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永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

りょうや【良夜】

2013年05月02日 | ら行
良い夜。月の明らかな夜。特に、中秋名月の夜。または九月十三夜。


 月が明るいから良い夜、というところが単純というかナイーブというか、とても好きだ。

 照る日、曇る日、それぞれいいように、月が雲から出たり入ったりするような夜だっていいし、月のない夜もそれはそれでいいはず。だけど「そんなワビだのサビだのといった気どった話はいいよ、ここは正直になろうよ。夜は月に出てほしい、月が出てくれば、もうそれだけで嬉しいよ」という気分を感じるのである、「良夜」という言葉には。

 そういえば、盆踊りでよく歌われる(踊られる?)炭坑節も、「月が出た出た」と始まる。ちなみに西武ライオンズの応援歌の一つが炭坑節で、それはなぜかというとライオンズはもともと福岡にあり、福岡の近くの三池炭鉱で生まれたのが炭坑節だったからだ。

「月が」と「出た出た」を逆にすると、童謡で文部省唱歌でもあった「月」の始まりになる。メロディはぜんぜん違うけど。

 炭鉱で働く大人たちも、小さな子どもも、みんな月が大好き。月の出ている夜は、もうそれだけで良い夜なのだ。