バリ記 

英語関係の執筆の合間に「バリ滞在記」を掲載。今は「英語指導のコツ」が終了し、合間に「バリ島滞在記」を連載。

バリ記20 保存の方法を知らない

2020-01-01 11:20:41 | バリ記
2000年3月14日
鳥毛 清喜氏のこと


 「誰でも足を踏み入れ、昇ってみたくなる階段」をどのように作れるか。これがバリ島のレギャン通りでレストランを成功させる為の最大で最初の課題であった。僕の頭の中にいつもこのことが課題としてちらついた。
鳥毛清喜氏は、バリに移り住んで五年になる。人里離れた海のそばに工房を持ち、独自のガラス工芸作品を創作している。彼は、世界ではじめてと自負するガラスを作ってはコツコツとストックし、いずれ階段にしようと思っていた。光の加減でなんともいえない素材に変わるはずである。素材の中に彼の発想がこめられている。鳥毛はこのガラス工芸の世界では有名だ。賞も数々ととった。
ビンを作る日本人が、ボナ村から海の方に入ったところにいるという噂を聞き、ビン作りの依頼に出かけた。ビン作りはむろん断られたが、それが出会いだった。
 思っていることが一致した。
 彼にレストランの設計、デザインをすべて任せることにした。自分の発想力では限界だった。しかしながら、ぼくには、言葉があったと思うので、つまり「誰でも足を踏み入れ、昇ってみたくなる階段」という言葉があったので、めぐり逢ったのである。
楽しみにして欲しいと思う。
 いつも海がそばにあり、潮騒が聞こえる。30年の契約で家を借りたという。もしかしたら、海が様々な色に変化するように、彼のガラスも海のようかも知れないと勝手に想像している。
外国という場所は、人との出会いが故郷にいるより多いところだ。心が開かれるからなのかもしれない。

2000年3月15日
保存の方法を知らない


 バリの女性たちは、髪の手入れをする時、まず自家製のココナッツオイルで十分から二十分かけて髪と頭皮をマッサージする。時に、ココナッツオイルではなく、ハイビスカスの一種でファイアー・ハイビスカスの葉をこすりつぶし液をとり、そのヌルヌルした液でマッサージする。ココナッツオイルも、ハイビスカスも髪をつやつやしなめらかにするのだそうだ。それからシャンプーをして、洗い流す。
僕は不思議に思う。どうして、ハイビスカスの葉をいちいちこすりつけて液をとりだすのかと。たいへん面倒ではないかと思う。
 考えてみるとバリには保存するという考えがほとんどない。冬を越すために秋のうちに保存加工したり、日干しにして美味しく魚や貝を食べるという日本人から見ると、手に届くところに食べ物がある豊かさからなのかうらやましいというよりももったいない気がする。
 気候風土的に、保存が向かず、カビなども湿気のために生えやすいのだろうが。なかには保存方法さえきちんと考えれば、手間が省けたり、より価値があがったりするものがあるかも知れなしい。
例えば、ワキガの人が飲む植物の葉がある。これを飲むとたしかにワキガが消える。青汁みたいなものを飲まなくてもお茶にすればいいのにと思う。ジャワ人はイギリス人の知恵でお茶を作ったけれど、バリにはジャワ茶以外のお茶は作っていない。しかしながら、スパイスはたくさんある。インドネシアはハーブの宝庫と言われているのに、ハーブティーへの発展のさせ方ができなかったのだ。
 保存したものは新鮮でない。オレ達はいつも新鮮なものを食べていると自慢する。
インドネシア全体に「保存」という意識と技術を導入すれば、きっと珍しく、おもしろいものが出るに違いない。
 もう研究し尽くされているのだろうか。




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