「お浄土に、自動販売機は、あるんかね？」

母が、涙ぐんでいる。


お昼のお茶タイム。

久しぶりに、２月に亡くなった弟のことが話題になった。

お兄ちゃんが口火を切る。

「○○くんは、お浄土で元気にしとるかね？」

私が言う。

「うん、毎日元気に缶コーヒー飲んどるよ」



「お浄土に、自動販売機は、あるんかね？」

………

「自動販売機屋の社長さんが、お浄土へ持っていってくれとってよね」

「じゃあ、アンパンは？」

「パン屋さんの社長さんも、お浄土へ逝っとってじゃけぇ、心配せんでもええけ」


弟は、缶コーヒーとアンパンとバナナが大好物だった。



たぶん、フルーツショップの店長さんも、お浄土にいらっしゃると思うのだが。



　
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