うーん・・・心に響いてきたシーンがあるとすれば、あのナオと母親の最後の会話のところだったかな。
あそこだけは迫力を感じたけど。
母は言うべきことを全て言い、ナオは今後の行く末を予想する。そして、
「お母さん、あたしカフェオレ飲みたい」
コンビニで買って来て、とナオが頼む。
「あしたの朝飲むのよね」「あした飲むのよね」
何度も同じ言葉を繰り返す時の母親の表情。
あそこはとても心情が出てた。
でもなぜだろう。他の場面ではそう感じなかった。
胸を打たないんだよねー。
最初の、ヒロトとナオの父の対面の場面。
愛だけでは人は守れない、かいかぶっちゃいけない、と言うナオの父。
「君はまだ愛なんて言える年じゃない。これは、ただの恋だ」と諭す。
でもヒロトは、「僕には、たったひとつの恋なんです」と言い返す。
たぶん、これがこのドラマの核心に触れる決めゼリフの一つだと思うけど、見ていて、それがわかったというだけかな。
感動はしない。
そして、ナオとヒロトが船の上でデートするシーンでは、
「オレさ、あんたじゃなきゃダメなんだ」
「(子供持てなくても)それでもいい」
「将来あんた以外の人といるところ、想像できない」
「なんか、タックルされまくっている感じ」
とヒロトが、立て続けに乱射。
いかにも、女の子が好きな人から言われてみたい、と思うような言葉の数々だけど。
でも視聴者が、そうした言葉を聞かされた女の子と同じように、この言葉を感じるか、というと、これまた大きな疑問。
正直、こうしたセリフ回しを聞いてて、あたしの頭に浮かんで来たのは、実はあの橋田壽賀子大先生の「渡る世間は鬼ばかり」。
つまり、セリフが説明になっちゃってるんだよね。
どうして、この登場人物はこうした行動を取るのか、ということについての。
説明を聞かされて、感動する視聴者はいない。
前回(今月19日付)、前々回(同12日付)の感想でも、二十歳そこそこという登場人物の年齢設定とセリフがかけ離れてる、と指摘してきたけど。
このリアリティのなさは、他にも原因があるんじゃないか、という気がしてきた。
登場人物の心情を、エピソードの積み重ねで語るより、こういうセリフだけで簡単に表しちゃうせいではないか、と。
もちろん、セリフで登場人物の気持ちを表すのは当然のことなんだろうけど。
なんていうか――セリフだけが目立ってしまっている、というか、登場人物から浮いちゃってる気がする。
それが浮き彫りになったのは、クライマックス直前の、ナオと母親の病室での会話。
母親がナオを説得するために繰り出す、言葉の洪水。
「母親だから、あなたを守る義務があるの。二十歳だって守るの。母親ってそういうものよ」
「お嫁に来る時、スタージュエリーの嫁に来るんだって覚悟したの。スタージュエリーに傷をつけるわけにはいかないわ」
「母さんも怖いと思ってる。あなたのスキャンダル。母さんは、あなたとうちを守りたいの」
「骨髄をくれたお兄ちゃんを裏切らないで。命がけであなたを助けたの」
これを全部、一人で一気に話すのだ(正直、ナオは言葉をさしはさむ暇もない)。
全て、どうして自分がナオとヒロトの交際に反対するのか、ということについての説明だけど。
どうですか?このセリフ回し。
このナオの母、いつもニコニコとリビングでお茶とケーキの用意をしているのかと思ったら、突然、人が変わったような饒舌ぶり。
言っている内容もさることながら、「渡鬼」の舞台に突然乗り込んで、このセリフを吐いても、まったく違和感がなさそうだ。
岡倉家のメンツも幸楽の従業員も、こんなに長広舌で保守的なナオの母を、同志とばかりに、諸手を挙げて仲間に迎えるだろう。
もちろん、「渡鬼」が大当たりしているのを見てもわかるように、登場人物が三段論法さながらにしゃべりまくるからって、それが即悪い、というわけじゃない。
事実あたしも、なぜだか知らないけど、結局「渡鬼」をずっと見てきたし。
でも、これもなぜか「渡鬼」だから許される、ということもあって・・・。
泉ピン子はじめ出演者の面々が、立っているだけでリアリティがあふれ出す、存在感のある役者ぞろいだったり。
これがおそらく昭和の臭いを残す最後のホームドラマで、これと共におそらく消え行く定めのジャンルだったり(だって、五人姉妹なんて身近にもういない。あたしの親の時代の話でしょ)。
そこには、いろいろ特異な理由があると思われる。
そして、「渡鬼」を見ていて感動する、なんてことが考えられないのと同じように(いや、もしかしたらそういう人もいるかもしれないけど)、「渡鬼」のラブストーリーなんてのも、考えられない。
しかし!この「たったひとつの恋」って、ラブストーリーなんじゃなかったっけ。
そして、いくらベタだといっても、たぶん一応感動させることが狙いのような?
