森共同アトリエ 管理人日記

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木炭で描く奴隷

2014年11月20日 22時03分35秒 | デッサンの道
今日は久しぶりに石膏デッサンを描きました。奴隷です。今回は顔側から描きます。
まずはあたりから。クロッキー力をひたすら磨いて、この時点で印象の狂いが出ないようにしたいところです。最終的に形の狂いを指摘されがちな人は必ずこの時点ですでに大きな狂いがあるはずです。

立体をイメージし、構造を線的に確認していきます。所々濃い部分は自分の中で基準にしているところです。出来るだけ長いストロークで捉えたいです。

光源を設定し、調子を大きく乗せていきます。この時点では明解に3色くらいに分けるようにコントロールしています。今描いている部分が光源に対してどのくらいの面を向いているのか、また、最も明るい部分、最も暗い部分に対してどのくらいの色であるべきか考えます。ちなみに実物をそのまま再現する感じではなく、あくまで再構築の意識です。

ガーゼで下の面、奥行き面をおさえ、空間の下地を作ります。手前の部分や、上面(光を受けて明解な部分)はほとんどガーゼは使いません。そのようなところは手を使って擦り、質感に差をつけます。

下地を生かしながらより具体的に形にしていきます。この段階で奴隷の印象を決定づける気持ちで作業を進めています。この辺りの仕事が充実できる人はかなり説得力のある作品が打ち出せます。ほとんどの人は形そのものが安定しないので、中盤の作業が十分に出来ず、急いでまとめに入ってしまうので内容の浅い作品になりがちです。

描写を進めていきます。実はこの時点で初めて消し具(食パン)を使っています。別に食パン使わない縛りをしている訳ではなく、他にやるべき事が盛りだくさんなので食パンを使う作業をやっている余裕が無いだけです。ちなみにかなり早く描いているので、ここまでで1時間半くらいなのですが、実際は観察で得られる情報量の方が手のスピードより圧倒的に速いので、もっと早くこうしたいのに手が全く追いついていないという感覚です。手のスピードはすでに限界感があるので、内容を維持した状態では多分これ以上早くは描けません。

これで完成です。今回は1週仕上げの手を入れて終わりにしてしまいました。本当は最低2週は調整したいところです。実は仕上げの段階は一番時間がかかっています。多分トータルで3時間半くらいなんですが、半分以上仕上げに時間を使っています。基本中盤まではクロッキー力を磨けばいくらでも短縮できます。しかし最終仕上げの段階はどんなに上手くなっても短縮は出来ないのです(むしろ上達すればするほど得られる情報量が増えていくので、上級者ほど時間がかかるものです)なので試験時間が決まっている以上、出だしから中盤までが勝負であると言えるでしょう。クロッキーが安定して出来る人でデッサンが描けない人はいないです。クロッキーを軽視している人は上達に長い時間がかかります。クロッキーもただやればいい訳ではなく、1枚1枚結果を振り返って反省し、次回に繋げないと時間の無駄なので、是非有意義なトレーニングとなるよう頑張ってみて下さい!
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