~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

術後何年かでインスツルメンテーションは抜去する?

2007-06-08 00:57:21 | 脊椎インスツルメンテーション抜釘のリスクとベネフィット
追記:2017年11月10日 ☞コメント追記


(H19年7月4日追記 : この項は、august03が和訳したものです。
私は医師ではありませんので、医学的に誤解や誤りが含まれている可能性は
ありますので、どうかそのことを考慮されてお読みいただきたいと思います。)

................................................................


側わん症の掲示版を拝見して、気づいたことを書きたいと思います。
資料は米国のScoliosis.com のなかの FAQ より
http://iscoliosis.com/faq.html


FAQ自体はURLが長すぎて、ここにコピーできないのため、上記URLから入り
FAQで「Do my rod have to be taken off」(ロッドを抜くべきか)を参照ください

米国各地からの整形外科医師のこの質問に対する回答が掲載されています。
何人かのコメントを和訳してみました。

They may be removed if they cause local discomfort and pain.
For most patients, this can be treated with anti-inflammatory medication
and even local injections of steroid. If that doesn't work, the rods can
be removed as an elective procedure. We wait until the spine is fully
fused and would not remove rods before a minimum of one to 1 スyears.
However, as a practical matter, 95% of the time, rods will remain in the
patient for a lifetime.
もし身体に入っている金属ロッド、スクリュー等のインプラントが不快感や痛み
の原因となっているとわかれば抜くこともあります。
このようなケースの場合、多くの患者では、抗炎症薬での治癒することが大半です
状況によっては、局部にステロイドを注射することでも治ります。
しかし、もしそれらの薬物治療が効果を示さないときは、インプラントを選択的
に抜くこともありえます。しかし、脊椎の骨癒合が完成する前には抜くことは
しません。少なくとも、術後1年は必要です。
とはいえ、現実としては、95%の患者さんで、一生インプラントを入れたままです。


This is a physician/patient decision. In most cases, the spinal rods are
not removed. They do not cause any long-term problems and it would take
extensive surgery to remove them.
これは医師と患者が話し合って決める問題です。多くの場合は、ロッド等の
インプラントを抜くことはしません。長期においても問題はないからです。
また、抜去手術というのは、かなり負担の大きい手術でもあります。


No. Only about 5% of the hardware put in ends up being removed.
Spinal implants are placed deep to muscle and skin and cannot usually be
felt. It rarely causes pain.
いいえ、抜くことはしません。わずか5%で、抜く場合もあるだけです。
インプラントは、背中の筋肉と皮膚の奥深くに挿入されているので、普通は
不快感を与えることもありません。また痛みの原因になることもほとんどありませ
ん。


Over 95 percent of individuals do not have their spinal implants removed.
Indications for partial or complete implant removal include painful
implants (because of prominence), deep implant infection, or a revision
spinal fusion.
患者の95%以上はインプラントは抜きません。
唯一、痛みの原因になっていたり、インプラントに感染が発生したり、脊椎癒合が
うまくいかずに、もう一度手術で固定をやり直す、という場合にだけ抜去します。

-----------------------------------------------------------------


下記は「側わん症診察」掲示板 2007年4月12日にAugust03が記載したものです。
参考までに :

23歳手術 現在34歳
後方からと前方からの二段階手術
前回検診の際、チタンの抜釘について先生に聞いてみたところ、抜かない人も
いるし....

 →実は、保険制度の事情があり、欧米ではインプラント抜釘という手術は
  ほぼゼロではないかと思います。日本は、抜去手術も保険でカバーできますが
  欧米では個人負担となってしまうのです。
  ですから、脊椎インプラントに限らず、チタン金属が主流の骨折材料も
  欧米では一生入れたままです。


もし抜くなら早めに、40、50代で抜くと骨折しやすくなる。

 → 側弯症ではありませんが、他の疾患でチタンのインスツルメンテーションで
   腰部や頸椎を固定する手術も頻回に行われています。
   これらの場合は、骨固定が完了した一年後ほどをめやすにして
   インプラントを抜去する先生も国内にはおられます。
   その理由は、不安定であった部分は骨癒合によって固定が完成したら
   インプラントはもう固定の役目は終わっているから、というものです。
   ただし、この場合も、欧米では抜かずにおきますし、
   国内でもそのままでいいとしている先生もおられます。

前方インプラント抜釘はリスクがある

  → 内臓器官をわけて進入しますし、インプラントのそばに大血管が走って
    いたと思います。そのために、リスクがある、と言われてると思います。

後方金属のみならOK

 → 個人的意見ですが、前方は残したままで
   後方だけ抜去することにメリットがあるかどうかですね.....

今のところは特に深刻な問題はおきていない

→ 私は、ここが一番大切なコメントだと思いました。
   術後10年経過されて、普通の生活を送っている、ということですよね?
問題のないものを抜くことのメリツト
   抜くことのリスクを先生とよく話し合われるのが良いと思います

チタンはこれから先、一生入れてても問題は起きないものか?
金属の腐食 ?