まあ特に今回は、余貴美子、田中好子の両母親役にスポットを当てた、いわば演技対決!的な要素もあったのかもしれないけど。
実力派で鳴らす余貴美子。
これまでちょっとしか出番がないところでも、この人だけはリアリティをちゃんと醸し出していた感じ。
「上海バンスキング」が代表作というだけあって、蓮っ葉な母親にうまくなりきってる。
しかも、なんとなくミナトのにおいがするところがいい。
あのナオの父と会った時の、椅子に斜めに座り、口元をひしゃげて話すあの話し方、さすがでした。
もしかしたら、キャラ的には真逆の、スーちゃんの役どころでもできちゃうんじゃないかと思わせるぐらい。
でも、難を言うなら、美人すぎるー。アップになった時、きれいすぎました。
あと、なんであんなに写真撮るのうまいの?
パチリと盗撮したにしては、プロ並のアングルと絞りだったのではないのでしょうか。(むしろそれで、フラッシュかどこかでお小遣い稼ぎしては)。
それにしてもスーちゃんこと田中好子は、あのキャンディーズで歌って踊っていた当時(あたしも全曲歌えます!一部振付つき)、今の演技派女優ぶりを予想した人が、どれだけいただろうか。
同じキャンディーズのメンバーの、蘭ちゃんは水谷豊さんの奥さまになってしまって、今はほとんど出てこないし、ミキちゃんも話を聞かない。
結局、普通の女の子に戻らず、プロ根性を見せて業界で生き残ったのが、一番甘い顔立ちをしていたスーちゃんだった、というのは、ちょっと意外というか、でも世の中そんなものなのかなー、と思う。
昼ドラの愛の劇場「いい女」で今、主演している石野真子もこの系統だと思うけど(ご興味があれば今月11日付のブログをご覧ください)。
とにかくこのドラマでは、これまで田中好子の見せ場はあまりなかったところで、今回突然の大立ち回りとなってしまった。
どうもナオの母親の性格がよくわからないまま、(あたしには)なんとなくびったりとつながらない行動になってしまったのは先に書いた通りだけど、少なくともそれはスーちゃんの責任ではないように思う。
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あそこだけは迫力を感じたけど。
母は言うべきことを全て言い、ナオは今後の行く末を予想する。そして、
「お母さん、あたしカフェオレ飲みたい」
コンビニで買って来て、とナオが頼む。
「あしたの朝飲むのよね」「あした飲むのよね」
何度も同じ言葉を繰り返す時の母親の表情。
あそこはとても心情が出てた。
でもなぜだろう。他の場面ではそう感じなかった。
胸を打たないんだよねー。
最初の、ヒロトとナオの父の対面の場面。
愛だけでは人は守れない、かいかぶっちゃいけない、と言うナオの父。
「君はまだ愛なんて言える年じゃない。これは、ただの恋だ」と諭す。
でもヒロトは、「僕には、たったひとつの恋なんです」と言い返す。
たぶん、これがこのドラマの核心に触れる決めゼリフの一つだと思うけど、見ていて、それがわかったというだけかな。
感動はしない。
そして、ナオとヒロトが船の上でデートするシーンでは、
「オレさ、あんたじゃなきゃダメなんだ」
「(子供持てなくても)それでもいい」
「将来あんた以外の人といるところ、想像できない」
「なんか、タックルされまくっている感じ」
とヒロトが、立て続けに乱射。
いかにも、女の子が好きな人から言われてみたい、と思うような言葉の数々だけど。
でも視聴者が、そうした言葉を聞かされた女の子と同じように、この言葉を感じるか、というと、これまた大きな疑問。
正直、こうしたセリフ回しを聞いてて、あたしの頭に浮かんで来たのは、実はあの橋田壽賀子大先生の「渡る世間は鬼ばかり」。
つまり、セリフが説明になっちゃってるんだよね。
