責任者ということなんだ。」
「よく判んないけど、偉いさんなんだ。」
 「ふふ、そうかもね。」
「でも、駅長さん、今までで一番大変だったことってありますか。」
 「うーん、そうだね。やっぱり駅に就職した頃が一番辛かったかな。」
 「私が駅に入った頃は、駅の先輩の食事は一番若い私が中心になって作らなくてはいけなくてね、仕事を覚えながらだから大変だったよ。」
「めいめいが作ったり、しないんですか。」
 「そりゃそうだよ、駅の仕事にみんな忙しいしね、私も駅の掃除とかばかりで。荷物の扱いとか切符を売ったりなんてことは一切させてくれないんだよ。」
 「でもね、辛いことばかりじゃないんだよ、八百屋さんに行くとみんな顔なじみになって、可愛がってくれてね、大根1本余分にくれたりして嬉しかったものさ。」
 駅長は、しばし感慨にふけるように静かに眼を閉じていた、みっちゃんは駅長さんが寝てしまったのではないかと心配です。
「駅長さん、駅長さん」
 「どんぐり山、どんぐり山、ご乗車お疲れさまでした。きのこの山線は乗換えです。・・・・」
 おやおや、駅長さん夢を見ているようです、かってあこがれた駅の駅長さんにでもなった夢を見ているのでしょうね。仕方がないので、みっちゃんは、駅を出ることにしました。
 だって、まだまだ列車は来ないのですから。

駅長さん、いい夢を見てね。

この物語は、フィクションであります。
コメント (2)
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