今、大阪メトロの駅には
1月文楽公演のポスターが。
うーん、豪華。
「壇浦兜軍記」(だんのうら かぶとぐんき)のヒロイン、
遊君(ゆうくん)阿古屋。
遊君とは遊女のこと。
源平合戦が終わり、源氏方が、
行方知れずの平家方の武将、景清(かげきよ)を探すため、
景清の愛人、阿古屋に行き先を問い詰めるのだが
阿古屋は「知らない」と言い張る。
そこで阿古屋に琴、三味線、胡弓を弾かせて
その音色から、本当に知らないのかどうかを探るという話。
俗に「阿古屋の琴責め(ことぜめ)」と言われている。
歌舞伎でもよく上演されていて、女形の大役である。
琴、三味線、胡弓を弾きこなせないといけない。
人形はどんなふうに演じるのだろうか?
まだ見たことがない。
阿古屋は景清の行方を本当に知らない。
しかも景清の子を身ごもっている。
景清に一番会いたいのは、他ならぬ阿古屋だろう。
源氏方から、思わぬ責めを受けて、
阿古屋はいかにこの窮地を切り抜けていくか。
景清は「悪七兵衛」(あくしちびょうえ)という異名を持つ
強者(つわもの)である。
その強者の愛人という誇り高さが
この毅然とした表情にあらわれているような気がする。
気高ささえ感じさせる。
そして遠くを見る眼差しが
愛しい男の行方を追いながら、しかし、
「もうあの人は帰ってはこない」と
悟っているようにも見える。
いつもながら、文楽劇場のポスターの写真は
役の性根を的確に捉えていて、
ステキだ。
※ご参考