どうして、この登場人物はこうした行動を取るのか、ということについての。
説明を聞かされて、感動する視聴者はいない。
前回(今月19日付)、前々回(同12日付)の感想でも、二十歳そこそこという登場人物の年齢設定とセリフがかけ離れてる、と指摘してきたけど。
このリアリティのなさは、他にも原因があるんじゃないか、という気がしてきた。
登場人物の心情を、エピソードの積み重ねで語るより、こういうセリフだけで簡単に表しちゃうせいではないか、と。
もちろん、セリフで登場人物の気持ちを表すのは当然のことなんだろうけど。
なんていうか――セリフだけが目立ってしまっている、というか、登場人物から浮いちゃってる気がする。
それが浮き彫りになったのは、クライマックス直前の、ナオと母親の病室での会話。
母親がナオを説得するために繰り出す、言葉の洪水。
「母親だから、あなたを守る義務があるの。二十歳だって守るの。母親ってそういうものよ」
「お嫁に来る時、スタージュエリーの嫁に来るんだって覚悟したの。スタージュエリーに傷をつけるわけにはいかないわ」
「母さんも怖いと思ってる。あなたのスキャンダル。母さんは、あなたとうちを守りたいの」
「骨髄をくれたお兄ちゃんを裏切らないで。命がけであなたを助けたの」
これを全部、一人で一気に話すのだ(正直、ナオは言葉をさしはさむ暇もない)。
全て、どうして自分がナオとヒロトの交際に反対するのか、ということについての説明だけど。
どうですか?このセリフ回し。
このナオの母、いつもニコニコとリビングでお茶とケーキの用意をしているのかと思ったら、突然、人が変わったような饒舌ぶり。
言っている内容もさることながら、「渡鬼」の舞台に突然乗り込んで、このセリフを吐いても、まったく違和感がなさそうだ。
岡倉家のメンツも幸楽の従業員も、こんなに長広舌で保守的なナオの母を、同志とばかりに、諸手を挙げて仲間に迎えるだろう。
もちろん、「渡鬼」が大当たりしているのを見てもわかるように、登場人物が三段論法さながらにしゃべりまくるからって、それが即悪い、というわけじゃない。
事実あたしも、なぜだか知らないけど、結局「渡鬼」をずっと見てきたし。
でも、これもなぜか「渡鬼」だから許される、ということもあって・・・。
泉ピン子はじめ出演者の面々が、立っているだけでリアリティがあふれ出す、存在感のある役者ぞろいだったり。
これがおそらく昭和の臭いを残す最後のホームドラマで、これと共におそらく消え行く定めのジャンルだったり(だって、五人姉妹なんて身近にもういない。あたしの親の時代の話でしょ)。
そこには、いろいろ特異な理由があると思われる。
そして、「渡鬼」を見ていて感動する、なんてことが考えられないのと同じように(いや、もしかしたらそういう人もいるかもしれないけど)、「渡鬼」のラブストーリーなんてのも、考えられない。
しかし!この「たったひとつの恋」って、ラブストーリーなんじゃなかったっけ。
そして、いくらベタだといっても、たぶん一応感動させることが狙いのような?
まあ特に今回は、余貴美子、田中好子の両母親役にスポットを当てた、いわば演技対決!的な要素もあったのかもしれないけど。
実力派で鳴らす余貴美子。
これまでちょっとしか出番がないところでも、この人だけはリアリティをちゃんと醸し出していた感じ。
「上海バンスキング」が代表作というだけあって、蓮っ葉な母親にうまくなりきってる。
しかも、なんとなくミナトのにおいがするところがいい。
あのナオの父と会った時の、椅子に斜めに座り、口元をひしゃげて話すあの話し方、さすがでした。
もしかしたら、キャラ的には真逆の、スーちゃんの役どころでもできちゃうんじゃないかと思わせるぐらい。
でも、難を言うなら、美人すぎるー。アップになった時、きれいすぎました。
あと、なんであんなに写真撮るのうまいの?
