Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

7月14日 天上へ (つぶやき)

2014-07-14 22:33:36 | つぶやき
 ベルばら3が日の中で、ファンが一番苦しく感じるのは14日でしょうか?特にオスカルファンの方にとって、彼女が腹部を何発も撃たれるコマを見るのは忍びないでしょう。私もそうでした。敵をにらみ返すオスカルの壮絶なまでの表情。こらえきれず自らも被弾しつつ、彼女を庇うアラン。

 出動命令が出た日、オスカルはアンドレに「わたしが臆病者にならぬよう しっかりとそばについていてくれ」と頼みます。私はこの「臆病者」とは、いざ不測の事態が起きた時、オスカルが貴族の身分を捨てることを躊躇することかと思っていました。けれどオスカルは重傷を負い被弾の痛みに耐えている時、アンドレに向けて独り言を言います。
「長くはなかったか? 死は安らかにやってきたか? 手を貸してくれ アンドレ アンドレ 私が臆病者にならぬよう」
オスカルにとって臆病者とは、死にゆく瞬間を畏れることだったのでしょうか?

 重傷のオスカルを見てロザリーは、「あっちでけが人の手当てを---」と言い、応急手当を促しますがオスカルは断ります。代わりに「おろしてくれ」を3回言います。もはや救命は必要ない。この世でやるべきことはやり尽くした。自分に課せられた使命も果たしたつもりだ。あとはアンドレが待つ天に召されるのを待つだけ。そしてすぐそこにアンドレが迎えに来ていることを感じ取っていたのではないでしょうか?アンドレはオスカルと共に天に昇る時を待っていた。この時涙を流し、顔を震わせ、オスカルを石畳に下ろすアランの表情がたまりません。アランもオスカルの死が近いことが分かっている。

「どうか私をアンドレと同じ場所に----(葬ってほしい) 私たちはね 夫婦になったのだから」とロザリーに最後の願いを訴えます。もうこれ以上アンドレと身分差で隔てられたくない。これからはずっと彼と一緒にいるのだと。そのあとの「神の愛に報いる術も持たないほど---」で始まるオスカル最期の言葉は、何度読んでもじ~んと来ます。これこそ池田先生が私たちに一番伝えたかったメッセージなのだと。おそらくオスカルは「面白い、実に面白い人生だった。」と思いながら、息を引き取ったのではないでしょうか?

 重く切ない14日。しかしこれでようやくオスカルは、地上のすべての苦しみから解放される。アンドレが迎えに来てくれて二人で天に昇り、誰にも何者にも邪魔されないで、これからは永遠に幸せな時間を過ごすのだと思うと心から「ああ、良かったね。」と言いたくなります。オスカルの死はあれ以外ありえない。仮に14日を生き延びたとして、吐血による病死あるいは近衛隊時代、王妃さまに尽くしたことでギロチン送りにされたのではたまりません。自分の信念に従い、軍人としての生涯を全うしたからこそオスカルなのだと。あれがもし13日の夜、アンドレのあとを追って亡くなっていたら、愛に身を投じたただの女性になってしまい、これまでの日々は何だったのかとがっかりしてしまいます。

 ジャルジェ将軍がオスカルを成敗しようとし、その後ようやくアンドレに愛を告白した6月29日から今日まで、二人のことを考えながら二週間を過ごしてきました。振り返るとやはり短いです。けれどますますオスカルとアンドレが好きになりました。恋人同士になったから二人は以前より甘く幸せだったかと言うとそうでもなく、逆に恋人同士だからこそ、新たな苦悩も生まれたようにも思えます。

 このブログを読んでくださった皆さま、拙文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。今後もゆったりペースで「ベルばら」について思うことや、SSを書いていきたいと思います。下手ですが水彩画も描きたい。こんなブログですが、今後もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。


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