東方不敗のつぶやき

ジャッキージャンキー

皇帝密使

2005年12月22日 | 香港電影 1984
製作年度:1984
公司:新藝城
原題:最佳拍擋 女皇密令/ACES GO PLACES 3(MAD MISSION Part Ⅲ:OUR MAN FROM BOND STREET)
監督:ツイ・ハーク
出演:サミュエル・ホイ、カール・マック、シルビア・チェン、王嘉明(小光頭)、リッキー・ホイ、ジョニー・シャム、曹達華、リチャード・キール、サンダー杉山、チャーリー・チョー、ロウェール・ロー

一言:新藝城(シネマ・シティ)が誇る大ヒットシリーズ第三弾。本作も地元香港では公開されるや大ヒットとなり、一作目がマークした興行記録を上回り、再び興収新記録を達成した。
本作が公開された1984年と言えば、香港返還が正式に調印された年。嘉禾(ゴールデン・ハーベスト)が擁する"ゴールデン・トリオ"、ジャッキー、サモ、ユン・ピョウが協力タッグを組み、質の高い娯楽作を連打。また新たなプロダクションである徳寶(D&B)が設立され、新藝城VS嘉禾の覇権争いに割って入ろうと、もはや落日の老舗邵氏(ショウブラ)を蹴落とす勢いで第三勢力として急激に台頭してくる。さらには、80年前後に相次いでデビューした"ニューウェーブ"と称される、外国帰りの若手気鋭監督達による作家性の強い野心作が次々発表されていた。そんな、大充実の香港映画界にあって、こうしたライバル達が寄ってたかって挑みかかっても、新藝城"最佳拍擋"の牙城は、全く揺るぎないものだったのだ。
本作『皇帝密使』は、前2作と較べいささかティストは異なっている。監督が"ニューウェーブ"派の雄ツイ・ハークに変わったことに起因するのか、随所に特撮を用いた大スケールの見せ場が配され、さらには海外ロケを盛り込み、国際色豊かなキャストを起用することで、作品全体の大きなスケールアップを果たしている。そしてもちろん"最佳拍擋"な主演三人は今回も魅力的。加えて、シリーズ2作目で結婚した"コチャック"と"シルビア"には本作で子供が誕生しており、この子供を絡めたお笑いシーンも面白く、新たな見せ場となっている。
私もコレは大好きな一作で、もし『悪漢探偵』シリーズからどれか一本選べと言われれば、迷いながらも本作を上げる。また、欧米向けに編集された『MAD MISSION』を基にした日本公開版と香港版『ACES GO PLACES』とでは中身がかなり異なる。明らかに地元香港の観客を意識したと思われるドタバタギャグが多い香港版も個人的には捨て難いが、よりテンポの良い日本公開版の方が完成度は上に思われる。しかし出来ることなら、この二つのバージョンを同時収録したDVDの登場を是非期待したい。そしてその際には、"ゴールデン洋画劇場"版の日本語音声収録も実現してもらいたいものだ。