パチリと盗撮したにしては、プロ並のアングルと絞りだったのではないのでしょうか。(むしろそれで、フラッシュかどこかでお小遣い稼ぎしては)。
それにしてもスーちゃんこと田中好子は、あのキャンディーズで歌って踊っていた当時(あたしも全曲歌えます!一部振付つき)、今の演技派女優ぶりを予想した人が、どれだけいただろうか。
同じキャンディーズのメンバーの、蘭ちゃんは水谷豊さんの奥さまになってしまって、今はほとんど出てこないし、ミキちゃんも話を聞かない。
結局、普通の女の子に戻らず、プロ根性を見せて業界で生き残ったのが、一番甘い顔立ちをしていたスーちゃんだった、というのは、ちょっと意外というか、でも世の中そんなものなのかなー、と思う。
昼ドラの愛の劇場「いい女」で今、主演している石野真子もこの系統だと思うけど(ご興味があれば今月11日付のブログをご覧ください)。
とにかくこのドラマでは、これまで田中好子の見せ場はあまりなかったところで、今回突然の大立ち回りとなってしまった。
どうもナオの母親の性格がよくわからないまま、(あたしには)なんとなくびったりとつながらない行動になってしまったのは先に書いた通りだけど、少なくともそれはスーちゃんの責任ではないように思う。
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ぽよ熊って名前から、ヒゲオヤジっぽい方を
イメージしちゃいましたが、女性でしたか。。(^^)
今回、重々しいセリフの多くがサッパリ
心に染みなかったのは同じです。
セリフが説明ね。。
全般に説明過剰が目立つ中で、あまりにストレート
で丁寧すぎるセリフまで説明に聞こえてしまうのかも。
ただ、セリフ以外で感動できる部分はあったと思います。
ちなみに渡鬼は、食わず嫌いなもんで。。
ここ笑ってしまいました~!
ナオのお母さんの長広舌、娘を守る母親と言うよりは会社を守りたいだけのように聞こえてしまい…
それがちょっと違和感感じてしまいました。
船上のシーンは見ていて恥ずかしい面もありましたが(笑
ヒロトの覚悟、ナオへの想いが感じられ良かったかなぁ~と思います。^^
コメント&トラバ、どうもありがとうございます。
>ぽよ熊って名前から、ヒゲオヤジっぽい方を
イメージしちゃいましたが
そ、そうだったんだ・・・。
このブログ始める時、ほんと何も考えずに適当につけちゃったもんで。
こんなマジメに毎日書く気もなかったんです。
今はちっと後悔してます。
ちなみに、うちの相方さんは、「ぽよ熊」は「太ったオバサン」っぽく聞こえる、と言ってます。
>ちなみに渡鬼は、食わず嫌いなもんで。。
賢明なご判断かもしれません・・・。
はまっちゃうと、けっこういっちゃうところありますし。
>ナオのお母さんの長広舌、娘を守る母親と言うよりは会社を守りたいだけのように聞こえてしまい…
娘を守りたいのか、会社を守りたいのか、どっちなんだよ!って聞きたくなるようなセリフではありましたね。
妥協の産物のようで、言いたいことの核がちょっと不明でした。
でも、本音はたぶん翠さんの言われる通りなんでしょうね。
「両方守りたい」っていうのは、言葉の綾に過ぎないのかも。
いやぁ~、こっち↓の話の方が面白かったりして(笑)
>「渡鬼」が大当たりしているのを見てもわかるように
「渡鬼」は、ワタシも見てましたよ~。
ただ、山岡さんが出演なさってる時までかな。
あの方が亡くなって
ワタシの「渡鬼」は、終了しましたね。
しかし、まだ人気ですよね~。
一体、この先何年やるつもりでしょうか(笑)
という事で、「ひと恋」の話は
盛り上がりませんが、、、
う~む、心に響くとすれば
横浜の夜景でしょうか
ただ、山岡さんが出演なさってる時までかな。
私も同じですよ、ルルさんー。
なんだか登場人物がしたい放題になった今クールから、見てません。
(だって、ちょっと見逃してたらもう筋がわからなくなるんだもん)。
幸楽のお母さんさえいなくなれば、ってあんなに思っていたのにね(笑)。
十年一日のような渡鬼が結局よかったみたいですね。
>一体、この先何年やるつもりでしょうか(笑)
もう最後に近いから、好き放題やる、と橋田さんは放送開始前言ってたような。
でも視聴率もいいようだし、彼女がやる気がある限り、ずっと続くのかも。
>「ひと恋」の話は盛り上がりませんが、、、う~む、心に響くとすれば横浜の夜景でしょうか
そうですねー。横浜の夜景も、街(みなとみらいの)や川じゃなくて、もっと海を映してほしいと思いますね。ミナトなんですから。