バリ記 

英語関係の執筆の合間に「バリ滞在記」を掲載。今は「英語指導のコツ」が終了し、合間に「バリ島滞在記」を連載。

バリ記8

2019-12-19 10:51:39 | バリ記
2000年1月13日
どう選んでゆくのか

 バリでは車の免許をとるのが簡単で、三十五万ルピア程というのだから、僕から見て、相当安いように思える。
 ところが、このお金がなかなか出せないし、たとえ出せたとしても車を買うお金まではなかなかないので、結局免許をとらないことになる人も多い。
バリは、今までは交通渋滞で道路事情も悪く、新しい道路建設も進んでいない。これ以上の交通渋滞は、バリ経済に悪影響を及ぼすだろうと思われる。
不況下においても車の数が増えつづけているのだから、現在、車が買えない者に余裕が出始めたら、どうなるのだろうかと心配する。経済マヒが起こる。人々に公的な税金を払うような意思が見られないので、余計心配である。
 毎日たいへん良い日が続いている。一月は、こんなに涼しいのか、と思う。
ジャワ島のイスラムの人々は、一ヶ月のラマダンで、ジャワ島とのやりとりのある仕事も渋滞のまま、十八日が過ぎて、たまった仕事が片付けられるのを待つしかない。だから、今はジャワからの旅行客が多い。
これほどの発展途上国の国で、お金お金と言っている人が多い国で、週四十時間労働で休日が多いというのは、どうしてだろうと思うが、別に怠けたいわけではないだろうと思う。人口が多すぎるのが大きな理由のひとつだと考えられる。
 バリが観光地として発展するまでは、村々の数多い祭礼によってものが行き交い人々の暮らしがある程度平均化し、その点での経済効果はあったと思えるが、現在はある一面で経済の発展にブレーキをかけているのではないかと思える。しかし、ある一面で、葬式などの儀式費用を蓄えることを強いても、経済的な成長を阻んだとしても宗教的生活を優先させるのだという意思も知る限りの人々の発言から汲み取ることができる。
三十年以上も前の日本。その頃でも日常の生活は楽しかった。テレビは一部の家にあるだけで、ビデオはなく、ましてやコンピュータもなかった。けれど路地で遊ぶことも、時に遠出することも、学校の運動場で遊ぶことも、なんとなく急にやってきて急にしぼんでゆく遊びの流行についていくのも結構楽しかった。経済的には、今のバリの程度だった。そして日本は働くことに身を投じて、急速に経済成長をする道を選んだ。
バリが今後どのように選択してゆくのか、おそらく僕が生きている間くらいには、おぼろ気にわかるかも知れない。

2000年1月14日
周期


 木に年輪があるのは学校でも習ったことだが、その年輪をさらに観察してゆくと、週輪というのがあり、人間の歯にも週輪のようなものがあると知って驚いた。つまり植物も人間も同じように七日を周期として生きているということだ。
仏教でも七の倍数が死後重要視されるが、これはどういう理由なのだろうか。なんとなく人間は周期の問題を知っているとしか思えない。
バリ・ジャワのウク暦で通過儀礼が行われるが、例えばバリでは赤ん坊は生後四十二日で清めの洗礼を受け、生後二一〇日目で(ウク暦の一年)最初の誕生日が訪れる。暦はいろいろあるだろうが、やはり七の倍数にこだわっている。
 一週間目、つまり七日という周期には何か意味があるのだろう。このようなことは今後解明されていくのだろうが、七日にも意味があるのだったら、他にも例えば方位だの色だのと言うこだわりには何か本当に意味があり、解明されれば思わず納得し、「そんな風だと思っていた」といってしまうかも知れない。
もちろん「風水ではこうこうしかじかだから~である」と言い方に納得するのではなく「風水で言っていることの本当の根拠はこうこうこうで、このようだから~であるのだ」という納得のさせられ方がいろいろな分野であるのかも知れない。たぶんきっとこのようなことは、宗教や民族を越えて人類共通のことになるのだから、徹底してある事柄をつきつめていくことは宇宙的な視野に立てることであって、すごいことだと思う。


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