肉うどん

肉うどんを注文する連れに「大阪のうどんはきつねで完結しているというのに、わざわざ相性の悪い具を入れるセンスが悲しいね」などとしたり顔で講釈していると、お店の老婦人が胡椒の小びんを持ってきてこれをかけて食べろと笑うのです。

（うどんにコショウ？ラーメンちゃうで？）いぶかしく思いながらも何かしらビビビと心に響きます。「食わせろやー」と連れのどんぶりを横取りして、その生まれて初めての味に驚きながら、どういうヘリクツで前言撤回に持ち込もうかと頭をひねっておりました。おいしかったのです。なるほど肉うどんも一種の肉料理。胡椒がよく合う。

昨日しゃぶしゃぶのシメにきしめんを頼んだところ、やってきたおねえさんが慣れた手つきで残り物をひょいひょいと肉うどんに仕上げ、小鉢に取り分けながら「胡椒はお使いになりますか」と尋ねてきます。二十年ほど前のあの日を思い出して、「もちろん！たっぷりお願い！」と答えました。