2017.9.16 シネマヴェーラ渋谷 特集上映「名脇役列伝Ⅱ 安倍徹生誕百年記念 悪い奴ら」で川島雄三『深夜の市長』を観る。

3連休は台風がくるというので、近場で観ることにします。こういうときは、観たいもの優先ということで、まず、川島雄三の『深夜の市長』をシネマヴェーラで。

川島雄三監督作品が名画座にかかったらできるだけ観ることにしています。『深夜の市長』(1947年)は、シネマヴェーラ渋谷で開催中の「名脇役列伝Ⅱ 安倍徹生誕百年記念 悪い奴ら」(29日まで)というなんともすごい特集上映の一本。安倍徹、小沢栄太郎、河津清三郎をフィーチャーした企画なんです。いいね！

松竹時代の川島初期作品。失敗作とされ、ご本人によれば「このあとホサれた」そうです。初見です。銀行襲撃事件で処刑された兄の嫌疑をはらそうと、弟が真犯人を追うというサスペンス。主人公が２枚目、安倍徹さんです。なるほどこれは雑な映画ですね。誰の動きを追っていけばよいのかよくわかりません。「深夜の市長」というのは、最初は海野十三の原作からとったようですが、結局なんの関係もなく、あまり説明されないので、悪漢たちの巣窟でもあるナイトクラブの支配人のニックネームとしか思えません。

その「市長」に扮しているのが月形龍之介。トレンチコートにソフト帽のギャングです。これがいい男。三井弘次も同じような恰好ででてくるのですが、こちらも渋い。ボガート、ラフト、キャグニーののりか、手塚治虫の悪役キャラか。このふたりと軽いチンピラ役の大坂志郎がいい感じでした。