
「ベルばら」を読みながら、少女心に「いつか、こんな椅子に座ってみたい。こんな椅子の似合う部屋に住みたい。」と思った。優雅な曲線を描く脚や肘当て部、背もたれや座る部分に用いられる布のおしゃれな模様と色合いに憧れた。だが典型的な日本の住居スペースと室内の雰囲気にロココ様式の椅子など合うはずもなく、今もなお写真等を眺めてうっとりするのみである。
一口にロココ様式の椅子といっても、ルイ15世と16世の時代では特徴が違う。私たちがよく目にするのは15世の時代のもの。ルイ15世時代の椅子の特徴を5つ挙げると、
1 椅子の脚が、S-Scroll (別名 猫の脚)と呼ばれるカーブを描いている。(確かに猫の前脚によく似ている。)
2 金箔や金メッキを施している。
3 心地良く座れるよう、背もたれがやや後ろに反っている。
4 女性が座る時、ドレスを張らせるための横骨状のパニエに邪魔にならぬよう、肘当て部分がやや短めに作られている。
5 椅子全体が優雅な曲線を描いており、その線は蛇に似ている。
池田先生が描いた次のイラストの椅子は、ルイ15世時代のものということになる。脚の部分にその特徴がはっきり表れている。
↓ これがルイ15世時代の椅子の原型。これをベースにいろいろな装飾を施していく。
↓ 先の池田先生のイラストに描かれている椅子を想わせる。1730年~70年頃のもの。
↓ 制作時期は不明。ルイ15世時代の椅子。
↓ 1735年制作。
↓ 1750年制作。
↓ 布にエキゾチックな題材を、用いることもあった。これは中国風。
↓ 1765年制作。これは狩猟の場面?仕掛けにかかった獲物だろうか?
↓ 1765年制作。これまた変わった組み合わせ。いったい何の動物?
馬車、家具、庭園、ファッション、建築などなど、ロココ時代には各分野に優秀な職人さんがひしめき合っていた。王侯貴族たちが彼らに活躍の舞台を提供していたと言えるかもしれない。注文を受けた職人たちは腕を奮い、モノヅクリを極めていった。まるで芸術の領域に踏み込むかのように。ジャルジェ家も部屋ごとに趣の異なる品の良い椅子を置いていたはず。オスカルの部屋にはどんなテイストの椅子があっただろう?
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