→ チタンは腐食はしません。チタン材料が原因となる健康被害は発表を
聞いたことがありません。例えば、人工股関節、人工膝関節というものが
世界中で年間数十万症例の手術が行われていますが、これらの大半はチタン
です。一生入れたままです。

年老いて弱った骨や筋肉に影響を及ぼさないものか?

 → 個人的意見ですが、ご心配のようなことはないと思います。
   チタンは堅い金属ですが、同時に、しなやかさも兼ね備えた材料です。
   ゴムのように曲がることは当然ありませんが、てつさんがすでにこの
10年間で経験されている「日常生活」に適応できる材料であるということが
言えると思います。

症例を知ってたら教えて

 → 国内での長期経過例の発表はほんとうに少ないです。
   それは、長期経過した患者さんがいない、ということではなく
   .....事実、てつさんのように10年を経過している方がおられるわけです
から...
先生が忙しすぎて、データをまとめて発表している時間がない、というのが
   日本の実情のようです。また、先生がたは移動、移動で、病院を移ってしま
うために、長期で患者さんを診ている先生も少ない、という事情もありす。
   逆に、この掲示版をご覧になっている手術を受けた患者さんの長期経過の
   状況を集めることができると、とても貴重なデータとして、
   これからの患者さんのお役にたつと思います。

金属が入った状態のメリット、デメリット

 → 想定されるデメリットは、
  1. てつさんご自身もある程度の運動制限は意識的にされていると思いますが
    いかがでしょうか ?
とくに過激なスポーツは避けるべきと思います。
  2. また、金属で一般的な不具合は、「金属疲労」によるインプラントの折損
です。
   ですから、定期的に診てもらうことは必要だと思います。
3. 金属を入れている椎体ではなく、そのちょうど上の椎体や、下の椎体で
   .....隣接椎体という言い方をしますが....その部分で、長期的にみると
   変性疾患が現れることが発表されてきています。発生率は、研究によって
   まちまちですが、10%~20%程度の患者さんではないかと推測されます。
   その場合は、症状によって治療方法は異なることになりますが、
   最悪は、再び手術を必要とすることもありえるようです。
  4. てつさんがこの10年間で経験された、これこれがデメリットだった、
   というものがありましたら、それこそが実経験からの貴重な情報になると
   思います。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

August03としての意見ですが :

1: 現状で何もトラブルもなく、臨床症状も落ち着いている時期に
   抜くべきか抜かなくても良いかを医師に聞いても、おそらく回答は
  「それは患者さんの気持ち次第です」というような答えになると思います。
  これは、先生が「逃げてる」という感じにもなりますが、
  医師の責任というよりも、大きな背景は、いまの日本の医療環境が影響して
  いると理解されるのが良いと思います。
  いまの日本は、患者にとっても、そして医師にとっても、つらい環境が
  生まれてしまっています。

  ☞(どんな手術もそうであるように)抜釘手術にもリスクが伴います。
    そのリスクを先生とよく話し合われて下さい。
    いま問題のないものを、何か漠然とした不安の為に抜くことのメリットと
    それにともなうデメリット・リスクをよく検討されてください。
    リスクとしては、例えば次のようなものがあります。
    ・いかなる外科手術にも伴う術中・術後の合併症
    ・脊椎手術ゆえのリスク (血管や神経のすぐ近くを手術しますので)
     → 神経損傷防止対策としては、「脊椎モニタリング」があります。
    ・入っているインプラントを特定できる?
    ・その入っているインプラントを抜く為の適正な器具がある?
     (これは先生の問題ではなく、インプラントを販売している医療機器メーカーの問題として)
    ・抜いた後から、またカーブ進行が少しづつ進行する可能性もある
    ・例えば、腰痛を解消することを目的として抜きたいと考えた場合、
     抜いたからといって腰痛が解消するとは限らない
     (腰痛がインプラントに起因しているかを先生とよく話し合うことが大切)
     →ある特定部位だけに痛みがあるような場合、X線写真や他の検査で
     それがある特定部分のインプラントに起因していると判明した場合は
     そのインプラントを抜く・あるいは取り換えることで解決する可能性はありますが
     この場合も、その手術に伴うリスクは上記記載のとおりです。
     事前に、念密な検査、手術への準備(医療機器の準備)と、手術の段取りなどを
     先生とよく話し合われることが大切と考えます。


  
2: このような医療環境においては、患者さんは、医師にだけ全てを託すのでは
  なく、正しい情報と正しい知識を蓄えて、自分の考えを持つことが必要と
  なっていると思います。

3: 抜くことのメリット、抜かない場合のリスク/デメリットを勘案、比較して
  みることをお薦めします。
  手術後2年とか3年後の抜かない状態でトラブル....痛みの再発、神経症状の発現等...
  を感じた場合、その原因を探ることと、どういう対策がとれるかを
  先生とよく話し合われてください。








コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Fshion Rescue (ファッショ... | トップ | 側弯症手術後、半年はスポー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

脊椎インスツルメンテーション抜釘のリスクとベネフィット」カテゴリの最新記事