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【社労士】「ダブルケア」支援急げ 育児・介護が同時、負担重く

2016年06月30日 22時49分37秒 | 社労士
日本の社会が直面している少子高齢化。
その歴史は、1970年代にさかのぼる。

70年、総人口に占める65歳以上の人の割合が7%を超え、「高齢化社会」に突入した。
75年には出生数が200万人を割り、今なお続く減少傾向が始まった。

2015年の高齢化率は26.7%になった。
長年の少子化に歯止めをかけ、育児や介護をしやすい社会をどうつくるのか。
もはや待ったなしの課題だ。

なかでも、最も今日的なテーマの一つが「ダブルケア」だろう。
育児と介護、その二つを同時期に担うことだ。
一つだけでも大変なのに、二つ重なるとさらに大変だ。
働いていれば仕事も重なり、一層負担は重い。
この対策を考えることは、少子高齢化に立ち向かう試金石になるのではないだろうか。

「ダブルケア」が注目されるようになった背景は、晩婚化・晩産化だ。
15年に生まれた子どもの数は約100万6千人と、5年ぶりに増えた。
それを後押ししたのは、30歳以上の母親の出産の増加だ。
40歳以上の母親から生まれた子どもも5万人を超える。

第一子を出産した母親の平均年齢は年々上昇し、15年は30.7歳だった。
その分、育児の時期と親を介護する時期が重なりやすくなっている。

ともに担う人が多ければ、手分けをして介護を乗り切りやすいかもしれない。
だが今の子育て世代は、少子化が始まってから生まれた人が増え、きょうだいや親族の数が少ない。
自らが当事者となり介護を担う可能性が高まっている。

ダブルケアをしている人は約25万人-。
内閣府は4月、国として初となる推計値を公表した。
8割が働き盛りの30~40代だ。

推計の対象になったのは、未就学児の育児と、身体的ケアを中心とした介護とのダブルケアだ。
ダブルケアの研究をしてきた横浜国立大学の相馬直子准教授は「子育ての責任を担う時期が長期化し、介護の内容も多様化するなかで、実際にはもっと多い可能性が高い」と話す。

政府は「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、出産・育児と介護の支援に力を入れている。
それぞれの政策を深めることはもちろんだが、まずは両者を連携させる工夫がいる。

行政の世界は、とかく縦割りになりがちだ。
同じ分野のなかであっても、母子保健と子育て支援の部署の連携が十分でなかったり、介護保険の担当者が介護休業についてはよく知らなかったり、ということもある。
縦割りの壁を越えて、家庭を包括的に支援する。
そんな柔軟な発想が必要だ。

地域のなかでの支援を充実することも大切だ。
自分の悩みをひとりで抱え込んでいる人は少なくない。
当事者同士が語り合う場や、住民が主体となった生活支援サービスを増やしていくことなどは、課題の解決に役立つ。

そして何より、育児と介護を担う人が、自分の意欲に応じて働きやすい仕組みつくりが求められる。

内閣府が育児と介護のダブルケアを担う約1000人に実施したインターネット調査では、ダブルケアに直面する前に就業していた人のうち男性の2.6%、女性の17.5%が離職していた。
女性の場合、家族からの支援が男性より得にくい傾向があることが影響している。

長時間労働を見直すこと、在宅勤務などテレワークを普及させることなどが必要だ。
勤務地や労働時間に一定の枠を設ける限定正社員などの制度も役立つだろう。

こうした多様な働き方が広がることは、ダブルケアの当事者を助けるだけではない。
これまで十分に育児や介護にかかわれないでいた家族や親族が、自ら担い手となって分担する可能性が広がる。
誰にとっても働きやすくなる。

意欲はあっても離職する人が増えるようでは、企業にとっても損失だ。
今年3月には改正育児・介護休業法が成立し、17年1月に施行される。
介護を担う人の残業免除や、休業の分割取得を可能にすることなどが柱だ。
企業は法体制への対応も求められる。

「これまで両立支援といえば、育児と仕事の両立、そして介護と仕事の両立だった。これからは、複合化、多重化するケア責任と、仕事をどう両立させていくのかが大きな課題になる」と相馬准教授は話す。
この場合のケアには、自らや配偶者の病気や障害なども含まれている。

さまざまなケアを担う人が活躍できる社会をどう築くか。
ダブルケアの増加は、大きな課題を突き付けている。
(平成28年6月26日付け 「日曜に考える」より)

ますます厳しくなる現実。
法改正が特効薬となるのかを注目したいと思います。

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