~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

初めにお読みください : 特発性側弯症治療 - 何が問題なのか?

2017-11-03 11:12:29 | 初めてこのブログをご覧になられる方へ
初回:2017年10月30日
追加:2017年10月31日
追加:2017年10月31日 pm11
追加:2017年11月1日
修正:2017年11月3日 (SOSORT基準を修正)
追加:2017年11月8日 問題点9:整体への呼びかけ


これは下書き段階のものですが、一緒に考えていただきたくて、下書きのままオープンにしてみました。
後日、内容は少しづつ修正・加筆していくことになります。 ご意見をコメントにお寄せいただけると幸いです。


特発性側弯症治療 - 何が問題なのか ?

問題点(課題)
1. 最大の課題は、特発性側弯症は「原因が特定できていない」こと。原因が特定されなければ標準的な治療法も確定できません。
 原因不明の為、その想定される原因を踏まえての「治療法」が統一できず、考え方が百家争鳴の状態と言えます。

2. とはいえ、その治療法も大きくはふたつに分割することができ、そのふたつの考え方の対立に患者(患者家族)が振り回されています。
 それが、マイルドカーブに対する「経過観察」 vs 「体操療法」です。
 カーブがある一定角度を超えた場合、装具療法することや、手術治療することに対しての反対意見は(一部の者を除いて)ないと考えます。

 ・SRSを主体とする脊椎外科医は、マイルドカーブは自然治癒するものが含まれていることから、「経過観察(定期検査)」を行い、
  進行が見られる場合は、装具療法に入る。というのが標準治療法となりますが、
  一方、SOSORTを主体とする理学療法医師は、このマイルドカーブの段階から「体操療法」をしなければ側弯カーブが進行する、
  ゆえに「待つことなく、直ちに体操療法」に入るべき。という立場(と思われます)。
  

                    (2017年11月3日SOSORTクライテリアを見つけ、装具基準を修正)

SOSORTの基準は、Dr Josette Bettany-Saltikov (Program Leader Professional Doctorate program Senior Lecture in Reserach Methods Chartered Pjysiotherapist)の「Physiotherapy Scoliosis Specific Exercises:Definition, gools and indictions according to current evidenceより引用

 ☞日本においては、ここに民間療法者が介入してくることから複雑性が増すことになります。


(comment by august03)
  SRSとSOSORTの考え方を図式化してみました。若干言葉を省略しているかもしれませんが、大枠は網羅していると考えます。
  これらの考えの根拠資料を医学文献を用いて、紐といていきたいと思います。


 ・期待されるのは、「体操療法」が真に有効であるのか、あるいは意味がないか等について、「証拠能力の高い医学的根拠」が、
 Medical Doctorによって示されること。国際的には、ヨーロッパを中心として活躍している SOSORTに期待されていると考えるが、
 その上で、SOSORTとSRSが「証拠能力の高い医学的根拠」の結論に合意することであろう。 
 仮に、原因が解明されていなくとも、SOSORTとSRSがマイルドカーブの対応に関して「合意」がなされれば、その時点での標準的治療法の
 方針が統一され、患者が戸惑うという現状の悩みは解決すると考える。......しかし、残念ながらこれも相当の時間が要すると思われる。

 ・国内での臨床試験の実施....残念ながら、これも実現性は低い。

 ☞現時点での医学的根拠エビデンスは何かを患者(家族)に提示すること
   -自然経過
   -体操療法の結果(アウトカム)
   -装具療法の結果(アウトカム)


3. 仮に「体操療法」が効果があると「証拠能力の高い医学的根拠」が示されたとしても、「体操療法」が医療機関で取り入れられるとは
 限らない。
 ・SOSORTが示す体操療法にも複数のタイプがあり、「医学的根拠」が明確に示されたものはまだない。
 ・仮にそのうちのどれかが(or全てが)証明されたとした場合も、その担い手は医療機関であるべき(民間療法者が介入すべきではない)
 ・また導入し標準治療に取り入れられるためには、その治療法に政府から保険点数が付与されなければならない
  保険点数のない治療は、医療機関は経営上導入はしないであろう。(保険点数化には「証拠能力の高い医学的根拠」の提示は必須要件)
 
 ☞医療機関に役割を担う者がいて、「医学的根拠の示された方法」を体得し、政府に保険点数化を働きかけ実現させる。
  このような流れになるのではないかと想定する。
  さもなくば、医療機関の理学療法系の先生方が民間療法者的な存在になっていくのかもしれないが、これだけはあって欲しくない。

4. この「経過観察」vs 「体操療法」に対して、民間療法(整体、カイロプラクテック、ヨガ等)が介入し、インターネットを通じて患者(家族)に
 直接宣伝することが、混乱に拍車をかけている。民間療法者に対する対策が求められる。

