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①社会保険や労働保険、②終活、③整理収納、に関する新聞・雑誌の記事拾い読み、私の考え、お勧めなどをご紹介します。

【社労士】がん社会を診る「収入源、社会保障制度活用を」 中川恵一(東京大学病院准教授)

2016年03月21日 21時38分45秒 | 社労士
 がんは細胞の老化といえる病気です。
 このため、年齢とともに急増します。
 一生涯にがんになる確率は2011年時点で、男性は62%、女性では46%でした。
 ただ、65歳までにがんを発症するのは、全体の15%にとどまります。
 それでも会社員の約6人に1人が、がんになる計算です。

 現役世代ががんになったときのお金の問題は、医療の支払いもさることながら、収入源にあります。
 ただ、この問題に直面しても、医療費支出の上限を定める高額療養費制度をはじめ、経済的負担を軽減する社会保障制度はたくさんあります。

 公務員や会社員ががんで働けなくなり、給与が支払われなくなった場合、標準報酬月額の3分の2が「傷病手当金」として支払われます。
 受給できる期間は最長で1年半ですが、退職後も引き続き、残りの期間分を受け取ることが可能です。
 しかし、退職日に出勤してしまうと、継続給付を受ける条件を満たさなくなります。
 退職日の翌日以降の受給ができなくなるので、注意が必要です。

 現役世代ががんになった場合、3人に1人が職場を離れていますが、私はできるだけ離職しないよう勧めています。
 がんは完治すめば、体力面でもほぼ元通りになるからです。
 がん治療を通院で受けられる時代となり、治癒率も全体で6割、早期なら9割以上となっています。

 やむを得ず退職したケースでは、失業保険の受給を検討します。
 労働の意思と能力がある人が支給対象です。
 がんでまったく働けない場合は対象外です。

 がんで働けなくなり生活に支障をきたした場合は、「障害年金」を受けられる可能性があります。
 直腸がんなどで人工肛門を付ける、咽頭を全摘出する、在宅酸素療法を実施する、といった目に見える機能障害がある場合以外でも、対象になります。
 たとえば、治療による倦怠感で仕事ができなくなり、1年半改善しないなどのケースです。

 しかし、こうした社会保険制度はすべて、患者側で申請する必要があります。
 受給資格があっても制度を知らなければ、適用されません。
 社会保険労務士などの専門家に積極的に相談するとよいでしょう。
 2016年(平成28年3月17日付け日経新聞コラム)


 私が15年ほど前に入院・手術をした際、高額療養費の存在をまったく知りませんでした。
 月が変わった途端に入院してくる人が多くて不思議に思ったことも、今では理由が理解できます。
 高額療養費は月単位だからです。

 今の日本は、知っている者が得をします。
 知らなかったからといって特別措置を受けることもできません。
 どんな事柄でも、自分で調べるだけではなく、専門家に意見を聞いてみる心掛けが大切です。

【終活】徘徊(はいかい)、社会で見守り

2016年03月02日 20時49分40秒 | 終活
 防犯カメラを使った所在地の把握、ラジオ放送での情報発信…。
 行方が分からなくなった認知症の人を早く見つけ出そうと、地域では見守り活動が広がっている。

 兵庫県伊丹市は年内に、認知症の高齢者の居場所を自動的に家族に発信する全国でも珍しい取り組みを始める。
 市内一千か所に無新受信機付きの防犯カメラを設置。
 小型発信器を身に付けた高齢者らが近くを通ると、その場所や時間などがスマートフォンの専用アプリを通じて家族に伝わる仕組みだ。

 自治体とラジオ局が連携し、発見につなげる取組みもある。
 沖縄では地元の「FMゴザ」が行方不明となった人の年齢や服装などの情報を放送中に伝え、捜索に活かす。
 山口県下関市でも同様の取り組みが始まった。

 企業でも独自の動きが出ている。
 セブン-イレブン・ジャパンは認知症の高齢者を地域で見守るため、長野県などと協定を結んだ。
 深夜に一人で歩いているなど認知症の疑いがある人に従業員が気付いた場合、自治体の窓口に通報する。

 徘徊した場合にどう探せばいいか。
 各地では模擬訓練も盛んだ。
 昨年11月、和歌山市での訓練に参加した医療機関の担当者は「認知症の人は外見では見分けがつかないことが多い。疑わしい高齢者がいれば、間違っていてもいいから声を掛ける必要性を感じた」と振り返る。
 模擬訓練を全国に先駆けて町ぐるみで行うなど認知症対策が進んだ自治体の一つ福岡県大牟田市。
 「大牟田認知症ライフサポート研究会」代表の大谷るみ子さん(58)は、「近所の人に認知症の家族がいることを伝えて注意を払ってもらうなどの自衛策は必要だが、家族だけで見守ることは不可能」と指摘する。
 「認知症の人の写真付きの情報を商店街などに周知し、普段と違う行動を取っていたら、家族や行政に連絡が入るようにするなど、地域全体での見守りが欠かせない。介護サービスなどを上手に利用して家族の負担を減らすことも大事だ」と話している。
(2016年3月2日付け日経新聞より)

 メディアでは大きく取り扱われている、徘徊中の認知症男性が電車にはねられて死亡した事故の裁判。
 今後ますます認知症患者が増えてゆく状況のなかで一石を投じました。
 地域で見守っていけるとよいのですが、数が多すぎると支えていけるのでしょうか。
 複合的な解決方法が必要だと思います。