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永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

うみがわく【海が涌く】

2012年09月29日 | あ行
(漁師語)魚群が海面に集まる。


「わく」には、「水が熱せられて湯となる」の「沸く」と、「地下水などが地中から出る」の「涌く・湧く」の二つがあるが、これは後者。でも、「まるで沸騰しているよう」というニュアンスもあるのかもしれない。

 実際にこういう場面を見たことはないけれども、公園の池の鯉が餌を求めて集まってきたときとか、水族館の餌やりの時間に魚が水面に集まってきたときなどから想像できる。海の表面が魚の背中でボコボコとなり、まるで海底で温泉が涌いて海面まで吹き上がっているような状態になる……のだと思う。

 水族館の魚たちを見ていると、押し合いへし合いしている。とくに小さな魚はそうだ。ひとかたまりになることで、大きな魚であるかのように見せて、自分たちの身を守っているのだと聞いたことがあるけれども、押し合いで圧死することはないのだろうか。

 集まってくる魚がイワシやニシンならいいけれども、カツオやマグロだったらちょっと怖い。ピラニアだったらもっと怖い。船が魚群に持ち上げられて転覆してしまうようなことはないのだろうか。