  ・これら民間療法者を法的に規制するシステムが曖昧 (法的に規制されないがゆえに「民間療法者」という定義とも言える)
   →広告宣伝等は規制対象であると考えるが、現実には野放図になっていると考える。
   →術前・後の写真を提示することによる確証バイアス (HP上での前・後の写真掲載は禁止することを厚生労働省が発表)

5. 患者の立場から見た場合、経過観察であれ体操療法であれ、その前提である「早期発見されること」は非常に大きな意味を持つ。
 この手段であるスクリーニングが抱える課題も存在する。
 例えば、・国内の全ての自治体で実施されているわけではない。
     ・スクリーニングには費用がかかる。
     ・スクリーニングの精度向上という課題もある。(よりローコストで、ハイクオリティのスクリーニングが求められる)

6. 装具療法においても下記のような課題が存在すると考えられる。
 例えば、・装具療法は患者(こども)にとっては、心理的にも、物理的(暑さ・装着時間等)にも非常に難儀なものである。
      どうすれば軽減することができるか?
     ・装具療法の有効性を確実なものにするには、装着時間は? 装具のタイプは? 装具製造の技術的要素は? などのデータの蓄積も
      必要であろう。
     ・装具療法をしても効果がなく、カーブが進行する場合がある。どのような場合に進行するのかの原因究明
      (側弯症のタイプなのか? 装着時間の量なのか? )

7. 手術治療における課題としては、
 例えば、・周術期における合併症、不具合を減らすこと
     ・一定したアウトカムの獲得
     ・20年、30年後も見据えた長期経過後の合併症、不具合への対応

8. 上記の全てに関係する事項として、側弯症治療における様々な定義をSOSORTとSRSとで統一することはできないのか?
 例えば、・経過観察対象であるコブ角が、体操療法では実施対象である場合、自然治癒したのか、体操療法が奏功したのかが不明であり、
      永遠に不毛な議論が続くことになる。
     ・装具療法開始の標準の統一。患者の希望等でそれよりも早くあるいは遅く開始することは例外扱いするとしても、
      装具開始の時期はコブ角何度から、という具合に統一されないと、患者の立場としては、装具療法の受け入れに混乱が
      生じると考える。また医学データの蓄積もできないのでは。

9.整体・カイロ等民間療法者への呼びかけ
 これは私見であり、反対意見があることも知った上でここに記載するものです。
 根本原則として、病気の治療は医療機関で行われるべきものと考えます。医師、看護師、検査技師(検査部門)、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、医療コーディネーター等々が医療設備を用いて、責任の明確な立場の方々が患者を検査し、治療し、看護するもの、と考えます。まして、子どもの病気に対してはそれが否定される理由がどこにあるのでしょう。 特発性側弯症は子どもの病気です。自分の症状や治療内容を理解できる大人ではありません。 子どもなのです。
民間療法者は、大人を対象としてビジネスをすることで何が不満なのでしょう? 自分達が子ども達を救っていると本当に信じているのであれば、その医学的証拠を、医学データととして認められるレベルのものを提示すべきです。施術前後の写真は証拠ではありません。患者さんからの感謝の手紙は証拠ではありません。医者を巻き込んで「これは凄い」とと語ってもらうことは証拠ではありません(そもそも医者であるならば、医学データの何たるかは知っているはず。医者の自分が凄いと言うのだから、これは事実だ。というのは権威を利用した「まやかし」「印象操作」です)。政治家を連れてきて、「これは凄い」と語らせることは証拠ではありません。〇〇協会や△△団体から表彰されることは証拠ではありません。 医学データを示すことなく、事情を理解しえない子どもを治療しようとすることは、もちろん医療ではなく、道義にも倫理にも反する行為です。



 と、このように記載していくと、現実にできることは非常に少ないことが見えてきます。

 このような現実の中でできることのひとつは「患者(家族)」の自己決定権を左右するうえでの知識と情報の提供に集約されるのではないでしょうか。

 上記に掲げた諸問題・課題に関して、2007年より書き溜めた資料も再考しながら、改めて作成していきたいと考えています。

 記載にあたっては、医学情報はPubMedやGoogle schoolerを主に用いて「医学的根拠」は何か、ということをご提供したいと思います。
 また、内容によっては、当ブログ作成者の「意見(青文字)」を記載させていただくこともありますこと、ご了承願います。


お知らせ:2007年より10年間書き溜めた当ブログの記事を現在整理中です。もし読みかけの記事、トピックス、カテゴリーで必要なものがありましたら、本記事のコメント欄でかまいませんので、ご連絡をお願いします。

august03


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 装具療法終了した25年後のア... | トップ | 特発性側弯症に対する民間療... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

初めてこのブログをご覧になられる方へ」カテゴリの最新記事