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お母さんピアノを弾いてください

優しい母が認知症、強制入院。介護で体を壊し退職。弟とのメールのやりとり、詩や短歌で介護の現実を紹介していきます。

虫がいる、、、すべての始まり

2008-04-03 09:41:38 | Weblog
母は今年で85歳。

 発病したのは1998年6月頃と思われる。

 その前年1997年の暮れから激しい頭痛に見舞われていた。母の性格はなんでも我慢してしまうのだ。そのため病院へ行くのも遅れてしまった。

 やっと病院へ行ったのが、翌年の1998年、そこで検査の結果歯茎からの感染症で頭痛が起きているとのことだった。

 したがって総合内科で受診し口腔外科で治療をすることになる。
 2月に入院したが、母と言う人は非常に独立心が強く人に迷惑をかけまいとし
て、電話がかかってきて

「今これから入院するの。」

 慌てて職場から帰宅すると、入院に必要な持ち物すべて自分で用意してしまっていた。おまけに家をきれいに掃除し衣服などきちんと整理整頓してある。

 3か月ほど入院していた。

 退院後、奇妙な行動が起こり始めた。

 そこからだった。

 我が家は猫を飼っている、入院中弟はあまり部屋の掃除をしなかった。
 そこでだいぶノミが発生したのだが、やがて
 庭で虫に襲われた、家に入ってくるなど言い始めた。

 寝る前床じゅう拭き始め、蚊取り線香を3つもつける、、、。

 おかしいと思いつつも、弟と二人で害虫駆除について調べ始めた。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
弟からのメール 1998年6月 

兄上様
昨日、害虫駆除の件で、某場所に問い合わせましたら、下記の様な解答が
送信されました。具体的な害虫の標本を採取する要有りと思われます。
先ずは、御報告迄・・・。

                     正道

天野 様

日頃より当所にご理解、ご協力いただきましてありがとうございます。
さて、お尋ねの害虫駆除の件ですが、具体的に特定できるもの、または
特徴が分かっているもの(虫)で、害があるのか、ないのか。あるのならど
の ように駆除すればよいのか。という質問であれば、研究員の方に照会ができ
るのですが、今回のように漠然としたものでは判断しかねます。
ただ、

1.過敏な方。

虫だけでなくアレルギーのように色々な物が原因となり得ます。

(梅雨ですので部屋の換気に注意し、清潔に保ってください。)

2.思い込みなど精神的なもの。

他に原因があるが、見慣れない虫を見た為に、その虫のせいだと思い込んでしまっている場合や精神的なストレス等。
などが考えられると思います。確かな回答でなくて申し訳ありません。
地域の特性もありますので、近くの保健所および・・・・衛生研究所
(・・・・・jp)にも問い合わせてみてください。
また、刺された痕を診てもらうなど病院にも相談してみてください。
1日でも早く原因が特定され安心して睡眠がとれるようになりますよう。



○○(・・・・・・・・研究所)
webmaster・・・・・・・jp



夜中の電報

2008-04-02 03:15:46 | Weblog




電報が来たのよ、夜十二時に
でも電報屋さんの電文を
他の人がくしゃくしゃにしたの
おかあちゃまはかわいそうだから
「これは電文ですか?」って聞いたのよ
最後に
「○○さんすみません」っておかあちゃまの
結婚前の名前を言って
電報屋さんが泣いていたの

痴呆の母の話だった
遠い昔と、今の時代が重なって
夢と現実が一緒になって
私はうなずいて聞いてた
私は劣等生だった
母は英文科を主席で出た
私が先生になったら喜んだ母

強制入院だった
職場で
「だから先生もおかしいんだよな」
「誰にでもあるのよ」
「昇降口閉めてから帰ってくれよ」
「女房が風引いたんだ、後お願いします」
母は暑さの中でおびえて
閉めきった部屋で脱水症状を起こしていた
あの時早く帰宅させてくれていたら、、、
まあ、愚痴を言うのは男じゃないな
私は今母の先生
昔、体が弱くて学校に行けなかった私に母は
九九を教えてくれた
私は母に教えることはできない
「うんうん」と聞いているだけ
昔の世界が今見えている
母は幸せなのかもしれない



                               2004秋季号

お母さんピアノを弾いてください

タイトルとなった「お母さんピアノをひいてください」は抒情文芸平成13年春季号に掲載されたものです。 オリジナルモジュールで設置したので、常に上に来てしまうのですが、詩の形が崩れてしまいます。 妄想の中に一日いて おびえ閉じこもる母よ 死ぬほど私は辛いのです 小学生から大学まで首席の母 数カ国語を話し、独学で弾くピアノ 簡単なメロディーはすぐに採譜してしまう母私には できすぎた母だった 高等文官の娘に生まれ 私にも明治流の武士の作法を教えた母 母よ、あなたは私には重かった 父が浮気症でなかったら あなたはもっと幸せでおおらかに私を育てたろうに 悲しみとやり場のない怒り 私はもう子供じゃない 母には私はまだ十五の子供に見えるらしい 二度目の童子となった母 母を悲しませまいと自分を殺して生きてきた少年時 代、青年時代 母よ時には恨みもあるのです 私は普通の人なのです、あなたの家族のようなエリ ートにはなれません それもあなたの悲しみの一つです 私は独りです、それもあなたには悲しみですか 両親の不仲が私を学習に集中させなくなったほとん ど上の空の授業、とうとう不安神経症になった私 荒れた少年時代、机も椅子もよく投げた 立ち直らせてくれたのはあなただった 母よそのあなたが目の前で狂ってく なぜ、なぜ、なぜと叫ばずにおられない 心優しき弟はけなげに母をいたわり料理を作る 他の親族は己の主義に走り、以来家には無関心 挙げ句の果てに「お前達でやれ」とはそれがあなた の主義が出した正義ですか 私だって弱いのだ、いや本当に私は弱いのだでも仕 事でも、家でも強い自分を演じてきたそうしなきゃ 誰があなたをはげませたでしょう 私の救いはどこにある 私を慰める人はどこにいる 二度目の童子となった母 もう一度ピアノを弾いてください 私は歌うから、、、、、、。