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【社労士】その仕事、本当に必要ですか?

2017年04月14日 14時23分03秒 | 社労士
 働き方改革が加速している。
 企業経営の構成要素を大括りに「事業」「財務」「人事」とすれば、強烈な成功体験ゆえに変革が難航していた日本型経営システムの本丸である「人事」にメスが入ったともいえよう。

 「財務」については、1990年代後半から始まる金融・財務面の改革、さらには昨今のガバナンス改革が変化を促している。
 また、国内市場の成熟に伴う海外展開は「事業」のありように大きく影響を与えてきた。
 これらの変化を受けながら、いまだ残っていたのが「人事」の問題である。

 本社改革などを進めても必ず最後に残る「聖域」の変化を促すという意味では、「働き方改革」は前向きに捉えるべきであろうし、企業の取り組むスピードも速い。
 残業時間の削減や在宅勤務の充実など、できることは積極的に取り入れれば良い。
 ただ、もっと重要な課題がある。
 そもそも「その仕事は本当に必要」なのだろうか。

 働き方を変えて「効率」を上げようとすると、「これまで50分かかっていたプロセスを5分短縮させよう」といった「工数改善」に陥りがちである。
 それ自体が悪いわけではないし、現場での取り組みや努力は称賛に値する。
 しかし、残念ながら全社的に目指す改革にはつながらない。
 お役所仕事と呼ばれるものにかける時間をいくばくか減らしてみたところで、それがお役所仕事であることに変わりはないからだ。

 いま必要なのは、組織が肥大化するにつれて増殖する「本当は価値を生んでいない仕事」の撲滅である。
 そもそもそのプロセスは存在すべきなのか?
 詳細な報告が本当に必要なのか?
 見た目の良い資料を作ることで仕事をした気になっていないか?

 働き方だけではなく、働く内容自体を見直す好機である。
 (首都大学東京大学院教授 松田千恵子)

 平成29年4月7日付け日経新聞 「十字路」より

 いままでしてきたことを取りやめるのは、ある意味で勇気が必要だと思います。
 短期的でなく、長期的に眺めてみることで決断できるかもしれません。